[付録] ニュースと感想 (77)

[ 2004.11.09 〜 2004.11.16 ]   

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● ニュースと感想  (11月09日)

 「不良債権処理のウソ記事」について。
 また例によって、小林慶一郎が嘘八百の記事を書いた。困りますねえ。(朝日・朝刊・オピニオン面 2004-11-07 )
 何度も繰り返すが、この人の基本的態度として、「報道記事と主張とを、区別していない」という点がある。事実は事実、意見は意見。その両者を区別しなくてはいけない。なのに、自己の主張を、事実のごとく書く。節度がない。最後の結論は「〜が必要とされている」だ。ふざけた書き方をしないでほしい。「〜が必要だと私は思う」と書くべきだ。あるいは、主張であることを明示した上で、「必要である」と断定するべきだ。一方、「必要とされている」なんていう、自然現象みたいな書き方は、無責任すぎる。やめてほしい。しかも、である。この言明されたこと自体は、まったく妥当でない。つまり、「必要である」と思っているのは、小林たちの一派だけであって、客観的には「必要である」ということはないのだ。
( ※ たとえて言おう。自分の意見であると明示した上で、「テポドン対策のために、ミサイル防衛網が必要である」と書くのならいい。しかし、読者向けの解説と称して、「テポドン対策のために、ミサイル防衛網が必要とされている」と書くのは、卑怯だ。)
 どうも、解説するというより、洗脳を狙っているようだ。ま、毎度毎度、朝日のやり口だが。
 以下、個別。

 (1) 再建策
 再建の策として、次の二つを掲げている。
  ・ 銀行の莫大な債権放棄
  ・ 事業を抜本的に再編して収益性を高めること。
 小林はこれらを「どんな再建策でも必須」としているが、ちっとも必須ではない。それどころか、間違った再建策だ。
 第1に、債権放棄よりは、「債務の株式化」の方が好ましい。(その前に減資。)
 第2に、抜本的再編などは不要だし、収益性を高めることも不要だ。腐った部分を捨てても、何かが良くなるわけではない。たとえば、不採算事業を不良債権処理して、百億円の赤字を計上すれば、今後、だらだらと五億円ずつ赤字を出すことはなくなるが、一挙に百億円の赤字が出る。それだけだ。それよりは、だらだらと五億円ずつ赤字を出すのをやめるように体質改善した方がいい。つまり、体質改善(腐ったものを健全にすること)こそ大切であり、抜本的再建(腐ったものを捨てること)は不要である。また、収益性を高めるというのは、まったく必要ない。企業にとって必要なのは、黒字を出すことだけであり、黒字の率を大きくすることではない。たとえば、かつてダイエーは、薄利多売の方針で、収益性を下げることで、巨大なスーパーに成長した。で、収益性が下がって、損をしたか? いや、得をした。率は低かったが、額は巨額であったからだ。当時のダイエーは、どんどん投資をすることで、おのれを拡大していった。一般に、投資をすると、収益性は下がる。しかし、それは、別に悪いことではない。小林の理屈は、アメリカの経営講座の悪い受け売りである。(つまり「自分の頭で考える」という能力がないわけ。)

 (2) 歴史的意義
 「04年は、(金融不安を消す)不良債権処理が峠を越した、画期的な年として後世に記憶されるかもしれない」と述べている。これは、半分正しく、半分間違い。形容する修飾語が違っている。正しくは? こうだ。
 「04年は、(金融不安を消す)不良債権処理が峠を越しても、しょせんは景気回復は起こらなかった、ということが判明して、不良債権処理論者の主張が根本的に狂っていると暴露された、画期的な年として後世に記憶されるかもしれない」
 つまり、小林の意見が間違っていると暴露された、と判明した年。その逆ではない。

 (3) 収益性向上という課題
 収益性の向上を、今後の課題としている。銀行も、企業も。
 銀行の収益性が向上していることを、「日銀の量的緩和のせい」としているが、それは半面的だ。もう半面は、「企業向けの利率をあまり下げない」ことである。ゼロで仕入れて、高値で売る。これが理由。ゼロの仕入れだけが理由ではない。
 そして、高値で売る(高利で貸す)としたら、その分、企業が利益を奪われていることになる。それが「収益性の向上」だ。これは、「銀行が得、企業が損」であるから、良くも悪くもない。当然、こういうことを推進しても、何の意味もない。どちらかと言えば、実体経済をになう企業が損をして、成長力が奪われるから、悪い。──小林は、ここを勘違いしている。仮に、小林の主張が正しければ、銀行はものすごい高利を取ればいいのだ。そうすれば、銀行の収益性は劇的に改善する。そのかわり、企業は、利益を銀行に吸い取られるので、どんどん衰弱していく。……実は、それが、現状だ。かくて、銀行の不良債権処理はどんどん進んでいく。企業の弱体化を犠牲にして。
 こういう「日本経済破壊計画」こそ、小林などの「不良債権処理論者」の処方だ。

 (4) 財政健全化
 財政健全化を大幅にすると景気に悪いので、財政健全化に向けて一歩ずつ進むしかないだろう、と述べている。
 これも完全な間違い。財政健全化は、少しずつやるべきではなく、全然やってはならなのだ。
 今は財政再建をやめておく。つまり、病み上がり状態では、しっかりと病気解決と体力回復を図る。その後、健康になってから、たくさん働いてすばやく返済する。……これがベストだ。(この件は、何度も述べたとおり。)

 結語。
 朝日の経済記事は、ウソばっかり。洗脳されないように、注意しましょう。朝日新聞というのは、真実を書く新聞ではなくて、嘘八百だけを書く新聞である。……いや、間違えた。ただのウソではなくて、真実とは正反対のデマばかりを書く新聞である。「天使ではない」というより、「悪魔である」というべし。
 これはただの悪口ではない。朝日に書かれた処方に従えば、日本経済はまさしく破壊されてしまう。
(ついでに言えば、小林と朝日論説室はつるんでいるから、同趣旨のことを書く。一致して、社の方針となっている。)

 なお、ダイエー再建の説明は、前に詳しく述べた。( → 10月15日


● ニュースと感想  (11月09日b)

 「産業再生機構の成功例」について。
 産業再生機構の成功例、という記事が出ていた。地方のバス会社の話。── マッキンゼー(経営コンサルタント会社)の若手女性社員が、企業再建業務をやりたくて、産業再生機構に転身した。すると、地方のバス会社の再生に見事に成功して、地方産業の活性化に役立っている、という話。「これぞ産業再生機構の素晴らしい事例」という調子だ。(朝日・週末版・be 青色版 2004-10-30 )
 さて。私は先にダイエーの件で、産業再生機構を批判した。「産業再生機構には、経営能力・再建能力はない」と。( → 10月15日 )しかし、記事の成功例は、私の意見と食い違うように見える。では、どうなのか? 

 答を述べよう。肝心なのは、企業の規模の差だ。
 今回の成功例は、規模が非常に小さい。地方の田舎の小さなバス会社だ。当然、経営なんてものは、知らない人が多い。知能のレベルからいっても、東大出の経営者がいっぱいいる、なんてことがあるはずがない。そんなところへ、米国で経営を学んだエリートが乗り込めば、はきだめの鶴みたいなものである。知能指数が、全然違うし、経営の勉強の経歴も、全然違う。成功するのは当然だ。
 要するに、産業再生機構が立派だったわけではなくて、相手が低レベルすぎた。プロ野球の選手が、引退して、小学生のチームに入るようなものである。傑出していて当然だ。もちろん、成功する。
 では、ど田舎のバス会社で成功したからといって、ダイエー再建にも成功するか? 産業再生機構は、「イエス」と思いたがるだろうが、そんなはずがないのだ。世の中、そんなに甘くない。ダイエーという巨大会社のライバルは、イオンやヨーカドーだ。ちょっと頭のいいおねえちゃん一人で、まともに対抗できるはずがない。

 ついでに言っておこう。記事では「マッキンゼーはすごい」なんて調子のことを書いているが、マッキンゼーというのは、評判がすごく悪い。なるほど、既存の駄目会社の問題点をうまく探すのは、上手だ。そのためのマニュアルが完備しているせいだろう。経験も豊富であるせいだろう。しかし、駄目な企業を再建するのは、ちっともうまく行かない。なぜか? 駄目な企業を再建するためのマニュアルなんかは、ないからだ。
 どの企業も、それぞれの分野で生き残るには、それぞれの分野で傑出した能力をもつことが必要だ。バス会社なら、バスの運行ぐらいで済むが、たいていの工業系の会社では、その製品の独自の性質を理解した上で、独自の方針を取る必要がある。
 たとえば、日産自動車の再建とカネボウの再建とは、まったく異なる方法が必要だ。日産の場合、ゴーン社長が自動車をよく知っているから、再建に成功した。たとえゴーン社長でも、カネボウ再建やダイエー再建を任されたら、たぶん失敗するだろう。デザインブライド会社の再建なんかを任されたら、きっと大失敗するだろう。……要するに、専門知識が必要なのだ。
 ところが、マッキンゼーの方針は、そうではない。「頭のいい人間が経営のマニュアルに従って経営する」というだけだ。だから、マッキンゼーを受け入れた会社では、「マッキンゼーというのは、学生のゼミみたいなことばっかり言っていて、机上の空論ばかりだ。現場のことを何もわかっていない。役立たず」と、悪評さんざんだ。で、マッキンゼーを追い出して、専門知識のある人間を雇うと、やっと再建に成功する。

 結語。
 産業再生機構は、マッキンゼーと同じだ。ど田舎のバス会社の再建ぐらいしかできない。そこのところを誤解してはならない。
( ※ 自惚れ屋がそろっているところでも、この両者はそっくりだ。だから、ダイエー再建のときには、産業再生機構はあんなにも強硬だったわけだ。日本人離れした強硬さ。米国仕込み。……もちろん、破壊力も、米国仕込みだ。)
( ※ とにかく、朝日の記事は、いい加減で、底が浅い。だまされないように、注意しよう。特に、be 青色版は、企業などのトップ経営者を称賛する、提灯記事のオンパレードだ。問題点を指摘するかわりに、問題点を隠蔽する。大政翼賛会のようなものだ。危険きわまりない。……だから、悪名高いMSのソフトについても、「安全です」というような嘘をさんざん記事にする。そもそも題名の be は、「あっかんべー」という意味だ。あるいは、 betrayer's economics だ。……たぶんね。)


● ニュースと感想  (11月10日)

 「ブッシュ当選」について。
 まったく、いやになっちゃいますね。あの猿顔を、また4年間も見なくちゃならないとすると。(私がそう思うだけでなく、あとで見たら、09日の朝日朝刊にも、同趣旨の感想コラムがあった。気持ち悪くて、二日酔いの気分だって。ふむふむ。また、「ブッシュ再選は、進化論を否定する連中の努力のおかげらしい」とあちこちに書いてある。非科学的・非合理的な、頭の固い保守的思考の結果。)

 いやになりますね。民主主義というのは、最低の制度かも。議院内閣制なら、大学でも落第ばかりしてて、その後はアル中になったブッシュなんかが、当選するはずはないだが。……うんざり。

 ところで、猿って、どんなふうに叫ぶんでしたっけ? 「キェー」かな? 「クェー」かな? 「もえー」かな?
 秋ですねえ。空は澄んで、馬は肥ゆる……

 そこで思い出した。杜甫の「登高」だ。気持ちのいい話なので、お口直しに掲げる。

   風急天高猿嘯哀   風急にして天高く 猿嘯(うそぶ)くこと哀し
   渚清沙白鳥飛廻   (なぎさ)清く 沙(すな)白く 鳥飛び廻る

 この詩はなぜ素晴らしいのか? 作者の心象の象徴となっているからだ。あの猿はわが身であり、また、あの鳥もわが身である。地上で悲哀の声を上げ、孤高にして空を飛ぶ。あの鳥は清らかな自然のなかでいかに美しい姿で飛翔していようとも、その心には隔絶された孤独がひそむ。……猿の悲しみは、ただの人生の悲しみではない。むしろ、世界が開かれたことの驚きと悲しみだ。
 はるかな古代の詩人の心が、言葉の壁を越えて、われわれに伝わる。


● ニュースと感想  (11月10日b)

 「若者とネット時代」について。
 今の若者について、「『萌え〜』なんて言っているのは、PCだけでなく、頭もウィルスに感染したから」なんて冗談を書いたこともあった。( → 10月31日
 こんなふうに若者を批判すると、年寄り臭くてカッコ悪い。むしろ、「旧体制に属する年寄りを批判するから、若者はすばらしい」と誉める方が、カッコいい。
 が、そうしたくでも、できないようだ。「旧体制に属する年寄りを批判する」なんてのをやったのは、団塊の世代ぐらいだ。つまり、今の定年に近い年寄りたち。この世代は、ゲバ棒をもったりして、批判されたこともあったが、パワーはすごかった。しかるに、その後の世代は、優等生になって、おとなしくなった。ま、ここまではいい。
 その後が問題だ。パワーがなくなった、……というよりは、テレビゲームに熱中するようになった。ファミコン世代。そのあとがPS世代。その後が、ネット世代・ケータイ世代。だんだんひどくなってくるようですね。
 これがまあ、学力低下だけなら、まだいいのだが、どうも、気力までなくなってきているようだ。最近、登山をするのは、中高年ばかりだという。登山というのは、精神力が問題であるから、これをやる若者が激減したというのは、やはり、若者世代が、精神的に虚弱になってきていることを意味するようだ。
 なんとかならないんですかね。私としては、若者世代を批判するより、若者世代に期待したいのだが、現状だと、悪化するばかり。……対策としては、百獣の王がわが子を谷底に突き落とすようなことしかないかな。とはいえ、これは、「巨人の星」にある、たとえ話。こういうのを受け入れられるのは、団塊の世代とその前後ぐらいだ。今は無理みたい。
 今はまあ、「たやすくエッチ」というのが、時代の風潮かな。それも、本物の蟻地獄ならともかく、バーチャルな蟻地獄だと、気持ちいいまま、抜け出せないかもね。これで骨抜きになるとしたら、まあ、打つ手はないのかも。救いようがない。かくて、「萌え〜」なんて声ばかり発する。


● ニュースと感想  (11月10日c)

 「紙幣の額面」について。
 先日の紙幣の話の続き。
 よく考えると、1万円札がちょっと多すぎると思うので、「2万円札の発行」というのを提案したい。ただし、単純な発行ではなくて、「1万円札の廃止と、2万円札の発行」だ。
 単純な追加だと、紙幣の種類が多すぎて、面倒だ。どちらかにしたい。どちらにするか? 1万円札なら、現状のまま。ただし、今や高額の買物も多いから、ちょっと不便だ。たとえば、20万円のパソコンを買うとき、1万円札を20枚。それよりは、2万円札10枚の方が便利だ。
 一方、日常の1万円クラスの買物には? たとえば、ホテルの支払い。こういう場合には、5千円札を使えばよい。
 実を言うと、「2万円札発行」の真の狙いは、「5千円札の流通を増やすこと」である。2万円札だと日常の使い勝手が悪いので、5千円札が増える。そうなると、やたらと1万円札だらけの現状が改善される。……これが狙い。
 この方が便利だと思うんですけど。どうでしょう? ちょっと考えてみてね。

  【 追記 】
  2万円札が増えると、どうして5千円札が増えるのか?
  理由がある。それは、こうだ。
 2万円札を受け取った店が、お釣りを払うとき、千円札だと19枚。これではミスを起こしやすい。まずい。というわけで、五千円札を使いたがる。2万円札が1回使われるたびに、世間に5千円札が3枚出回る。というわけで、世間における5千円札の流通量が増える。この分は、消費者がATMから引き出すわけではなくて、店がお釣り用に銀行から引き出す。ある程度世間に出回ったところで、客から受け取る五千円札と、客に渡す五千円札とが、ほぼ均衡する。こうして、かなり高い流通量で安定する。
 1万円札の場合は、こうは行かない。お釣りを払うとき、千円札だと9枚。これならミスを起こすというほどでもない。だったら、ババみたいに嫌われている千円札を、さっさとお客に引き渡した方がいい。そうすれば、レジにある千円札が9枚も一挙に消える。残るのは1万円札だけ。それをときどき回収すればよい。実際、現状はそうなている。……要するに、店はお客を、一種の両替機のように使っている。たまった千円札を、お客を利用して、1万円札に両替するわけだ。店はとても便利だ。そのかわり、お客は千円札をやたらと受け取る。5千円札を受け取りたくても、店が嫌がる。「千円札なんて、かさばるから、いやだよ。ババは引き受けたくない」と。
 2万円札なら、こうは行かない。千円札を19枚も客に渡そうとすると、客が怒る。「ふざけるなよ。こんなにごちゃごちゃ寄越して。財布に収まらないじゃないか。こんな店では、もう二度と買うものか」と怒る。そのあとで、帰宅してから、文句を言う。「19枚あるはずだったが、18枚しかないぞ。1枚足りないから、返せ」と。トラブル続出。これは困る。だから、店は必然的に、5千円札をたくさん用意しておく。……別に、それで、困ることはない。客の方でも5千円札を多く使うようになれば、レジにも5千円札がたくさん溜まる。それもときどき、2万円札に交換される。別に、千円札ばかりが溜まるわけじゃない。だから、困らない。
 結局、1万円札でなく2万円札になれば、ごくごく当り前の状況となる。なぜか? 
  千円:5千円:2万円=1:5:20
    …… これなら、間隔はほぼ等分。(5:20=1:4)
  千円:5千円:1万円=1:5:10
    …… これなら、間隔は片寄る。 (5:10=1:2)
 後者の場合、千円札は増え、5千円札は減る。いびつな現状は、いびつな比率から生じる。


● ニュースと感想  (11月11日)

 「科学技術と予算配分」について。
 科学技術には、どう予算配分をするべきか? 先端技術で他国に後れを取らず、かつ、すぐには効果の出ない基礎的分野も疎かにしたくない。そのためには、どうするべきか? 
 これについて問題提起した社説があった。(読売・朝刊・社説 2004-11-06 )
 問題提起は、それはそれで好ましいが、うまい回答が出ていないようだ。そこで、私なりに、うまい回答を示そう。
 方針は、次の二つだ。
  ・ 基礎的分野は、広く薄く。
  ・ 応用分野は、重点的に。
 具体的に示そう。

  (1) 基礎的分野
 量子力学の理論研究とか、生物現象の基礎研究とか、そういう分野では、「広く薄く」だ。基礎的分野では、他人の研究はうまく評価できない。勝手に思い込みで評価すれば、画期的な発見は「駄目」を押されて、目が出なくなる。これはまずい。で、どうせ費用は少額なのだから、「広く薄く」で配分すればよい。年間予算が千万円ぐらいまでなら、制限なくばらまいていいだろう。そのうち95%が無駄になるとしても、ごく稀に画期的な発見が出れば、それでよい。

  (2) 応用分野
 応用分野は、評価が定まっているはずだ。「もうすぐ実用化されて、しかも、ぐずぐずしていると後れを取って、他国に成果を奪われる」という分野では、巨額の資金を重点的に投入するべきだ。例を挙げると、少し前のDNA研究。今日では、いわゆるハイテク分野。有機ELや、ナノテクなど。一般的に、「先端技術」と呼ばれる分野だ。あるいは、その少し前の、「もうちょっとで実用化できる」という分野。

 以上は、当り前に思えるだろう。ところが、現実には、そうなっていない。実例が、「核融合」だ。「今後50年間は、実用化はまず無理」と見なされているのに、信じられないほど巨額の金をつぎこもうとする。で、そのせいで、基礎的分野では、必要な金がもぎとられる。
 「いや、けっこう金は配分されているぞ」という声もあるが、それは、物資だけだろう。人間について見ると、理系の研究者の雇用条件は、ひどいものである。エリートとしての待遇ではなくて、教授の奴隷としての待遇でしかない。
 ここで、クイズ。奴隷に金を与えれば、奴隷は画期的な研究成果を出せるか? もし「できる」と思うのであれば、監獄にいる囚人に、莫大な金を与えて、研究させるといいだろう。
 これ、冗談? いや、現実です。ちょっと隠喩ですけどね。
( ※ わかりにくい? つまり、研究者は奴隷か囚人みたいなものだ、ということ。……ちなみに、あなたに娘さんがいるなら、理系の研究者だけは、婿にしない方がよい。奴隷か囚人と結婚すると、娘さんは泣かされます。)

  【 追記 】
 では、婿にするなら、どういうのがいいか? 実は、最高なのもまた、理系の研究者である。ただし、国内勤務なく、アメリカ勤務が条件。
 私の友人がアメリカの研究所で働いていた。話に聞くと、日本に比べて、まるで天国である。── 職住近接で、自然が豊かで、家賃は安くて、土地も建物も広い。短時間労働で、残業なんかなくて、仕事が終わったら家族と楽しく夕食を取る。ときどき休暇をたっぷり取って、米国各地を旅行しまくる。それでいて、給料はすごくたっぷり。
( ※ ただし日本に戻ったら、奴隷みたいな生活に戻ってしまった。ふりだし。囚人には、住み慣れた監獄が住みやすいのかも。  (^^); )
( ※ なお、肩書きで言うと、アメリカでは平の研究員で、日本ではボス。勤務先はどちらも、国立の研究所。……つまりは、研究者環境の差。日本という国にとって、理系の研究者というのは、ただの使い捨ての労働力にすぎないのだ。ゴミ扱いですね。)


● ニュースと感想  (11月11日b)

 「ファイル交換ソフト」について。
 ファイル交換ソフト( Winny が有名)の利用者である個人に、米国の映画協会が、著作権法に基づいて、損害賠償の訴訟を起こすという。300万円〜1600万円。(朝日・朝刊・経済面 2004-11-06 )
 まことに結構なことだ。仮に、これで「無罪」なんていう判決が出たら、とんでもないことになる。たとえば、あなたのパソコンにあるデータを勝手にウィルスで盗み出したあと、それをネットで公開されても、文句を言えなくなる。「情報泥棒」のやり放題となる。
 例。あなたのパソコンから、ウィルスで情報を盗む。中身はわからないまま、全部盗む。それを誰かが勝手に公開する。「××氏のパソコン情報」という形式で、数十万人の個人データが公開される。あとは、本物の泥棒さんが、パスワードを勝手に探す。あなたのパスワードも盗まれる。クレジットカード番号も盗まれる。ネット・バンキングを利用しているなら、そのパスワードも盗まれる。泥棒のやり放題。
 頭に来て、「僕の情報を勝手に公開しないでくれ」と文句を言うと、相手は威張る。「他人の情報を勝手に公開することは、先に裁判所で『無罪』と判決が出たんだよ。文句を言われる筋合いはないね。あんたが泥棒をされた? それは、泥棒が勝手にやっただけだ。泥棒に文句を言ってくれ。おれは何も悪いことはやっていませんよ。悪いのは泥棒だよ」

 教訓。
 他人に権利のあるものを、勝手に泥棒・公開して喜んでいると、自分に権利のあるものを、勝手に泥棒・公開されても文句を言えない。

  【 追記 】
 念のために注釈しておくと、本項は「無罪」の当否を論じるような、厳密な法律論議ではありません。じゃ、何が言いたいか? ただのイヤミだけ。
 本項を読んで、「じゃ、泥棒のやり放題になるのだな」なんて思ってはいけません。


● ニュースと感想  (11月11日c)

 「バグのメリット」について。
 コンピュータにバグがあると困る、と思っている人も多いようだが、必ずしもそうではない。コンピュータにバグがあることで、非常に大きなメリットを受ける人もいる。
 先日、「米国の電子投票システムはバグだらけ」という報道がなされた。( → がんばれゲイツくん から孫引き)
 でもって実際に、ブッシュに有利になるように、異常なデータが出た(不正操作された?)という。( → 毎日新聞
 
 出口調査ではケリーが有利なのに、電子投票システムでは「ブッシュの圧勝」となるという。ふむふむ。……となると、今回の選挙では、ブッシュがケリーに大差を付けたというが、眉唾であるようだ。
 コンピュータにバグを故意に設定することで、大統領選さえも左右できる、ということらしい。もしかしたらブッシュは「バグによって誕生した大統領」なのかも。
( ※ バグというのは皮肉ですけどね。故意のバグというのは、どう語るべきか。……SFふうだ。近未来の悪夢はすでに実現している。)


● ニュースと感想  (11月12日)

 「WindowsXP SP2」について。
 SP2 が出て、2カ月ほどたった。「被害状況もわかったし、トラブル対策の方法もわかったようだから、もうそろそろ、SP2を入れようかな」と思っている人もいるだろう。さて、どうか。
 ま、それは、人それぞれだから、私としては「絶対に駄目」とは言わない。ただし、メリットとデメリットを、よく考えるべきだろう。
 まず、デメリットは、あまり変わっていない。バイオスの問題で起動しなくなる、というのは、最新型のCPUの場合だけだ。このような少数派の環境では、トラブルは減った(トラブルが消えたのではなくてトラブル対策が進んだ)ようだ。ただし、それ以外の大多数のユーザーでは、そうも言えない。一般に、 SP1a がもともと入っていない(比較的古い)パソコンならば、どっちみち大トラブルをかかえる可能性が高い。やめた方が無難である。SP1a がもともと入っている(比較的新しい)パソコンならば、SP2 を入れても大丈夫であることが多いようだ。ただし、 SP1a がもともと入っているパソコンならば、SP2 を入れるメリットもあまり大きくない。(理由はすぐあとで述べる。)

 メリットとしては、「セキュリティが向上する」という面がある(らしい)。パソコン雑誌にもそう書いてある。では、どういう意味で? 「SP1a のみならず SP2 まで入れていないと、感染する」という新しいウィルスが出回った場合だ。……ただし、こういうウィルスは、今のところはまだ出回っていないようだ。だから、こういう新しいウィルスが出回ってから、あわてて SP2 を入れても、手遅れにはならない、とも言える。たとえ感染することがあるとしても、確率的には、世間で「新しいウィルスが出回るぞ」と大騒ぎになってから対処しても、たぶん間に合うはずだ。今のうちは急いで SP2 を入れなくてもいいだろう。(一日中インターネットで変なサイトを巡回しているようなヘビーユーザーは別だが。ただし、そういうヘビーユーザーは、ウィルスには感染しなくても、すでにネット中毒という、別の病気にかかってしまっている。これは治療不可能。)

 そもそも、そのような新しいウィルスが出回るかどうか、非常に疑問である。なぜなら、ウィルスは、自然発生するものではなくて、人為的に開発するものだからだ。「SP2 導入済みでないパソコンだけに感染する」なんていうウィルスを、わざわざ開発するのは、MSの回し者(MSの協力者)しかありえない。そんな人がいるんでしょうか? まともな頭があれば、SP2 を導入しているパソコンに感染するウィルスを開発するはずだ。これのみが大きな感染力を持つ。SP2 を導入していないパソコンに感染するウィルスなんて、たとえ開発しても、たいして出回らないから、あまり気にしなくてもよさそうだ。
 だいたい、今のウィルスの主流は、メールの添付ファイル形だ。これは、ウィルスソフトなんてのを使わないで、プロバイダのメール・ウィルス削除サービスを利用するのが最適だ。SP2 なんか、関係ない。また、そもそもの話、Outlook Express を使わなければよい。SP2 なんか、関係ない。

 で、結論は? 前に述べたとおりだ。最善案は、下記。
 「他人には『 SP2 を入れよ』と推奨する。……そうして他人にはどんどん勧めておきながら、自分だけは SP2 を入れない」 ( → 9月17日
 これは、ほとんど「ズル」ないし「自分勝手」ですけどね。今のパソコン雑誌の編集室では、これが常識でしょう。だから読者に「 SP2 を入れよ」と推奨している。
( ※ ついでだが、私は自分勝手でではない。他人に「 SP2 を入れよ」と推奨していませんから。)

 [ 補説 ]
 ウィルスの作り方。
 ウィルスの作り方についての概説。
 一番簡単なのは、メールの添付ファイルにするタイプ。かなり容易であり、知識も少なくて済む。そのかわり、容易に駆除される。プロバイダのウィルスチェックサービスを利用していれば、問題なし。
 もうちょっと高度なのは、勝手にドアを開けてもぐりこむタイプ。だけど、ドアに鍵をかけておくと、侵入できない。この鍵(施錠)が、ファイアーウォール。これも、ファイアーウォールで、問題なし。
 さらに高度なのは、悪意ファイルを用意しておいて、そのファイルをあちこちのサイトで強引に既存ファイルに置き換えること。強盗みたいなものだ。危険。……ただし、これには、相当高度な知識が必要だ。
 危険なのは、最後のタイプぐらいだろう。これは、SP2 を入れておいても、駄目。これをやるような利口な人は、SP2 でもまだまだある穴を狙うからだ。(わざわざ、SP2 で解決済みの穴を狙う馬鹿はいない。)
 さて。最後のタイプは、「見つかると大罪」ということを理解している。米国では懲役刑だ。人生を破壊される。フィリピンの阿呆なプログラマは、「ウィルスを作れば名を売って雇用してもらえるかも」と思ったそうだが、馬鹿丸出し。おそらく一生、「ウイル作製者」という名がついて回って、どこにも雇ってもらえない。雇われても、すぐに噂が(ソフト会社の方から)流されて、すぐに解雇される。結婚したくなっても、相手にその情報がすぐに伝わる。人生、メチャクチャだ。(ビルゲイツみたいな人が、きっといやがらせをする。  (^^); )
 このフィリピンのプログラマは、阿呆だから、メール用のウィルスしか作成できなかった。ま、そんなものです。利口な人間なら、絶対ばれないようにする。どうやるかというと、スパイ小説みたいな方法を取って、ゴルゴ13みたいにふるまう。……気が疲れるし、金もかかる。それでいて、メリットはゼロ。よほどの破滅主義者でないと、こういうことはやらない。アルカイダなら、「イスラムの大義」という名分があったが、ウィルス作製者には、何の大義もない。何しろ、ウィルス蔓延によって、自分自身にも大きな迷惑がかかるのだ。狂気的ですね。たとえて言えば、エイズウィルスを世界中にばらまいて、自分も感染してしまった、というようなものだ。愚の骨頂。まともな頭のある人間のやることじゃない。
 要するに、まともな頭のある人間は、強力なウィルスなんか作成しない。だから、そういう強力なウィルスの心配をする必要もないし、心配して SP2 を入れる必要もない。過剰に心配して、マシンを壊してしまった、というのでは、本末転倒だ。
 だから、私のお勧めは、前述の通り。つまり、「強力なウィルスができた」と判明したあとで、SP2 を入れても遅くはない、ということ。どうせそんなのは、出回るわけがないのだから。何しろ、SP1 が出たあとでは、「SP1 を入れてないと感染する」というタイプは、新規に出回ることはなかったはずだ。(たぶんね。絶対ではないけど。)
 結局、SP1,2 の意義は、「ユーザがウィルスに感染しないこと」ではなくて、「ウィルス作製者にウィルスを開発させないこと(制限を加えること)」である。とすれば、ユーザーとしては、「他人には導入を勧めるが、自分は導入しない」というのが、ベストなのである。ベターは、「何もしないこと」。ノーマルは「調査しながら導入すること」(その結果は運次第)。ワースは「単純に導入すること」。ワーストは、「自分では導入するが、他人には勧めないこと」。
 風邪を治すコツは、自分の風邪を、他人にうつすことだ。……(というのは嘘。)

 最後に、付け足す形で、SP2 の本質を言っておこう。
 実を言うと、SP2 は、何もかも悪いわけじゃない。少なくとも新規インストールするのであれば、旧来より良くなっているはずだ。ただし、旧来のものにバージョンアップする形だと、整合性が取れなくなり、トラブルに襲われることがある。それはまずい。
 要するに、SP2 は、新規インストールのために開発したものである。そして、それを「無償で」という形で旧ユーザーにも供与するが、実は、旧ユーザーのことなんか、何も考えていない。「無料だから文句を言うな」という立場だ。で、ユーザーは、「無料のソフトだ」と思って喜んでいると、「無料のウィルスだ」というふうに判明するわけだ。
 教訓。タダほど高いものはない。無料だからと言って、やたらと拾わないように注意しよう。現状で満足しているのであれば、わざわざ危険なものを拾う必要はないのだ。
 SP2 の目的は、何か? 「当社は真面目に頑張っています。セキュリティーホールもふさいでいます」とMSが弁明することである。で、実際には? その弁明は、嘘っぱちだ。セキュリティーホールをふさぐ努力は、最新バージョン向けにやっているだけであり、旧バージョン向けにはやっていない。(開発コストを低減するため。)で、そのあと、新バージョン向けの対処を、旧バージョン向けに横流しする。その結果、トラブルが頻発するが、損するのはユーザーであって、MSではない。……すべてはMSの利益のため。それが SP2 の本質だ。そして、それを理解せず、MSの嘘をまるまる反復して、「ユーザーのために SP2 を入れましょう」と唱えているのが、悪魔の手下である。その言葉を信じると、とたんに地獄に引き込まれる。

 [ 付記 ]
 念のために注釈しておくが、本項の趣旨は「SP2 を入れなければ大丈夫」ということではない。正確には「どっちも駄目」である。「どっちも駄目である中で、どっちがひどい駄目か」ということ。
 SP2 を入れなければ、MS-IE のセキュリティホールの問題が残る。( → 新たな例 )これはこれで危険だ。ただし、SP2 を入れても、MS-IE のセキュリティホールの問題は次から次へと発生して、キリがない。
 ま、最善の道はたぶん、「SP2 を入れないまま、MS-IE を使わないこと」だろう。ただしそれが「安全」を保証するものでもない。Windows を使っている限りは、絶対安全などはありえない。Mac や Linux だと比較的安全だが、これも確実ではない。TRON だと……絶対安全に近いけれど、ブラウザが貧弱で、あまり正常には表示できない。でも、比較的マシかも。
 要するに、決定策はありません。あれば、とっくに、誰もがそれを採用しています。
 私のお勧めは、「なるべくネットにつなげないこと」である。ネットにつながっている時間が短ければ、確率的に言って、ひどい目にあう危険が減る。さらには、時間も節約できる。たぶん、これがベスト。

 [ 余談 ]
 私のページを見た読者は、ふだん、「南堂ってのは、他人の悪口ばっかり言っていて、ひねくれた野郎だな。もっと素直になれないのかね。根性がねじ曲がっているんだよ」と思っているかもしれない。
 そう思う人は、別に、私の言うことを信じなくてもいい。小泉の「構造改革で景気回復」というのを信じてもいいし、MSの「 SP2 ですばらしいパソコン環境に」というのを信じてもいい。……その結果、どうなろうが、私の知ったことではないけどね。
 素直な人は、小泉とMSを信じるべし。……ついでに、ナベツネも信じるべし。

( ※ このパソコン話は、次項[翌日]に続く。)


● ニュースと感想  (11月13日)

 前項の続き。WindowsXP SP2 関連。
  SP2 でトラブルに はまってしまったら、どうするべきか? その対処法。ごく簡単に。
 通常、初心者は、知人に頼むか、あるいは高い金を出して、修理可能な専門店に頼むしかない。
 自分でやるとしたら? 起動しなくなったら、OSの再インストールが第1処置だが、バージョン上がっていると、それは無理かも。また、そもそも、大メーカーのパソコンでは、再インストールは無理で、初期化するしかない。となると、新しいHDで初期化してから、既存のHDを第2HDとして使うことだ。
 ま、そんなものでしょう。

 [ 付記 ]
 オマケで、細かな話。
 (1) 省スペースPCだと、第2HDを使うスペースがない。その場合は、中古のPCを買って、そこに第2HDとして据え付ければよい。(ただし、中古のPCは、省スペースでは駄目ですよ。第2HDが入らないから、同じ物を買ったことになり、意味がない。)
 (2) 中古のPCは、どこで買うか? Yahoo オークションが有名だが、登録手数料が高すぎる。秋葉原でもいい。しかし私がいいと思ったのは kakaku.com の中古 だ。
 (3) 中古のパソコンは、買ってもすぐに壊れる可能性がある。それを避けるには、企業の使用したものより、初心者が使用したものを使うといい。そのためには、銘柄が大事。大手国産メーカーが好ましい。なお、DELL は製品としてもケースをばらしにくいなどの点があり、やめた方がいいだろう。
 (4) ノートパソコンのHDがイカレたときは? ノートパソコンのHDを接続するためのキットなどが売っているから、それを使うといいだろう。ただし、かなり高額。

 とにかくまあ、いざというときのためにも、古いパソコンというのは有益だ。「新しいのを買って、不要になったから、捨ててしまえ」なんて思わずに、古いのもちゃんと取っておきましょう。予備用に。
( ※ そもそもの話、根本問題として、自分のデータのバックアップを取っておかないというのが問題だし、それもしないでSP2を入れるなんて論外だ。通常、自分のデータのバックアップを取っておくから、SP2を入れても、最悪の場合でもマシンを捨てるだけで済む。データは残る。これ、常識。)

 なお、古いパソコンは、捨てるのでなく、「売却する」というのもある。これはこれで有益だ。「ぶっ壊して資源にする」というよりは、「売却する」の方が好ましい。(これは再利用である。 → 11月04日b 「リサイクルよりリユースを」)
 売却すると、データの流出が心配だろうが、ちゃんとした中古の業者なら、しっかりデータを消去してくれるから、大丈夫。どこに売却するかは、ネットで適当に検索するといいだろう。新聞の折り込みチラシで、新品売却のときに引き受けてくれるところを探してもよい。とにかく、売却すれば、お金が入ります。
( ※ 関東では、ソフマップとか、PCデポとか、いろいろあります。……Yahoo オークションに出すのなら、自分でデータを完全消去する必要がある。OSを再インストールするかどうかは、自分の判断で。)

 古いパソコンの最善の利用法は? たぶん、「ネット接続専用のパソコン」にすることだ。
 ブラウザの処理速度なんて、CPUは関係ない。メモリをたっぷり積めば、多くの画面を開いても大丈夫。256MBぐらいある中古パソコンを使って、それでネットサーフィンすればよい。万一、トラブルにあっても、中古パソコンが壊れるだけだから、問題ない。新たに再インストールできる準備だけしておけばよい。
 OSは? ネット専用だったら、Linux でも十分。でもまあ、Windows98 でも大丈夫。Windows98 を複数マシンにコピーするのはまずいが、1台のマシンを使うのである限り、昔の1ライセンスが継続するわけだから、特に違法にはなるまい。
( ※ ネット専用パソコンを用意したからといって、常にそれでネット接続する必要はない。普通のマシンで仕事用にネット接続してもよい。ただし、暇つぶし用に、長時間接続するのであれば、ネット専用パソコンを使った方がいいだろう。その方が安全。……つまりは、「壊れないパソコンを使う」よりは、「壊れてもいいパソコンを使う」という、逆転の発想。)


● ニュースと感想  (11月13日b)

 「セキュリティ対策」について。
 パソコンのセキュリティ対策は、どうするべきか? そのまとめ。
 「セキュリティ対策のために、WindowsXP SP2 を導入するべきだ」という声を(マスコミ記事で)よく聞くが、導入したところで、いくらかマシになるだけであり、セキュリティ対策が万全になるわけではない。穴をいくつかふさいでも、他のところで穴がいくつもあいていては、何にもならない。そこで、セキュリティ対策をざっとまとめておく。
 [ 付記1 ]
 MS-IE を使わなければ、どうすればいいか? Opera や Netscape を使えばよい。いずれも無償。(Opera の無償版は広告入りで、その分、評判は悪いが。)
 Netscape は、最近、大人気だ。少し前に英語版ができてユーザが殺到していたが、今度、日本語版(もじら)もできて、やはりユーザが殺到しているようだ。
 ネットでダウロードするなら、サイズがデカいから、ブロードバンド回線でないと入手できない。ときどき雑誌の付録に収録されることもあるから、それを狙ってもいい。……ま、このあたりの情報は私のページなんかを見るより、他のページを探した方がいい。
 機能的には、MS-IE よりも少しだけ劣るようだ。一部の HTML タグが表示できないこともある。とはいえ、実用的には、あまり問題とはならないだろう。普通の個人ユーザのホームページを見る限りは、特に問題ないだろう。
 大手の商用サイトだと、特殊なHTMLやら何やらで、MS-IE 専用になっていることもある。そういうときは、MS-IEを使ってもいいし、そのサイトを利用しないのでもよい。

 [ 付記2 ]
 「ウィルスの蔓延を防ぐには、各人がウィルス対策をすることが必須である」なんて書いてある記事をよく読むが、嘘である。こういうのは、すべてを各人の責任に帰しており、古典派的な発想だ。
 正しくは? 国家的または世界的な規模での、組織的な対策である。つまりは、ネットの上に「ウィルス駆除器」を置けばよい。その方が能率的だ。個人が一人ずつ対処するなんて、原始的すぎる。(前にも同趣旨のことを述べた。)


● ニュースと感想  (11月13日c)

 「プロ野球と新規参入」について。
 ホークスをソフトバンクが買収するらしい。名称は「YahooBB」か「ソフトバンク」か何かになるらしい。ライブドアと楽天が「審査を」と要求しているが、さて、審査をすると、どうなるか? 
 まともな発想では、「不合格」である。YahooBBは、初期にはトラブルをかかえてユーザーから苦情が殺到した。その後は、個人情報を流出させた。おまけに、街頭で白装束軍団を繰り出して詐欺まがいの勧誘をしていた。……かくて、プロ野球球団の資格では、最悪の不合格点と言える。
 でも、たぶん、「合格」だろう。たぶんね。

 では、なぜ? それは、ナベツネに根回ししたから。ナベツネは、弱みを握られている。1年前に、小久保を無料でプレゼントしてもらったことだ。つまり、賄賂をもらったことだ。賄賂をもらうと、「いや」とは言えないんですよ。
 あの賄賂は、この日のためにあったのだ。
( ※ 小久保の無償プレゼントは → 去年の 11月14日b


● ニュースと感想  (11月14日)

 「メールソフトのバグ」について。
 一部のメーラーに、バグがある。
 ( ※ 「付記」の形で示す。どうでもいい話なので、読む必要はありません。)

 [ 付記 ]
 Mac のメーラーに Eudora というのがあるが、これのバージョンが 6J Jr4 だと、変なヘッダを書くようだ。私のところに来たメールに、次のヘッダがあった。

  X-Mailer: QUALCOMM MacOS X Eudora Version 6J Jr4
  Date: Wen, 27 Oct 2004 13:51:18 +0900

 Wen というのが問題。 Wensday の省略形であるつもりらしい。こんな単語は、ないんですけどね。で、私のところでは、これをうまく自動処理できなくなって、困ってしまった。
( ※ 同じソフトでも、旧バージョンでは正しく Wed となっている。)

 とにかく、まあ、呆れましたね。バグというのも恥ずかしい。MSだって、こんな幼稚なのは、やらなかったんですけどね。……パソコンを使いすぎると、人類は白痴化するのか? 科学が発達すると、人類が温暖化で苦しむ、というのに似ているかも。猿が利口ぶって、壺に手を突っ込んでから、手を壺から出せなくなったようなものかも。……今の世の中、猿知恵ばっかり。


● ニュースと感想  (11月14日b)

 「猿の三題噺(ばなし)」について。
 近ごろ、猿付いている。
  (1) 今年はサル年である。
  (2) ブッシュは、猿顔である。そして猿知恵である。そして今年当選した。
  (3) 人類は猿から進化した、というのは、進化論。ブッシュは進化論を否定する団体や国民に支持されて、当選した。(アメリカ国民の教育レベルがわかる……ということではなくて、ブッシュの話。自分の先祖が猿だとは思いたくないんでしょう。)
 ついでだが、小泉は犬である。猿と犬は、なぜか仲がよい。

 [ 付記 ]
 「人類は猿から進化したのではない。共通の祖先から進化したのだ」と思う人もいるだろう。しかし、「共通の祖先がいて、そのあとは両方とも同等に進化した」なんていう発想は、成立しない。
 仮に、それが本当だったら、アメーバも、ミジンコも、カエルも、ヘビも、ライオンも、猿も、みんな人類と同じぐらい進化していることになる。また、「それぞれの環境に適しているだけだ」という主張が成立するとしたら、人類は環境に適合してミジンコや魚に進化してしまうことになる。馬鹿げた話。
 現代の猿は、人類と共通の祖先から人類と同じように進化したのではなくて、進化がストップしているのだ。その点、アメーバも、ミジンコも、カエルも、ヘビも、ライオンも、猿も、同様である。それぞれ、その段階で、進化がストップしているのだ。……というわけで、人類の祖先は、現存する生物種のうちのどれか一つと同じグループに属する。それが猿だ。結局、人類は猿から進化したのだ。
  「人類は猿から進化したのではない。猿と共通の祖先から進化しただけだ」と思う人がいたら、その人は、進化論否定論者(天地創成論者)と同様の間違いを犯している。
 片や進化の全面否定で、進化のあるものに進化を認めない。片や進化の過剰肯定で、進化のないものにまで進化を認める。……天地創成論も、ダーウィニズムも、どちらも非科学である。
( ※ 詳しい理論は → クラス進化論


● ニュースと感想  (11月14日c)

 「英国の犬」について。
 小泉は米国の「ポチ」と呼ばれているが、英国のブレア首相は米国の「プードル」と呼ばれているそうだ。(夕刊・ベタ記事 2004-11-13 )
 で、何が言いたいか? 別に。日本語と英語の違いで、「へえ」と思っただけです。ところで、プードルもシッポを振るんでしょうかねえ。

 [ 余談 ]
 人類の祖先は、昔、おべっかのためにあまりにも熱心にシッポを振ったため、シッポがちぎれてしまった。だから、シッポがなくなったそうです。……これ、ダーウィニズム? いや、ラマルキズムですね。


● ニュースと感想  (11月15日)

 「ネット・オークション」について。
 中古のパソコンについて、先日、少し述べた。ただし、注意すべきことがあるので、補足しておく。
 オークションというのは、詐欺師が横行している。だから、だまされないように、注意のこと。だます手口として、一番多いのが、次の手口。
 「最新型のパソコンを高額で販売する。ただし、新品よりは、ずっと安い」
 こんなのは、絶対に買ってはいけない。たいてい、詐欺である。(すべてとはいわないが。)
 最新型なら、まともな販売店で買えばよい。少し前の型なら、まともな販売店で型落ちオチとして買うならともかく、ネット・オークションでは買わない方がよい。うんと古いタイプで、値段が3万円以下なら、買っても大丈夫だろう。なぜ? 詐欺師は、低価格品には、手を出さないからだ。3万円しか儲からないのに、懲役になる危険は同じ。これじゃ、バカらしくて、やってられないだろう。
 ネットショッピングはともかく、ネットオークションは危険である。犯罪が横行している。こんなところで金を気軽に支払うのは、危険すぎる。高額品には手を出さないようにしよう。

 ついでだが、警察は、ネット犯罪の取り締まりをしてくれない。ほとんど野放しに近い。オレオレ詐欺なんて、数百件も生じて、ほとんど逮捕されないままだ。(12日の夕刊には逮捕の記事があったがドジな中学生徒にすぎない。)しかも、たとえ逮捕されても、罰はたいして重くはない。その一方、泥棒をして、十円ぐらい盗んだら、逮捕されて、けっこう重罪だ。(数百万円のオレオレ詐欺も、十円の泥棒も、懲役期間は大差がない。)
 警察だけでなく、マスコミも同様。路上で無人販売している野菜の売上げを数百円ほど盗んだ泥棒が、新聞でわざわざ報道されていた。それでいて、数百万円を盗むほとんどのオレオレ詐欺は、無視されっぱなし。
 ネットというのは、犯罪の巣窟である。誰もあなたを助けてくれません。

 [ 余談1 ]
 となると、信頼のおけるサイト以外は、注意した方がいい。……で、こういうわけだから、楽天がボロ儲けするんですけどね。楽天が儲かるのは、世の中に詐欺師がいっぱいいるから。
 ちっ。ウィルス作製者がいっぱいいるから、MSやソフトハウスが儲かるようなものだ。悪人が多いほど、犯罪を利用して、儲けるやつが出てくる。……こっちの方が上手かな。
 悪の帝国というと、昔はスペクターだったが、今は? 

 [ 余談2 ]
 西武系の会社が、株の不正記載で、大問題。株の上場廃止になるらしく、株は暴落。株主は大損。不正によって、数十億円ぐらいの損失を与えたことになる。
 で、その張本人は? ぬくぬくと西武球団を保有している。あげく、「ライブドアと楽天の、球団保有の資格を審査する」だって。警官になる資格を泥棒が審査するようなものだ。冗談ですかね。
 そういや、読売もそうだ。同じ穴のムジナ。(同じく、「株の不正記載をしながら、他社の参加資格を審査する」なんてことをやった。)
 悪の帝国は、日本には二つあるようだ。両者が争う場が、日本シリーズ。(今年は読売は参加できなかったが。)


● ニュースと感想  (11月15日b)

 「バーチャル・リアリティ」について。
 鳥取県が、砂丘のバーチャル・リアリティを体験する施設を、本物の砂丘の前で建設しようとした。すると住民が大反対した。「本物の前でなぜバーチャルか?」と。かくて、計画を撤回。(朝日・朝刊・社会面 2004-11-12 )
 私の作ったネタみたいな話。だが、冗談ではなく、事実である。しかし、一方では、同じような現象はあちこちに発生している。
 「本物の女性がそばにいるのに、PCのバーチャルな女性に熱中する」
 「子供同士で一緒に遊ぼうと決めて、それぞれ、ネット上にある架空の友人キャラと遊ぶ」
 「友人同士で並んで歩きながら、二人でおしゃべりせず、ケータイでつながった誰かとおしゃべりする」
 しかしまあ、ちょっと似た話なら、昔もあった。
 「隣で女房がガミガミ怒鳴るが、頭のなかで他の女性のことを思い出して妄想にふける」( → ご同輩
 これは、バーチャル・リアリティとは違いますけどね。ただの現実逃避。……あれ。バーチャル・リアリティって、現実逃避のこと?

 [ 付記 ]
 普通いうバーチャル・リアリティとは、「仮想現実」のこと。コンピュータで構築されたものであるが、人間には現実のごとく感じられるもの。
 ただし、英語の virtual reality を、「仮想現実」と訳すのは、意訳である。この訳語は、正確ではないかも。英語のバーチャルとは、「本物じゃない」という意味ではなくて、「本物のような」という意味である。英語のリアリティとは、「現実そのもの」という意味ではなくて、「現実感」という意味である。……だから、バーチャル・リアリティとは、「偽物の現実」という意味ではなくて、「本物っぽい現実感」のことだ。
 仮想現実という言葉の意味は、「本物っぽいけどしょせんは偽物だよ」ということではなくて、「偽物だけどけっこう本物っぽいよ」ということだ。この訳語は、「しょせんは偽物だよ」というニュアンスなのだから、イヤミを言いたがる私の好みには合っている。しかし、原語の virtual reality を「仮想現実」と訳すのは、方向性が正反対である。正確には、「迫真的現実感」とでも訳すべきかもしれない。
( ※ ここでは最後の「感」が重要である。感じられ方がどうかということが問題となっている。「感」でなくて「性」でもいい。とにかく、抽象的なもの。一方、現実そのものは、抽象的なものではない。当然、抽象名詞ではなくて、可算名詞となる。だから、「現実」の原語は、不可算名詞の reality ではなくて、可算名詞の realities である。virtual reality を「仮想現実」と訳すのは、誤訳と言っていいだろう。……ま、意訳といえば、それで通ることは通るが。)
( ※ 理学の光学用語では、virtual image / real image は、虚像/実像 と訳される。一方、virtual reality では、virtual と real という双方の言葉が使われているから、光学ふうに直訳すれば、「虚的実性」になるだろうか。……これも、ニュアンスの置き所が問題となるようだ。ま、「虚像」という言葉も、意訳すぎですけどね。原語のニュアンスは「有効像」という感じだろう。「実像」は、「実体像」だろうか。)


● ニュースと感想  (11月15日c)

 「電子ペーパー」について。
 電子ペーパーがいよいよ実用化されるようだ。液晶の値札タグにかわる形で、ブリヂストンが 2005年から発売する予定だという。(読売・朝刊・経済面 2004-10-21 )
 電子ペーパーは、表示データがメモリみたいに記憶されるので、消費電力がほとんどないし、また、ガラスと違ってフレキシブルな素材でも使える。なかなか便利だ。その最も有望な用途は、携帯情報機器だ。モノクロの文字があればいいからだ。

 [ 付記 ]
 以下は、提案。特に読まなくてもよい。
 電子ペーパーの用途は、たとえば、こうだ。
  1.   フレキシブルな素材を、腕時計みたいに、腕に嵌める。普段は時計として表示される。つまり、腕時計のかわりになるから、実質的には重量はゼロも同然だ。サイズは、少し大きくなるが、腕バンドみたいにしていれば、どうってことはない。
  2.  あるいは、全部、カード型でもいい。手帳みたいに、見開き。外側の表紙・裏表紙が表示画面。内側が、入力ボタン。
 どっちでもいいが、こういう携帯機器がほしいですね。メーカーの皆さん、早く開発しましょう。ケータイでは、メールの読み書きさえ手軽にできれば、それでよい。あとは、スケジュールやメモが書けること。および、電子辞書が使えること。他方、カラー化や高速化や動画再生なんか、どうでもいい。
 パソコンだって、そうだ。十年ぐらい前には、「DVDやインターネット・データによる動画再生こそ、パソコンの素晴らしい用途だ」なんて言っていた。しかし、動画再生なら、テレビを使ってDVDビデオ再生かVHS再生をしている方がずっとマシだ。パソコンでビデオ再生なんて、馬鹿らしい。
 一方、パソコンでは、メールやネットはよく使う。たいていの人は、一番よく使うのは、メールだろう。ここでは、表示の見やすさと、入力のしやすさが、最優先だ。カラー化や動画再生なんか、どうでもいい。

 [ 余談 ]
 私はモノクロが好きなんです。もっとモノクロを普及させてほしい。何のために? 文字の解像度を上げるために。カラー画面かやっているから、いつまでたっても文字の解像度が上がらない。モノクロ液晶画面では四角いドットだったが、カラー液晶画面では各色ごとに細長いドットだから、なかなか微細化ができない。おまけに、色が滲む。気持ち悪い。
 私は画像よりも文字が重要だから、高精細なモノクロがほしいのだ。紙のかわりがほしいのだ。……でもって、電子ペーパーに期待したい。(カラー液晶は嫌いです。つぶつぶが目立つので。不平タラタラ。ぶつぶつ。)


● ニュースと感想  (11月16日)

 「文字のフォント」について。
 パソコンの文字のフォントとしては、Windows に標準の「MS 明朝」が広く使われている。(Mac でも、アプリのMSオフィスに付属している。)
 一方、世間で標準化されたフォントとしては、「平成明朝体」というものがあり、これも「平成明朝体W3」などの形でアプリに搭載され、広く普及している。
 両者を比べると、どっちがいいか? 実は、どっちも悪いのだが、「平成明朝体W3」は業界で標準化されたものであり、衆知を集めたものだから、こちらの方が当然、優れているはずだ。しかし、こちらの方が悪い。たとえば、印刷すると、
 などの欠点がある。これらは、昔はプリンタのせいかと思ったのだが、最新型のプリンタ(カタログ表記では 1200dpi だが、製品説明書を見ると 600dpi )でも、やはり同じである。となると、フォント自体の問題であるようだ。(実は、印刷でなく、画面で大きな文字に拡大しても同様だ。)
 概括すれば、平成明朝体というのは、「大きく明瞭に見えること」を優先しており、そのせいで、文字デザインとしてのバランスが崩れている。では、なぜ? 
 実は、開発当時の事情が影響しているようだ。1989年というのが開発の時点であり、この時点では、フォントは48ドットが標準であった。48ドットだと、線が太くなる。それに合わせた書体も、当然、線が太い書体となる。一方、普通のフォント(ドット数は無限大)の字形をうまく表すには、56ドットぐらいが適切だ。これだと、文字は2割ぐらい細くなる。(MS明朝は、56ドットか64ドットぐらいの感じだ。)
 要するに、平成明朝体というのは、フォントが48ドットが標準であった時代に開発された(その時代の低解像度のハードに適した)フォントであり、今となっては、時代遅れなのだ。こんな時代遅れのフォントは「標準」にするべきではない。新たな標準フォントを制定するべきだろう。
 ま、Mac のヒラギノというフォントでもいいんですけどね。Windows じゃ使えないし。……で、だから、Mac 派が威張って、Windows 派を軽蔑する。はい。そうです。デザイン面に関する限り、Mac が圧倒的に上であり、Windows は圧倒的に劣っています。MSが野暮なせいで、それに感染して、アプリの連中もみんなセンスがない。でもって、野暮な「MS明朝」や「平成明朝」なんかを使って、平気でいられるわけだ。
 Windows派というのは、金儲けのことしか考えられない連中ばかりですからね。美的センスなんてものは、最初から欠如している。

 [ 付記1 ]
 Windows で普通の書体を拡大表記すると、56ドットでもなく64ドットでもなく、なめらかになる。これは、アウトラインフォントまたはベクトルフォントという処理をしているせい。元は64ドットらしいのだが、それを元にして、なめらかな字形にしているわけだ。……コンピュータ関係の技術情報を探れば、いろいろとわかる。昔、はやった技術。今はCGがはやっているが、昔はアウトラインフォントの技術がはやっていた。(今のCG技術も、そのうち、峠を越えて、時代遅れになる。)

 [ 付記2 ]
 昔のNECで使っていたFA明朝というのは、割といいデザインなんですけどね。ま、これも古い。おまけに、WindowsXP では使えない。困ったもんだ。WindowsXP がWindows98のソフトをちゃんと使えるというのは、嘘です。Windows98互換モードにしても駄目です。そもそも、フォントをインストールできないんだから。unicode になってしまったせいらしい。困ったもんだ。
( ※ WindowsXP と FA明朝 の話は → 7月04日b


● ニュースと感想  (11月16日b)

 「プリンタの印刷トラブル」について。
 プリンタの印刷トラブルについての豆知識。(ソフトのバグとは違う。)

 (1) 年賀状印刷
 年賀状印刷のとき、気温が低いまま高速に印刷すると、インクが乾かないままだ。そこで、「一枚一枚、ずっと見ながら手で処理しないといけない。疲れる」と嘆く人がいた。
 この問題は、解決できる。プリンタの設定画面で、給紙速度を遅くすればよい。休みながら印刷するようになるので、いちいち見ていなくてもよい。
 方法は、キヤノンのプリンタだと、プリンタの「プロパティ」から、「ユーティリティ」の「特殊設定」の箇所。(わからなければ、あとは自分で考えて。)

 (2) 両面印刷
 キヤノンの新型プリンタは、「両面印刷」が売り物。で、これを信じて、「ちゃんと両面印刷ができる」と信じたり、「文書も両面印刷ができる」と信じると、とんでもない。
 「両面印刷」ができるのは、カラー印刷だけだ。モノクロ印刷(顔料黒インク使用)は、できない。もし文書を使って、モノクロ印刷するつもりで実行すると、自動的にカラーインクを使用する。iP3100 という機種なら、3色インクを合成して黒い文字を印刷する。(インクコストは3倍。)また、iP4100 という機種なら、カラー印刷用の染料黒インクで黒い文字を印刷する。……いずれにしても、顔料黒インクは使われない。
 そんなことは、カタログには書いてないんですけどね。( kakaku.com の iP3100 掲示板 の [3468056] に書いてある。)
 じゃ、どうすりゃいい? やっぱり、「両面印刷」なんか使わなければいい。どうしても使いたければ、せめて、iP3100 はやめて、iP4100 にする。
 ま、この機能は、カラー印刷専用と割り切った方がいい。
 なお、カラー印刷するにしても、両面印刷機能を使うよりは、自分で反転させた方が、ずっと早く印刷できる。たとえば、年賀状なら、初めに表面を一括してやってから、次に裏面を一括してやればよい。その方がずっと速い。なぜ? 内部でいちいち反転処理をしないから。

( ※ 顔料インクだと、内部で紙を反転させたときに、乾いていない顔料インクが擦れてしまう。だから、顔料インクを使えない。)
( ※ 両面印刷があると、B5とA4 の文書用紙を同時に設置できて便利、という意見もあったが、それは当てはずれであったわけ。どちらかと言えば、二台のプリンタを使う方がいいようだ。)
( ※ ついでですけど、私は文書では、両面印刷なんかしません。紙の裏にインクが滲むのがいやなので。……なお、「資源の節約」なんて言う人もいるが、少なくとも、「金の節約」の効果はあまりない。紙なんて、安すぎる。百円節約するのに、どれだけの手間がかかることやら。一カ月、必死に紙を節約しても、百円分。一方、ビールを30本飲んだら、どのくらいになることやら。……)

 [ 付記 ]
 キヤノンのプリンタの悪口を書いたが、それを聞くと、「だったらエプソンにすればいいな」と思う人もいるだろうが、それは早計だ。
 キヤノンの顔料インクが両面印刷で使えないのは、なかなか乾かないからだ。(ローラーにくっついてしまう。) このことは、キヤノンのインクの欠点として、しばしば指摘されている。
 じゃ、エプソンの顔料インクにすればいいか? それなら、すぐ乾く。そのかわり、エプソンのプリンタは、ノズルが詰まりやすい。だからノズル詰まりを防止するために、大量のインクを無駄に使う。全体の3分の1ぐらいは無駄に消えてしまうようだ。もったいない。おまけに、補充インクを使えない。
 お金の余っている人に限り、エプソンを使うといいでしょう。資源を浪費して、お金を浪費するには、エプソンのプリンタを。また、プリンタヘッダを次々と使い捨てで捨てて、リサイクルとは正反対のことをやりたい浪費家は、HPのプリンタを。一方、ケチで貧乏なだけなのに、それを「環境保護」と称して自慢したがる性格の悪い人は、キヤノンのプリンタを。
( ※ 私がどのプリンタを使っているか、バレてしまいましたね。  (^^); )







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「小泉の波立ち」
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