[付録] ニュースと感想 (137)

[ 2009.06.02 〜 2009.07.19 ]   

  《 ※ これ以前の分は、下記のページで 》


    2001 年
       8月20日 〜 9月21日
       9月22日 〜 10月11日
      10月12日 〜 11月03日
      11月04日 〜 11月27日
      11月28日 〜 12月10日
      12月11日 〜 12月27日
      12月28日 〜 1月08日
    2002 年
       1月09日 〜 1月22日
       1月23日 〜 2月03日
       2月04日 〜 2月21日
       2月22日 〜 3月05日
       3月06日 〜 3月16日
       3月17日 〜 3月31日
       4月01日 〜 4月16日
       4月17日 〜 4月28日
       4月29日 〜 5月10日
       5月11日 〜 5月21日
       5月22日 〜 6月04日
       6月05日 〜 6月19日
       6月20日 〜 6月30日
       7月01日 〜 7月10日
       7月11日 〜 7月19日
       7月20日 〜 8月01日
       8月02日 〜 8月12日
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       8月24日 〜 9月02日
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       9月21日 〜 10月04日
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       10月22日 〜 11月05日
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       11月20日 〜 12月02日
       12月03日 〜 12月12日
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    2003 年
       1月02日 〜 1月13日
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       4月07日 〜 4月14日
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       4月26日 〜 5月11日
       4月26日 〜 5月11日
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       4月03日 〜 5月11日
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       5月30日 〜 6月07日
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       7月26日 〜 8月14日
       8月15日 〜 9月06日
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       1月27日 〜 2月12日
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       2月27日 〜 3月08日
       3月09日 〜 3月13日
       3月14日 〜 3月24日
       3月25日 〜 4月14日
       4月15日 〜 6月03日
       6月04日 〜 6月26日
       6月27日 〜 7月09日
       7月10日 〜 8月10日
       8月10日 〜 9月04日
       9月05日 〜 9月15日
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       7月26日 〜 9月15日
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       10月12日 〜 11月08日
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    2009 年
       01月01日 〜 02月16日
       02月17日 〜 04月18日
       04月19日 〜 06月01日
         06月02日 〜 07月19日






● ニュースと感想  (6月02日)

 (1)
 全国各地で、発熱外来ができている。ただし、発熱外来はできても、まともに使うべきではない。(形骸化するべきだ。)
  → Open ブログ 「発熱外来は使うな」

 (2)
 オーストラリアの現況を示す。冬季に入って、インフルエンザの患者が急増している。ただ、政府はパニック状態にはなっていない。現地事情を紹介する。
  → Open ブログ 「オーストラリアの状況」


● ニュースと感想  (6月02日b)

 「GMの倒産」について。
 GMが倒産した。このこと自体は、別に不思議でもない。私としてはかなり早く(混迷状態が判明したころ)から、「倒産」を予測していた。
   → 3月02日 の項目
 第3に、今後はどうかというと、たいていの人は「わからない」と答えるが、私としては、「決裂」を予想する。そして、その上で、「経営破綻」を予想する。
 こう予測したとおりに、倒産となったわけだ。別に、不思議でも何でもない。
 
 では、本項で何を論じるかというと、次のことだ。
 「本来はどうするべきだったか? こんな形で破綻させるのが最善だったか?」

 この質問には、こう答えたい。
 「破綻を避けよう、とするのとは逆に、もっとずっと早く破綻させるべきだった。赤字が出ないうちに、会社を清算するべきだった」
 現状では、赤字がたっぷりと蓄積してから、破産した。おかげで、あちこちで大損害をうけた人々がたくさんいる。多くの人々が泥棒にあったようなものだ。ま、泥棒と違って、その富を得た人はいない。損した人だけがいて、得した人はいない。だから、誰かを罰することはできない。とはいえ、被害者は存在する。だから、被害者が出ないように、もっとずっと前に会社を清算するべきだった。

 すると、どうなるか? 次のようになる。
 これなら、現状に比べて、誰もが得をする。

 では、なぜ、そうなるのか? それは、根源として、次のことがあるからだ。
 「GMは決して劣悪企業ではない。現在の時点ですら、トヨタよりは利益率が高い。(トヨタの赤字の方が大幅だ。……意外ですね。) では、何が問題かというと、賃金が大幅に高いことだ。逆に言えば、大幅に高い賃金を払ってさえ、トヨタよりも高い利益を出せる。そのような企業は、存続の価値がある。ただし、労働者の賃金ばかりが、やたらと高いから、赤字を垂れ流す。そこで、労働者の賃金をトヨタ並み(世間並み)に下げれば、GMは優良企業として生きながらえることができる」

 問題は、「労働者の賃金を大幅に下げること」の可否だ。通常、不可能である。労組が「イエス」と答えるはずがない。それゆえ、会社清算が必要なのだ。そして、いったん会社清算したあとで、その資産を引き継ぐ新規企業が、世間並みの賃金で労働者を新規雇用すればいい。
 これが、最善の方法であった。……にもかかわらず、その最善の策を取らなかったから、GMはかくてみじめな形で破産し、世間のあちこちに大量の被害者を生み出したわけだ。


● ニュースと感想  (6月03日)

 「GM はどうするべきだったか?」について。
 GM は、倒産の前に、どうするべきだったか? これを考えてみよう。
 前項では、「もっと前に倒産するべきだった」と述べた。これは、1〜2年ぐらい前までのことだ。これ以前なら、倒産以外の道を選べたはずだ。では、もっと前に、どうするべきだったか? 
 これは経営の問題だ。そして、私だったら、次のようにしたかった。
 「 GM をいくつかの部門に分割する。設計・管理部門(本社部門)と、生産部門(工場部門)とに分ける。生産部門は、いくつもの工場ごとに分割する。それぞれの工場ごとに、『破産か賃下げか』を労働者に問う」

 つまり、各工場ごとに、「賃下げを受け入れるか?」と問う。受け入れれば、その工場は存続する。受け入れなければ、その工場は清算(倒産)させる。受け入れる工場が一つもなければ、すべて清算して、同時に、本社部門も清算する。
 この場合、労働者側がどう答えても、問題ない。
 第1に、労働者側は、賃下げを受け入れて(世間並みの賃金で)働き続けてもいい。その場合は、工場は存続する。多くの工場が存続すれば、本社部門も存続する。新生GMが存続する。これは最善の道。
 第2に、労働者側が賃下げを拒むなら、倒産ゆえに退職となる。その場合、清算したときには売却益が得られるから、赤字は少なめになるはずだ。株主や債権者は、少し破損するだろうが、大幅に損することはない。(これは次善。)

 いずれにせよ、最善または次善となる。どっちでもいい。一方、現状は、莫大な赤字を出すから、最悪だ。こんな道を選ぶべきではなかった。
( ※ どうしてそうなったかというと、経営者・労働者・株主のそれぞれが、目先の利益を追って、問題を先送りしたから。その間に、赤字は雪だるま式に膨らんだ。『何もしないで先送り」という道を選んだから、最悪の結果となった。)
( ※ 一般に、赤字会社は、さっさとウミを出すのが最善だ。赤字会社が問題の先送りをすると、ろくなことはない。今回もまた例外ではない。
( ※ そういえば、日本経済もまた、同じ事情にあるね。「待てば何とかなるだろう」という無為無策のうちに、日本経済は奈落の底に落ちつつある。 → 日本の国民所得


● ニュースと感想  (6月03日)

 (1)
 ワクチン製造の新技術が実用化に向かいつつあるという。大量の卵を使うかわりに、培養タンクで作成する。そのせいで、生産量に上限がないという。
  → Open ブログ 「ワクチン製造の新技術」

 (2)
 豚インフルエンザの感染力は、あまり強くないようだ。ただし今後、突然変異により、感染力が強まる可能性があるという。
  → Open ブログ 「豚インフルエンザの感染力」

 (3)
 中国で …… 感染しても症状のない例が見つかった。
 米国で …… 夏になっても感染者が出る、という特性があるという。
  → Open ブログ 「中国と米国の News」


● ニュースと感想  (6月04日)

 豚インフルエンザ関連の2項目。 (1) は面白い話。 (2) は詰まらない話。

 (1)
 一斉休校に効果はあったか? あらためて検証してみる。  すると、「効果は、あるにはあったが、非常に小さかった」と結論できる。  その一方で、代償は大きかった。
  → Open ブログ 「一斉休校の効果(検証)」

 (2)
 CS-8958 という新薬が速ければ来年にも発売されるという。これはリレンザの仲間で、第二世代リレンザと言えるもの。
  → Open ブログ 「CS-8958(第2世代リレンザ)」


● ニュースと感想  (6月04日b)

 「他人の空似」について。
 まあ、どうでもいい話なんですけど、たまたま検索に引っかかったサイトに、意外な情報があった。
  → 他人の空似
 これほどそっくりなのは、めったにない。時空を超越。


● ニュースと感想  (6月05日b)

 (1)
 検疫(水際対策)には、効果があったか? 木村もりよは「なし」と断言したが、「効果はあったぞ」と批判する人もいる。  私としては、「効果はあったが、ごく小さかった」と結論したい。
  → Open ブログ 「検疫の効果(検証)」

 (2)
 水村美苗の「日本語が亡びるとき」は、日本語論として読むより、文学論として読むべきだ、という話。
 (先日の話の補説)
 nando ブログ「ITと日本語(日本語が亡びるとき)」 の 補説


● ニュースと感想  (6月06日)

 (1)
 「タミフルと異常行動の関係は、何とも言えない」  という趣旨の報告を、厚労省(の作業部会)がまとめた。  しかしこれは、妥当な結論とは言えない。
  → Open ブログ 「タミフルと異常行動3」

 (2)
 楽天の個人情報漏洩が発覚した。GIGAZINE で報道されたあと、読売新聞でも報道された。
  → 「楽天の個人情報漏洩」


● ニュースと感想  (6月06日b)

 「DNA再鑑定と冤罪」について。
 DNA 再鑑定をめぐる冤罪事件があった。( → 足利事件
 これについては、「検察がけしからん」という見解が多いようだが、私はそうは思わない。検察がどんなにデタラメな主張をしても構わない、と思う。問題は、裁判所だ。検察がデタラメな主張をしたときに、それを安易に採用しすぎる。
 たとえば、「自白があった」と検察が主張するのは構わない。一方、被告は、「暴行を受けながらの自白だから無効だ」と主張する。検察は「暴行はなかった」と主張する。ならば、どちらが正しいとも言えないから、どちらも採用しない。かくて、自動的に、自白は証拠とならなくなる。……そして、それを避けたければ、検察は「暴行がなかったこと」を証明しなくてはならない。そのために、「取り調べの可視化」(録画)が必要となる。……これが常識。(世界の常識。)
 現実には、そうならない。なぜ? 検察が「取り調べの可視化」に賛成しないからか? 違う。裁判所が「取り調べの可視化」をしていない自白を採用するからだ。
 ここまで考えると、問題の本質がわかる。それは、「裁判所が検察の言うことをすべて素直に聞きすぎる」ということだ。この問題は、下記でも言及した。
  → 5月29日
 裁判所がメチャクチャなのが諸悪の根源だ。検察が馬鹿なのは、ちっとも問題ではない。本当なら、検察が馬鹿であればあるほど、墓穴を掘るだけだ。根拠のない自白を取れば取るほど、それはあっさりと却下されて、無罪となる。
 問題は、裁判所にある。検察ではない。……ただ、この件は、「裁判員制度」によって、いくらか是正されそうだ。裁判員制度は、ベストではないが、現状の裁判所に比べれば、はるかにマシだ。この件は、先に述べたとおり。(上記リンク)

 [ 付記 ]
 すでに死刑執行された死刑囚がいたという。DNA で鑑定されて、有罪となったが、ずっと無罪を訴えていたという。私が思うに、これも冤罪ですね。まず間違いないと思う。無罪なのに、死刑執行されてしまった。
 ただし、これをもって「死刑廃止」と唱えるのは、筋が違う。というのは、同じような誤審は、非常に多いからだ。特にひどいのは、痴漢冤罪だ。
 だから、「冤罪があるから、その刑をなくす」というのであれば、あらゆる刑をなくす必要がある。死刑を廃止しただけでは駄目だ。冤罪の人には、無罪にする必要がある。だから、冤罪の問題を回避するためであれば、あらゆる刑罰をなくす必要がある。懲役も禁固も罰金も、すべてなし。どんな犯罪をしても、決して罰されず、犯罪のやり放題。……そういうふうにする必要がある。
 もちろん、それは、馬鹿げている。だから、冤罪の問題を回避するために刑をなくす、というのは、本末転倒だ。冤罪は、それ自体をなくす必要がある。「冤罪をなくせ」と結論するのが本質的だ。
 そして、そのための一助が「裁判員制度」だ。こちらは、方策としては、「死刑廃止」に比べれば、ずっとまともだ。論理が通っている。(ま、ベストではないにせよ。)
 ともあれ、今回の事件では、「日本の裁判所がいかにデタラメか」が判明したことになる。検察が悪いのではない。検察は単に愚かなだけだ。愚かなものを肯定してしまう裁判所がイカレているのだ。

 [ 付記 ]
 「裁判所がイカレている」と書いたが、これは別に、悪口というほどではない。次の事実があるからだ。
 「今回の裁判では、検察が『無罪』を唱えたので、高裁は検察の言い分を認めた。しかし、弁護側が『無罪』を唱えたときには、最高裁は門前払いした」
 ここでは、「門前払い」ということが問題だ。具体的に言うと、弁護側が最高裁に、「DNA再鑑定を」と要請した。それを門前払いしたのである。調査すらしなかったのだ。
 弁護側の要求は妥当だった。時代の変化で DNA鑑定技術は大幅に向上していたから、再鑑定をするのはおかしくない。また、再鑑定の結果、「やはりこいつが犯人だ」という結論が出るなら、それはそれで問題ない。しかし、頭ごなしに門前払いするというのは、頭がイカレているとしか思えない。
 そもそも、DNAの再鑑定なんて、(検査機関には手間がかかるが)裁判所は何の手間もかからない。「イエス」という一言を裁決するだけでいい。なのに、「イエス」と言うことを拒んで、かわりに、「ノー」という裁決を下すためにさんざん時間をつぶした。(馬鹿みたい。)
 要するに、最高裁は、「再鑑定することで、過去の判決が逆転されること」を恐れていたのである。過去の間違いを認めたくなかったのだ。つまり、真実を認めなくなかったのだ。そのために、真実を隠蔽しようとしたのだ。そこで、あれこれと、必死になって努力したわけだ。
 これはつまり、「国民に正当な裁判を受ける権利を与えない」ということだ。大事なのは自分たちの仕事を批判されないことだけだ。最高裁の裁判官もまた役人である。自分の仕事にミスがないことが最優先。ミスがあれば、ミスを隠蔽するために、真実を必死に隠す。そのせいで国民の人権が損なわれようが、お構いなし。
 要するに、今の裁判制度では、国民には「裁判を受ける権利」が与えられていない。「裁判所の裁判官が給料をもらうための制度」つまり「裁判官がおのれのミスを隠蔽するための制度」があるだけだ。そこでは国民の福利などはまったく念頭外だ。
 ま、裁判所というのは、日本で唯一存在する、共産主義体制だと思った方がいい。そこでは「お上」に逆らうやつは、みんな投獄されるのだ。北朝鮮や旧ソ連と同じ。日本というのはそういう国なのだ。
 これを「イカレている」と表現するのは、きわめて妥当なのだが、そう言うと、言った人間が投獄されかねない。   (^^);

( ※ 似た事件は、他にもあった。やはり冤罪事件。 → 免田事件


● ニュースと感想  (6月07日)

 「死刑の署名」について。
 死刑の判決を求める署名運動があったという。通りがかりの見知らぬ女性を、金目当てで殺した、という事件。ここには書いていないが、「助けてください」と懇願する女性を、残虐になぶり殺して、死体を残虐に処理した、という残虐事件。
 いちいち紹介するほどのこともないのだが、記事を保存するという意味で、コピペしておく。(一部抜粋。)
   《 闇サイト殺人「極刑を」32万人署名
    「誰でも良かった」に不安感、国内外から署名続々 》

 大きな青い仕分け用の箱から、封書の山があふれていた。
 娘の利恵(りえ)さん(当時31歳)は帰宅途中に車で連れ去られ、ハンマーで殴打されたうえに首をロープで絞められ亡くなった。3人の男はインターネットの闇サイトで知り合い、金目当てで、偶然通りかかった利恵さんを襲った。
 「命を奪ったのだから、命で償ってもらいたい」。磯谷さんは9月下旬、ホームページ上で死刑を求める署名活動を始める。用紙はホームページから印刷できるようにし、郵便局留めで送ってほしいと呼びかけた。
  
 〈犯人の「誰でも良かった」という言葉はショックでした。ひょっとしたら自分が殺されていたかもしれない〉(名古屋市、女性)
 〈大学生の娘を育てております。娘が毎日帰宅するまで、気がかりでなりません〉(広島県、女性)

 署名に添えられた手紙の多くには、ネットを通じて形成された犯罪者集団が見ず知らずの市民を殺害した犯行に対する、切迫した不安感がにじんでいた。
 
 命による償いを求めた32万人の署名。その中には、職務上、加害者の側に立つ人から送られたものもあった。
〈当方は死刑を求刑された地下鉄サリン事件の実行犯の弁護をしております。しかし、今回の凶行は悪質極まりなく、社会防衛の観点からも遺族の応報感情の点からも、死刑はやむを得ないと思います〉
 第2東京弁護士会に所属する田瀬英敏弁護士(52)はオウム真理教元幹部の広瀬健一被告(44)(1、2審死刑、上告中)を2審から担当している。弁護士会を通じて、打診が来た。当時、弁護士になって4年目。初めての死刑事件だった。5000人を超える死傷者を出した地下鉄サリン事件の結果はあまりにも重大だが、「一貫して罪を悔いる姿勢を示す広瀬被告には死刑は重すぎる」と感じ、弁護を引き受けた。
 都内の事務所で偶然、磯谷さんのホームページを目にして、残虐な犯行に憤りを覚えた。職員全員で署名をし、手紙とともに投函(とうかん)した。
 「再び社会と折り合える可能性がある加害者の場合、死刑を科すことは慎重であるべきだ。一方、闇サイト事件で死刑判決が下されなければ、女性が夜道を歩くことが命がけになってしまう」。田瀬弁護士は署名した理由をそう説明する。
    
 北海道のオホーツク海に近い遠軽(えんがる)町に住む米堂(よねどう)征男さん(65)は1998年から、仮釈放者らを支援する保護司を務める。「突然、一人娘を奪われた磯谷さんの悔しさを思うと、居ても立ってもいられなかった」。07年秋、妻とともに、死刑を求める署名に加わった。
 「加害者の更生は大切だが、もっと大事なのは、まじめに生活している人が人生を奪われないこと。ためらいもなく人を殺害するような行為には、死刑という相応の罰があることを、裁判所が示す必要があると思った」と米堂さんは言う。
( → 読売新聞・朝刊 2009-06-06
 何でこんなこといちいち紹介するの? ……という質問が来そうだが、「死刑廃止論者」が、「死んだ市民のことなどどうでもいい。すでに死んだ人のことなんか、どうだっていいだろう。こういう残虐な犯人を生かすことこそ何よりも大切だ」と、うるさく絡んでくるから。

 なお、私の主張は、「死刑存続論」じゃない。むしろ、こうだ。
 「殺人犯は、死刑廃止論者を殺せばいい。そうすれば、死刑廃止論者を殺した犯人は、死刑を免れる
 つまり、死刑廃止論者は、遺言状を書いておくべきだ。「私を殺した殺人犯を、死刑にしないで下さい」と。そして、その遺言状は尊重されるべきだ、というのが、私の見解。別に、「何が何でも殺人犯を死刑にしろ」と言っているわけじゃない。

 死刑廃止論者は、「私は死刑廃止論です」というワッペンを胸に貼っておくべきだ。そうすれば、世の中、丸く収まる。死刑廃止論者も、死刑存続論者も、また、殺人犯も、誰もがそれで満足する。将来、殺人犯が、死刑廃止論者ばかりを狙って殺すようになれば、死刑は1件も執行されなくなるだろう。……めでたし、めでたし。  (^^);

( ※ それにしても、私のことを「熱烈な死刑存続論者」だと見なして、イチャモンを付けてくる人の誤読は、いったい、どうしたら治るのか? 彼らの誤読癖は、死ななきゃ治らないのかも。誤読して文句を言う人の頭を治すには、殺人犯に頼るしかないのかも。……ブラックジョーク。 ←  本気にしないで下さい。  (^^); )

 [ 付記 ]
 ちょっと思い出したが、逆のワッペンはあった。
 「私は殺されたくありません」というワッペン。それを買った人だけが、殺人犯に殺されない、という話。そのワッペンを買わなかった人は、無作為で殺されてしまう、……というわけ。題して、「1億人誘拐計画」
 西村京太郎の推理小説にある。書名は「華麗なる誘拐」
 くだらない観念論争なんかをするより、いろいろ本を読みましょうね。

 [ 参考サイト ]
 この殺人事件の情報。

 (1) 「金に困っていた。金を奪うなら女性の方が良いと思った。顔を見られたから殺した」「死刑になるのが怖くて電話した」などと供述。
   → 出典

 (2) 「暗証番号を言えと脅した。番号を聞き出したと思うとすぐに殺害した。」
   → 出典

 (3) 彼女が死ぬ寸前、最後に残した言葉を紹介する。
 「殺さないって言ったじゃない・・・・お願い・・・・助けて・・・・死にたくない・・・・お願い・・・・話を聞いて・・・・。」
   → 出典

 (4) 3人の男達は磯谷さんの懇願を無視し、神田が被害者の背後から羽交締めして、堀と川岸が暴れる被害者を押さえつけ、被害者がぐったりしたところへ、堀がハンマーで被害者の頭部を3発殴った。被害者の血が飛び散り、堀が殴るのを止めた。その後、綿のロープで被害者の首を堀と川岸が絞めた。被害者がもがくので、神田と堀が被害者の顔面にガムテープを巻いた。顎から額までグルグル巻きにした。そして、その上から、レジ袋を被せ、首の部分をガムテープで止めた。被害者はぐったりしたが、未だ生きている様なので、神田がハンマーを取り、被害者の左側頭部を30回殴打して、被害者は死亡した。
   → 出典 (孫引き)

 (5) 2960。磯谷さんが3被告に脅されて告げた虚偽の銀行口座の暗証番号を、母富美子さん(57)は証人尋問で「語呂合わせで『憎むわ』という意味」と説明した。検察官の「(磯谷さんは)誰に一番伝えたかったのか」との質問には、裁判官席を見据えて「裁判官の皆様ではないでしょうか」と答えた。
   → 出典

 (6) 遺影 (被害者の写真)
   → 出典

 (参考。死刑廃止論)
 「死刑は生きる権利の侵害であり、究極的な意味で、残虐かつ非人道的および品位を傷つける刑罰である。」
   → アムネスティ (PDF)

 ※ 「加害者には生きる権利はあるが、被害者には生きる権利はない」
   という意味なのだろう。そうとしか解釈できない。
   人間の生きる権利をないがしろにする、という、傲慢な宣言。
 ※ 上記を翻訳すると、次のようになる。

 「殺人は生きる権利の侵害でなく、究極的な意味で、残虐かつ非人道的および品位を傷つける犯罪でない。ゆえに、殺人犯の権利は、絶対に守られるべきだ。」

 [ 余談 ]
 アムネスティに限るわけではないが、「冤罪があるから、死刑を廃止せよ」と主張する人々がいる。これは、前日分でも述べたとおり、極論過ぎる。(その伝で行ったら、あらゆる犯罪を無罪にする必要があるからだ。さもなくば、冤罪を防げない。)
 この理屈はおかしい、と思っていたが、どこがおかしいのか考えて、ようやくわかった。これは「テロリストの論理」なのである。現制度の一部には、おかしなところがあるから、制度全体を破壊してしまえ」という理屈。
 ここまで考えると、アムネスティとかグリーンピースとかが、いかにテロリストふうであるか、よくわかる。「自己の信念を貫くために、気に食わない政府を転覆してやろう」という方針。
 これはもう、民主主義の否定である。一国の国民が「この政治方針を取る」と総意で決めても、「おまえたちの総意は間違っている! おれたちの理屈だけが正しいんだ! だからおまえたちの政府を転覆してやる!」という発想。
 そもそも、本当ならば、「死刑廃止運動」などは、いちいち必要ない。国民がよく考えて、自分たちで最善と思った道を取ればいい。あとは多数決で決めればいい。
 ま、初期には、情報が伝わっていないので、情報を伝えるために、キャンぺーをしてもいい。しかし、「死刑を存続するべきかどうか」ということならば、たいていの人は、ちゃんと自己の信念を持つ。そういう信念を勝手に覆そうとするのは、もはや、洗脳活動に近い。……そして、朝日がやっているのは、そういうことだ。テロリストによるテロ活動と、洗脳活動。
 私は、こういうのが、大嫌いだ。死刑廃止運動であれ、(逆に)死刑存続運動であれ、豚インフルエンザ危険キャンペーンであれ、一斉休校キャンペーンであれ、太陽光発電推進であれ、とにかく、国民の意識を洗脳しようとする運動が、大嫌い。
 ただし、世の中には、洗脳されてしまった人々もいる。そういう人々には、何を言っても無駄かもね。(いちいち反論しないで、かかわらない方がマシかも。反省。)


● ニュースと感想  (6月07日b)

 「北朝鮮の後継者」について。
 北朝鮮の後継者に、三男の正雲(ジョンウン)(26)が決まったらしい。
 しかし、これは、おかしなことだ。仮に、この人が後継者になる実力があれば、もっと前から、何らかの地位についており、帝王教育を受けていたはずだからだ。ところが、そうなっていない。また、長男に至っては、仲間もろとも粛正(国外追放)されそうだという。
 こういうことは、合理的には説明がつかない。したがって、額面通りの意味では、「これはありえない」と言える。
 では、真相は? 合理的に考えれば、次のことしかありえないだろう。

 以下、私の推定。
 金正日は、数年前に死去していた。小泉と対談したころは本人が出てきたが、そのあとは本人が外国首脳と直接対談することはなくなっている。2004年の前後には、病床に伏して、死去していたと思える。
 その後、影武者が、写真撮影に応じていた。そのニセ写真があちこちで出回っていた。(影武者は身長が本物よりも少し高かったらしい。ハイヒール靴を履いていないので。)
 ただし、その影武者も、2〜3年前ぐらいには死去したらしい。そうなると、インチキ合成写真をやたらと作るしかなかった。
 その間、北朝鮮はどうしていたか?
 「軍部主導の集団指導体制」
 この体制の下で、経済はほとんどないがしろにされたまま、軍部だけが核実験とミサイル実験を推進した。その間、外国との交渉はなされなかった。単に軍部だけが突っ走っていった。
 こうして、ともかく時間稼ぎをしてきたが、影武者が死んだあとで、その後の体制が問題となった。いつまでも合成写真ばかりを作っているわけには行かない。何らかの新体制を作る必要がある。
 そこで、影武者のかわりに、三男を取ることにした。これを、傀儡(かいらい = 操り人形)にして、軍部主導の集団体制を維持する。三男はあくまで飾り物にすぎない。三男は、金正日の後継者ではないのだ。金正日の後継者は、軍部主導の集団体制であり、三男はそのお飾りにすぎない。
 以上が私の推定だ。

 さらに、今後を推測しよう。
 軍部主導の集団指導体制は、その構成員が、ほとんどは老人である。金正日にかつて任命された人々だから、60歳代だろう。その後、高齢化にともなって、引退した人もいるだろう。……問題は、彼らの後継者だ。彼らの後継者として、若手が補充されるか? 
 もし若手が補充されれば、軍部主導の集団体制は維持される。ただし、時代の流れで、少しずつ変化していくだろう。かつての中国が少しずつ変化したように。……この場合は、ゆるやかな変化で、状況は安定する。
 一方、もし若手が補充されなければ? 老人たちが引退したあとで、集団指導体制はぐらついていくことになる。一人欠け、二人欠け、……とクシの歯が抜けていくように欠けていく。残った老人も、独裁者になるには力不足で、老化していくことになる。……そのあとは、不安定状況となる。不安定状況を解決するのは、新たな独裁者的な若手だろう。その人物は、三男を排除して、自分が新たな金日成か金正日のようになるかもしれない。あるいは、ゴルバチョフのように、北朝鮮を近代化するかもしれない。……つまり、悪くなる可能性もあり、良くなる可能性もある。どっちとも言えない。不安定な状況だ。

 二通りを示したが、そのどちらであるかは、情報不足でわからない。大切なことは、ただ一つ。真実が何かということではない。現状のニュース報道が虚偽である、ということだ。真実は不明であっても、少なくとも、報道が虚偽であるということだけは、理解することができる。

( ※ 以上はすべて、推定です。事実に基づいた判断ではなくて、数少ない情報に基づいた、推理。ホームズの推理みたいなもの。当たっているかどうかは、検証しないと、わからない。)


● ニュースと感想  (6月07日c)

 「「緑のオーナー」詐欺」について。
 「緑のオーナー」という林業支援制度が元本割れになった。「エコと投資の一石二鳥」と吹聴していた朝日と林野庁による、共同詐欺事件と言えそうだ。
 《 緑のオーナー、75人が国を賠償提訴 》
 9割以上が元本割れした林野庁の「緑のオーナー」制度を巡り、「リスクの説明が不十分なまま契約させられた」として全国の出資者ら75人が5日、集団訴訟を大阪地裁に起こした。原告側は国による違法な勧誘行為と説明義務違反を問う構えだ。
 契約額は1人3075万円が最高で、家族分を含め7000万円の例もあった。
 林野庁によると、「緑のオーナー」制度は、同庁が1984〜98年度に個人や団体から1口50万円(一部は25万円)で出資を募り、国と出資者が国有林を共同保有する制度。15〜30年の契約満了時に伐採し出資者に売却益が分配される仕組みだった。
( → 日経 2009-06-06
   「緑のオーナーで赤字」という事業。これを「すばらしい」と推奨した記事を書いてきたのが朝日新聞だ。「エコと収益の一石二鳥」という触れ込み。朝日はいつも、こういう記事を書く。
 この件、私は前から批判的で、次の趣旨の話を書いたはずだ。
 「林業は、採算性がなく、収益は赤字である」
 「したがって利息は、プラスどころかマイナス。利息が1%ぐらいになる、という宣伝は嘘八百


 こういう趣旨の話を、「泉の波立ち」のどこかに書いたはずなのだが、ちょっと見つからなかった。(埋もれているのかも?)
 ともあれ、結果は、私の考えたとおり。マイナスの利息が付くから、最終的には元本割れとなる。(株券が紙屑になったGMに比べれば、まだマシだが。)

 結論。
 こんな(国家による)詐欺に引っかかる方が馬鹿だとも言えるのだが、詐欺の片棒を書く記事を朝日も悪い。
 太陽光発電であれ、エコキャップであれ、燃料電池であれ、ディーゼルであれ、朝日はやたらとエコ関係で嘘を書く。そして、それをまともに信じると、人々は上記のように損をする。3000万円も買った人は、大変ですね。
 
 朝日は、自分の書いた記事のせいで、世間にこういう被害を出すのだということを、ちゃんと理解してほしい。……と言っても、無駄かな。豚インフルエンザについても、大騒ぎしていたし。
 何を言ってもわからない。馬の耳に念仏。豚に真珠。

 [ 付記1 ]
 この事業は、朝日でさんざん宣伝していたから、朝日の読者に被害者が多いはずだ。被害者の統計を取ってみるといい。大部分が朝日の読者だろう。
 読売の読者は、その制度を知らないことが多いはず。だから、あまり被害に遭わなかったはず。朝日の読者はかわいそう。
( ※ 朝日の読者はこれからも、朝日の「エコ詐欺」で、けっこう損するかも。「電球形蛍光灯」など。……あ、この件は、朝日の記者がすでに「損した体験記」を書いていたっけ。)

 [ 付記2 ]
 ネットを探してみたら、この事件は、ずっと前から話題になっていたようだ。私が書くまでもなかったか。下記で批判している人がいる。

  → 緑のオーナー詐欺事件( 2007年11月 )
     ※ これ以外にもネットで見つかる。


● ニュースと感想  (6月08日)

 (1)
 豚インフルエンザをめぐって、政府は医師への休業補償を決めた。
 もっともらしく見えるが、これは道理が通らない支払いだ。
  → Open ブログ 「医師への休業補償」

 (2)
 豚インフルエンザであるか否かを検査するための簡易キットが開発中だという。( SmartAmp法 )
  → Open ブログ 「新・簡易検査キット」


● ニュースと感想  (6月09日)

 (1)
 多くの県が、タミフルの備蓄を増やそうとしている。だが、タミフルは、季節性インフルエンザには使えず、豚インフルエンザにしか使えない。  タミフルを処方するなら、インフルエンザの遺伝子を検査する必要があるが、それは(数的に)不可能だ。
  → Open ブログ 「タミフルの備蓄を増やすな」

 (2)
 発熱外来で混乱が起こった、という記事を紹介しよう。
  ・ 救急医療の能力が落ちて、救急医療が不可能になった。
  ・ 検査に時間をかけているうちに、症状が悪化した。
  ( ※ 本項はニュースの紹介です。)
  → Open ブログ 「発熱外来をめぐる混乱」

 (3)
 盲目の天才ピアニスト、辻井伸行。
 → その紹介文
  ※ 英語圏の Web ではほとんど話題になっていないらしい。CD を楽に入手
    できるのは、日本人だけ。ラッキー。(だけどすぐに品切れですね。)
    ちょっと見てみたら、HMV では入手できる。早い者勝ち。

  購入。→ HMV

  ※ 上にアフィリエイトはついていません。別に買わなくてもいいよ。
    6月9日のうちには、たぶん入手難になっているだろう。

  試聴。→ YouTube
  ※ YouTube では英語圏のファンに圧倒的な話題だ。近々、世界を制圧か。
    まず、間違いなし。


● ニュースと感想  (6月10日)

 豚インフルエンザの患者は通常、半強制的に入院させられる。  しかし、これは馬鹿げている。即刻、やめるべきだ。
  → Open ブログ 「感染者を入院させるな」


● ニュースと感想  (6月10日b)

 「国際規格の制定」について。
 国際規格の制定では、携帯電話でも何でも、日本は欧米に取り残される。そのせいで、日本の企業の規格が国際規格からはずされてしまい(意図的に排除されてしまい)、欧州の市場を失い、さらには世界市場をも失う……という話があった。(読売・朝刊・1面・特集 2009-06-09 )
 よく聞く話だ。記事では原因として交渉不足を上げ、対策として「会議のあとの食事や談話が大事」なんていう話が出ている。しかし、根本的に間違っている。食事やコーヒーをして国際規格を主導できる、なんてはずがないでしょうが。トンチンカン。

 まず、基本には、「日本は国際規格の制定に参加しない」という事実がある。あるいは、参加しても、黙ってばかり。(これが一番多い。)
 要するに、交渉しない。というか、交渉できない。その理由は、交渉力不足。その根底は、二つ。
  ・ 英語力不足 (しゃべれない)
  ・ 議論力不足 (ディベート能力の不足。言語力の不足)

 ここまで来れば、対策はわかる。
 第1に、長期的には、上の二点を要請することだ。これは国家施策。文教政策。
 第2に、短期的には、企業は即戦力を導入する必要がある。そのためには、
  ・ 有能な人を高給で中途採用する。(社外から)
  ・ 特に、そういう外国人を、中途採用する。
 というふうにすればいい。 …… (*
 このうち、後者が大事だ。「日本人から選ぼう」なんて方針を取ると、各社で奪い合いになり、人材が払底する。語学力も技術力もある人材なんて、たくさんにない。いても、社内の中枢を占めるので、外部で対人交渉なんていう役割を任せるのはもったいない。(将来の社長になりそうな人材を、周辺の方で使うのはもったいない。)
 となると、「外国人の技術者」を採用するのが、ベストだろう。その外国人は、特に日本語能力は必要としない。彼のために翻訳する人がいればいい。
 つまり、会社は、この外国人を説得するための資料を渡せばいい。すると、この外国人が、国際会議で、他の人々を説得する。
 会社としては、「世界中の敵を説得する」というのが、「社内の味方を説得する」という形に変わるのだから、これなら楽だろう。社内の人々の英語力がいかに不足していても、味方である外国人は好意によって意を汲んでくれる。これで、解決。

 だから、経営者としては、上の (*) のことをすればいいのだ。それで問題は一切解決する。
 ただし、現実には、それはなされにくい。なぜか? 「社内純血主義」がはびこっているからだ。
 「当社の社内は、原則、日本人だけで占めよう。外国人は、あくまで例外」
 という社内方針。その形として現れるのが、
  ・ 現地法人の社長を現地人にしない (本社派遣の日本人にする)
  ・ 社内では外国人をあまり昇進させない
 ということだ。これの例外となるのは、日産自動車ぐらいだろうが、日産だって、ルノーからの人材は受け入れても、自分の社内で米国人や中国人や韓国人をどんどん採用しているわけじゃない。ま、トヨタに比べれば、日産は国際化がずっと進んでいるが、外国のメーカーと比べれば、国際化はまだまだ足りない。社内で英語を話す人材は増えているが、社内で英語を話す外国人はまだまだ少ない。(ルノー派遣社員を除く。)

 結局、日本企業はどこもかも、頭が国際化されていない。だから、日本ではよくても、外に出たとたんに無力になる。内弁慶。……それが物事の本質だ。
 そこを理解しない人々が、「会議のあとで食事とコーヒーをすればいい」と思い込んでいるわけだ。度しがたいね。


● ニュースと感想  (6月10日c)

 「辻井伸行の話題」について。
 ふと思ったのだが、辻井伸行のCMをやる企業はないのかな? 「感動」という絶賛が世間に渦巻いているので、CMに起用すれば、高級イメージが湧くのだが。
 というのも、スポーツマンのCMばかりで、うんざりしているから。北島やイチローのCM起用が目立つが、何か、知性が感じられないんですよね。二人とも、ちょっと傲慢だし。
 ま、本人そのものは、結構謙虚なのらしいが、イメージは傲慢さがちょっとある。知性というものがありそうにない。高級感がない。その点、辻井伸行ならば、最高レベルだ。……何しろ、正真正銘の天才なんだから。
 と私が提案しても、どうせ日本の馬鹿企業は、提案に乗るつもりはあるまい。そこで、アウディとかBMWとかが、辻井伸行を起用するといい。そのことで、日本のレクサスやインフィニティが辻井伸行を起用するのを、阻止することができる。こうして、馬鹿なトヨタや日産の馬鹿さ加減を、明白にする。日本の天才を、外国の会社が起用して、日本の会社を駄目にする、という形で。……鳶が油揚げをさらう形。
 ま、それも仕方ない。辻井伸行は、日本の財産ではなくて、世界の財産だ。馬鹿な日本企業が損したって、構うことはない。自業自得。
 それより、辻井伸行のCMで、彼の音楽が流れることの方が、人々にとっては利益が非常に大きい。下らないCMを流すより、辻井伸行のCMを流してほしい。それで人々は、感動を受け取ることができる。
( ※ 人間的な感動に反対するのは、オタクぐらいなものだ。現代というオタク時代に、喪失した人間性を回復するためにも、彼のCMが流れることは好ましい。)


● ニュースと感想  (6月11日)

 「辻井伸行への感想」について。
 辻井伸行について、感想は、YouTube のコメント欄にある。一部抜粋。
 Beautiful, beautiful.
I'm honored to watch and listen the performance of a genious.
Blind is us who really "can't see".
Everything comes out from something called mind or spirit and we don't need to see? to prove it.
My best wishes for this extraordinary gifted human being and I truly hope this life learning encourage all of us to be not only better musicians but better persons.

 涙が止まらない。すばらしい。純粋すぎるほど透明で、俗に埋もれた自分には、あまりにも、ジーンとして、ただ、その答えが何なのか、繰り返しきくだけです。人生まで、考えてしまいます。ありがとう。

 本物の天才が現れましたね。モーツアルトは作曲の際、その曲が一 瞬にあの世から頭にダウンロードされたといいます。彼は作曲もするそうです。すばらしい。まさに宇宙の神が我々の前に現れた言え るのではないだろうか。彼のピアノを聴くと宇宙は愛に満ち溢れていることを改めて実感できる。

 以下は YouTube

 天才という言葉では足りない! これは奇跡だ!

 この演奏のあと、他の演奏者のこの曲をいろいろ聴いてみた。(youtubeで)。過去の名手たちや再生回数の多いものとか聴いたのだがなぜかつまらない。うまいのだろうが、音が向こう側で鳴 っている感じ。そしてまたこの演奏を聴くと降ってくるようなこの音の波動に全身が包まれる。過去の音楽とはなにかが違う。

 キーシンのカンパネラがおもちゃにしか思えなくなる程の名演。目から鼻から 水出た。


● ニュースと感想  (6月11日b)

 (1)
 スペイン風邪では、若者の死者が多かった、と報告されている。その原因を推定する研究が見つかった。理由は「過剰免疫」である。
  → Open ブログ 「スペイン風邪と過剰免疫」

 (2)
 WHO は豚インフルエンザを、フェーズ6(パンデミック)に指定しかけている。では、豚インフルエンザは、パンデミックと言えるか?  実は、パンデミックという言葉には、両義性がある。流行の範囲と、被害の大きさだ。この両者が混同されやすい。
  → Open ブログ 「これはパンデミックか?」


● ニュースと感想  (6月12日)

 インフルエンザの重症者には、抗ヒスタミン剤が有効かもしれない。それで死者を減らせる。理由は、過剰免疫を阻止すること。
  → Open ブログ 「重症者と抗ヒスタミン剤」


● ニュースと感想  (6月13日)

 インフルエンザで死をもたらす過剰免疫は、「サイトカイン・ストーム」と呼ばれる。サイトカインという物質が嵐のように過剰に生じる現象。

 ちょっとだけ鼻水が出るのならばともかく、鼻水や鼻クソがやたらと大量に出過ぎて、呼吸困難になることもある。
 同様のことが、鼻でなく、肺で起こると、どうなるか? ……それが「肺炎」だ。鼻腔に鼻クソが溜まるかわりに、肺に膿のようなものが溜まる。そのせいで、肺の機能を損ねてしまう。結果は、呼吸困難による死。
  → Open ブログ 「サイトカイン・ストームと薬」


● ニュースと感想  (6月13日b)

 「鳩山辞任」について。
 鳩山大臣の辞任について、侃侃諤諤となっているが、わけがわからない人が多いだろうから、解説しておこう。
 この問題は、議論が噛み合っていない。
 鳩山 「日本郵政の社長が国民の財産をタダみたいに投げ売りしたのは、けしからん」
 与党 「日本郵政の社長は、郵政民営化の指導者であり象徴だ。それをクビにするわけには行かない」

 簡単に言えば、次の比喩が成立する。
 前首相の子分は、構造改革に賛同して、郵政民営化を実行した。そのあとで、泥棒を犯した。では、この泥棒を、どう処罰するか? 鳩山は「泥棒ゆえに有罪」と主張した。一方、前首相の支持派は、「前首相の子分あるがゆえに無罪」と主張した。

 つまり、泥棒事件に対して、一方は泥棒事件として論じているのだが、他方は政治事件として論じている。「あいつの親分に政治的功績があれば、親分に免じて、子分のどんな犯罪も許される。さもないと、親分が批判されるからな」という理屈。
 
 で、これに対する評価も、世間では割れている。
  ・ 野党や読売 …… 「犯罪は犯罪だ! こんなやつ、クビだ!」
  ・ 与党や朝日 …… 「親分に火の粉がかからないように、続投させよ!」
 
 私? 論じるのも、馬鹿馬鹿しい。


● ニュースと感想  (6月14日)

 「鳩山辞任の舞台裏」について。
 鳩山辞任のドタバタ劇のの舞台裏が、読売新聞に記してあった。
《 首相、当初は「西川交代」…竹中・小泉コンビが封じ込め 》
 麻生首相は当初、日本郵政の西川善文社長を交代させる意向だった。
 しかし、直後から巻き返しにあう。鳩山氏の動きを察知したのは、構造改革の旗振り役だった竹中平蔵・元総務相だった。竹中氏は小泉氏に相談した。
 小泉氏は……指名委の委員を「西川続投」で説得して回り、首相や鳩山氏の動きを封じ込めた。結局、指名委は5月18日、西川氏を続投させる方針を決めた。
 竹中と小泉による根回しが、麻生首相の方針をひっくり返した。麻生首相は、自らの方針をひっくり返されても、文句を言えず、「あ、そう」とだけ言って、自分の方針を転換した。元の麻生首相の方針を守った鳩山は、方針転換した首相から見捨てられた。

 なるほど。深い事情があるわけだ。それならよくわかる。……この記事、読売のクリーンヒットですね。
 小泉の提灯持ちばかりをしている朝日とは、正反対。朝日は自分の主張を書いて、小泉を擁護する。読売は、隠された事実を報道する。

 [ 付記 ]
 麻生は、小泉を立てるために、盟友の鳩山を切った。では、そのあとは? たぶん、自分のクビを切られるだろう。
 早ければ選挙前に、自民党総裁の座を追われる。遅くとも選挙後に、辞任する。どっちでも同じ結果。


● ニュースと感想  (6月14日b)

 「裁判員制度の抽選」について。
 裁判員制度が始まった。この制度の是非は別として、その際、裁判員を抽選する制度が、どうも馬鹿らしい。(朝日・朝刊 2009-06-13 からの情報。)
 選ばれた9人はともかく、残りの人々は、5日間の休暇が無駄になる。自営業者ならば、それでもいいが、会社員などでは、困るだろう。
 例。派遣をやっていて、元の職場に戻ったら、別の派遣がそこを埋めていた。
 例。教師をやっていて、教室に戻ったら、臨時教師が教室で教えていた。

 つまり、休む必要のない人が休みを取らされる結果、社会に多大な迷惑を及ぼす。100人のうち、9人が裁判員になればいいのに、それ以外の91人までが休みを取ることを事前に取り計らっておくので、無駄となる。

 これを解決するのは、ごく簡単。裁判開始当日の前に、抽選をしておけばいい。あらかじめ9人を抽選しておけばいい。それなら、他の人々は、休みを取る必要がなくなる。
 現在の制度は、そうでない。こいつは、相当馬鹿げていますね。となると、候補になったら、
 「裁判員に確実に選ばれるか、確実に選ばれないか、どちらか一方を選択する」
 という対処を取るしかあるまい。では、どうやって? 
  ・ 確実に選ばれる方法 →   ない。
  ・ 確実に選ばれない方法 → ある。
 ゆえに、「確実に選ばれない方法」を取ることが、唯一の対処となる。
 では、「確実に選ばれない方法」とは? 「裁判に偏見を持っています」と訴えることだ。「私はすべてに有罪を宣告します」とか、「私はすべてに無罪を宣告します」とか、「被告と利害関係があります」と語るとか。
 このうち、「被告と利害関係があります」と語るのは、嘘になるかもしれないが、「勝手にそう思い込んでいる」(勘違いしている)だけなら、問題はない。「小学校時代の同級生だと思いますよ。たぶん。仲良しだった○○さんだと思います」と語る。……一般には、これで、まず「アウト」となり、裁判員から外されるだろう。
 ま、あとになって、「記憶違いだった」と判明するかもしれないが。そのときには、もう手遅れだ。  (^^);

 [ 付記1 ]
 私の感想では、本サイトを読んでいる人は、頭がすごくいい人ばかりだから、裁判員制度には参加しない方がいいと思う。「12人の怒れる男」みたいなことをやりたい人なら、参加してもいいだろうが、たいていは、退屈な事件の審理だろう。そんなことは、現役バリバリの優秀な人のやることじゃない。そういうことは、主婦や退職者に任せた方がいい。
 で、仕事を引退して、隠居したら、そのころには、退屈しのぎで、裁判員をやったらいいだろう。……ただし、そのころには、本サイトを読むような頭脳はないだろうが。
 だから、本サイトを読むような人は、頭がすごくいい人ばかりだから、裁判員制度には参加しない方がいいと思う。その方が社会のためになる。
 私のお勧めは、嘘をついて辞退して、その代わりに、慈善事業に1万円を寄付することだ。良心の呵責もあるだろうから。(嘘のつきっぱなしだと、人間性が歪む。悪人になってしまう。それはかえって損だ。)

 [ 付記2 ]
 私だったら、こう申告したい。
 「**という犯罪の事件ですか? だったら是非、私を選任してください。私の家族は前に、**という犯罪の被害を受けて、ひどい目にあったんです。その仕返しをしてやりたい。是が非でも犯人を監獄にぶち込んでやりたいんです。こいつは絶対に有罪に決まっているので、私はぜひとも判決を下したい。ですから是非、私を選任してください」
 つまり、「選ぶな」と言わずに、「選べ」と言う。これなら誰からも非難されない。  (^^);
 「この悪党め!」と言われるかな? でもまあ、有罪にはなりません。

( 参考。以前の項目。  → 陪審員を免れる方法陪審制


● ニュースと感想  (6月15日)

 (1)
 Google Chrome についての項目の最後に、  Google Chrome 2.0 の説明を加筆しました。
  → Open ブログ 「Google Chrome 2.0 の評価」(加筆分)

 (2)
 「タミフルは、発症後 48時間以内に飲むまないと、効果がない」  という話を聞く。しかしこれは間違いだ。
 「効果がない」のではなく、「意味がない」のだ。(効果はある。)
  → Open ブログ 「48時間以内で 効果?」


● ニュースと感想  (6月15日b)

 「鳩山邦夫の支持率」について。
 東京スポーツ(2009-06-13)の見出しから。
 「鳩山支持57% 本紙緊急アンケートで麻生支持22%を圧倒」
 とのことだ。
 思ったより大差ですね。
 ( ※ 注。鳩山とは、民主党の鳩山でなく、鳩山邦夫・前大臣の方。)
 ( ※ それとは別に、「民主党が圧勝」という予測は、本日・15日の週刊現代。)

 あらたにす で社説を比べると、読売は常識的。朝日は例によって小泉支持ふう。日経は小泉路線そのもの。
 経済問題を見る限り、まともなのは読売だけですね。
 他の二紙は「市場原理だから正しい」という素朴な発想だけ。中学生並みの理屈。小泉が日本経済に何をもたらしたか、という事実さえ理解できない。
  → 日本のGDPの推移(小泉時代の日本の経済力低下の数字)
 バブル破裂後も、日本経済の低下は少なかった。しかるに、小泉時代に、日本経済は大幅に縮小した。そのことが、はっきりと数字になって現れている。


● ニュースと感想  (6月16日)

 「麻生内閣の支持率」について。
 麻生内閣の支持率が、報道各社の調査で一斉に示された。
  → 各社の記事
 値だけ示すと、17%,19%,19%,23% となる。どの社がどの数字かは、上のリンクから。

 末期症状ですね。自民党はこれで選挙をやるつもりなのか? 
 それとも、はたまた、麻生のクビを、すげ替えるか? 誰に?
 鳩山邦夫?   (^^);

 [ 付記 ]
 共同の記事が面白い。
日本郵政の西川善文社長の進退に関しては「辞任するべきだ」が75・5%で、「社長を続けるべきだ」の17・2%を大幅に上回った。西川氏の再任に反対した鳩山邦夫前総務相を事実上更迭した麻生首相の対応を「評価する」は17・5%にとどまり、「評価しない」は74・8%だった。

  「どちらが首相にふさわしいか」への回答では、民主党の鳩山代表が50・4%と、麻生首相の21・5%を大きく引き離した。
 民主党の鳩山代表って聞いて、「鳩山邦夫のことか」と思って支持した人が多かったりして。  (^^);


● ニュースと感想  (6月17日)

 「村上春樹の1Q84」について。
 読売新聞が村上春樹にインタビューをして、長い記事を書いている。(読売・朝刊 2009-06-16 )
 しかし、長い割には、要領を得ない。著者の意図はぼんやりとはわかるが、ピンボケな感じ。作品の意図を伝えているようにはとても思えない。
 ただ、私としても、うまく言語化できていない感じだ。ネットで目立つのは、池田信夫の感想だが、例によって悪口が書いてあるだけで、得るところは何もない。もうちょっとネットを探してみたら、次のサイトがよく書いてあった。
 僕にとっては、『ねじまき鳥クロニクル』よりかなり下、『海辺のカフカ』よりは少し上、というのが、いまのこの『1Q84』もに対する評価です。
 ものすごくストレートに感想を書くと、「とても『文学的』な作品だとは思うけど、感情移入しにくいし、ちょっと長いな。あと、セックスしすぎ!」というところでしょうか。 天吾とふかえりが寝るシーンは、「どこの妄想AVなんだこれ?」としか言いようがなくて困りました。
 「青豆」も「天吾」も、僕にとっては、「とても感情移入しにくいキャラクター」であり(ものすごくストイックな人たちですからね、基本的に)、「特別な人」のように感じます。そういう人たちが主人公の話を1000ページ以上も読むのは、やっぱりけっこうくたびれる。
( → 感想1
 別の感想もある。
 大いに楽しい時間つぶしができるものであり、そして、なにかを考えるきっかけ/媒介を与えてくれるものだった。
 とても面白い本ではあるが、感動などとは無縁の本で、読んだあとにいくつもののしこりが残る(かなり嫌な気持ちになる部分も多い)。しかし、そのしこりもまた受容されなければならない種類のものであろう。
( → 感想2
 さて。私の感想は……
 実は、全部を通読していない。本屋でパラパラと立ち読みしただけ。買う気が失せた。ちっともおもしろくない。一応読んだのは、エッチシーンだけ。2ページぐらい。それでも、エッチ感は満足させられなかった。ノルウェイの森のエッチ感よりはずっと劣る。あちらには文学性があったが、今回の方は通俗的なポルノ小説みたいな感じがあるだけだ。全編、文学性が稀薄。哲学性はちょっとある。その点では、ねじまき鳥に近い。
 結局、感想を言うほど読んでいない。また、読んだとしても、感想を書く気にはなれない。書くだけ無駄。

 ただし……
 作品批評はする気はないが、読者批評はする気になる。
 読売の記事(紙の新聞)によると、読者の半数は 30代以下だという。日本の人口構成を考えると、これはかなりいびつだ。普通の書籍では、50代以上が大半を占めるのだから。(若い人は本を読まない。)

 これは「さもありなん」と頷いた。実は、私の感じた印象は、こうだった。
 「これはオタク小説だ」
 つまり、文学の主題である「人間性」は、あまり話題とならない。むしろ社会性や同時代性が話題となる。しかも、そこに登場する人物は、人間性が著しく欠落している。恋愛さえもまともにできない。だから、恋愛抜きのセックスなんてものがある。セックスは、癒しにはなるが、愛の行為とはならない。
 げっ。気持ち悪い。こんな本、読む気にならない。ポルノでも読んでいた方がマシ、というのが私の印象だ。
 しかしながら、それを読んで「面白い」と感じる人が多い。若い人に。……というのは、彼らがオタク化しているからだろう。
 そう感じると、上記の二つの感想が、ともに「はてな」というオタクブログであることに気づいた。他の本では、そんなことはないのだが、この本に限り、「はてな」の読者が多いようだ。……やはり、オタクの心を惹くのであろう。
 村上春樹は、オタク時代の象徴なのかも。とすれば、それに惹かれる人が多いのもうなずけるし、それを「気持ち悪い」と思う人が多いのも、うなずける。
 こういうふうに、「オタク」というキーワードを据えることで、この作品は理解しやすくなる。特に、この作品に惹かれる読者が多い理由も。

( ※ というわけで、文学論にはならないが、文化論にはなる。)

 [ 付記 ]
 ついでに言えば、新聞が書く記事は、例によって同じ。「すごく売れています」という話だけ。中身じゃなくて、部数だけ。
 日本の新聞も、ずいぶんと品格が下がってきたものだ。

( → 読売の記事(一部のみ) )

 [ 参考 ]
 「じゃ、何がいいんだ?」
 と尋ねる読者には、次の本をお薦めします。
  ケン・フォレット「大聖堂」
 昔の本で、文庫本が出ている。つい最近、続編が出て、こちらも大いに話題になっている。
 これは、文学性がどうのこうのというよりは、人間性がよく出ていて、とても面白い。
 文学性も人間性も、というのなら、昔から「ジャン・クリストフ」が定番だ。
 文学性だけに絞るのなら、……私が言うまでもないですね。そういうのが好きな読者は、自分でとっくに選んでいるはず。人に言われて読むようなものじゃない。若いころに読むべきもの。今まで読んでいないような人は、もはや手遅れです。(そういう人は、オタクになっているので、村上春樹でも読むしかない。……でなければ、涼宮ハルヒか。  (^^); )


● ニュースと感想  (6月17日b)

 「動物マスク」について。
 インフルエンザ騒ぎのなかで……動物の顔(口のあたり)を描いたマスク。
   → 読売の記事
   → サンプル
   → 豚の鼻

 私のアイデア。
 折りたたみ式(蛇腹ふう)のマスクがあるが、折りたたみの部分を、口の線にあわせるといい。マスクをふくらませると、口が開く。むごむご、とふくらませると、口が、むごむご、と動く。

 デザインの推奨は……猿の惑星。   (^^);

( ※ ナイナイの岡村隆史がこのマスクをかぶった図……を想像してみてください。)

 [ 付記 ]
 新型インフルエンザ対策をアメリカ人に爆笑される理由、というサイト。
  → 日本の対応には爆笑


● ニュースと感想  (6月17日c)

 アップルの Safari4 というブラウザが公開された。Windows にも対応するという。  試してみたが、「すばらしい」という宣伝とは裏腹に、クソである。
 → Open ブログ 「Safari4 評価」


● ニュースと感想  (6月18日)

 豚インフルエンザは、弱毒性だが、強毒化したら、怖いか?
 「強毒化したら怖いぞ」という話が出回っているが、実は、(豚インフルエンザよりも)季節性インフルエンザの強毒化の方が怖い。そのわけは……
  → Open ブログ 「豚インフルエンザの強毒化 (?)」


● ニュースと感想  (6月18日b)

 オーストラリアの最新状況を示す。
  ・ 患者数は激増。
  ・「感染拡大を防がず、弱者のみを保護する」という方針に転換。
  → Open ブログ 「オーストラリアの状況2」


● ニュースと感想  (6月19日)

 (1)
 炭酸ガスの地中固定が低コスト(1〜5円)でできる、という新聞記事があった。その紹介。
  → Open ブログ 「炭酸ガスの固定」 【 追記 】
 (2)
 発熱外来は廃止されることになるそうだ。政府の方針転換。(新聞記事の紹介)
  → Open ブログ 「発熱外来は廃止へ」


● ニュースと感想  (6月19日b)

 「臓器移植法案」について。
 臓器移植法案(A案)が可決された。これで、臓器移植は、特に制限なく、広くなされそうだ。
 ただ、まだ十分とは言えない。「臓器移植について、拒否の意思がないこと」を確認する手間がかかるから、その分、死後に臓器の鮮度が落ちる。交通事故の場合、死後しばらく、家族の意思を確認する手間がかかりそうだ。そのせいで、臓器の鮮度が落ちて、結果的に、移植した臓器の定着率が下がり、せっかく臓器を移植してもらった患者の生存率が下がる。……もったいないというか、馬鹿げているというか。知恵の不足のせいで、人間が死ぬわけだ。

 ここでは、ちょっと知恵を付けることで、人命を救うことができる。次のように。
 このような制度を整えておく。また、制度への登録を促すために、次のことを実施する。  後者の理由は、次のことだ。
 「臓器移植について、『もらうときには賛成論で、与えるときには反対論』というご都合主義をなくす。与える人は、もらえる。与えない人は、もらえない。そのどちらかになる。」

 この件は、先に述べたとおり。これを徹底するわけだ。
  → Open ブログ 「病気腎移植」

 [ 付記 ]
 今回の採決では、上記ページを原理とする一般方式よりは、いっそう臓器移植の方向に進んでいる。その点では、好ましい、と思う。ま、これは、私の個人的感想だが。…
 臓器移植の是非は、個人の倫理観があるので、良し悪しは一概には決めつけられない。「臓器移植は一切禁止」という方針を取り、『それによって自分が死んでも構わない』という立場もあるが、それはそれで、否定できない。私が否定しているのは、「もらうときには賛成論で、与えるときには反対論」というご都合主義だけだ。


● ニュースと感想  (6月20日)

 政府の方針転換が、正式に決定して発表された。(豚インフルエンザ)
 しかし、新たな対策には、重大な穴がある。
  → Open ブログ 「政府の方針転換」


● ニュースと感想  (6月21日)

 (1)
 いわゆる「新型インフルエンザ」(豚インフルエンザ)の新型が登場した。新型の新型だから、「新・新型」もしくは「新々型」となる。
  → Open ブログ 「新・新型インフルエンザ」

 (2)
 チリの感染者数が急増している。5000人を突破。ただし、注意。  この数は「新型インフルエンザの感染者」と報じられているが、実は、季節性インフルエンザを含めた全体数と見なすべきらしい。
  → Open ブログ 「チリの感染者」


● ニュースと感想  (6月22日)

 「漫画博物館」について。
 次の記事が目についた。
   → フランスで漫画博物館オープン
 かかった費用は約13億円、税金投入には反対意見なし、とのこと。

 ふうん、と思うだけだ。私としてはコメントすることはない。ただし、次の点に注意。
  ・ 費用は、日本の「アニメの殿堂」の 9分の1 にすぎない。
  ・ そもそもフランスは、他の文化に、莫大な金を投じている。
 文化大国だから、莫大な文化予算の一部で、他国の文化をも収集するわけだ。その点、莫大な予算で、高速道路の無料化なんかをしてエネルギー浪費に熱中する東洋の島国とは、全然違う。
 ま、日本も同じぐらい文化大国になったら、その一部で、アニメの殿堂を造ってもいいだろう。ただし、日本の作品よりは、他国の作品(日本語以外)にしましょうね。……この点、勘違いしないように。
 国内で流通している作品を収集しても、巨大貸本屋にしかならない。


● ニュースと感想  (6月22日b)

 (1)
 感染症情報センター長(岡部信彦)が、豚インフルエンザへの対策を自画自賛している。そのお気楽さには、呆れるほかない。  今のままでは、次の冬には(政府方針ゆえに)、大量の患者が殺される。
  → Open ブログ 「情報センター長の能天気」

 (2)
 豚インフルエンザの感染者は、最近でも次々と新たに出現する。やむことがない。  なぜか? 実は、それが当り前だからだ。インフルエンザは、もともと終息するはずがないのだ。いつまでも。
  → Open ブログ 「夏季でも終息しない」


● ニュースと感想  (6月23日)

 インフルエンザの患者を診療するのは、耳鼻科に限定するべきだ。  政府の方針は、「全病院で」だ。しかしそれだと、院内感染の可能性があり、基礎疾患の患者に危険だ。
  → Open ブログ 「患者は耳鼻科へ (案)」


● ニュースと感想  (6月24日)

 (1)
 クチコミ病院検索というサイト
 ユーザーが病院の評価をするサイト。検索できる。  料理店の評判のサイトと同様で、その病院版。
  → Open ブログ 「クチコミ病院検索」

 (2)
 総務省がストリート・ビューについて「法律違反にあたらず」という見解を出した。その問題点を指摘する。
  → 「総務省がストリート・ビューを容認」


● ニュースと感想  (6月24日b)

 「コンビニ食品の値引き」について。
 賞味期限切れ近くになったコンビニ食品の値引きについて、公取委の是正勧告が出た。しかしその後、セブンイレブンは、廃棄分の原価15%を負担する、という方針を出した。
  → 朝日新聞
 これはつまり、「何が何でも食品廃棄を続けたい」ということですね。勝負に負けても、まだこだわる。負け振りの悪いやつだ。みっともない。

 [ 付記 ]
  → 値引き販売の実態(毎日新聞)
  → 私の昔の解説記事(コンビニの食品の無駄の根源)


● ニュースと感想  (6月25日)

  ちょっとお休みします。


● ニュースと感想  (6月26日)

  ストリート・ビューでは、ぼかし処理をするが、(ぼかし処理をする前の)元データは残っている。 ただし、「元データは残しません」と、日本の Google はをついている。
  → ストリート・ビューのデータ保存


● ニュースと感想  (6月26日b)

 「朝日の教条主義」について。
 朝日が社説で、日本郵政の西川社長の続投を論じている。これまでは「続投支持。民営化路線の貫徹のため」と論じていたのが、論調を少し変えている。
  → 朝日・社説 2009-06-25

 情けない。国民の8割が「続投不支持」という世論調査が出たあとで、自己の見解を少しだけ変えている。どうせ恥知らずなら、もとの論調を維持するべきだった。(ピエロになるわけ。)
 しかし、そうもできないから、「きちんと経営改善せよ」というふうに論じている。だが、それは、「民間会社への経営介入」という罠に陥ってしまっている。
 一般に、株主は、個別の経営には口を出さないものだ。気に食わなければ、経営者のクビをすげ替えればいい。それだけだ。
 なのに、「経営者のクビをすげ替える」という当然の権利を「経営介入だ」とほざいて、逆に、個別の経営には口を出すことで、経営介入をしている。朝日の論説委員はいつから人様の会社に経営指南をするほど偉くなったのか? 尊大も甚だしい。
 
 さて。朝日はどうしてこれほど馬鹿なのか? それは、朝日が「教条主義」に染まっているからだ。「構造改革路線は正しい」という理念に染まりきっているから、「小泉の改革路線はすべて正しい」と思い込んで、「郵政民営化はすべて正しい」と思い込み、「どんなに滅茶苦茶なことをやっても、民営化であればすべてOK」と思い込む。……ここでは、理念のせいで、目が曇ってしまっているのだ。
 そして、それは、朝日のすべてに共通する。「エコのためならすべて善。どんなに無駄でも太陽光発電を推進しよう」というのもそうだ。

 人は、理念に染まると、盲目になる。そのことを、朝日は典型的に示している。

 [ 付記 ]
 朝日に似ているのが、そのまんま東だ。
 「総裁候補にしろ」というのは、おちょくっている冗談だとばかり思っていたが、本人の口ぶりだと、本気らしい。
 呆れた。それほど馬鹿だとは思わなかった。馬鹿のフリをしている利口かと思ったら、本当の馬鹿であるらしい。  (^^);
 こうなると、そのまんま東はもはや、ピエロですね。まともに言えば言うほど、笑いものになる。
 朝日というピエロと、よく似ている。


● ニュースと感想  (6月27日)

 豚インフルエンザの報道について、朝日が自社の記事を検証している。騒いで報道したのは好ましくなかった、という立場。  しかし、これはまるで他人事だ。反省するフリでしかない。
  → Open ブログ 「朝日の自社検証」


● ニュースと感想  (6月28日)

 前日 の続き。
 豚インフルエンザについて、マスコミの過剰報道とは 何か?  それは、量的に過剰であるというよりは、質的に過剰であるということだ。小さなことを、大きなことであるかのごとく、針小棒大に報道するということだ。
  → Open ブログ 「マスコミの過剰報道」


● ニュースと感想  (6月29日)

 (1)
 豚インフルエンザの報道について、読売も自社検証をしている。しかし、朝日ほどひどくはないが、やはりピンボケだ。
  → Open ブログ 「読売の自社検証」

 (2)
 木質バイオマス発電というものがある。前出の「ペレット・ストーブ」の大型判。
  → Open ブログ 「木質バイオマス発電」


● ニュースと感想  (6月30日)

 (1)
 朝日の「論壇時評」で、豚インフルエンザ騒ぎが論評されている。しかし、ピンボケだ。
  → Open ブログ 「朝日の論壇時評」

 (2)
 米(コメ)からガソリンを作る事業を農協が始めるそうだ。エコ運動の一環だが、究極の無駄だろう。
  → Open ブログ 「コメからガソリン」


● ニュースと感想  (6月30日b)

 豚インフルエンザで、タミフル耐性ウイルスが発生した。
  → Open ブログ 「タミフル耐性ウイルス 1」


● ニュースと感想  (7月01日)

 (1)
 豚インフルエンザに、タミフル耐性ウイルスが発生した。  前項ではニュースを紹介したが、本項では私の立場から論評する。
  → Open ブログ 「タミフル耐性ウイルス 2」

 (2)
 米国では 感染者が 100万人にもなるらしい。それに比して、日本では感染者は 1000人を越えた程度だ。(推定でも 5000人?)  そのどちらが好ましいか?
  → Open ブログ 「米国は 100万人感染?」


● ニュースと感想  (7月02日)

 (1)
 豚インフルエンザの比率は、オーストラリアでは2割だという。(残りは季節性インフルエンザ)
  → Open ブログ 「豚インフルエンザは2割」

 (2)
 Firefox 3.5 が公開された。しかし、これは機能が大幅に低下している。  にもかかわらず、「インストール法」に欠陥があるので、いったんインストールすると、元に戻す手段がない。ご注意あれ。
  → Open ブログ 「Firefox 3.5」


● ニュースと感想  (7月04日)

 Firefox 3.5 では、従来のアドオンが使えなくなっていることが多い。
 この問題は、アドオンをバージョンアップすることで、たいていは一応解決する。
  → Firefox 3.5 とアドオン


● ニュースと感想  (7月05日)

 第3のビールの新商品で、「コクの時間」(キリン)というのがある。  これは結構 おいしい。  (どうでもいい話だけど。)
  → Open ブログ 「コクの時間(お酒の雑談)」


● ニュースと感想  (7月06日)

 (1)
 Woopie という動画サービスがある。  「検索」および「ブラウザ」
  → Woopie (動画サービス)

 (2)
 新商品を激安価格で購入できるサイト。
  ※ ただし 決済はクレジットカード。
 → Open ブログ 「モラタメ (試供品)」


● ニュースと感想  (7月07日)

 「北朝鮮の事情」について。
 北朝鮮がミサイルの発射など、挑発行為を続けている。特に、米国の独立記念日を狙って、その日にミサイルを発射したのは、いかにも挑発的だ。
 これは、どういう意味を持つか? 

 この件については、1カ月ほど前にも述べた。( → 6月07日b
 再掲すると、次の通り。
 「軍部主導の集団指導体制」
 この体制の下で、経済はほとんどないがしろにされたまま、軍部だけが核実験とミサイル実験を推進した。その間、外国との交渉はなされなかった。単に軍部だけが突っ走っていった。
 こうして、ともかく時間稼ぎをしてきたが、影武者が死んだあとで、その後の体制が問題となった。いつまでも合成写真ばかりを作っているわけには行かない。何らかの新体制を作る必要がある。
 そこで、影武者のかわりに、三男を取ることにした。これを、傀儡(かいらい = 操り人形)にして、軍部主導の集団体制を維持する。三男はあくまで飾り物にすぎない。三男は、金正日の後継者ではないのだ。金正日の後継者は、軍部主導の集団体制であり、三男はそのお飾りにすぎない。
 これを基本とした上で、最近の状況を推定すれば、次のようだと考えられる。  北朝鮮は、昔の日本軍と同様で、軍部主導の軍事国家となっている。その目的は、一人の独裁者を維持することではなくて、軍部そのものを維持することだ。軍部による集団維持体制があり、その目的は、軍部支配の維持である。
 ここでは、国の利益は目的でなく、独裁者(今回は三男)の利益もまた目的ではなく、軍部の権力維持だけが目的となる。
 結果的に、国民は犠牲となり、国家もまた犠牲となるが、軍部による「権力維持」だけは保たれる。
 ただし、その状況を維持し続けるには、軍事的緊張が続くことが必要だ。昔の日本軍は、満州や中国を侵略し続けることお出、軍事的緊張を維持した。そのことをもって軍部の存在価値を高め、軍部支配の維持を続けた。
 今回の北朝鮮もまた同じ。軍部支配の維持を続けるには、軍事的緊張を維持することが必要だ。そのために、世界全体への挑発的行為を続ける。
 ここで、注意しよう。北朝鮮は、世界全体への挑発的行為を続けるが、それは、世界全体と喧嘩するためではない。彼らが世界全体への挑発的行為を続けるのは、世界そのものを苛だただせることが目的なのではなくて、北朝鮮の周囲に軍事的緊張を作り出すことだけが目的だ。そして、その真の目的は、軍事的な緊張を通じて、軍部にとって自己の存在基盤を確立することだ。(北朝鮮という国家の利益が目的ではない、という点に注意。)
 要するに、北朝鮮の軍部は、国家を犠牲にし、国民を犠牲にし、自己(軍部)だけの存在を確立させようとする。そして、その手段として、世界を挑発しつづける。
 
 以上が真相だ。
 とすれば、次のようなことは、すべて無効である。
  ・ 北朝鮮と外交的交渉をして、合意をめざす。
  ・ 北朝鮮に経済制裁を施す。
 これらはすべて無効である。なぜなら、これらのことによって傷つくのは、北朝鮮という国家であるからだ。しかるに、北朝鮮の軍部は、国家の利益など屁とも思っていない。彼らは国家を犠牲にして自らを生かす寄生虫か害虫のようなものだ。そういう連中に対して、「国家に損をさせるぞ」とか、「交渉によって国家の利益を選ばせる」とかいうのは、まったく無効である。なぜなら、それらは、「合理的な判断」であるからだ。一方、相手がめざすのは、「合理的な判断」ではなく、「寄生虫の判断」なのである。

 その証拠を示す。次の記事だ。
   → 北朝鮮で食糧不足、野草で餓えしのぐ人も
 北朝鮮で餓死者が続出、というのは、数年前にもあったらしいが、近年はそうではなくなったらしい。しかし、今年になって、経済制裁で食糧援助が立たれると、ふたたび餓死者が出そうな雲行きだ。
 餓死者続出! このようなことは、正気の沙汰ではない。合理的な判断があれば、こんな道を取ることはあり得ない。

 結論。
 北朝鮮は、核爆弾やミサイルなど、次々と軍事的な緊張をもたらしつつある。これに対して、経済制裁や外交交渉など、さまざまな措置が検討されつつある。
 しかし、私の考えでは、そのすべては無効である。相手はもはや、合理的な人間ではないからだ。
 このような場合、残る唯一の道は、戦争しかありえない。ヒトラーであれ、日本軍であれ、最終的には、戦争にたどり着く。われわれにとって残る選択肢は、「いつ」ということだけだ。
 ヒトラーや日本軍の場合には、ドイツや日本が大きな攻撃力を獲得するまで、諸外国は放置した。そのせいで、諸外国は、軍事支配国家であるドイツや日本が巨大な攻撃力を持つようになってから、戦争をした。一方、それよりもずっと前にドイツや日本を攻撃して、軍事独裁体制を解除して、民主化しておけば、世界大戦は起こらなかっただろう。
 気違いを相手に、戦争を尻込みしていたから、かえって大きな戦争を起こすハメになった。
 とすれば、北朝鮮が弱体化している今という時点において、北朝鮮の軍事独裁体制を解除するのがベストだ、というのが、私の見解だ。

 なお、私は、やたらと戦争が好きなわけではない。イラク戦争(フセイン攻撃)のときは、一貫して反対してきた。小泉はブッシュの応援をして、日本の保守派も「イラク攻撃賛成」と主張してきたが、私は明白に反対し続けた。私は本質的には、戦争は嫌いだし、最後の手段として、なるべく戦争をするべきでないと考える。しかし、どうしても戦争を避けられないのであれば、最も被害の小さい形で戦争をするべきだ、と考える。そして、それは、相手が核爆弾を配備するでなくてはならない。
 あと数年もすれば、北朝鮮は核兵器を配備する。それを国内に配備すれば、北朝鮮に侵攻することは困難になるし、逆に、北朝鮮は自国で核爆弾を破裂させて、日本に死の灰を落とすことが可能になる。また、核搭載の船舶を、日本に向けて出向させるかもしれない。それを攻撃することは困難だ。(その船が沈む寸前に核爆弾を破裂されるなら、それを攻撃することはできない。)……こうなってからでは遅いのだ。

 イラクならば、戦争の前に、「経済制裁」という道を取ることができた。しかるにブッシュは、たった1年の「経済制裁」だけで我慢しきれなくなり、暴発して、戦争を始めた。こういうことには、私は反対した。
 北朝鮮ならば、これまで何十年にも渡る「経済制裁」という道を取った。そして、その結果が、「金日成と金正日の死亡後もさらに続く軍事国家」であり、「核爆弾とミサイルの配備」である。……こうなってはもはや、「戦争回避」の道はない。アルのはただ一つ、「いつ戦争をするか」だけだ。つまり、「相手が核を配備する前に戦争をするか、それ以後に戦争をするか」だけだ。(あるいは核国家に対して白旗を揚げるか。)
 日本が北朝鮮の属国になるつもりであるのならば、戦争をしなくてもいい。相手が核をちらつかせたときに、北朝鮮に対して降伏するだけだ。しかし、北朝鮮の属国になるつもりがないのであれば、今のままでは、「核爆弾が日本に来る」というのを選択するしかない。日本はたぶん、「迎撃ミサイルで」という方針を取るだろうが、相手はたぶん、船舶で核爆弾を送ってくるはずだ。そして、日本がそれを阻止しようとしたときに、核爆弾が破裂して、日本には死の灰が降る。北朝鮮の属国になるつもりがなければ、日本の空からは死の灰が降り、あなたも私も、チェルノブイリの市民と同じようになる。

 [ 付記 ]
 私の主張は「北朝鮮と戦争をすべし」ということのように見えるが、実は、そうではない。というのは、そういう主張をしようがしまいが、現実には、それは起こらないからだ。誰も聞く耳をもちませんからね。  (^^);
 で、何が言いたいかというと、「こういう議論を起こすといい」ということだ。つまり、「それほどにも危機感を持て」ということだ。
 今は、衆院選とか、東京都の選挙なんかで浮かれているが、そんなことに浮かれているときじゃないんですよ。北朝鮮ではとんでもないことが起こっているんだから。
 そっちに目を向けよ、というのが、本項の趣旨。で、相手が核爆弾を爆発させようとしているのだが、それに対して、日本は、どうするか? 「何もしない」のであれば、少なくとも、「降伏」の用意だけはしておいた方がいい。
 つまり、無為無策のまま死ぬするつもりならば、遺書ぐらいは書いておいた方がいい、ということ。それが本項の趣旨だ。(強烈な皮肉。)


● ニュースと感想  (7月08日)

 「児童ポルノ規制法」について。
 児童ポルノ規制法が審議されつつある。こんな話題はオタク向けなので、私は興味はないのだが、高木浩光氏のサイトを見ていたら、これが話題になっていたので、ちょっとだけ読んでみた。
 ついでにリンク先などを見ているうちに、気になる話が見つかった。
  ・ レディースコミックは、はるかに過激である。
  ・ 諸外国での「児童」の定義は13歳未満とされるところが多い。
  ( → 引用元
 
 ついでに Wikipedia を調べると、こうあった。
 「日本国外では対象年齢を13歳未満や16歳未満など日本より低い年齢を定義している国もある(韓国・イギリス・フランス・イタリア・スペインなど)。」
 
 さて。私の感想は? 
 この問題は「白黒を決める」という形で論じるべきではないと思う。日本は世界標準とは違って、次のような特異なエロ形態を持つ。
  ・ 成人ポルノについては徹底的に規制。
  ・ それ以外についてはきわめて甘い。
 つまり、成人ポルノが厳重に規制されすぎているから、それでは満足できないような発情した男性がその外で過激なものを求める。いや、男性だけじゃなく、女性も。  (^^);
 
 とすれば、この問題は、「白黒を決める」というのとは別の形で論じた方がいい。私の推奨は、次の通り。
  ・ 成人ポルノについては、諸外国並みに、緩める。つまり、一部のアダルトショップでのみ高額販売。
  ・ 一般の店頭では、ポルノ販売は規制する。ただし、商業的にであり、刑事罰ではない。
  ・ 児童ポルノの販売は刑事罰でいいが、単純所持は重くても行政罰に留めるべき。例。罰金千円。

 何か、日本って、やたらと白黒を決めつけすぎるんですよね。「児童ポルノはダメだ」となったら、「ものすごい厳罰にしろ!」というふうに。その一方で、人を殺しても、交通事故で轢き殺すのであれば、執行猶予になることはけっこうある。つまり、事実上、罰はなし。
 「ロリ趣味のオタクは監獄にぶち込むが、人を殺してもさっさと釈放する」
 なんて社会は、どんなものですかねえ? それに悲観した人々は、ぱチンコ店(?)でガソリンをぶちまけて、殺人するんじゃないですかね? 
 政治家のせいで、殺人事件が起こる。   (^^);
 精神が歪んでいるのは、ロリ趣味のオタクか、オタク狩りに熱中する政治家か? ……ところで、麻生首相はどうなの? 
( ※ 「ぱチンコ店」と書いた私は? 逮捕される?)


● ニュースと感想  (7月09日)

 「新疆と日本」について。
 新疆(しんきょう)で争乱が起こった。その理由は何かと言えば、もともとはウイグル族のいた地域に、漢族が大量に流入して、漢族が乗っ取ってしまったような形になったからだ。([ 付記 ]参照)

 さて。これは、外国の話だが、日本にとっても他人事ではない。というのは、次のことが考えられるからだ。
 「外国人労働者が大量に流入すると、日本が外国人に乗っ取られてしまう」
 こういうことは、考えられる。たとえば、朝日新聞は毎度毎度、「外国人の単純労働者を流入させよ」と主張している。とすれば、今回の漢民族を、新疆から日本に招いて、日本国籍を与えよ、ということになっていいはずだ。たとえば、漢民族を1000万人ぐらい招く。その後、大和民族は少子化で衰退し、漢民族は多産で増えていく。1世紀か2世紀ぐらいすると、民族は半々になる。……これがちょうど、今のウイグルの状況だ。つまり、国家が漢民族に乗っ取られてしまうわけだ。
 
 しかも、このように「国家の乗っ取り」というのは、戦争でも犯罪でも何でもない。単に「移民の流入」ないし「移住」という平凡なことがあっただけだ。「移住」は別に犯罪でも何でもない。むしろ「国際化」という時代の趨勢に合致すると見なされる。……ところが、そういうことをどんどんやっていくと、国家が乗っ取られてしまうのだ。
 ここではもはや、きれいごとは成立しない。「国際化は素晴らしい」と唱えながら、国家を乗っ取られてしまっては、何にもならないのだ。

 実を言うと、こういう問題は、次の比喩からもわかる。
 「博愛を口にした理想主義の資産家が、次々と乞食を自宅に招いた。すると、いつのまにか、自宅を乞食に乗っ取られれ、財産も乗っ取られた。あげく、博愛を口にした理想主義の資産家は、自宅から追い出されて、乞食になってしまった」

 きれいごとばかりを口にする夢想主義者は、現実を理解できない。そして、そういうことは、無為徒食の輩には、よくあることだ。たとえば、朝日の論説委員。自分では何一つ価値あるものを産み出さず、ゴミのような言葉を書き連ねることで給料を得る。無為徒食の輩は、現実とは何かを理解できないから、博愛を口にした理想主義の資産家のような馬鹿げたことをなす。
 「外国人労働者を招け」とか、「省エネのためにレジ袋有料化を」とか、「太陽光発電の推進を」とか、朝日はやたらと理想主義の言葉を口に出す。こういう連中の口先に従うとどうなるかを、新疆の例は教えてくれる。
 自民党も民主党も、「高速道路無料化」というような馬鹿げたエネルギー浪費策を推進する。どうせそのあと、道路公団の赤字の穴埋めのため、莫大な課税をするつもりだろう。さらには、「太陽光発電の推進」をして、国民から大量の金を徴収するつもりだ。(これはすでに法制化された。)
 日本という国は、外国人には乗っ取られていないが、狂信的な省エネ主義者(省エネを名目にしてエネルギー浪費を推進する狂人)には乗っ取られてしまったのだ。

 [ 参考 ]
 新疆について、歴史的な事情は、Wikipedia に詳しい。かつては「西域」とも「トルキスタン」とも言われた地域だが、長らく、ウイグル人などの遊牧民族の支配下にあった。その後、清朝の支配を経て、1949年に中国の侵略により支配された。
 その後は、ご存じの通り、漢民族の流入が起こり、ウイグル人は人口構成からして圧迫されるようになった。

 [ 参考映像 ]
  → YouTube(ウイグルの暴動 : 中国国営放送)


● ニュースと感想  (7月10日)

 豚インフルエンザの患者に対して、今秋以降の方針がはっきりと決まっていない。いったい、次のどれなのか?
  ・ すべての医療機関で
  ・ かかりつけ医または相談センターへ
  ・ 病院に行かない (自宅療養)

  → Open ブログ 「今秋以降の方針が曖昧」


● ニュースと感想  (7月11日)

 (1)
 豚インフルエンザ対策として、政府は新方針を決めた。が、まだ問題点はいくつか残る。それらの問題点を列挙する。
  → Open ブログ 「残る問題(豚インフルエンザ対策)」

 (2)
 サミットでは、「温室効果ガス削減の目標」が宣言された。しかしこれは、実現可能な目標というよりは、ただの夢想にすぎない。
   → Open ブログ 「炭酸ガス削減の目標(夢想)」


● ニュースと感想  (7月12日)

 「児童ポルノ・続報」について。
 児童ポルノ所持の法案が決まりそうだという。
《 児童ポルノ所持禁止へ法改正、与野党が合意 》
 児童買春・児童ポルノ禁止法の改正をめぐり、自民、公明の与党と民主党は、焦点となっていた児童ポルノの画像などを個人が取得して保管する「所持」も新たに禁止事項とすることで基本的に合意した。
 3党の協議では、過去に入手した児童ポルノも処罰の対象とするかが対立点として残っているが、「法律で禁止するが、処罰対象とはしない」とする方向で調整している。
( → 読売新聞
 これは、私の先日の話と、ほぼ同趣旨だ。
 「児童ポルノの販売は刑事罰でいいが、単純所持は重くても行政罰に留めるべき」
 ( → 7月08日 で述べた。)

 私の話を読んで、与野党は合意したのかな? (^^)v


● ニュースと感想  (7月12日b)

 「覇者の驕り・その後」について。
 部屋の掃除をしていたら、「覇者の驕り」という古い本が出てきた。米国の自動車産業が衰退した、という話。理由は燃費が悪いから。
 まるで今現在の話のようだが、時代は石油ショックの直後だ。あれから 30年ぐらいたって、同じことが繰り返される。より大規模な形で。
 この 30年間、米国の自動車産業は、何をしていたのか? ……こう思うと、新生GMが「電気自動車で再生」という話を聞いても、とうてい信じがたい。だいたい、彼らは2年前まで、こう語っていた。
 「トヨタはハイブリッドで先んじているが、燃料電池車はわれわれの方が先んじている。近い将来、燃料電池車で、われわれはトヨタをしのぎ、逆転する。ふたたびGMが世界をリードするだろう。世界に冠たる環境先進産業として。その切り札が、燃料電池車だ」


● ニュースと感想  (7月13日)

 「東京都議選」について。
 東京都議選で、自民・公明が過半数割れ。
 私の感想は? ま、だいたい予想されたことだから、このこと自体は、騒ぐほどのことはない。
 私の指摘は、こうだ。
 「自民&公明と、民主党&ネットとが、どちらも過半数を取れない。共産党がキャスティングボートを握る。とすれば、公明党が、態度をひるがえしそうだ。公明党は民主党と連立しそうだ
 とはいえ、それが東京都だけでなく国政にも反映するから、今すぐということはなく、総選挙のあとだろう。
 つまり、総選挙のあとで、公明党は自民党から民主党に鞍替えして、連立政権に加わる。そのために、公明党は、今のうちから、民主党との連立路線に鞍替えを考慮する。
 これが私の予想。
 
 で、もし、そうしなければ? 民主党と共産党との連立政権が成立するかも。……しかしこれは、公明党にとっては、絶対に受け入れがたい。となると、公明党の取る道は、一つしかない。


● ニュースと感想  (7月14日)

 「首相の解散決意」について。
 麻生首相は、負けるとわかっていても、解散を決断した。どうして? 
 これはちょっと疑問に思える。次の選択だからだ。
  ・ 解散を先延ばしして、自民党総裁選で新総裁を選び、自分は身を引く。
  ・ 今解散して、負けるとわかっている総選挙をやり、総選挙後に辞任する。
 つまり、首相の望むように、急いで選挙をしても、総選挙後には、敗北の責任を取って、辞任することが必然だ。早く選挙をやればやるほど、辞任の時期が早まる。どうせなら、九月になるまで引き延ばせば、首相をやっている時期が長くなるので、その分、ちょっとだけ得だ。どうしてそうしないのか? 

 要するに、これは、損得の問題じゃない。名誉の問題だ。
  ・ 総裁選をやって、引きずり下ろされる。
  ・ 総選挙をやって、敗北の責任を取る形で、辞任する。
 どっちがカッコいいかと言えば、後者の方がカッコいい。後者ならば、歴代の首相の例もあるが、前者の例は、あまりない。海部首相ぐらいだ。しかも、海部首相については、麻生総裁は当時批判したという。「どうして海部さんは解散権を行使しなかったのか」と。……ま、それはそうだ。私も当時、海部首相の腰砕けには、呆れたものだ。
 
 結論。
 政治というものは、損得で決まるわけじゃない。名誉で決まる。物事を損得だけで考えようとする経済学者の発想では、政治というものは理解できない。人間というものは、金や損得だけで動くものじゃない。そのことをちゃんと理解しておこう。
 麻生首相は、勝つために戦うんじゃない。負けるために戦うのだ。歴史において、そういう例は、しばしばある。
 「何だって、負けるために戦うんだ?」
 なんていう、子供じみた質問をしてはいけません。それは、無知をさらけだすだけ。あらかじめ、歴史というものをちゃんと学んでおきましょう。
( ※ ただし、それは、物事の是非とは別である。「損することが正しい」と述べているわけではない。誤解しないように。歴史や社会というものは、善悪や正誤で決まるものではないのだ。……なかなか、ためになる話ですね。)


● ニュースと感想  (7月14日b)

 「キリンとサントリー」について。
 キリンとサントリーが経営統合の方針だという。
  → Google ニュース検索
 これは独禁法違反にならないか? と思ったが、案の定。ビール全体でも、第3のビール単独でも、両者でシェアは約5割。当然、独禁法違反の疑いが強い。理由は下記。
 どうしても合併するなら、サントリーまたはキリンの「ビール」部門を、サッポロに売却するべきだろう。

 なお、両者の狙いを「海外での競争力向上」と報道する新聞社もある。というか、みんなそうだ。
 → 読売朝日毎日
 しかし、両者の狙いは、そんなことじゃない。本当は、こうだ。
 「市場の支配力向上による、価格の吊り上げ」
 つまり、現状では4社が過当競争気味で、利益率が低い。そこで、1社で5割という寡占市場を成立させることで、競争を排除して、各社がすべて利益率を上げる(その分、消費者は損する」というのが狙いだ。
 たとえば、「コクの時間」と「ザ・ストレート」が市場を席巻して、他社の競争力を弱めたところで、価格は上昇……というのがコース。こうして、競争を排除して、利益率を高めるわけ。
 それが狙いなんだろうね。もし経営統合が実現したら、第3のビールは 10円ぐらい値上げしそうだ。発泡酒も、そうなりそうだ。下手をすると、ビールも 20円ぐらいの値上げ。(その分、会社はボロ儲け。)

 とにかく、「統合で市場の半分」なんていう巨大企業の存在が許されるはずがない。もしできたら、ただちに会社分割の対象になる。
 公取委は、この統合を認めるべきではないし、もし認めるなら、その後に会社分割を命じるべきだ。キリンとサントリーを足してから、そのあとで分割するなら、それはそれで悪くない。しかし、それだったら、最初から統合を認めるまい。……公取委は、きちんと対処するべき。
( ※ ついでだが、マスコミは「海外での競争力」とか「公取委の判断待ち」とかか書くべきではない。「明白に独禁法違反の疑い」と書くべきだし、「狙いは価格の釣り上げ」と書くべきだ。)

 [ 付記 ]
 以上のように、「市場の独占による価格の吊り上げ」というのは、うまい例がある。
 市場の過当競争という点では、長らく、ビール業界と自動車業界が有名だった。そのうち、自動車業界は、トヨタと日産が拮抗していた頃は、どちらも値引きがすごくて、利益率も高くなかった。日産に至っては大赤字を出す始末。
 ところがゴーン社長になってから、「値引き禁止」を打ち出した。日産は売れなくなってシェアを落としたが、利益率は向上して、大赤字ではなくなった。社長就任時では、コストカットも新車開発も、何もできていなかったが、単に「値引き禁止」を打ち出すだけで、大幅に利益率が向上した。
 これによって、トヨタとホンダのシェアは上がったが、トヨタは青ざめた。あまりにもシェアが上がりすぎて、シェアが過半数を超えてしまった。このままでは、トヨタは会社分割の対象になりかねない。そこで、トヨタも、値引きをやめた。トヨタも日産も値引きをやめたから、ホンダも値引きをやめた。結局、自動車業界のすべてが値引きをやめた。そのせいで、自動車業界全体が、大儲けするようになった。各社は利益率が 10%程度という、ボロ儲け状態になった。……ただし、その分、消費者は大損したことになる。
 これが、かつて「過当競争」と言われた自動車業界の顛末だ。そして、そうなった理由は? トヨタが5割近いガリバー企業になったからだ。1社の市場支配が極端に強くなると、他社は競争を諦める。そのせいで、各社は「共存共栄」の道を選ぶ。つまり、「寡占状態による競争排除による、価格吊り上げ」だ。
 かつては、新日鉄の鉄鋼業界も、似た状態にあった。
 そして、それと同じことを狙っているのが、ビール業界だ。彼らの本音は、「過当競争の排除」であり、「価格の吊り上げ」なのだ。(消費者を踏みにじって利益を獲得しよう、ということ。味を良くして、価格を下げて、シェアを取ろう……という現状とは正反対。)

 [ 参考1 ]
 オマケの話。その1。
 イオンのプライベートブランドの「第3のビール」は、予想通り、「金麦」そのものであると断定してよさそうだ。根拠は、次の二点。
  ・ どちらも「麦」を強調している。
  ・ どちらも「天然水仕込み」を強調している。
 参考 サイト。
  → サントリー公式ブログ
  → 日経
 なお、「ザ・ストレート」はアルコールが6%であり、明らかに別製品。
 また、サントリーは、スーパー向けにまったく別の商品を工場で生産することはありえない。そんなことをすればコストが暴騰する。既存の商品を回すだけだから、コストが下がる。既存の商品から選ぶしかない。しかも、稼働率が落ちてきた近年の商品から。……この点からしても、「金麦」以外にはありえない。
( ※ 他の可能性としては、「ジョッキ生」があるが、まさかね。)

 なお、調べてみたら、第3のビールには二種類ある。
  ・ 「その他の醸造酒(発泡性)(1)」……「ジョッキ生」など。
  ・ 「リキュール(発泡性)(1)」……「金麦」など。
 イオンのプライベートブランドは、「リキュール(発泡性)(1)」である。

 [ 参考2 ]
 オマケの話。その2。
 エコな第三のビール「STOP!地球温暖CAN」というのができるという。
  → zakzak
 「地球温暖CAN」というのだから、「地球温暖が可能」という意味なんでしょうね。
 ふうむ。「炭酸ガスの排出削減」という名目で、ビールから炭酸ガスをたくさん排出する。なるほど。これなら、「地球温暖が可能」という意味になる。  (^^);
 ビールを飲んで、炭酸ガスをどんどん出して、地球をどんどん暑くしよう! ……そうすれば、ますますビールが売れるから。 (^^)v
 それにしても、連中の悪知恵には、呆れはてる。


● ニュースと感想  (7月15日)

 「臓器移植法」について。
 臓器移植法改正案が採決された。脳死を一般的な人の死とする「A案」(衆院通過)が賛成 138、反対 82の賛成多数で可決、成立した。それに先だって、修正A案が賛成72、反対 135で否決された。(各紙報道。)
 これはこれで、理が通る。
 ただし、もともとの採決方法は、理が通らない。この件について述べる。

 仮に、修正A案が可決されたら、A案は採否されない予定だった。しかしこれは、憲法違反の疑いが強い。修正A案が可決されてもされなくても、A案は採決される必要がある。というのは、どんな法案も、衆院で可決されたら、参院では採決される必要があるからだ。(憲法の規定。)
 なのに、修正A案が可決されたという理由で、A案が採決されないというのは、憲法違反だろう。そのようなことは、法理的に許されないはずだ。
 だから、本当は、次の順序で裁決するべきだった。
 「A案 → 修正A案 → 他の案」
 これならば、A案が可決されても否決されても、問題ない。可決されれば、その時点でA案が成立する。否決されれば、その時点で修正A案の採決がなされる。……こう言う過程ならば、何の問題もない。それが自然だった。
 なのに、
 「修正A案 → A案 → 他の案」
 という順序を取ることは、憲法違反をやらかしていることになる。与野党はそれで合意したのだとしても、こんな憲法違反を認めるなんて、ひどすぎる。ま、順序自体はそれでもいいが、「修正A案が可決されたら、A案を採決しない」なんて、ひどすぎる。
 こんなデタラメ連中が法律を決めているとしたら、情けない。……とはいえ、その問題を理解した人が多くて、修正A案を否決したのだとしたら、国会議員も、まんざら馬鹿ばかりではない、ということになる。
 世論では、A案への賛成は過半数になっていなかったようだが、この件については、国会議員の良識が世論の常識を上回っていた、ということか。
 ま、選挙のどさぐさであわてていたのかもしれないが、まずは、めでたしめでたしと言えるかも。

( ※ 臓器移植に反対する人も多いだろうが、それらの人は、ちゃんと、遺言で「自分の臓器移植に反対する」旨を記述しておくといいだろう。ついでが、若い人も若くない人も、遺言をちゃんと書いておいた方がいい。……とはいえ、日本では標準がちゃんと決まっているから、まだマシかも。アメリカやイギリスでは、遺言を書いておかないと、あとが滅茶苦茶なことになることも多い。いや、遺言を書いていても、滅茶苦茶になることが多い。
 例。「私は全財産を、犬の一郎に残します」……これは、日本ではジョークだが、アメリカでは現実に大騒動となるらしい。
  → 「遺産8000億円、犬のために」 NYの故ホテル女王 )


● ニュースと感想  (7月16日)

 「キリン・サントリー統合への社説」について。
 キリン・サントリーの経営統合について、朝日と日経が社説で論じている。
  → 朝日日経
 日経の方は、当たり障りのないことを書いている。ただの記事か解説みたいで、見解はほとんどない。(これがどうして社説なのかもわからない。)
 朝日の方は、唖然とした。「すばらしい」と持ち上げるだけ。プラス面を見て、マイナス面を見ず、単にバラ色の夢を掲げるだけ。(いつもの朝日と同じか。)
 両社のビール系飲料の国内シェアは50%を超え、2位のアサヒビールの37%を突き放す。一昔前なら独占禁止法上の問題となったかもしれない。だがグローバル競争の時代だ。輸入ビールが大量に入ってくる余地が開かれている。そもそもコンビニやディスカウント店など小売り側の価格決定力が強いこともある。公正取引委員会の審査を待たねばならないが、大きな障害にはならないのではないか。

 国内市場より海外市場を強く意識してのことと思われる。日本の飲料メーカーは、携帯電話業界に似て、一種の「ガラパゴス化」を指摘されてきた。日本の厳しい消費者の要求にこたえて高品質の製品を多種類つくり、外国企業の参入を防ぎつつ市場を分けあってきたのだ。
 アジア市場での事業拡大をもっと存分にできるようになるだろう。世帯の可処分所得が年50万〜350万円くらいのアジアの中間層は、ここ20年で6倍以上に膨らみ、9億人規模と言われる。縮小する国内市場に引きこもらず、高成長のこの新市場を「わが市場」ととらえて活路を開かねば、日本企業の飛躍はあり得ない。
 経済学音痴の素人が、経営雑誌の受け売りをすると、こういう馬鹿なことを主張する、という見本か。何でもかんでも、「企業体力の向上」というふうにばかり考える。で、その典型の「構造改革」が日本を破壊した、ということも理解できずに、単に行け行けどんどん。馬鹿丸出し。
 素人が経済や経営を語るな、と言いたいですね。
 そこで私が説明しよう。

 (1) 独禁法
 「公正取引委員会の審査を待たねばならないが、大きな障害にはならないのではないか。」
 シェアが5割になって、市場競争をなくすことが、どうして独禁法の障害にならないのか? こんなことが許されるなら、「市場競争」というもの自体を否定することになる。
 1番目が5割、2番目が3割程度、という業界は、やがては、1番目がさらに強大化し、2版目以降はどんどん弱体化して、ガリバー型市場となる。そこでは市場の競争は弱まり、独占状態を維持することで、価格はつり上がる。ビールで言えば、10〜20円の値上げになる。そのことで、企業体力は向上するが、消費者の利益は減る。
 そして、それを阻止するのが独禁法なのだが、朝日はもはや「独禁法とは何か」も理解できていないし、「市場競争の大切さ」も理解していない。単に「企業が協力になればいい」「企業が儲かればいい」とだけ思って、消費者を犠牲にすることも理解せず、国民が大損することも理解しない。
 これまさしく、構造改革の発想だ。企業重視で、国民無視。朝日にとっては、「派遣社員ばかりで国民生活が破壊される」という状況を見て、「企業が黒字になるからいいのだ」と思うのだろう。そして、そのあとで、「企業は雇用責任を果たせ」とだけうそぶく。「構造改革が派遣社員を大量に発生させた」ということも理解できないで。
 馬鹿というのは、まったく経済を理解できないものだ。

 (2) 食品産業
 「日本の飲料メーカーは、携帯電話業界に似て、一種の「ガラパゴス化」を指摘されてきた。日本の厳しい消費者の要求にこたえて高品質の製品を多種類つくり、外国企業の参入を防ぎつつ市場を分けあってきたのだ。」
 これもまた、食品産業の本質を理解できないものだ。一般に、食品産業というものは、食品を現地化する必要がある。職というものは保守的だから、徹底的に現地の好みに合わせるべきなのだ。
 たとえば、フランス料理を日本にそのまま持ってきても、脂っこくて、誰も食べない。日本のフランス料理は、日本風のフランス料理として、脂肪分を減らして、繊細な味わいを求めている。同様のことは、あらゆる食品に当てはまる。逆に言えば、日本の食品も、外国に持ってゆけば、現地の味付けに変更する。たとえば、インスタントラーメンなら、どの国でも現地ふうの味付けに仕立て直す。日本のラーメンをそのまま持っていっても、売れないのだ。かといって、「世界標準のラーメン」なんてものを作ろうとしても、無理だ。どの国でも、その国なりに、現地化したラーメンを作る。
 つまり、食品というものは、基本的に「ガラパゴス化」することが必然なのだ。が各国はすべて「ガラパゴス」なのだから、各国ごとに「ガラパゴス化」することが必要だ。これが食品産業の特性だ。
 なのに、「グローバル化」という名目で、世界標準の味付けを強要するとしたら、とんでもないことになる。「世界標準はコンソメ味だから、日本風味の醤油味の食品を全廃しよう」なんて考えたら、その会社は倒産間違いなし。
 
 前に、「日本語が亡びるとき」について論じたことがあった。ここでは、言語というものがその国独自のものであることを前提としていた。また、グローバル化時代において英語に統一すればいいというものではない、という話もあった。
 朝日のように、「何でもかんでもグローバル化で統一せよ」という発想は、「日本語なんかやめて英語にせよ」という発想と同じだ。言語の特性というものをまるきり理解できていないことになる。それと同じなのが、「食をグローバル化せよ」という発想だ。
 食品産業というのは、やたらと世界各国に進出すればいい、というものではない。世界各国に進出できるのは、現地化されにくい食品だけだ。たとえば、コカコーラとか、醤油とか。これらは世界共通でも差し支えない。しかし、ビールは違う。日本のビールは、ドイツではまったく受け入れられない。ドイツにはドイツの独特の食文化があり、そこでは日本の食文化は受け入れられない。また、逆に、ドイツのビールを日本に輸入すれば大人気になる、ということもありえない。
 食品において大切なのは、グローバル化ではなくて、ローカライズすることなのだ。そして、それを実行した企業のみが、成功する。
 食品ではないが、その成功例の典型は、ホンダだ。アコードやシビックを、日本規格から変更して、米国規格にしてしまった。そのせいで、世界標準の車ができたのではなく、米国規格の車にしてしまった。だから、米国ではバカ売れするが、日本では全然売れない。シビック3ドアも、欧州ではバカ売れするが、日本では発売さえされない。(発売してもほとんど売れまい。カッコいいし、魅力的ではあるが、台数は出ないだろう。4ドアでさえほとんど売れないんだから。)
 「日本を脱してインターナショナルになろう」
 というのは、60年代の発想だ。古すぎる。それはまさしく、ガラパゴス的な社会にいる連中の発想だ。しかし今や、インターナショナルな時代だ。そうすれば、外国の情報もわかる。そして、そこで知られるのは、「世界標準を押しつける」ということではなくて、「各国に適したものが必要とされる」ということだ。特に、食品や自動車のように、生活に直結したものはそうだ。
 コンピュータのような情報機器では、グローバルなものが普及するが、それは、最先端技術のかたまりだからであり、あくまで例外的だ。一方、たいていの製品は、生活に直結したものであり、それゆえ、各国の生活に即したものが望まれる。
 朝日のように、「何でもかんでも国際化を」と望むのは、経営というものを理解しない、理念だけの文学書生の発想だ。「空理空論を出すな。自分で物を売る体験をしてみろ」と言ってやりたい。


● ニュースと感想  (7月16日b)

 「おもしろ判決」について。
 新聞広告で、次のように表示したとしよう。
 「自民党史から抹消 麻生総理と売春少女」
 これを見れば、「麻生総理と売春少女とに何らかの関係があった」と思うのが当然だろう。ところが、
 「広告というのは誇大表現が許されるから、関係が全然なくても、そういうデタラメな広告をすることは許される」
 という奇怪な判決が出た。つまり、「広告ならば嘘をついてもいい」と。
  → 読売「広告見出し、刺激的表現許される」
 この例では、キヤノンの会長と731部隊との関係。関係が全然ないのに、関係があるように見せかける、嘘広告。
 
 呆れましたねえ。そりゃまあ、マスコミというのは、嘘八百を書くことが多い。しかし、それを指弾するのではなく、それを当然視して、「嘘八百を書くことは正しい」という判決を下すとは。
 日本の裁判所というのは、完全に狂っているようだ。彼らの仕事は、悪を処罰することではなく、悪に「善」のレッテルを貼って、悪をのさばらせることだ。

 [ 付記 ]
 一審では「名誉棄損」の判決が出たのだから、事実性については、この記事は全面的に嘘記事であることは認定済みである。真実か嘘かは、この裁判では論点とはならなかったようだ。


● ニュースと感想  (7月16日c)

 「懲役刑とコスト」について。
 98円の消しゴムを万引きした70歳の老婆に、懲役2年という判決が下った。
  → 朝日新聞 2009-07-15
 これは「重いな」と思う人が多いだろうが、重いか軽いかは別として、懲役刑のコストを考えよう。2年間の懲役に処すると、そのコストはかなり膨大になる。
  ・ 建物と土地のコスト
  ・ 職員のコスト
  ・ 懲役(教育ふう)のコスト
  ・ 食費・光熱費という生活費コスト
 ざっと見て、2年間で 500万円ぐらいはかかるだろう。98円の万引き犯を処罰するために、500万円もの金をかける。馬鹿馬鹿しいと言ったら、ありゃしない。  (^^);
 これくらいだったら、微罪として放置した方が、世の中にとってはよほど有益だろう。同類の犯罪者が多数出るとしても、98円ぐらいの犯罪者なら、どうってことはないはずだ。
 ちなみに、高速道路の週末無料化や定額化では、その人に数千円〜数万円もの金をプレゼントすることになる。排ガスを撒き散らして多大な無駄をする人に、これだけのプレゼント。
 また、大型のレクサスハイブリッドという、ガソリンを浪費する(燃費の悪い)車を買った人には、100万円ぐらいの減税という形でプレゼントする。
 また、太陽光発電という「電力の変動する、社会に有害な発電」をする人には、 100万円 〜200万円ぐらいのプレゼントをする。
 これらの連中は、相当に莫大な金を国庫から奪い取るが、罰されるどころか褒められる。その一方で、たったの98円を奪った人は、2年間の懲役となる。(ただしその時点で、500万円もの懲役コストをかけてもらう。  (^^); )
 
 裁判所は、もうちょっと、経済観念を備えてほしいものだ。微罪の連中を罰するために 500万円もの懲役コストをかけるなんて、経済観念が欠落しすぎている。
 ちなみに、食品偽装をした経営者は、社会全体に数億〜数十億円もの損害をもたらした。(賞味期限切れの肉とか、汚い屑米とか。)……で、こういう連中には、やはり、懲役1〜2年になるぐらいだ。
 また、独禁法違反の場合は、さらに軽い。社会全体に数十億円の損害をもたらしても、たいていは執行猶予である。げっ。
 また、キリン・サントリーみたいなのは、独禁法違反が明白でも、「すばらしい経営方針」と賛美されることすらある。

 今の世の中、法律馬鹿が多すぎる。法の判断を下すときに、倫理や法文ばかりを見ていて、経済観念が欠落している。そのせいで、98円の損害を罰するために 500万円のコストをかけるとか、10億円の富を社会から奪っても執行猶予で実質無罪とか、そういう滅茶苦茶なことになる。
 こういう法律馬鹿ばかりの状態を、何とかならないものですかねえ。陪審制ないし裁判員制度で、何とかなればいいのだが、どちらかと言うと、法律そのものを変えた方がいいかも。……つまり、経済犯罪がきわめてあまいしょぶんになっている、という現在の法律制度を何とかしてほしいものだ。
 自民党が退出すれば、何とかなるか? それとも経団連は、民主党を買収するか?  (^^); あ、そういや、鳩山さんはすでに買収されたみたいですね。企業からもらった金を、幽霊からもらったと嘘をついて。
 こういう嘘つきは……懲役になってもいいのだが、今の制度では、罰されないんでしょうね。98円の消しゴムを盗んでいないから。  (^^);


● ニュースと感想  (7月19日)

 「セブン・イレブンの値引き容認」について。
 セブン・イレブンが「値引き禁止」の方針を改めて、「値引き容認」に転じたという。
 《 セブン・イレブン、弁当値引きを容認 》
 セブン―イレブン・ジャパンが公正取引委員会の排除措置命令を受け入れ、売れ残った弁当などを加盟店が値引きする「見切り販売」を認める方針を決めたことが17日分かった。
 加盟店は今後、仕入れ値を下回らない限り、販売期限間近の弁当などの値引き販売が事実上、自由にできるようになる見通しだ。
 販売容認に当たり、具体的な販売ルールの素案を公取委に提出した。極端な安売りにならないよう「仕入れ値を下回らない範囲」で行うとの内容を盛り込んだ。仕入れ値を下回れば店舗の粗利が減り、本部が経営指導の対価として受け取るロイヤルティーにも響いて双方の経営を圧迫するためだ。
( → 読売新聞 2009-07-18
 ここで注目すべき点は、三つある。

 (1) 嘘つき
 第1に、「値引き禁止なんかしていない」というセブン・イレブンのこれまでの主張は、実は嘘だった、ということだ。セブン・イレブンは「嘘をつきました」と詫びるべきだ。また、マスコミは「セブン・イレブンは嘘をついた」と報道するべきだ。(過去の記事を忘れてしまったのか?)
 
 (2) 独禁法違反
 「仕入れ値を下回らない範囲」というのは、いまだに不当である。ま、現実には、半額以下にまで下げるくらいなら捨てた方がマシだ、という傾向はあるだろう。それはやむを得ない。しかし、それはあくまで、店の判断であるべきだ。本部側が「反駁以下まで下げるのはいけない」と禁止するのは、いまだに独禁法に反する。公取委は、このような独禁法違反を認めてはならない。(公取委が試されている。)
 特に、次の嘘を信じてはならない。
 「仕入れ値を下回れば店舗の粗利が減り、本部が経営指導の対価として受け取るロイヤルティーにも響いて双方の経営を圧迫するためだ。」
 これは嘘だ。たとえば、7割引で売れば、3割の回収ができるから、丸損にならないだけマシだ。店はそう判断できる。しかし、本部は違う。7割引のかわりに廃棄すれば、「廃棄分のコストは店の負担」だから、本部は損失の負担を免れる。……つまり、「廃棄すると得」なのは、本部だけであり、店は丸損だ。そういうふうに片務的な契約になっている。
 だから、こういう契約を改める必要がある。次のように。
  ・ 7割引でも廃棄でも、全額、店の負担。価格決定は店の権利。
  ・ 7割引でも廃棄でも、全額、本部の負担。価格決定は本部の権利。
 このどちらでもいい。しかし現実には、そうなっていない。
 「仕入れ値以下の販売は禁止、というふうに本部の価格決定。しかしながら、廃棄分は、全額、店の負担」
 こんな片務的な契約がある。こういうのは、独禁法違反だ。つまり、今回の方針もまた、独禁法違反である。公取委はその旨を裁断するべきだ。

 (3) 罰
 独禁法違反なんてことをやらかしたセブン・イレブンに対しては、巨額の罰金を課するのが、当然だろう。何しろ、店からは巨額の利益を吸い上げ、また、消費者には高販売を強いて、本部ばかりがボロ儲けしたからだ。それも、独禁法違反という犯罪によって。
 これは、公取委が前に指摘したあとでは、犯罪性を明白に知らされているのに、ずっと平気で犯罪を続けた。あまりにも悪質だ。犯意でも、店舗に対しても、消費者に対しても。……数億円では留まらず、数十億か十百億円もの不当利益を得たことになる。(その分、社会は損をした。盗まれたも同然。)
 ところが、現実には、この犯罪は罰されない。独禁法が骨抜きになったせいだが、とんでもないことだ。
 ひるがえって、前項の話を読んでほしい。
 「98円の消しゴムを万引きした70歳の老婆に、懲役2年という判決が下った」
 という話。
 まったく、あいた口がふさがらない。   (^^);
 これ以上、書くのも馬鹿馬鹿しくなる。うんざり。ひどい国だ。

 [ 付記 ]
 総選挙で、どうなる? 民主党もまた、自動車産業に買収されてしまっている。私が思うに、鳩山の「故人からの献金」は、自動車産業だろう。幽霊の正体見たり、自動車産業。
 で、たっぷりと献金してもらったから、高速道路無料化という方針を掲げた。それを間接的に政府に実行させた。(政府の高速道路定額化という方針は、民主党の物まね。)
 自動車産業は、自民党にも献金しているから、それでもって、「グリーン税制」という形で、数十万円もの減税をふんだくったわけだ。
 自民党も民主党も、企業に買収されてしまっている。なるほど、共産党が吠えるわけだ。

( ※ 民主党と自動車産業の関係は、古くは民社党時代に遡る。自動車産業というのは抜け目がなくて、昔から自民党一本槍でなく、与党と野党の中間に位置していた。両方に金をばらまいて、与党と野党の双方を買収する。……金がありあまると、そういうことが可能になる。たいていの企業は、自民党の個人議員に献金するが、自動車産業は、ありあまる金で、与野党全体を買収してきたのだ。これが歴史。結果的に、課税する税金はどんどん減税され、道路には莫大な財源が投入されてきた。最近では、エコという名目で、補助金までもらえる始末だ。この世で最もエコに反する殺人凶器が、この世で最も優遇される。)
( ※ 私としては、「自動車を廃止せよ」とは言わないが、「自分たちの使う車道の建設費ぐらい、自動車利用者だけで負担せよ」と言いたいですね。車道の建設費を国庫で負担して、生活保護者や病人や子供の生存権を脅かすなんて、とんでもないことだ、と思う。それは一種の泥棒だ。例。子供のアメ玉に課税して、高速道路の財源にする。)
( ※ 自動車産業の悪質さに比べると、セブン・イレブンの悪質さなんて、たかが知れているな。小悪人は消しゴムを万引きする。中悪人は独禁法違反をする。大悪人は政府を買収して、政府の金をごっそりかすめ取る。)


● ニュースと感想  (7月19日b)

 「外国人労働者と奴隷制」について。
 朝日がまた外国人労働者の話をしている。( 夕刊 2009-07-18 )
 ああだこうだと述べているが、話の方向が狂っている。というのは、一番肝心の点が抜けているからだ。それは、
 「外国人労働者とは、しょせんは奴隷にすぎない」
 ということだ。
 この点を基本に据えた上で、論じよう。まずは、記事の引用。
《 中国人研修生の成功確率は3割 》
 農業や製造業などさまざまな現場で、外国人研修・技能実習生の「労働力」は欠かせなくなっている。
 だが、最低賃金が守られなかったり、違法な残業を求められたりなど問題もあり、夢を実現して帰国する人は多くはないといわれる。
 人手不足が深刻な農家にとって、研修・実習生は欠かせない。
 実は報酬には問題がある。「お手伝い」とは残業のことだ。
 今回参加した農家の「お手伝い」は時給300円。月2万円稼ぐにも、70時間近く残業しなくてはならない。
 必ず出た質問は「待遇は知っているか」。ある女性が「基本は月6万円。残業もあると聞いています」と答えると、すかさず農家の男性が「研修生は『残業』と言ってはだめ。『お手伝い』と言ってください」。
 成功例はそう多くはない。大連市の送り出し機関によると、来日前より生活レベルを上げることができるのは、3割程度にすぎないという。
( → 朝日・夕刊 2009-07-18
 日本にして良くなったのは、3割にすぎない。とすれば、こんなことにはメリットはない、と言える。(外国人にとっては。)
 ただし、低賃金で雇える日本企業にとっては、メリットはある。そして、そのことを記事は強調する。次のように。
 「農業や製造業などさまざまな現場で、外国人研修・技能実習生の「労働力」は欠かせなくなっている。」
 「人手不足が深刻な農家にとって、研修・実習生は欠かせない。」
 しかし、雇う側だけにメリットがあり、雇われる側にメリットがないのでは、それは制度としては成功していない。そして、その本質を示すのは、次のことだ。
 「外国人労働者とは、しょせんは奴隷にすぎない」
 奴隷と言えば、次のような例がある。
  ・ 古代ローマ帝国の奴隷 (元は外国人。征服されて、ローマ人の奴隷に。)
  ・ 米国の黒人奴隷や、英国囚人奴隷。
 これらの場合も、朝日の主張は成立する。単語を「奴隷」に置き換えれば、次のように言えるからだ。
 「農業や製造業などさまざまな現場で、奴隷の「労働力」は欠かせなくなっている。」
 「人手不足が深刻な農家にとって、奴隷は欠かせない。」
 では、このような理由を持って、奴隷は正当化されるか? もちろん、正当化されない。にもかかわらず、これと同じ理由を持って、外国人労働者(という奴隷)を正当化しようとするのが、朝日だ。
 連中は、人道主義の皮をかぶって、奴隷を正当化しようとしているのだ。(たぶん「国際化」という妄想を信じているせいで。)

 なお、外国人労働者を推進する連中は、「研修生・実習生」という名目で、低賃金化(つまり奴隷化)を正当化しようとする。しかし、このようなことは、インチキである。詐欺とも言える。
 なぜか? 「研修生・実習生」というのが事実であるならば、外国人の側が金を払うべきだ。彼らは、技術研修の学生として、就学ビザで来日するべきだ。そして、彼等は自分で学校に金を払う。(勤務先から給料をもらうのではない。)
 一方、学校を卒業したら、社会人として、日本企業で短期的に就職してもいいだろう。しかしその場合は、最低賃金制度を守る必要がある。記事のように、月6万円とか時給 300円なんて、とんでもない。
 要するに、「研修生・実習生」というのは、低賃金下をカモフラージュするための名目にすぎないのだ。一種のペテンである。そして、そのペテンによって何を隠しているかというと、奴隷制という実態だ。── そして、その実態においては、外国人労働者を虐待することによって、一部の劣悪な企業が存続することになる。もともとはつぶれてしまうような劣悪な企業が、労働者を奴隷して搾取することで、あえて存続できるようになる。
 そして、こういうインチキにまんまとだまされて、「外国人労働者の雇用は国際化に合致するから素晴らしい」というふうに踊らされるのが、朝日である。詐欺師にだまされて、踊り狂う阿呆。……こういう阿呆がいるから、詐欺師がどんどんのさばるようになる。
( ※ なお、このような悪質さは、本日別項のセブン・イレブンと同様だ。そこでも、コンビニの店オーナー・店長が奴隷化される。)
( ※ ついでに言えば、朝日のコンビニ報道は、どうだったか? 「コンビニは各店を虐待して、独禁法違反をする、悪徳企業である」とは報じず、「コンビニ本部は、スーパーやデパートよりも高収益で、不況に強いから、素晴らしい」とさんざん持ち上げてきた。実は、その本質は、「奴隷から搾取する泥棒企業は利益率が高い。まともな商売よりも泥棒の方が不況に強い」ということなのだが、そういうふうには語らず、「コンビニ本部は素晴らしい」とさんざん持ち上げてきた。……朝日ってのは、そういう体質なのである。泥棒にだまされて、泥棒を賛美するばかり。)







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