[付録] ニュースと感想 (103)

[ 2006.02.27 〜 2006.03.08 ]   

  《 ※ これ以前の分は、

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● ニュースと感想  (2月27日)

 1. 予告した経済の話は、明日に延ばします。
 2. Open ブログ に、興味深い話が二つあります。
   一つは、「市場の予測」という話。文系向け。
   もう一つは、「量子力学の論文」という話。理系向け。
   物理の専門家向けの高度な内容で、英文ですが、語り口は平易です。
   内容は非常に重要なので、理系の人には、一読をお勧めします。
   (もちろん、文系の人には、ちんぷんかんぷんです。)


● ニュースと感想  (2月27日a)

 「日経の不正(インサイダー取引)」について。
 日本経済新聞社の社員による不正があった。新聞社に来た内部情報をもとに、株を先行して売買して利益を上げる、というインサイダー取引である。各紙報道の通り。
 これを見て、「不正はけしからん」と非難したり、「自分たちも心得ねば」と反省したりする。たとえば、朝日・社説。しかし、それで反省したつもりになっては、あまりにも不十分だ。
 問題をライブドアと比較するがいい。市場への信頼を失わせるという点では、インサイダー取引は、帳簿の粉飾よりも、はるかに悪質だ。一番悪質だ、とも言える。帳簿の粉飾または間違えなんて、どこの企業にだってある。「わが社の帳簿は、開業以来、一点のミスもありません」なんていう企業は、できたてのほやほやの企業を除けば、ほとんどあるまい。一方、インサイダー取引は、全然違う。罰だって、懲役刑があって、非常に厳しい。
 とすれば、ライブドア問題に準じて、次の二つを主張するべきだろう。

 第一に、「日経を上場廃止にせよ」と主張するべきだろう。「社員または経営者の不正」を理由に東証が「上場廃止」を持ち出すのであれば、今回の社員の不正を見て、日経を上場廃止にしていいはずだ。
 ま、実行者が「経営者」と「下っ端」という違いはあるが、そんなことは、関係ない。なぜなら、それで処罰されるのは、「経営者」でも「下っ端」でもなく、「株主」であるからだ。
 「経営者の犯罪と下っ端の犯罪は、事情が異なる」
 という説は、一応、成立しそうだが、それが成立するのは、次のことが前提となる。
 「経営者の犯罪では、経営者(と会社)を処罰する」
 「下っ端の犯罪では、下っ端(と会社)を処罰する」
 ところが、ライブドア問題における東証の方針は、いずれでもなく、こうだ。
 「経営者の犯罪では、被害者である株主を処罰する」
 まったく、道理が通らない。道理が通らないことを前提にして論旨を勧めてるのだから、あとはもう、メチャクチャである。当然、
 「下っ端の犯罪では、株主を処罰する」
 というメチャクチャな理屈が、成立してしまう。かくて、  「下っ端の犯罪では、日経を上場廃止にする」
 というメチャクチャな結論が成立してしまうのだ。もともと暴論を是認している限りは、その暴論からは別の暴論が生じてしまうのだ。ゆえに、マスコミに対しては、
 「日経を上場廃止にせよ、と主張するべきだ」
 という結論が出る。つまり、「白痴は白痴らしくふるまえ」ということ。
( ※ と書いたら、あとで「日経は実は上場していない」という指摘があった。残念。  (^^); )

 第二に、「告発すべし」と主張するべきだろう。つまり、
 「犯人を監獄にぶち込め」
 というふうに。具体的には、こうだ。
 「日経は、社員を告発する。他の新聞社は、『日経は告発せよ』と主張する」
 こういうときこそ、「検察は動け。悪人を監獄にぶち込め」と主張するべきなのだ。
 なのに、そうしない。なぜ? 犯人が、同業者だからだ。いわば、身内だからだ。身内の人間だから、「新聞社の社員を監獄にぶち込め」とは、口が裂けても言えないわけだ。情けない。
 要するに、他人がちょっとした悪をやれば、社をあげてキャンペーンにみたいに大々的に非難する。同業者がやると、反省したフリをするが、告発するだけの度胸はない。マスコミの倫理観なんて、その程度のものである。
 なお、朝日の社説( 2006-02-25 )は、「同じ報道に携わる私たちも公正な市場の重要さを再認識し、日経新聞社での出来事を他山の石としたい」と、一見殊勝なことを言っている。しかし、本質的には、口先だけの言葉だ。「他山の石としたい」というふうに心理的な倫理の問題だけで片付けようとする。それだったら、ライブドアのホリエモンだって、「倫理の問題である」と論じて、「反省せよ」と結論すればいい。ところが、ライブドアについては、「犯罪だから国を挙げて糾弾しせよ」というふうに主張し、自分については「反省だけで済ませたい」と主張する。
 だから、繰り返そう。朝日はむしろ、こう主張するべきなのだ。
 「不正をしたら、その新聞社の社員を監獄にぶち込め。私たちも不正をしたら、私たちも監獄に入る。たとえば、サンゴのやらせ事件や、田中知事の架空インタビューなど、虚偽の報道をしたら、その責任を取って、社員と編集者を監獄にぶち込む。ついでに、朝日の経営陣を逮捕して、会社を機能停止状態にする」
 なのに、そう言えないで、自分一人で反省したつもりになっている。マスコミというのがいかに自分勝手であるか、よくわかる。

 [ 付記 ]
 ついでに言えば、「南堂のライブドア論調は間違っている」と思っている一般の人も、今回の犯人を告発してもいいだろう。「悪はけしからん」と思うのなら、そうしていいはずだ。
 実は、告発するには、手間はかからない。そばの交番に行って、「あの人を告発します」と口頭で述べればよい。それだけだ。あとは、警察が、その申し出のを受理して、検察に回す。(口頭で、というのは、あまりなされていないが、ちゃんと法律で規定されているから、問題ない。おまわりさんはたぶん「本署に問い合わせます」と答えるだろうが、問題ない。)
 ただし、手間は簡単だが、出来事は簡単ではない。ちゃんと正式の書類ができて、その後、検察から問い合わせが来る。うまく告発されれば、それでいい。告発が駄目だったら、「誣告罪」で逆に告訴されることもある。下手な理由で告発すると、告発した方が監獄に入ることになる。
 ま、それだけのリスクを負った上で、「悪はけしからん」としっかり論じてもらいたいですね。「悪はけしからん」と思う人は、罪なき人であるなら、石もて打つがいい。


● ニュースと感想  (2月27日b)

 「朝日のライブドア特集」について。
 またまた朝日がメチャクチャな素人経済記事を掲載した。特集で、連載するらしい。今回は、次の趣旨。(朝刊・特集 2006-02-26 )
 「ホリエモンが出た理由を探る。その理由は、バブル期の金持ち優遇減税だ。金持ち優遇減税によって、金持ちが優遇されたから、ホリエモンみたいな金の亡者が現れたのだ」
 呆れましたねえ。金持ち優遇減税が気に食わない(貧乏人の記者には)、という理由で、こじつけ論理で、金持ち優遇と結びつけている。「郵便ポストが赤いのも、電信柱他が下位のも、みんなホリエモンが悪いんだ」というわけ。

 この論理はまったく馬鹿馬鹿しい。明らかに論理は成立しない。とはいえ、似たような勘違いの論理は、他にもある。
 「秀才優遇で、秀才が増える」
 「美人優遇で、美人が増える」
 「健康人優遇で、健康人が増える」
 「病人冷遇で、病人が減る」
 一見、もっともらしい。だが、論理は成立しない。なぜなら、ここでは、因果関係などないからだ。たとえば、病人を冷遇すれば、病人が減るのではなくて、病気がひどくなって、治らなくなって、病人が増えるだけだ。同様に、
 「ノッポ優遇で、ノッポが増える」(キリンみたいですね)
 なんてこともない。人の意思で左右できる行動なら、行動を導くことはできるが、
 「金持ちになりたいと思うと金持ちになる」
 なんてことは、ありえないのだ。どうせみんなそう思っているんだから。

 金持ち優遇減税とIT長者なんて、何の関係もない。「風が吹けば桶屋が儲かる」ぐらいの関係しかない。なのに、こういう関係があるという虚構を吹聴して、「すでに金持ちになった人」への処遇を高めようとしたのが、以前の税制改革だ。
 本来ならば、「金持ちになろうとする人の優遇」と、「金持ちになった人への優遇」とは、何も関係ないのだから、それを指摘すれいい。なのに、誤りを指摘するどころか、同じ誤りを犯している。馬鹿を批判するために、相手の誤りを指摘するかわりに、自分もまた同じ馬鹿になっている。

 つまりは、この記事は、ただの「こじつけ」である。「金持ち優遇減税は気に食わない」という基盤があり、「金持ちのホリエモンも気に食わない」という現実があったので、「金持ち優遇減税のせいで、金持ちのホリエモンが生じた」と結論する。何の関係もないものを、「金持ち」という共通点を通じて、勝手に結びつけて、因果関係を主張する。
 経済学のイロハも知らないから、こういうデタラメのこじつけをやるようになる。
 そもそも、「金持ち優遇減税で金持ちが生じた」というのであれば、結構なことではないか。それでどんどん、金持ちを増やせばいい。
 もちろん、それは虚構である。だから、正しくは、そういう虚構を否定することだ。なのに、そうしないで、虚構を振りまく。この記事自体が、デタラメを振りまいているという点で、不正と虚飾をなしている。


● ニュースと感想  (2月27日c)

 「自衛隊の不正」について。
 マスコミはライブドアのちっぽけな帳簿の不正ばかりに目くじらを立てているが、もっとはるかにひどい不正がある。日本という国家を軍事的に脅かす不正だ。
 海上自衛隊の「極秘」と書かれた暗号関係の書類や、戦闘訓練の計画表とその評価書など、多数の機密データがネット上に流出していることが、22日分かった。流出した海自情報はフロッピーディスク約290枚分に相当する膨大なもの。約130の自衛艦船舶電話番号や顔写真付きの隊員名簿、非常時連絡網なども含まれており、防衛庁は事実関係について調査を始めた。軍事専門家は「トップシークレットの情報が含まれている」と警告。過去最大級の軍事情報漏えい問題に発展する可能性も出てきた。
 注目されるのは「暗号関係」というフォルダ。この中には、暗号の解読機とみられる「符号変更装置」の操作手順の詳細な記述があった。また、「極秘」と記された、非常用暗号書や乱数表などの書類の名称と整理番号をまとめた「暗号書表一覧表」があった。
( → Yahoo ニュース
 とんでもない不正だ。その被害は、ライブドアなんかに比べて、はるかに大きい。2月23日 では、「原発の暴走」などの被害を想定したが、それと似たような悪しき状況になっている。(検察のせいではない、という点では違うが。)
 
 ともあれ、世の中には、こういうひどい不正がわんさとある。ライブドアなんかに目くじらを立てるよりは、こういうひどい不正を摘発するべきだ。つまり、現実に社会に被害を与えるような不正を。── では、その不正は、具体的には、何のことであるか? つまり、いったい何を摘発すればいいのか? こうだ。
 「私用パソコンに、公的業務のデータを入れる」
 これが問題なのは、わかりますね。公私混同です。私物のパソコンに Winny を入れたとしても、それはせいぜい著作権法違反の問題にすぎないから、ふらちな輩を豚箱に入れる必要はなく、何がしかの罰金を科せばよい。懲役も禁固も必要ない。私物は私物だから、私物として処理すればよい。
 で、問題は、私物をどう使ったかではなくて、私物であるパソコンに公的業務のデータを入れたことだ。これを、断固として、禁じればよい。
 「私物であるパソコンに公的業務のデータを入れたら、そういう連中を全員、逮捕して、豚箱に入れる。ホリエモンと同様に、不正を処置する」

 で、そうすると、どうなるか? ……ここまで読んで、すでにニタニタと笑っている読者も多いでしょう。その通り。  (^^);
 つまり、現実には、政府がパソコンをちゃんと支給しないから、公務員は自腹でパソコンを購入せざるを得ない。で、上記の方針を通したら、国の業務はまともに遂行されなくなるから、国家の運営がマヒ状態になる。
 だから、まとめて言えば、こうだ。
 「何が何でも不正を摘発する。特に、大きな影響を与えた罪は、断固として処置する」
 なんていう方針を立てて実施したら、国家がマヒしてしまう、ということ。それというのも、この世の現実は、杓子定規に規則を適用することではなくて、けっこうあやふやに「おめこぼし」があふれているからだ。
 で、そういう現実を忘れて、何が何でも杓子定規に規則を適用すると、とんでもないことになる。そういうことがわからないのは、常識知らずの人間だ。非常識。
 この非常識に気づくことが、何よりも肝要だ。

( ※ 朝日の社説 2006-02-26 は、この件を論じているが、もちろん、話をこの問題だけに限定している。「隊の情報を持ち出すことは防衛庁の訓令で禁じられている。しかし、徹底されていなかったことになる。訓令を徹底させるべきだった。」と述べるだけだ。どうせなら、「私物パソコンに公的情報を入れるという不正があった。ゆえに、同様の不正を犯した公務員を根こそぎ検挙せよ。防衛庁や政府を事実上、機能停止させよ」とでも言えばいいのだが。……私だったら、どう言うか? 「まずは検察を機能停止にせよ」とでも言いましょうか。  (^^); )


● ニュースと感想  (2月28日)

 「村上ファンドの動き」について。
 ライブドアの買収をめぐって、どうして村上ファンドが買収に向かわないのか? と不思議に思っていたが、とうとう底値を拾い時と見て、動き出したようだ。
 各紙報道(数日前)によると、村上ファンドは、阪神電鉄株を手放す意向だという。マスコミ報道は、「村上ファンドがとうとう根負けした」というような解釈をしているが、とんでもない。千五百億円とも言われる金の、新たな運用先を見出したからだろう。もっとボロ儲けできる運用先を。── もちろん、ライブドアだ。
 実は、他方で、一部の外資もまた、ライブドアの株を拾い始めているという。

 結局、以上をまとめて、次のような金の流れとなる。

  狼狽した投資家 ─────────→ 村上ファンド・外国ファンド
                   6000億円

 人々はこう思う。「自分たちは 6000億円も損した。それはホリエモンのせいだ。だからホリエモンまたはライブドアが賠償せよ」というふうに。(たとえば、前述の弁護士。)
 しかし、彼らが損した 6000億円は、ホリエモンの懐に入るわけではない。仮にそうだとしたら、ホリエモンが 6000億円をもっているはずだろう。しかし、そんなことはない。その金は、いったんライブドアという会社に入り、そのあと、株価が上昇したあとで売却することで、その差額が、村上ファンド・外国ファンドの懐にはいるのだ。
 で、こういう薄汚い詐欺師みたいな連中のために、せっせと貢献して働いているのが、検察と東証とマスコミなのだ。彼らの仕事は、人々を大騒ぎさせて、うろたえさせて、その間に、薄汚い詐欺師みたいな連中を濡れ手で粟でボロ儲けさせることなのである。

 [ 付記 ]
 ライブドアが村上ファンドの手に入ることは、十分に考えられる。時価総額は千億円以下になっているらしいから、阪神の株を売って得た千数百億円で、十分に買い占めができる。ま、買い手が入ると、株価は上がるだろうが、それでも、過半数を占めることができそうだ。
 で、どうなるか? こうだ。
 「ライブドアは村上ファンドのもとで、解体・バラ売りされる」
 なぜか? 村上ファンドは、いつもこう言う。
 「投資先の会社の堅実な成長を考えているんです。長期的に株を保有して、会社の健全な経営を助けます」
 これはまあ、結婚する前の男が嘘八百をついて女をだますのと同じである。できもしない嘘を、次から次へと並べ立てる。一方、当の場面を離れて、一般論を聞かれると、待ってましたとばかり、自分の利口さを得意げに吹聴する。
 「私はとても頭がいいからね。投資収益は、効率を考えるんだ。5年で50%の利益を得るより、1年で 15%の利益を得る。たいていの人は、50%でなくて 15%を選ぶのを、不思議がるがね。しかし、15%ずつ5回繰り返せば、大幅な利益を得ることができる。50%でなくて 15%だ。私は頭がいいから、そうするんだ。えっへん」
 というふうに本音を吹聴する。(言葉は違うが、まったく同趣旨のことを、本人が語っている。ま、言っていることは、間違いではない。)
 というわけで、口先では「長期投資」だが、実際は「短期の売買」である。口先では「阪神株を長期保有」と表明していたが、1年ぐらいでさっさと売却する。ライブドアもまたしかり。1年ぐらいで株を売却する。何が何でも、さっさと収益を上げるのが、最優先だ。そのためには、解体・バラ売りだ。
 ライブドアの長期的成長のためなら、解体しない方が、ずっと有利である。しかし、1年間で売却益を得るなら、解体する方が、手っ取り早い。というわけで、村上ファンドの傘下になったら、ライブドアは解体される。
 どういうふうに解体される? たぶん、手始めに、「ライブ」社と「ドア」社に。次は、「ラ」「イ」「ブ」と「ド」「ア」社の5社に。さらに「ラ」「イ」社は、「−」「フ」「ノ」「1」社に。ギャル文字ですね。  (^^);


● ニュースと感想  (2月28日b)

 「民主党の迷走」について。
 民主党のニセ・メール疑惑で、前原は「謝罪で片を付ける」という方針を示した。記事を引用しよう。
 これまでの同党の調査で、永田氏が入手した「メール」の送信者と受信者は、ともに情報提供者名であることがわかった。同党関係者は、情報提供者がおおもとのメールを入手し、その後、自分のアドレスに送るなどしたあとに印字した可能性があり、おおもとのメールが偽物だという証明にはならないと説明する。ただ、永田氏が少なくとも真正のメールのコピーをもとに追及したわけではないことになる。
 前原代表は、同日のNHKの討論番組で、「メールの信憑(しんぴょう)性について百%本物との説明には至っていない。率直にそういうものを材料に断定的に永田議員が質問したことにおわびを申し上げる」と述べた。
( → 朝日新聞
 これは、謝罪しているように見えるが、謝罪になっていない。国民をだまそうとしている。
 「百%本物との説明には至っていない。率直にそういうものを材料に断定的に永田議員が質問したことにおわびを申し上げる」
 と前原は言う。しかし、そのことは、永田議員には当てはまるだろうが、前原には当てはまらない。そもそも、民主党の問題は、何か? 
 「百%本物との説明には至っていないものを材料に断定的に永田議員が質問したこと」
 というのは、さして問題ではない。質問するのは、勝手だ。しかし、問題なのは、次のことだ。
 「とうてい本物であるとは思えないものを、あえて本物だと断定したこと」
 つまり、
 「偽物を本物だと断定した」
 ことだ。

 そもそもの話、もともと(電子ファイルではなく)墨塗りの印刷物でしかなかった。最近ではとうとう、私の予測したとおり、墨塗り部分の発信者と受信者が、ともにニセ・メール提供者の名義であったと判明した。( → ニュースニュース
 こんなものは、最初から、証拠価値はゼロである。なのに、そんなずさんなものを「本物だ」と明言してきたのが、民主党だ。これは、証拠の偽造のようなものであり、ひどい不正だ。(もっと正確に言えば、ただの悪戯かジョークにすぎないものを、本物だと勝手に断言したことが、とんでもない虚飾だ。)
 前原は勘違いしている。「根拠不明なものを使って質問したこと」が問題なのではなくて、「偽物を本物と述べたこと・嘘を付いたこと」という虚飾の不正が問題なのだ。
 そして、そういうこと(嘘という不正)をなした人物を、どう処するべきか? 普通なら、軽い処罰でもいいだろう。しかし今ではマスコミも野党も、そろってこう言っている。
 「虚飾の不正をなした悪人には、断固、厳しい処罰をせよ。豚箱へ」
 ゆえに、ライブドアやホリエモンを逮捕して処罰するなら、民主党や前原を逮捕して処罰するべし。それが結論だ。

 なお、当の議員は? 実は、議員は、国会内での発言には、不逮捕特権がある。ゆえに、当の議員は、免罪される。頭を下げるだけで済む。
 しかし、前原代表は、国会外でさんざん嘘をふりまいてきた。虚飾の不正をなした。ライブドアないしホリエモンと同罪である。ゆえに、次のいずれかにするべきだ。
  ・ ライブドアを解体してホリエモンを逮捕。同時に、民主党を解体して前原を逮捕。
  ・ ライブドアもホリエモンも軽罰。同時に、民主党も軽罰。(書類送検など。)
 どちらかにするべきだ。仮に、ライブドアを事実上解体してホリエモンを逮捕するなら、民主党も同様にするべきだろう。つまり、ちょっとした悪でも、見逃さずに、断固として、厳しい処罰をする。
 これはもう、暗黒社会ですね。

 [ 付記 ]
 私の主張の通りにすると、日本が暗黒社会になてしまう。それは、困るか? いや、たとえ暗黒社会だとしても、狂気社会よりはマシである。では、なぜ? 
暗黒社会なら、政府におべっかを使っている限りは、生き延びられる。狂気社会では、何をしようと、気違いの思惑で、勝手に殺されかねない。北朝鮮では、政府の言うことを聞いている限り、(食料さえあれば)生き延びられる。ヒトラーの社会では、彼の気まぐれで、容易に殺される。今日は最良の忠臣でも、明日は裏切り者とされて銃殺される。
 今の日本は、そういう状況だ。昨日はITのスターでも、今日は極悪の犯罪者として糾弾される。ヒトラー時代との違いは、狂人の数だけだ。あの当時は、狂人が一人。今は日本国民の大多数。


● ニュースと感想  (3月01日)

 「東証とライブドア」について。
 東証とライブドアの関係について、次の疑問があった。
 「悪をなしたのはライブドアなのだから、ライブドアが何らかの形で処罰されるのは当然だ」
 「東証はホリエモン個人を処罰する権限がないから、法人であるライブドアを処罰するしかない。」

 この件は、私もちょっと疑問に思ったことはあるのだが、ちょっと頭を使えばすぐにわかると思った。で、読者の理解力を信じて、「書かなくてもわかる」ことは書かずにおいた。しかし、それでは不親切であったようなので、「書かなくてもわかる」ことも書くことにしよう。
 ただし、蛇足である。「そんなことはいちいち言われなくてもわかっている」という人は、読む必要はない。

 「悪をなしたのはライブドアなのだから、ライブドアが何らかの形で処罰されるのは当然だ」
 まったく、その通り。だから私だって「免罪にせよ」なんて述べたことは一度もない。「不正はまったくなかった」と述べたこともない。私としても「書類送検で処罰せよ」と何度も書いたとおり。
 要するに、「処罰するな」と述べているのではなく、「書類送検で処罰せよ」と述べているだけだ。6000億円もの損害を出すような不正な行為をやめて、正常な形で処罰せよ、と述べているだけだ。
 ま、言わずもがなの繰り返し。

  「東証はホリエモン個人を処罰する権限がないから、法人であるライブドアを処罰するしかない。」
 ここでは、処罰するべきものを処罰するのではなく、処罰できるものを処罰する、というふうに、論旨が倒錯している。「殴りやすい奴を殴る」という発想。
 その理由は、やはり、前に述べたとおり。「社会悪と民事」の箇所で述べたが、東証は、社会悪を処罰する権限はないのだから、ホリエモン個人を処罰する必要はないのだ。ライブドアを処罰するのはいいが、ホリエモンの罪でライブドアを処罰するのは筋が倒錯している。
 上の主張はつまりは、「社会悪を摘発する検察の仕事を、東証がかわりにやりたいが、東証にはその権限がないから、自分のできる範囲のことをやる。ゆえに、加害者を処罰するかわりに、被害者を処罰する」というふうになる。論理が錯乱。前に述べたとおり。
 比喩で言うと、こうだ。交通事故で、加害者が被害者に損害を与えた。それを見た第三者が、加害者をぶんなぐってやろうかとおもったが、加害者は強くて、自分の腕力では叶わない。そこで、自分のできる範囲内で、被害者をぶん殴った。「こうやって不正を処罰した。こういうふうに関与者を処罰することで、このような事故は今後はなくなるだろう」
 ま、言わずもがなの繰り返し。

 [ 付記 ]
 ついでに言うと、「社長を選んだのは株主なのだから、社長の行為の責任は株主が負う」という意見もある。これも論理の錯乱だ。
 社長の経営活動については、株主は責任を負う。しかし、社長でなく東証がメチャクチャな論理でライブドアを上場廃止することには、株主は責任を負わない。
 たとえば、松下が欠陥製品を出したことで、松下の株価が下がったら、松下の株主は、その株価下落の責任を負う。しかし、松下が欠陥製品を出したことで、政府が松下を営業停止処分にして、松下を勝手に倒産させたとしたら、そのような勝手な過剰な狂気的な行動の責任は、狂気的な政府にあるのであって、松下の株主のせいではない。「株主が社長を選んだからいけない」というのは、政府の狂気的な活動を正当化するためには当てはまらないのだ。
 とにかく、私が論じているのは、「ライブドアを処罰するか否か」ではなくて、「狂気的な処罰をやるべきかどうか」ということだ。正確に言えば、ライブドアがどうなろうと、私の知ったことではない。われわれが狂気にとらわれるかどうかが問題なのだ。われわれの狂気自体を論じているのだ。
 上記の「ライブドアが上場廃止になったら、ライブドアのせいだ」というのは、もっともらしく見えるが、実は、「風が吹けば桶屋がもうかる」というのと同じだ。つまり、ありもしない因果関係を、勝手に強引に想定している。「桶屋が儲かったのは風のおかげなのだから、桶屋は風に金を払え」というような、強引な論理展開。狂気の論理。
 ライブドアの不正と、東証による処分は、因果関係があるように見えるが、実は、何の関係もない。東証による処分は、東証の錯乱が理由であって、ライブドアの活動は因果関係にないのだ。「風が吹けば桶屋が儲かる」という論理で、そういう因果関係を見出そうとするのは、ひどい錯乱だ。
 要するに、私が言いたいのは、「東証はライブドアを一切処罰してはいけない」ということではない。「株主の利益を守るためという名分で、逆に、株主に 6000億円もの莫大な被害を与えてはいけない」ということだ。なぜなら、われわれは狂人であってはならないからだ。
 ……ま、この件は、何度も述べたとおり。形を変えて表現しただけだ。
 
 [ 付記 ]
 では、東証のなすべきことは、何か? 「不正行為を自分自身で指摘して、検察に摘発を依頼すること」である。本来ならば、次のようにするべきであった。
 「公認会計士を企業が依頼するという状況は、不正経理の原因となる。なぜならば、不正経理を摘発する公認会計士は、社長が逮捕される状況を導くので、会社に煙たがられるからだ。現状では、公認会計士の仕事は、不正を摘発することではなく、不正を隠すことである。……ゆえに、その状況を根源的に改めるべきだ。すなわち、上場企業については、東証が公認会計士を選ぶべきだ」
 「こういうシステムを作った上で、東証自体が不正を発見して、検察に告発するべきだった」
 東証がなすべきは、こういうことだ。それによって、ライブドアに限らずあらゆる不正を発見して、その処分を検察に任せる。東証がなすべきは、株主の利益のための行為であって、ライブドアといっしょに(いわばグルになって)株主に損害を与えることではないのだ。
 東証には、東証のなすべきことがある。なのに、実際には、なすべきことをなさず、自分の無策を隠蔽するために、あとになって「自分のなすべきことをやってくれた検察の尻馬に乗る」という形で、自分の無為無策を隠蔽しようとする。事件があったあとで過剰に処分しても、事件の再発を予防することにはならないのだが、とにかく、厳しく処分することで、物事を解決したつもりになる。
 たとえば、交通事故を減らしたければ、信号や道路などをまともな環境にするべきなのだが、そういうことをなさないで、危険な状況をほったらかしにして、事故を起こりやすくしておいて、単に事故を起こした人だけを死刑にすれば、それで事故を予防できると思い込む。
 こういう発想は、物事の根源をとらえられず、物事の表面しか理解できない人のやることだ。
 そして、東証は、そうだ。なすべきことをなさないような東証には、存在価値がないのである。このことを、比喩的に、「東証を上場廃止にせよ」というふうに言える。(シャレですけど、シャレだとわからない人も、ちょっとはいるようです。言葉の表面だけを理解する人。……こういう人って、結構いますねえ。)


● ニュースと感想  (3月01日b)

 「一部マスコミの勘違い」について。
 マスコミは嘘ばかりを書いているといったが、最近になっていくらか、検察を否定する報道が現れた。「週刊現代」の最新号だ。
 座談会の形だが、「ネットでは8割がホリエモン支持だ」なんて書いてある。これはちょっと数字が高すぎるので、どこか特定の掲示板の話だと思えるが、ま、別の動きがある、というのを示すことは、良いことだ。また、検察の暴走を指摘するのも、良いことだ。
 ただし、である。そのあとがいけない。彼らは勝手に、次の推測をする。
 「国策捜査だ」(国家権力がライブドアを叩きつぶそうとしている。)
 「政局捜査だ」(政府が政局に仕立てるために事件にしている。)
 ま、どっちみち、政府と検察がグルになって、自分たちの利益のために、ありもしない罪を作り上げている、という構図である。面白い発想だが、これは正しくあるまい。
 
 では、何が正しいのか? 次のことだ。
 「検察は、何らかの目的があって、その目的のためにライブドア事件を仕立てているのではない。彼らの目的は、どこかの他人の利益ではなくて、社会の善そのものである。あくまで、善意でやっているのだ。ただし、その善意の行動に、大いなる錯覚がある」
 たとえて言うと、おぼれかけている人を救おうとして、長い棒を差し伸べる。それで良いことをしているつもりになっているのだが、実は、ちゃんと目で見ていないので、長い棒で、人を救うどころか、人を水中に押し込んでいる。良いことをなしているつもりで、悪いことをなしている。……これを見て、多くのマスコミが、「あいつは嘘を付いたんだから、溺れて死ぬのは当然だ」と喝采する。ただし、一部のマスコミは、「これは検察が政府の利益のためにやっているのだ。あいつはふだんから政府にたてついたから、政府を守るためにあえて溺れさせているのだ」と曲解して、「検察の暴走」といふうにわめく。
 なるほど、傍目から見れば、確かに検察は暴走している。しかし、検察は、自分のやっていることをわきまえて、理性的にやっているのではない。おおいなる錯覚のもとでやっているだけなのだ。要するに、検察は、自分のやっていることをわきまえていないのだ。
 ライブドア事件の根源は、大いなる錯覚である。この錯覚ないし狂気を理解することが、真実を知るということだ。「ライブドアは悪だ」というのをやめて、「検察は悪だ」というふうに述べても、何も理解したことにはならない。そこにあるのは、善悪の問題ではなくて、錯覚の問題なのだ。
 この錯覚を理解することが、何よりも肝心である。それはつまり、正気を保つということであり、真実を知るということだ。


● ニュースと感想  (3月01日c)

 《 量子力学の論文の和訳 》
 先日の英語論文について、その和訳を公開します。英語を読みたくない人も、和訳をどうぞ。
 (あまり良い翻訳ではありませんが、文学ではないので、意味がちゃんと通ればいいでしょう。特に不正確ということはありません。ただし、短縮版。)
  → ガイドのページ


● ニュースと感想  (3月02日)

 「マスコミの錯覚」について。
 次項(3月02日b)では、民主党のメールについて論じている。ただし、これを書いたのは、2月28日の夜。ところが、翌朝になると、マスコミでは民主党批判の声がわんさと湧き出ている。ちょっとネット上をぶらついても、民主党批判の声があふれている。小泉までも、こう言い出す始末。
 「お詫びすると言っておきながら、メールが偽物とはわからないと言っている。何のためにおわび、謝罪するのかわからない」
 つまり、民主党の馬鹿さ加減は、誰にも自明であるわけだ。私がいちいち書くまでもなかったかな? とも思ったが、「民主党のどこが悪いか」を、はっきりと指摘している声は、どこにもないようだ。とすれば、「ここが悪い」とはっきり指摘した次項は、ちゃんと意味があることになる。
 
 一方、ひるがえって、マスコミに目を移そう。マスコミもまた、「民主党は駄目だ」という論調が多い。
   → 朝日社説読売社説毎日社説
 しかし、そこではやはり、「民主党のどこが悪いか」を、はっきりと指摘していない。民主党の問題がどこにあるかを理解しないので、「何を詫びるべきか」をマスコミも明確に理解していないのだ。社説はいずれも、「メールが真実か否か」ということばかりに、目を向けている。しかし、世の中に偽造メールが存在したかどうかなどは、何の問題にもならない。メールではなくて、民主党の行動が問題だ、ということを、まともに理解していない。

 では、なぜ? 民主党の誤りと同じ誤りを、マスコミもまたやらかしているからだ。それは、「錯覚」である。
 民主党の誤りは、偽造メールで質問したことではなくて、偽造メールを真実のものと見なしたことだ。つまり、錯覚だ。その錯覚を前提にして、偽物を「本物」と呼ぶことで、国民全体を欺いた。……とすれば、マスコミもまた、同罪なのだ。なぜなら、マスコミは、偽造メール以外の点で、やはり錯覚をして、国民全体を欺いているからだ。
 マスコミは、民主党を厳しく糾弾する。しかし、どこがどうおかしいかを、はっきりと指摘できない。そのことは、自分自身にも、当てはまる。自分自身が民主党と同じことをやらかしているのに、そのことに気づかない。他人を「反省せよ」と批判するだけで、自分自身が同じことをやっても「反省する」という言葉がない。
 なるほど、民主党はたしかに、「メールは本物だ」という証拠を出すことができなかった。しかし、検察もまた、「莫大な損害をもたらすほどの巨悪」など、どこにも見出していないのだ。せいぜい帳簿の不正経理にすぎない。しかるに、「帳簿の不正経理」を理由に、逮捕したり(経営者を根こそぎ逮捕して)会社を解体状態にもっていくようなことがまかりとおったら、日本の企業の非常に多くの部分が、逮捕・解体という憂き目に遭ってしまう。……要するに、「ちょっとぐらい疑わしいから」という理由で、死刑にするほどメチャクチャに糾弾することなど、あってはならないのだ。
 また、検察であれ民主党であれ、「あいつは怪しいから、とりあえず見込みで逮捕または糾弾して、そのあとで悪の証拠を求める」ということなど、あってはならないのだ。民主党はその「見込み糾弾」のあげく、何も見出せずに、自爆した。検察だって、「見込み捜査」のあげく、見出したのは「大山鳴動、ネズミ一匹」というほどのことでしかない。

 で、マスコミは、どうしたか? 「ライブドアは巨額の粉飾をしたことで、株主に莫大な株価下落の損失をもたらした」などと主張している。これぞ報道の粉飾だ。検察と東証が「見込み捜査」というデタラメなことをやった。そのせいで、検察と東証が株主に莫大な株価下落の損失をもたらしたのに、その自分のもたらした被害の責任を、ライブドアに負わせている。たとえれば、こうだ。
 「ちょっと嘘を付いた奴を、嘘つきの悪という理由で、ぶんなぐって、殺してしまった。殺したあとで、よく調べてみると、こいつは他にもたくさんの嘘を付いていたことがわかった。殺した方は、『だから嘘つきを殺したことは正義だった』と言い張った。」
 そしてまた、こういうメチャクチャ論理に対して、
 「マスコミもまた、『悪の犯罪者を殺すことはすばらしい』と大々的に称賛した」
 という報道の粉飾をやらかしている。

 ここにはとんでもない錯覚がある。この錯覚が問題なのだ。そして、この錯覚を自覚することが大事なのだ。しかるに、民主党も、マスコミも、どこにどんな問題があるのかを、さっぱりわかっていない。そのせいで、「メールが偽造か本物か」という、どうでもいいちっぽけな問題ばかりを扱って、日本中で大騒ぎしているのだ。


● ニュースと感想  (3月02日b)

 「民主党の無反省」について。
 偽物メール問題について、民主党が一定の見解を出した。( → 党声明
大きな判断の間違いを犯したことを認めざるを得ません。それは、永田議員がいわゆる「メール」問題について、その真贋等を慎重に吟味せず、情報仲介者の提供情報をそのまま質問素材として使用したことです。
 「メール」の真贋について今日まで必死に調査して参りましたが、堀江容疑者が発信したものではないと評価せざるを得ない、すなわちホンモノではないと判断する状況に至りました。また、永田質問に基づき衆議院予算委員会理事会で協議の対象としていた「メール」に直接関わる「口座」問題についても同じ情報仲介者からの提供に基づくものであり、信頼するに足りる裏付けがとれませんでした。
 以上を踏まえ、民主党は、これらの問題に関する所属議員及び党の対応について十分な裏付けを欠いたものであったことを率直に認め、遺憾の意を表明する (以下、略)
 その趣旨は、「追求したこと自体は間違っていないが、そのためには証拠が不足していたのが、良くなかった」というもの。で、議員もまた同様で、「今後はしっかり証拠を集めたい」というようなことを言っている。「証拠不足だから、証拠を集めて、自らの正当性を証明したい」というわけだ。

 馬鹿げている。これでは「まったく反省していない」と言われても仕方ない。
 そもそも、ホリエモン自身が、「そんなメールを出したことはない」ときっぱりと否定しているのだ。また、「本物だとの証拠が足りない」のではなくて、ヘッダに別人名が記してあったのだから、「偽造であるという証拠がある」という状況なのだ。

 今回の問題は何か? 民主党と議員は「証拠が不足していること」だと思っているようだが、とんでもない。「ありもしない犯罪を勝手に偽造した」という、彼ら自身の偽造が問題となっているのだ。「証拠が足りない」のではなくて、「ありもしない証拠に基づいて、勝手に事件を偽造した」ということが問題となっているのだ。
 だから、反省または謝罪するなら、「証拠不足」を詫びるのではなくて、次のように詫びるべきだ。
 「私たちは錯覚していました。ありもしないものをあると勝手に思い込んで、しかも、それを間違いのない事実であるかのように嘘を付いてしまいました。だまされて勝手に信じたのは仕方ないとしても、それをあたかも真実であるかのように自分で過剰に粉飾して、国民を欺きました。ホリエモンがやったのはただの帳簿の不正であり、迷惑をかけたのは株主だけですが、私たちは国民全体をだまし、国会の場を通じて国民全体に無駄な手間暇をかけさせて国民全体に損害を与えました。私たちの罪は、ホリエモンよりも、百倍も重いのです。ゆえに、百倍の処罰を受けます」

 こう述べれば、国民は拍手喝采するだろう。だから、そう述べるべきだ。

 結語。
 民主党は、責任を取って、さっさと解体した方がいい。また、その責任として、国民には莫大な損失をもたらすといい。……ただし、そのすべては、「ライブドアの株主にバク大を与えるのが正当であれば」という前提に基づく。
 だから、「ライブドアの株主のように、自分たちも莫大な損害を受ける」か、「自分たちと同じように、ライブドアを普通に扱うか」、二者択一だ。それ以外では、論理矛盾。
 ついでだが、「ライブドアを上場廃止」とするように、「民主党も上場廃止」にするべきだ、とも言える。これはつまり、「民主党の政党資格を停止する」ということ。独裁政治ですね。ま、与党は3分の2を占めているのだから、一人ずつ弾劾していけば、民主党の全員の議員資格を呈することができる。かくて、独裁の成立。
 「不正をやった企業は上場廃止」
 というのが正当であるならば、民主党もまた同様になっていいのだ。つまり、日本は、独裁国家であるべきなのだ。
 で、こういう結論が出るのも、やはり最初の前提が狂っているからだ。この「最初の根源」の誤りに気づかない限り、あとはもう、何もかもメチャクチャとなる。

 [ 付記1 ]
 粉飾したことへの反省については、次の記事もある。(一部省略)
前原代表は……「全ての責任は私にある」としつつ、……
代表自身もこれまで記者会見や党首討論などでこの問題を取り上げ、確度が高いなどと発言してきたことについても触れ、
「本物でないという情報に基づいて質問をしたことについては、私としてはきわめて深い反省をしなければいけない」と述べた。
( → 民主党のサイト
 何を言っているんでしょうかね、この人は。本人は「反省をします」と述べるべきだ。「反省をしなければいけない」と他人事のように述べるのは、本人以外の人でしょうが。日本語の使い方を知らないんでしょうかね。
 だったら、その罪で、解任されるべきだ、と言える。自分のことと他人のことを区別できないのでは、狂人も同様だ。それとも、次の意味かな。
 「私は、自分が反省しなくてはいけないということだけは、よくわかっている。(だけど絶対に反省なんかするものか。頭を下げずに、ふんぞりかえるだけだ。)」
 ま、それなら、意味は通る。狂人ではないが、悪人である。で、本当は、どっちなんでしょうねえ? ……それとも、検察がしゃしゃり出てきて、微罪でも逮捕するのかな? 

 [ 付記2 ]
 前原は、自分が何を誤ったのか、さっぱりわかっていないようだ。だから、「メールが本物かどうか」だの、「反省する必要がある」だの、見当違いのことばかり言っている。では、正しくは? こうだ。
 「今になって過去を反省することが大事なのではない。あの時点で、自分の主張が正しいかどうかを、(他人に言われるまでもなく)自分で自分を反省する能力。その能力が欠けていた、というのが問題だ」
 要するに、今になって頭を下げるかどうかが大事なのではなくて、あの時点で自分を客観視する能力に欠けていた、ということが問題なのだ。「行け行けどんどん」で突っ走るばかりで、突っ走ることの是非を自分で考えられないこと。自己省察の能力がないこと。……つまりは、突撃隊長としての能力はあっても、党主としての能力はなかったこと。要するに、リーダーとしての資質に欠けていたこと。それが、問題なのだ。

 ただし、この能力は、養成することはできる。どこかの猿並みに、自分を反省することができればいい。とはいえ、それすらもできないで、「党主を続けることが責任をまっとうすることだ」なんて述べているようでは、猿以下の知恵としか言いようがない。

 ( ただ、これは別に、前原だけに限ったことじゃないですけどね。暴走しっぱなしなのは、前原だけじゃない。前原を糾弾するマスコミも同様だ。)


● ニュースと感想  (3月03日)

 「民主党の無反省2」について。
 前項では、「民主党の無反省」という話題で、その無反省ぶりを指摘した。その続き。
 無反省というふうに、悪口ばかり述べるでは建設的でないので、建設的なことも述べておこう。つまり民主党に対して、「どうすればいいか」という提案をしておこう。それは、「巨悪をあばく」ことではなくて、むしろ、こうだ。
 「ライブドア問題の、真実をあばく。嘘を付いて国民をだましている検察という巨悪を、白日の下にさらす」
 ところが、現実には、その反対である。「巨悪に立ち向かう」と言いながら、逆に、検察という巨悪の尻馬になって、「悪の手先」(走狗)に成り下がっている。方向が正反対だ。

 「巨悪をあばく」
 民主党のという姿勢はいい。姿勢だけは。……しかし、「巨悪」が何であるかを錯覚していると、巨悪に立ち向かっているつもりでいながら、「巨悪」の飼い犬になるだけだ。その馬鹿らしさを自覚するべきだろう。
 「巨悪をあばく」
 と称したなら、日本政府全体のような巨大な悪に向かうべきなのだ。なのに、現実には、(もともと超ケチで献金が大嫌いである)ホリエモンの、とうていありえそうもない献金などを、必死に探している。ウルトラ級のケチがやったはずの、大盤振る舞いを探している。
 根本的な倒錯。

 [ 付記1 ]
 別の倒錯もある。
 そもそも、ホリエモンが賄賂を払うはずがない。なぜなら、ホリエモンが立候補したことで、得をしたのは自民党であって、ホリエモンではないのからだ。「自民党がホリエモンに賄賂を贈って、立候補を頼んだ」というのなら、ありえなくもない。だが、逆のものを探そうとするなど、とんでもない見当違いである。探すなら、「自民党がホリエモンに贈った金」であろう。
 ま、どっちみち、あり得ない賄賂だ。ありえないものを探すなんて、政治センスないですね。要するに、民主党は、「ほしい、ほしい」と思っているものを探しているだけ。真実ではなく虚偽を実証するための証拠を探す、という馬鹿らしさ。
 なお、仮に、ホリエモンが賄賂を贈っていたとしても、その規模はあまりにも小さい。こんなものは「巨悪」たりえないのだ。誰かの金を盗んだわけじゃないんだから。「金を盗んだ犯罪」を糾弾するならわかるが、「金をプレゼントして、おまけに議席までプレゼントしようとした」というのでは、「泥棒とは正反対の慈善家」みたいであるから、こんなのを糾弾しても、何の意味もない。それだったら、小泉チルドレンを根こそぎ「巨悪」と糾弾した方が、まだマシである。
 「片山さつきと、猪口邦子と、ホリエモンは、自民党に議席をプレゼントしようとしたので、気に食わないから、みんな巨悪だ」
 となりそうだ。選挙でボロ負けしたことへの、やつあたりぎみの腹いせ。自分の無能を、他人のせいにする。反省度ゼロ。民主党らしい。(だいたい、この党は、出発点からして、「自由民主党」の名前を半分頂戴している。名前からして、気概がないね。骨なし・でくのぼうの集まりですかね。「名前を変えろ」と言いたいね。……でも、そう私が言い出したら、きっと、「自由党」にするに決まっている。  (^^); )

 [ 付記2 ]
 民主党は「入金の有無を調べるため、口座を解明するのに国政調査権を発動せよ」と述べて、自民党はこれに反対している。でもって、どっちが正当か、なんていう話題が世間をにぎわしている。しかし、これは錯覚である。
 自民党としては、民主党の要求に応えてもいいのだ。ただし、そうすると、「(政治家の家族という)私人の銀行口座を、あやふやな根拠のもとに、天下のもとにさらす」という暴挙をなしたことになる。仮に、こういう前例が作られたら、ことあるごとに家族の口座をさらさなくてはならない。違法ではなくても恥ずかしいこともあるかもしれないから、そんなことはしたくない。
 「どうってことはないさ」と思う人は、自分の口座の出入金を、ホームページで公開してみなさい。それだけの度胸がない人は、「口座を明かせ」なんて言うべきではない。たとえば、民主党は、そんなことを言う前に、前原以下全員の口座を、ホームページで毎日白日の下にさらすべきだ。
 というわけで、ここでは、疑惑解明かどうかなんていうことは、錯覚である。論じられているのは、「政治家の家族のプライバシーを暴露するかどうか」ということなのだ。そして、これは、人権蹂躙に近い。法律違反の悪である。「政治家の家族のプライバシーを暴露していい」なんていう法律はないのだから、一般人の原則が適用されるし、とすれば、むやみやたらとプライバシーを暴露することは法律違反なのだ。
 で、話を元に戻そう。民主党が、ただのいやがらせではなくて、本当に疑惑の解明を狙っているのであれば、口座の事実を確認するために、口座を自分たちで直接見るかわりに、
 「銀行の担当者を複数、証人として呼んで、入金の有無を問う」
 という形にすればよい。全員が偽証するということはないから、必ず真実の証言が得られる。
 ただし、その場合、「民主党の要求は嘘八百だった」ということがバレる。だから、民主党は手ひどい打撃を受けるだろう。恥の上塗りで、立ち直れないかもしれない。
 というわけで、民主党は、それを要求できない。かわりに、プライバシーの暴露という、自民党が飲めそうもないことを、いやがらせのためにやっているのである。(ただのいやがらせ。女の腐った奴、という感じ。)

 自民党も、馬鹿な民主党に付き合って、いちいち「拒否」なんていう態度を取っている。これじゃ、民主党の、思う壺だ。だから、自民党としては自ら、
 「銀行の担当者を複数、証人として呼んで、入金の有無を問う」
 という形を提案すればいいのだ。そうすれば、民主党は、天下のもとに恥をさらす。前原体制は崩壊するだろう。
 ただし、それは、自民党の利益にならない。馬鹿な前原が続くことが、自民党の利益になる。というわけで、前原は、馬鹿であることを利用されて、自民党のお情けで、党首の座に就いていられるわけだ。民主党のためではなくて、自民党のために、党首の座に就いているのである。民主党再建を防ごうとして。(これこそ巨悪かもね。いや、桁が小さいかな? )

( ※ 私だったら、こんな情けない状態に置かれたら、辞任しますけどね。前原というのは、口先だけは威勢がいいくせに、いざ崖っぷちに追い込まれると、ぐだぐだと弁明して、自分の延命だけを図ろうとする男。……ふだんは「敵をやっつけろ」と口先だけ威勢がいいが、本当はすごい臆病者なんです。自分の命惜しさで、党全体の命を奪う情けなさ。最低の男。たとえて言えば、夫婦で危険に陥ったとき、「妻の命を差し出しますので、私の命だけは助けてください」とすがって土下座するタイプ。)
( ※ 上の話は比喩だ。だが、少なくとも、「反省した方がいいですね」ととぼけるだけで、自分の過ちを反省することはなく、自分の過ちの責任を取ることもしない、というのは、事実。こういう奴に限って、他人にはささいな責任を取らせることに、目くじらを立てる。他人がやれば何でも巨悪であり、自分がやれば何でも微悪。前原の法則。)


● ニュースと感想  (3月03日b)

 「マスコミの大騒ぎと沈黙」について。
 マスコミは、大騒ぎをする一方で、肝心の真実については報道しないで沈黙している。この対比について述べる。

 (1) 大騒ぎ
 朝日の夕刊の「論壇時評」( 2006-02-28 )で、金子勝がマスコミ批判の意見を取り上げて、「マスコミによる騒ぎの増幅」なんてことを述べているが、あまりにも視野が狭いですね。
 「マスコミによる騒ぎの増幅」なんてのは、ちっとも問題ではない。オリンピックで金メダルがどうだとか、紀子様のご懐妊がどうだとか、マスコミというのは大騒ぎするに決まっている。騒ぐこと自体は、ちっとも問題ではない。
 問題なのは、報道が偏向していることだ。特定方向の見解ばかりが大量にあって、その裏にある別の意見(真実)が隠されている。それが問題なだ。
 つまり、マスコミは、報道が過剰なのではなくて、報道がまったく欠落しているのである。虚偽の報道が山のようにあることが問題であるというより、真実の報道がまったく欠けていることが問題なのだ。いや、前にも述べたとおり、真実の声があっても、それをあえて否定して押しつぶそうとしている。そういう態度が問題なのだ。
 金子勝のマスコミ批判は、「騒ぎをやめよ」ということだろうが、逆である。むしろ、もっともっと騒ぐべきなのだ。ただし、「虚偽」とは正反対の「真実」の方向で。

 (2) 沈黙
 では、なぜ、マスコミは肝心の真実を報道しないで、沈黙しているのか? これについては、有力な根拠がある。
 「検察の悪口を言うと、検察から、以後、内部情報をもらえなくなって、記事を書くのに差し支えが出る。一部の記者が検察批判をすると、検察番の記者から『おまえのせいで取材ができなくなった』と文句が来る。ゆえに、検察批判は、新聞社内部で自制が働く。まれに、検察批判をした記者が出ると、褒められるどころか、社内で批判がわんさと湧いたあげく、『社に迷惑をかけた』という理由で、左遷されてしまう」
 この出典は、真保裕一「ダイスをころがせ!」(新潮文庫)という本。検察でなく警察だったかな。……細かいことは、うろ覚え。
 この出典は、報道ではなくて小説だが、根も葉もない嘘ではあるまい。ありがちなことである。
 ともあれ、マスコミは、検察・警察を批判すると、情報をもらえなくなるから、検察・警察を批判できないのだ。金のかわりに情報をもらっているから、書くべきことも書けなくなっているのだ。
 情報賄賂ですね。

( ※ これはマスコミ全体を覆う賄賂だから、ひどい巨悪である。こういう巨悪を指摘すると、マスコミから嫌われてしまうので、政治家には損だ。で、仕方なく、民主党はちっぽけな微悪を巨悪に仕立て上げて、そっちに熱中しているのだ。)


● ニュースと感想  (3月03日c)

 「シュレーディンガーの猫」というページに加筆しました。
 http://hp.vector.co.jp/authors/VA011700/physics/catwja.htm

   「超球理論」の公開にともなって、「シュレーディンガーの猫」についても
   核心を簡単に示せるようになっています。

   ( ※ 加筆箇所に飛ぶには、ページ冒頭のリンクをクリックすればよい。


● ニュースと感想  (3月04日)

 「リーダーの資質」について。
 民主党の問題は、とうとう民主党の全面敗北という結果に終わった。死者に鞭打つのは私の趣味ではないから、可哀想な弱者にアドバイスをしておいてあげよう。
 前原は今ごろ何を思っているだろうか? たぶん、こうだ。
 「今回はトチった。もっと慎重にやればよかった」
 だが、そう思っているとしたら、結局、何も教訓を得ていなかったことになる。なぜか? 今回の失敗は、たまたま対処を間違ったというより、前原の政治方針の根源が狂っているからだ。

 前原の政治方針は、こうだ。
 「自分の信じる理想を実現するために、抵抗者を押し切って、断固、道を進む」
 これはまあ、若い未熟な政治家にありがちな方針であり、小泉チルドレンにありがちな方針だ。で、彼らは、小泉流の独裁政治に心酔して、そういう唯我独尊の政治をやろうとする。

 政治家には、そういう政治家がいてもいいが、それはあくまで、下っ端の政治家だけだ。市会議員や県会議員には、そういうのがいてもいいし、国会議員でも、若手ならばそれでいい。しかし、最高レベルのリーダーにあっては、そういう方針は禁じられる。リーダーの取るべき政治方針は、こうだ。
 「自己の理想という個人的な判断をなるべく抑制する。自分の意見をなるべく言わないで、多くの人の意見を聞く。そのすえに、多くの人の意見のなかから、最終的に一つのものを選択する」
 これはつまり、次のことを意味する。
 「提案者と最終決定者は、別でなくてはならない」
 企業で言えば、こうなる。
 「提案者たる部下と、承認者たる上司とは、別人でなくてはならない」
 その意味は、こうだ。
 「たった一人の独断専行で独裁体制を築いてはいけない」

 だから、前原のように、
 「自分の信じる理想を実現するために、抵抗者を押し切って、断固、道を進む」
 という方針を取るのであれば、彼は、部下・下っ端として立場に留まらなくてはならないのだ。あくまで提案者としての分を越えてはならないのだ。そして、その方針を党が取るかどうかは、最終決定者に委ねる。
 一方、自分が最終決定者になった場合には、自分の意見は差し控えなくてはならない。さもなくば、自分が間違った意見を取ったとき、それを止める人がいなくなり、自分が暴走してしまう。……そして、それが、今回の事件だ。

 要するに、前原の失敗は、たまたま起こったミスではなくて、彼の政治方針に根源的な間違いがある。たまたま起こったのではないから、彼が自分の政治方針の勘違いに気づかない限り、二度も三度も起こる。何度も失敗して、最終的には、政治生命を絶たれるだろう。

 繰り返す。リーダーは、最終責任者であるから、自ら方針を出してはいけない。やるとしたら、せいぜい、小泉ふうに「構造改革」という大本のスローガンを打ち出すだけで、あとはすべて部下に丸投げすることだ。で、ときどき、部下のやることをチェックすればいい。最終責任者というのは、そういうものだ。
 前原のように、「外交・防衛は、自分の得意分野だから、自分の思うとおりに党全体を動かす」なんていう方針は、ただの独裁にすぎない。暴走したあげく、最終的には、破綻する。
 要するに、彼には、リーダーの資質がないのである。彼がそのことに気づかない限り、今後、何度も同じ失敗をするだろうし、特に、外交・防衛分野では、民主党そのものが崩壊する結果になるかもしれない。
 前原がそのことに気づかない限り、民主党は前原を引きずり下ろすべきだ。それができなければ、民主党そのものが前原といっしょに沈没する。

( ※ そうなればいい、というのではなくて、そうなってはまずい、と思うんですけどね。ま、民主党は、私のいうことなんか聞かないから、そうなるに決まっている。残念なことだ。)
( ※ そもそも民主党は、「小泉の波立ち」をちゃんと読んでいれば、今回のような失敗はなかったはずだ。2月18日b のところでは、「このメールは偽造だ」と断定されている。世間では「あやしいけど、どっちかなあ」なんて迷っていても、「小泉の波立ち」には、ちゃんと正解が書いてあったのだ。これを読んでおけば大丈夫だったのに、これを読んでいないから、民主党は大失敗するわけ。で、いつかまた、次の大失敗をやらかしそうだ。……結語。過ちて改めず、これを過ちという。)

 参考:
   17日に、ホリエモンが「自分の書いたメールではない」と否定した。
   18日付の「小泉の波立ち」が、「ゆえに偽造」と明言した。
   20日に、前原が「本物だと確信している」と明言した。
   (出典は、適当にニュース検索すればわかる。ちょっと面倒だが。)


● ニュースと感想  (3月04日b)

 「国民一般の無反省」について。
 民主党の問題は、とうとう民主党の全面敗北という結果に終わった。さて、それはそれとして、民主党から国民に目を転じよう。国民はどうか?
 国民一般の間では、民主党の態度について、大きな批判が湧き起こっている。「ライブドアもけしからんが、民主党もけしからん」というふうに。しかしながら、これは、正当ではあるまい。なぜなら、
 「ライブドア批判と民主党批判は、矛盾する」
 ということがあるからだ。つまり、次のいずれかのみが成立する。
 「ライブドア批判だけ」
 「民主党批判だけ」
 このどちらかだけなら、問題ない。しかし、両方だと、矛盾が起こる。矛盾とは、次のことだ。
 「ホリエモンたち経営者個人が(虚飾・粉飾という)不正をなしたことで、ライブドアの全株主が株価下落という責任(被害)を負ったのであれば、今回の事件でも、同様にするべきだ、となる。すなわち、民主党が不正をなしたことで、国民が責任を負うべきだ、となる」
 つまり、
 「経営者の不正の責任を、株主全体に負わせる」
 ということが成立するのであれば、
 「民主党の不正の責任を、国民全体に負わせる
 となる。それが筋だろう。(論理的であるならば。)なぜなら、「経営者の不正の責任が株主全体にある」とすれば、「野党議員を選出したことことの責任は国民全体にある」ことになるからだ。

 しかし、私がこういうふうに皮肉ると、
 「民主党の罪で国民が罰されるのは、変だ」
 という反対が来そうだ。つまり、
 「おれは自民党 or 公明党に投票したんだ。(または棄権したんだ。)おれは、不正をした民主党には投票しなかったんだ。ゆえに、おれは連帯責任を負わない。罰するなら、民主党に投票した、馬鹿な民主党ファンだけにしてくれ」
 しかし、残念ながら、その主張は通らない。なぜなら、次のことがあるからだ。
 「ライブドアの株主もまた、ホリエモンに(株主総会で)投票したわけではないのに、連帯責任を負わされて、莫大な損失を受けることになった」
 というわけで、株券をもっている株主全員が、経営者個人による不正の責任を無理やり取らされたように、投票権を持っている国民全員が、政党党首や議員個人の責任を無理やり取らされることになる。
 ま、連帯責任を免れる人もいる。それは、投票権を持たない人だ。子供や外国人ですね。しかし、それらを除けば、他の全員は、責任を負う。
 つまり、ライブドアを責めれば、その責めは自分に跳ね返る。……私がそう主張しているのではなくて、彼ら自身がそう主張していることになる。私はそのことを指摘しているだけだ。
 教訓。情けは人のためならず。責めは人のためならず。

 結語。
 民主党はいつになっても、自らの過ちに気づかない。国民もまた、同様。狂気と錯乱の渦。

 [ 付記 ]
 ここで言う「国民」とは、ライブドア批判をしている国民です。「小泉の波立ち」の読者の大部分は、当てはまりませんね。正気の人は、狂人の責任を負わない。
 とはいえ、狂人は全員、連帯責任。……比喩的に言うと、
 「野球部不祥事で連帯責任を負うのは当然だから、株主はライブドアの連帯責任を負う」
 と思うようなら、前原や小泉を選ぶ権利のあった有権者全体は、愚か者を選んだことの連帯責任で、処罰される。前原や小泉によって被害を負わされた国民全体が、被害者の立場であることから救済されるのではなくて、彼らから被害を負ったことを理由として、第三者たる検察から二重に処罰される。
 たとえれば、ヒトラーで被害を負ったドイツ内のユダヤ人がいる。彼らが生き残ったあとで、救済されるならまだわかる。しかし逆に、(ドイツで投票権をもっていたという理由で、)連合国から絞首刑にされる。ヒトラーはガス室で殺そうとして、連合国が絞首刑で殺そうとする。つまり、被害を受けたことが、処罰の理由となる。狂気の論理。


● ニュースと感想  (3月05日)

 「野球部の出場辞退」について。
 野球部の出場辞退という話題を、前項(前日分)で軽く述べた。と思ったら、現実の方で、そういう事件が起こった。
 ( → Yahoo ニュースzakzak
 「甲子園で連覇を果たした高校の、3年生野球部員が飲酒や喫煙で警察に補導された。で、出場辞退となって、1・2年生が泣き崩れる」
 という図式。

 これをちょっと読んだときは、
 「野球部員が不祥事を起こしたのなら、当然の処置だ」
 という気もしたが、あちこちを読んだら、そうじゃない。この3年生は、卒業式を済ませたあとだから、3年生ではなくて、卒業した卒業生である。事件は卒業式当日に、卒業式のあとで(夜に)起こったのだ。
 ただし、形式論で言うと、次のことがある。
 「卒業式当日まで日本高野連に所属する野球部員という立場にあった。」
 つまり、卒業生ではあっても、規則上は野球部員と見なされるわけだ。卒業した人間が、どうしてその高校の野球部員であるのかは、私にはわかりませんけどね。

 また、驚くべきことに、次の措置があった。
 「以前の高野連規定では3年生の部員登録はシーズンの終わる11月末までとなっていたが、04年に卒業日まで登録を継続すると改正した。」
 もはや退部した部員(つまり部員ではない者)を、無理やり部員登録させておく。そして、その勝手な操作(いわば不正帳簿)を理由にして、連帯責任を取らせるわけだ。

 たとえて言うと、
 「株を売却する手続きを取った株主に対して、東証が株式の名義書換を拒否して、そのせいで大損害を株主にもたらす。そのあと、株主責任にを理由に、東証が損害分の支払いを命じる」
 つまりは、勝手に犯罪または損失を作り上げて、その責任を、無関係の相手に一方的に負わせる。1・2年生であれ、株主であれ、自分にはまったく責任がないのに、「(勝手に作り上げた)法や規則」を理由に、理不尽な被害を負わされる。
 で、そのその根拠は、
 「こういうことをやれば、今後は社会で悪が減るだろう」
 という理屈。だったら、こうなる。
 「犯罪が行なわれるたびに、無関係の仲間を血祭りに上げる

 たとえば、あなたの仲間の誰かが犯罪をやらかしたら、あなたがその責任を負わされる。あなたの仲間の誰かが未成年飲酒や麻薬吸引や脱税をやらかしたら、あなたが会社を解雇されたり、あなたが巨額罰金を負う。その理由は、
 「こうすれば社会正義が保たれる」
 というものだ。
 「そんなの、理不尽だ。道理が通らない」
 と思っても、無駄である。なぜなら、こういう狂気が、今の日本の社会を覆っているからだ。その狂気を防ぐために、あなたはどれほどのことをしたか? 何もしていないのであれば、あなたがその狂気に巻き込まれたとしても、やむを得まい。自業自得というものだ。

 [ 付記 ]
 ついでに言えば、私は別に、「高校生の飲酒を野放しにせよ」とは言わない。未成年飲酒は、もちろん好ましくないことだ。そして、それならそれで、未成年飲酒をやらかした当人を処罰すればよい。言い分によれば、「当の飲酒者は、高校の管轄下にあり、高野連の管轄下にある」(処罰対象である)ことになるのだから、たとえば、「退学処分」とか、「出場禁止処分」とか、好き勝手に処罰すればいい。
 で、そうするならともかく、そうすることができないからといって、無関係の後輩を処罰するのは、ただの「八つ当たり」にすぎない。それ自体が犯罪的だ。
 犯罪を処罰することが大事だからといって、自分自身が八つ当たり犯罪をするのでは、社会は良くなるどころか悪化してしまう。

 [ 付記 ]
 高野連の側は、
 「あくまで学校側が自発的に決めたこと」
 と言っている。こういう解釈で済ませている人も多いだろうが、それこそ「建前だけの形式主義」であり、実質や本質を見失っている。
 第一に、「自発的」というのは、当の1・2年生たち本人が決めたことを言う。今回は、彼らの自発的な意志ではなくて、高校側の強圧だ。
 第二に、このように「非・自発的な強圧」があった場合には、高野連はそれを是正して、「こんな理不尽な理由での辞退は、まかり通らぬ。学校側の管理責任の問題を、生徒に押しつけてはならぬ」というふうに、是正処分するべきだ。
 だから、どうせなら、出場させたあとで、
 「この学校は不祥事を起こしました」
 と大々的に宣伝すればいいのだ。そうすれば、名誉ではなくて不名誉の宣伝になるから、学校側としても勝利・出場のメリットはない。生徒とすれば、そんな大人の事情には関係なく、スポーツマンシップで戦えばいい。
 というわけで、高校生のスポーツの場に、大人の政治の都合を介入させるのが、根源的におかしい。
 ライブドアでも同様だ。株式市場の健全化という問題は、被害を受けた特定の株主たちに負わせても仕方ないし、むしろ、全企業の経営者に喚起するべきであるのだ。こういう根源を見失っているから、本末転倒の結論となる。

 例。
 「宝石店に泥棒が入った」という事例への処分……
  ・ 泥棒の被害を受けた店を、徹底的に処罰して、最終的に倒産させる。
  ・ 泥棒を受けていない全店に、泥棒警報機を設置して、予防措置を取る。
 根源的な対策は、どちらだろうか? 現状は、どちらだろうか? 


● ニュースと感想  (3月05日b)

 「法の遵守」について。
 よくある疑問に答える。

  「法を守らなくてもいいというのか? ライブドアの問題は不正なのだから、不正は不正として処罰するべきだ。あくまで法に従って厳格に最高刑で処罰するべきだし、東証においてはルールで最高刑の上場廃止にするべきだ」

  ここには論理のすり替えがある。「処罰の有無」ということを論じておきながら、いつのまに「最高刑」ということに話をすり替えてしまっている。
 私は、何度も書いたが、「処罰をなくせ」と述べているのではなく、「最高刑」を否定しているのだ。つまり、「法を守らなくてもいい」とか、「大被害が出る場合には、法の遵守を差し控えて、罰を免除した方がいい」と述べているわけではなくて、私が問題にしているのは、むしろ、「(法の)恣意的な適用」である。
 恣意的な適用。同じような不正(というよりもっとひどい不正)をやらかしても、一方には甘く、一方には厳しい。「トヨタや日テレや長銀には大甘で免除し、土建業界の談合も見て見ぬフリで、日本中の企業の莫大な不正経理もほとんど国税庁任せで、なのに、ライブドアだけには超厳しい」という、メチャクチャな法の運用。
 つまり、「法を守るべきかどうか」なんてことは、私は論じていない。私が論じているのは、デタラメな法の適用だ。

 そしてまた、もう一つ、次のことがある。  「加害者の被害者の混同」
 「ライブドアの事件では、経営者を『詐欺だから悪だ』と主張する一方で、『詐欺に引っかかった被害者を処罰せよ』と主張する」
 つまり、経営者は不正経理によって株主に迷惑をかけたのが悪いのに、その被害者である株主に莫大な損害をかけている。ま、株主が、不正経理でだまされたことで、数割程度の株価下落をこうむるのは、やむを得まい。それは私も仕方ないと思う。とはいえ、東証は「上場廃止」という処分をすることで、被害者に輪をかけて大幅に被害を加えようとする。
 しかも、この被害は、確定的であり、回復が不可能だ。ライブドアの不正経理は、一時的なものとして、将来的には回復可能かもしれない。だが、東証が「上場廃止」という処分をすることで、株主に低価格での売却を強いたなら、その損失は永遠に回復の機会がないのだ。「病気」は回復可能であっても、「死」は回復可能ではないのだ。なのに、東証はあえて、「悪人によってケガを受けた被害者」に対して、「死」の処分をする。

 ここには、論理の倒錯がある。それは、次のことだ。
 「加害者でなく被害者を処罰することで、犯罪の再発が防げるはずだ、と思う錯覚」
 どんな事件であれ、加害者と被害者がいるのだが、それらを区別せずに、
 「どっちも関係者だから、どっちを処罰しても同じだ」
 と思い込むと、「経営者を処罰するべきなのに、被害者を処罰して、それで正義をなしたつもりになる」という倒錯が起こる。物事の本質を見失うと、こういう倒錯が起こる。

 では、こういうことが起こるのは、なぜか? それは、
 「自分たちは正しい」
 という独善である。その独善(無反省と言ってもいい)のせいで、
 「自分たちは法を守っているのだから、自分たちのやっていることは正しいのだ」
 という思い込みが生じる。

 かくて、「自分たちは正しいことをやっている」と思い込んでいる検察と国民の、独善と妄信が起こる。
 特に、問題なのは、国民全体の狂気だ。そもそも、ライブドアを処罰するかどうかなんていうことは、私の論調の主題ではない。この具体的な話題を土台にして、国民の意識を論じている。「おのれの間違いに気づかない」という国民全体の倒錯を話題にしている。法律論ではなくて、一国全体の人間意識なのだ。
 なのに、それを無視して、「自分たちは法を守っているのだから、自分たちは正しいのだ」と言い張っている限り、いつまでたっても、おのれを縛る知識の縄から、とうてい逃れられないのだ。がんじがらめで、目をふさがれた状態。

 [ 付記1 ]
 「法律、法律」と叫ぶ人もいる。しかし、ただの法律論なら、裁判所に任せればいい。他人が意見を出しても、無意味である。そもそも、「法的な合法性の有無」など、第三者が論じても仕方ないのである。
(ただし、法律マニアは別だが。司法試験の受験生とかね。)

 [ 付記2 ]
 仮に、「微罪でも法の厳格な適用をして逮捕」という方針が実際にひろく施行されると、どうなるか?
 もちろん、たいていの人が逮捕されてしまうだろう。侮辱だって名誉毀損だって法律違反だ。立ち小便だって交通違反だって法律違反だ。
 たとえば、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」と思っても、あなただけが検察に逮捕されるかもね。みんなは見逃されて、あなただけが逮捕。恣意的な適用。

 [ 付記3 ]
 すぐ前の話を読んだら、ジョークだと思うのが普通だが、今はこのジョークがジョークではなくなっている、という点に注意すべし。「デブ」と呼んだだけで豚箱に長期間ぶち込まれた人もいる。 ( → 1月24日c 。)
 というわけで、あなたが家庭で、女房の悪口をちょっとでも言ったら、それを検察が聞きとがめて、あなたを逮捕することもありそうだ。しかも、である。女房の方は、あなたの悪口を、好き勝手に言い放題なのだ。なぜなら検察は不公平なのだから。それがつまり、「法の恣意的解釈」である。
 ついでだが、こういう不公平さは、検察以外にも、どの家庭でも女房が実行しているのだ。ま、検察の頭なんて、馬鹿女房と同程度である。
 …… と書いた私も、逮捕されそうだ。  (^^); 


● ニュースと感想  (3月06日)

 「狂気と沈黙」について。
 私の検察批判に対して、
 「おれは別に、検察を支持していないから、おれは検察の問題とは関係ないもんね」
 と思っている人もいるだろうが、しかし、黙っている限りは、半分ぐらいは同罪だ。この件は、前々項でも、次のように記した。
 「こういう狂気が、今の日本の社会を覆っているからだ。その狂気を防ぐために、あなたはどれほどのことをしたか? 何もしていないのであれば、あなたがその狂気に巻き込まれたとしても、やむを得まい。自業自得というものだ。」

 これと似た話は、歴史にもある。次のことだ。
 「ナチスドイツの拡大に対して、多くの人々が熱狂しているとき、危険だと思っても黙って放置していたせいで、ナチスがのさばって、政権を取って、国家を支配した」
 つまり、沈黙が悪をのさばらせるのだ。この件については、次の寓話が有名だ。ナチスの寓話。「法の遵守」をテーマとした話。
 「この法律を破ってチョコレートを所持したものは、大人だったら刑務所行き、子どもだったら再教育と称して洗脳されてしまうという恐ろしい法律なのです。 まるでチョコレートが全ての悪の根源であるかのような厳しさです。」
( → 書籍案内
 今の日本、そっくりだ。

 [ 付記1 ]
 次の見解もある。フジサンケイグループを黒幕とする説。
 月刊誌『論座』三月号に掲載された中川氏のレポートによると、ニッポン放送株が買い占められたとき、フジサンケイグループは幹部たちが政界、官界人脈をフル動員し、時間外取引の違法性を含めてライブドアを摘発できないか、水面下の工作に走り回った。これは不発に終わったものの、足下に火がついたフジテレビでは記者が動員され、堀江とライブドアの過去を洗えとの社命が下った。ライブドアグループを辞めた役員などに取材をかけた結果、今回の端緒となったライブドアマーケティングによる企業買収にともなう偽計取引、風説の流布容疑につながる資料を入手し、地検に持ち込んだとされるという。
 実は、私自身もこの中川レポートの内容(特に前半)を裏付ける関係者(複数)の話を以前から聞いていた。おそらく今回のライブドア摘発は、フジサンケイグループ→その「政界、官界人脈」→検察幹部というルートで仕掛けられたとみて間違いないだろう。
( → 出典
( ※ これは、私が前に書いた、1月20日c の推定そのものだ。)
( ※ 上記サイトには、「小泉の波立ち」と似た趣旨の話が他にもある。「万引きで死刑宣告を受けたようなものだ」という、孫引きの話。また、会計法についての解釈もある。 → 該当ページ

 [ 付記2 ]
 上記のフジサンケイグループを黒幕とする説は、私も唱えたが、実は私はのちに、この見解を否定した。
 理由は、ライブドアを買収しないからだ。日枝が黒幕であるならば、ホリエモンをたたきつぶすだけでは満足せず、ライブドアを安値で買収して、ライブドアをすっかり横取りするのが、当然だ。それこそ「いい気味だ」と思って、大得意になれる。これぞ合理的思考。( → 2月16日
 しかるに、そうしない。たぶん、調子に乗りすぎて、疑われるのが怖くて、びびっているのだろう。ということは、悪を実行するだけの度胸はない、ということになる。ただの第三者であって、真犯人ではないわけだ。
 そこで、あらためて考え直すと、別の犯人が推定できる。「フジサンケイグループ」には、フジテレビの社長の日枝とは別に、他のドンがいる、ということになる。そのドンとは、フジテレビのドンではなくて、産経新聞のドンだろう。(社長とは限らない。詳しくは判明しない。名指しできるほど特定されない。)
 では、なぜ、産経新聞か? ホリエモンは、フジテレビについては特に経営方針には口を出そうとしなかったはずだが、産経新聞については口を出そうとした。つまり、「保守的論調はやめて、報道情報に徹する」というふうに。
 これは、一見、当り前に見えるが、産経新聞にとっては当り前ではない。というのは、産経新聞は、超保守の広報紙だからだ。「新聞とは世論を誘導するための、保守派の道具」と考えている。当然、ホリエモンの「公正」な態度は、産経新聞のドンの、逆鱗に触れたはずだ。ほとんど人格否定にすら思えただろう。
 ドンとしては、とうてい許すことができまい。何が何でも、叩きつぶしてやろうと思っただろう。彼の狙いは、ライブドアを叩きつぶすことであり、ライブドアを子分として傘下に置くことではない。フジテレビにとってのライブドアは、「権力争いの抗争者」にすぎなかったが、産経新聞にとってのライブドアは、不倶戴天の敵であり、存在そのものを抹消させなくては気が済まない。敵を破壊すること自体に意味があるのだ。自己の損得は関係ない。……こう考えると、すべての符合が付く。
 では、産経新聞のドンとは、誰か? それは、ナベツネみたいな有名人じゃないから、私は知らないが、産経新聞は、特定の論調が強い日本唯一の新聞であるから、(社説を書く主筆とは別に)ものすごい暗黒の経営者がいることは、まず確実であろう。

 でも、こんなことを書くと、私の命も危ないな。
 「南堂をたたきつぶせ」
 という指令が来る可能性もある。(でも、そうなったら、それで宣伝できちゃうから、私としてはかえって嬉しいかも。「ライブドアと同じように、悪の帝国から攻撃のマトとなった、小泉の波立ち」ってなふうに。  (^^); ) 
( ※ とはいえ、危険はある。というわけで、もし「小泉の波立ち」が閉鎖されたら、どこかの手が回ったせいだ、とお考え下さい。下手をしたら、交通事故で跳ねられて入院し、犯人不明のまま、ということにもなるかも。)


● ニュースと感想  (3月06日b)

 「永田議員と検察」について。
 ガセネタ・メールで世間を騒がした永田議員だが、実はこれとまったく同様のことをやっているのが、検察だ。
 「正義をつらぬく、という名目で猪突猛進するが、肝心の証拠が偽物なので、行動のすべては暴走であり、結局は冤罪(つまり濡れ衣)を作り出すだけ」
 これは、永田議員も、検察も、まったく同様である。
 永田議員の場合、「口座振り込み」と彼一人が騒いでいるだけで、本当はそんなものはどこにもなかったのだ。検察もまた、同様だ。
 わずかな違いは、ライブドアには微悪があった、ということだけで、肝心の、数千億円もの損害をもたらすほどの巨悪などはどこにもなかった。勝手に「巨悪、巨悪」と検察が騒いでいるだけで、本当は巨悪などはどこにもなかった。

 世間は、永田議員のガセネタには簡単に気づいたが、検察のガセネタにはいまだにだまされている。情けないねえ。


● ニュースと感想  (3月06日c)

 「前原の判断ミス」について。
 前原は民主党代表を辞任しないことについて、こう述べた。
「(代表を)辞めることも真剣に考えた。(辞めないのは)自分の美学に反する結論だが、国会中にこれ以上の混乱を避けるために決断をした」と、引責辞任をあらためて否定した。
( → 中日新聞
 これは前原の判断ミス、と言える。仮に、混乱を避けるためであれば、まずは「近日中の辞任」という辞意だけを表面して、しばらくは「残務整理」との立場を取ればよい。「レームダック」ふうに無能扱いされるが、たかが野党の党首なんて、そのくらいは、どうってことはない。しょせん、国家の代表ではないのだから。

 それより、問題は、こういうふうに居座ることの弊害だ。仮に、そういう理屈で居座ることができるのであれば、もはや民主党は、与党に政権交替を迫ることができない。首相は常に、同じことを語れるからだ。
 「与党に責任があるという民主党の主張はまったくごもっともでございます。しかしながら、混乱を避けるためには、わが党がこのまま政権を維持することが必要だと、決断いたしましました。」
 さらに与党は、国民に訴える。
 「混乱を避けるためには、政権は自民党にお任せ下さい。与党にどんなにミスがあっても政権交替をするべきではないのです。混乱を避けることが最優先なのです。なぜなら、そのことを、民主党の党首がおっしゃっているからです。自ら政権交替を否定した野党に、どうして政権をお渡しすることができましょうか?」
 ぐうの音も出まい。前原、最大の罪。おのれ一人の座を維持するために、自党全体をほろぼす。

 さらに言えば、「自分の美学」なんていうふうに、すべてを自分の視点からしか考えられないところに、彼の器の小ささがある。何が美学だ。カッコつけてる場合じゃないでしょうが。
 「すべては代表の責任である」
 と語った以上は、その責任という言葉の重みを考えるべきだ。彼にとっての責任という言葉は、口先三寸のもので、一グラムの重みすらない。それほど軽々しくも「責任」という言葉を語るところに、政治家としての器の小ささがある。
 今回の問題の根源は、彼の政治家としての器の小ささにある。その本質を見失って、何も反省しないで、「美学」なんて口にしているような男は、メンズ・ノンノみたいなファッション誌でも読んでいればいいのだ。国会に来る器じゃない。無自覚・無反省。自分というものを、まったく認識できていない。単に得意になって自惚れているだけ。つまりは、反省というものがまるでできていない。「ちょっとトチった」ぐらいにしか思っていないから、「美学」なんていう言葉が軽々しく口に出てくるのだ。
 こんな軽い男を党首にすえているなら、民主党そのものが沈没しても仕方あるまい。実際、世論調査では、「民主党には政権担当能力がない」と見放されてしまった。これはひとえに、前原が辞任しなかったせいだ。彼が辞意を表明して、彼以外の人物が代表の座に就けば、首相候補が前原以外にもいることを示せるので、その場合には、民主党はかくもひどい打撃を受けなかっただろう。民主党を沈没させつつあるのは、前原なのだ。

( ※ ついでに言えば、永田議員は、ただの馬鹿ガキであるから、除名にするほどのことはあるまい。馬鹿ガキが理由で除名なら、もっとひどい馬鹿ガキが自民党にもいるじゃないですか。……問題なのは、馬鹿ガキの国会質問をまともに制御できなかった、馬鹿な執行部にある。馬鹿ガキ一人を処分すればいい、という問題ではない。)
( ※ 簡単に言えば、前原ってのは、ただのSLマニアないしSLオタクにすぎないのである。SLが外交・軍事に拡張しただけ。発想がすべて、このようなオタク趣味だ。首相の器じゃないね。)
( ※ ついでに言えば、代表による人事決定の際にも、「人事は面白い」なんていうふうにゲーム扱いしている。何とまあ軽い言葉であることか。これじゃただのガキである。リーダーたるもの、人事をやる際には、責任の重みを感じて、苦しむべきなのだ。楽しみながらやる、というところに、彼の責任感の欠落が感じられる。民主党における、杉村タイゾー坊やだね。二人はそっくり。前原がやめて、杉村が党首になっても、大差はない。前原はいつやめてもいいのだ。自民党から杉村坊やを党首として招きなさい。それで悪化する? いや、あっちの方が、謙虚であるだけ、前原よりはずっとマシです。党が暴走することはないから、杉村党首なら、今回の事件は起こるはずがなかった。)

 [ 蛇足 ]
 私は何でこんなに前原をけなすか? 実を言うと、2年前までは、「前原が一番良い」と思っていた。他の連中は右翼ばっかりで詰まらないが、前原だけはそこそこリベラルに思えたから。菅直人もそういう評価をしていたらしい。
 しかし、党代表になってからというものは、まったくの期待はずれ。ただの超タカ派の意見しかいわない。「だまされた」と思ったね。結婚詐欺にあった気分。こいつは、ホリエモンをはるかにしのぐ、とんだ詐欺師だ。小泉よりもひどいかも。こういう二人に比べると、杉村タイゾー坊やはホントに正直だね。一番、信用できる。


● ニュースと感想  (3月07日)

 「民主党の不正」について。
 民主党の事件については、一件落着というふうに報道されている。しかし、これは、とんでもない勘違いだ。ちっとも落着していないからだ。なぜなら、民主党の不正がまともに糾弾されていないからだ。
 民主党のホームページ を見ると、今回の問題については、「偽造を認めるページ」と「自民党への回答書のページ」とがある。後者のページでは、自民党の幹事長にお詫びする旨の記述がある。引用すると、
自由民主党ならびに武部幹事長およびそのご次男に対しまして、その名誉を著しく毀損したことを心から陳謝申し上げます。  加えまして、自由民主党及び武部幹事長並びにご子息のご了承を前提といたしまして、国会のしかるべき場で改めて陳謝いたします。
 ここには、一番肝心のものが抜けている。何か? ホリエモンへの陳謝だ。自民党関係者への陳謝はあるが、ホリエモンへの陳謝がない。
 そもそも、民主党がやったことは、何か? 次のことだ。
 「ホリエモンが書いたという偽造メールをもとにして、国会で自民党幹事長を糾弾したこと」
 ここではたしかに、自民党幹事長の名誉を毀損している。と同時に、ホリエモンの名誉をも毀損している。直接的には、自民党幹事長を攻撃しているが、そのもとになったのは、「ホリエモンが書いた」という偽造メールだ。ここでは、偽造メールを「本物だ」と明言したことで、民主党自体が偽造メールに加担していることになる。粉飾または不正にあたる。

 ここで、「民主党はだまされただけだ」と被害者扱いする向きもあるが、とんでもない。偽造メールを作成すること自体は、罪でも何でもない。ただの悪戯と同様であり、パロディの一種にすぎない。個人的に楽しむ限りは、何ら犯罪要件をなさない。しかし、根拠不明のパロディーを持ち出して、それを勝手に「本物だ」と断定して、国会の場に持ち込むことは、著しく不正である。それは国民全体を欺く不正だ。
 なぜか? 「根拠不明のものです」と正直に述べれば、誰もが「何だ、ただのガセネタか」と思うだけだから、何も問題はない。ガセネタをもとにして国会質問をするということで、民主党が馬鹿にされるだけで済む。しかし、「根拠不明のものです」と正直に述べずに、「はっきりとした根拠があります。本物です」と虚言をふりまいたことは、明白な不正なのだ。(また、「メールが真実だという証拠を見せろ」と言われたときも、「証拠はあるけれど見せられません」と嘘を付いて、国民をだました。) まったく、国民全体を欺く不正であり、ホリエモンの虚言に比べれば1万倍も重い。
 これは民主党の不正だ。そして、その不正の直接の被害者は、ホリエモンである。民主党がこんな不正をしたせいで、ホリエモンは「一国の政治を金で買おうとする巨悪だ」と見なされるようになった。そして、民主党がその虚言を訂正しないから、いまだに「ホリエモンは一国の政治を金で買おうとする巨悪だ」と信じ込んでいる国民が、たくさんいるありさまだ。国民の多くは、いまだに民主党の嘘を信じており、真実を理解できない。

 それというのも、民主党が、自分の嘘を嘘と認めていないからだ。「本物だという確証がない」とか何とか、「自民党幹事長の名誉を毀損したことをお詫びします」とか何とか、脇のことばかり述べている。肝心の本丸の「メールは偽造でした」ということを明確に認めていないし、「その直接の被害者であるホリエモンにお詫びする」ということもしていない。永田議員は、幹事長には頭を下げたし、前原代表は、小泉首相に謝罪を述べたが、二人とも、ホリエモンには頭を下げていない。もちろん、お詫びの一言すら述べていない。ホリエモンに対しては、自党の不正の犯罪性を認めることすらしていないのだ。民主党がやったことは単に、
 「権力者たる自民党に要求されて頭を下げること」
 だけである。相手が権力者だから、強力な権力者には、ぺこぺこと頭を下げる。しかるに相手が留置場にいる民間人だと、お詫びの一言すら言わない。本来ならば、民間人が、不当な罪で拘留されているのなら、「冤罪だ」と指摘して、解放して上げるべきだろう。なぜなら、彼がそこに閉じ込められていることについては、彼を「巨悪だ」と述べた民主党自体にも、いくらか責任があるからだ。
( ※ それにつけても対比されて思い出されるのは、菅直人の態度だ。エイズ薬害事件では、菅直人は、「申し訳ありません」と頭を下げた。彼は、自分ではなく前任者による不正について、頭を下げた。一方、前原は、自分がやったことに対しても、責任を取らないし、頭も下げない。彼が頭を下げたのは、大好きな小泉首相に対してだけだ。)

 結語。
 民主党は、自民党への名誉毀損(という副次的な問題)についてはお詫びをした。強者に対しては、ペコペコと頭を下げた。しかし、偽造メールという本丸の問題については、いまだに相手にお詫びをしていない。偽造の証拠をもとにして、「巨悪だ」という根拠のない嘘を振りまくという、一国規模の不正(粉飾)をなして、訂正もお詫びもしていない。
 そして、国民もマスコミも、この巨大な不正(粉飾)を理解せず、いまだにこの嘘を信じている。事件は何も片付いていないのだ。
( ※ 民主党は事件について、まだグダグダとゴマ化そうとしている、という報道もある。 → 参考記事

 【 注記 】
 民主党の原口議員だけは、ホリエモンへの謝罪を口に出した。この人だけは、民主党のなかの白一点だ。ただし、謝罪が彼だけに留まっている限りは、彼の個人的な見解にすぎない。
 民主党そのものは、何も謝罪していないことになる。実際、民主党は、国民に対して「嘘を付いてごめんなさい」と詫びてもない。一応、詫びることは詫びているが、「党支持者のご期待に添えなくてごめんなさい」と詫びるだけだ。( → 党声明 ) つまり、「嘘を付いてごめんなさい」とは詫びていない。不正を認めない政党。永田議員も、前原代表も、党本部も。
 ついでに言えば、マスコミは、原口議員の件をまったく報道していないらしい。この件の記事は、ライブドアのサイトにあるだけのようだ。かくて真実は隠蔽され、虚偽ばかりが出回る。一国全体の洗脳システム。

 [ 付記 ]
 ホリエモンを「不正をしたのは事実だ」と思っている人も多い。この件については、何度も指摘したが、百回言ってもわからない人も多いようだから、もう一度簡単にまとめておこう。
 ホリエモンが不正をやったことは事実だし、私もそれを否定したことはない。ただし、それは、よくある不正であり、書類送検で済むぐらいの不正だ。先に「万引きで死刑になる」という比喩を引用したが、そういう「万引き」程度のことにすぎない。悪はあるが、あまりにも小規模だ。
 その理由は? 前にも述べたが、繰り返すと、こうだ。
 「子会社の利益を親会社に移転するというのは、ただの帳簿の解釈であり、いちいち不正だの何だのとめくじらをたてるほどのことはない。」
 「株式売却益を資本金でなく特別利益に組み込んだ、というのは、帳簿の項目を間違えて、脱税とは逆に莫大な税を納入した、というぐらいのことでしかない」
 どちらにしても、帳簿を修正させれば済む問題だ。
 前者でも後者でも、東証または証券監視委が「是正勧告」して、それを公表すれば済む問題だ。検察が出てくるような問題ではない。経営者を逮捕するような問題ではないし、会社を解体するような問題でもない。
 特に、後者がそれほど巨大な悪であるとすれば、その正反対のことを、あらゆる会社に促進すればいいのだ。つまり、「脱税」を。莫大な税金を納入したことが「不正だ、巨悪だ」と言うのであれば、その正反対のことをやれば、「巨大な善行」になるはずだ。ゆえに、今後は、あらゆる企業に「脱税」をやらせればいいのだ。
 ライブドアを「巨悪だ」と見なす主張は、そういう倒錯を主張していることになる。
 要するに、そこにあるのは、巨大な「錯覚」なのである。民主党も、マスコミも、国民一般も、その錯覚からいまだに逃れていない。

( ※ なお、世の中には、強大な国家権力の尻馬に乗って、留置所にいる最弱の相手を攻撃することに熱中している連中が多い。そんなに弱者いじめが好きなんですかね。……現状は、国全体による「いじめ」である。ただし、私の立場は、「強きを挫き、弱気を助く」である。ま、私もついでに「いじめ」に遭いそうだが。いや、すでに「いじめ」に巻き込まれているな。)
( ※ ついでだが、こういうふうに「主流派の立場から、異端の説をつぶそうとする」という連中は、どの世界にもいる。物理、数学、生物学、経済学、……あらゆる分野で、私はこの手の迫害者から、「トンデモだ」というふうに、ネチネチといたぶられてきた。なお、西沢潤一や江崎玲於奈も、同様の被害にあったということだ。くだらないデタラメな揚げ足取りばかりをする連中に、ネチネチと絡まれる。


● ニュースと感想  (3月07日b)

 「法と処罰」について。
 法と処罰の関係を考えよう。ライブドア問題だけでなく、話を一般に適用できるが、私としては、次のようにするのが最も好ましい、と思う。
 「殺人や傷害のような凶悪犯を除いて、単なる損得や一時的な出来心に基づくような犯罪は、罰金刑を大幅に取り入れる。その金額の算定基準は、本人の所得や財産を基準とする」
 たとえば、酔っぱらい運転とか、痴漢とか、名誉毀損とか、そういうふうに「正業もつ人のなした一時的な犯罪」がある。こういう犯罪については、「永続的に凶悪犯罪をやり続けている人」とは区別して、懲役刑にも執行猶予にもしないで、大幅な罰金刑を科する、ということだ。
 現状では、たいていの場合、懲役か禁固か執行猶予か、という違いになる。罰金などは、あってもなくても、大差はない。で、法律マニアは、「懲役に処すれば、悪に対する制裁がなされたので、これで良し」と自己満足する。
 しかし、懲役では厳しすぎるということで、執行猶予になることも、非常に多い。社会的名誉のある人間の初犯については、たいていがそうだ。「反省しているから」という事情で。

 そこで、私としては、上記のように、
 「大幅な罰金刑
 を提案したい。たとえば、ホリエモンについては、
 「数百億円の罰金」
 である。ただし、彼が前もってその金額を会社または株主に還元していたのであれば、その分は、免除の対象となる。なぜなら、絶対金額が基準になるわけではなくて、もっている財産が基準となるからだ。

 検察の方針は、もちろん、
 「ホリエモンを逮捕して、ライブドアを解体する」
 ことであろう。それを持って、社会正義と見なす。しかし、私としては、
 「ホリエモンの財産を被害者に還元する」
 ということを、社会正義と見なす。逆に、
 「禁固・懲役をめざして、経営者の長期間の拘留し、会社を解体する」
 「ホリエモンが1という損を被害者にもたらしたから、自分たちは 10という損を被害者にもたらす」
 というような、検察や東証やマスコミの方針は、狂気と見なす。それは「正義」を名分にした「テロ」である。

 [ 付記1 ]
 狂気ではなくて、正常ならばこうするべきだ、という見本がある。
Winnyのウイルスが原因で、捜査資料がインターネット上に流出した問題で、県警は、職員が公用に使うパソコンのうち「公用借り上げ」の私物パソコンを7月までに全廃することを決めた。公用パソコンを購入する。
( → Yahoo ニュース
 ここでは、「違反者を厳罰で処する」という個人処分のかわりに、「公用パソコンを購入する」という制度改革で対処した。一罰百戒でなく、制度改革。これが、正気の政策だ。
 やたらと「正義」を標榜するテロリストは、破壊することしか考えないが、正気の人間は、物事を建設的に考えるものだ。「正義」と「正気」は一字違いで大違い。
( → 2月27日c 「PC情報流出」)

 [ 付記2 ]
 「ホリエモンが容疑を否認しているのだから、彼を拘留するのは当然だ」
 という主張もある。こんな主張がまかり通るなら、無実の人はいつだって拘留されて解放されないだろう。要するに、「否認すれば拘留で、肯定すれば有罪」だから、「未決囚で短期間の留置場」か、「既決囚として長期間の刑務所」か、という違いだけだ。どっちを選んでも、檻のなかに入るわけだ。
 つまり、上記の意見は、メチャクチャ論理の典型だ。あなただって、無実の罪で逮捕されて、どちらかの選択を迫られて、「罪を認めない」ことを理由に豚箱から出られなくなる可能性がある。
 ともあれ、私の見解は、「ホリエモン・ライブドアは書類送検が妥当」ということだ。罰金を巨額にするのはいいが、それもまた書類送検でよく、あとは裁判所で争えばいい。一方、ホリエモンの身柄を拘束して、ライブドアに数千億円の損害をもたらすなんて、狂気の沙汰である。
 つまりは、最初に逮捕したのが間違い。なのに、逮捕を前提として論理を組み立てると、どうしたって「拘留は正当」という結論になってしまう。「前提がデタラメだと、そのあとはすべてメチャクチャになる」というわけ。

 たとえて言うと、あなたが妻に嘘を付いて浮気したという理由で、会社が解雇するようなものだ。「会社の名誉を失墜したから解雇」という処分理由に対して、是認すれば解雇だし、否認すれば「嘘つき」を理由に解雇。どっちみち、解雇である。
 なるほど、妻に嘘を付いて浮気したことは悪い。だが、それは、あくまで、夫婦間の問題である。なのに、会社が「悪だ」と認定して、解雇処分をするのは行き過ぎだろう。「浮気を放置すると、浮気が蔓延するので、社会の迷惑だ」なんていうのも、でしゃばりすぎだ。
 ライブドアの問題も、また同様。夫と妻の問題に似て、会社と株主の問題であるのだから、夫と妻で片付ければよい。「解雇する」つまり「夫と妻の双方に大損害を与える」なんていうのは、やりすぎだ。権限の逸脱。
 それでも、解雇した会社の方は、自分が善行をしたつもりになるんでしょうね。なぜ? 「自分は正義だ」と思っているから。( → 2月24日2月20日

( ※ 一般に、「正義」を名分に、やたらと激烈な破壊活動をする連中を、「テロリスト」と呼ぶ。今の日本を覆っているのは、「テロはすばらしい」という声ばかりだ。狂気の渦。)
 狂気は、凶器だ。悪の撲滅を唱える人々は、それ自体、悪をなしているのだ。「悪」を粉飾して、「正義」を標榜しているのだ。


● ニュースと感想  (3月08日)

 「ライブドアへの裁判」について。
 ライブドアに株価下落の損害賠償を求める、という訴訟をしようと、弁護団が結成されて、被害者を集めている。
ライブドア株主の被害救済へ、弁護団が説明会  首都圏など約40人の弁護士で構成。
 損害額の算定方法について、「粉飾された2004年9月期決算が公表されたことなどで、株主は不当に高い価格でライブドア株を購入した。本来の株価を算定し、購入価格との差額を損害額にしたい」と説明した。
 「本来の株価」は弁護団が算定するが、「過去に判例がないケースだけに容易ではないが、何としても勝訴したい」としている。
( → Yahoo ニュース
 この件については、2月23日c にも述べたとおり。とにかく、結果は、
 「株主から訴訟費用を頂戴して、弁護士が自分の懐に入れる」
 ということでしかない。ただ、もう少し詳しく説明すると、以下の通り。

 ライブドアの現在価格を 80円だとしよう。このあと、弁護団の見なす「本来の株価」というのが、問題となる。場合分けすると、典型的には、次の2通り。
 ここで、考え直そう。本質的なことは、次のことだ。
 「ホリエモンがもたらした虚飾の分は、ほんのちょっと(不正経理のする十億円分)にすぎない。株価にすれば、50円にもならない。それっぽっちでしかない」
 だから、「不正経理の分を補償せよ」というのにしても、その際、「1株あたり 10円〜50円の損害賠償を求める」というのであれば、私はそれを「妥当」と認める。そのくらいの補償を求める程度の不正は、たしかにあった。事実を見る限り、その程度の小さな不正はまさしくあった。
 しかし、500円以上の巨大な暴落をもたらしたのは、ホリエモンではない。たかが数十億円の不正経理ぐらいで、株価が 80円から 600円以上に上がるはずがない。仮に、そういう異常な暴騰があったとしたら、その責任は、ホリエモンではなくて、「馬鹿が株価を高値で買ったから」というだけのことだ。

 私の見るところ、ライブドアの正常な価格は、300円程度である。そこに、素人投資家の錯覚と思惑がかぶさって、倍以上の株価になった。これは、バブル状態である。そして、同等のことは、他の日本企業の大半に当てはまる。たとえば、ソニーだって、本来の株価よりは、ずっと高い価格が付いている。これに対して、「経営者のせいで高値でつかまされた」と訴えるのは、道理からはずれている。自分が馬鹿だから高値で買っただけであり、利口ならば買わないでおけば済むだけの話だ。自分の愚かさを、人のせいにしても仕方ない。
 ライブドアの株主だって、300円を上回る分で買ったのは、自分が愚かであったからだ。それをホリエモンのせいにしても仕方ない。ホリエモンの不正経理で余計に上昇したのは、直接的には 10円程度であり、思惑分でも 50円分程度にすぎまい。
(だいたい、2004年の決算なんて、ほとんど意味をもたない。2005年の決算は、ずっと良くなっているからだ。)
 
 とにかく、ライブドアの株主が大損したのは、全体の7割ぐらいは東証と検察とマスコミのせいである。残りのうち2割ぐらいは自分の愚かさだ。最後の1割ぐらいだけが、ホリエモンのせいだ。で、この分をまかなうために、ホリエモンの私財提供を求める、というのなら、一応、わかる。ただし、1割は損害を補償されても、残りの9割は損害を補償されない。要するに、今回の弁護団の方針は、1割だけを見ていて、残りの9割を見ていない。

 ここまで読んで、「まだすっきりしないなあ。ホリエモンの罪は、1割よりもずっと多いんじゃないの?」と思う人もいるだろう。しかし、そうではないという、決定的な証拠がある。以下の計算でわかる。
 ホリエモンの持ち株数は、2005年1月の時点で、2億2000万株。( → 出典 )(この多大な株の取得は、不正でも何でもない。)
 これに対して、虚飾の分が1株 300円だとすれば、2億2000万株をかけて、不正に得たはずの利益は 660億円。
 だから、ホリエモンが得た不当利益は、最大でも、660億円にすぎない。これは、ライブドアの株主が損した 6000億円以上の、せいぜい1割程度にすぎない。
 しかも、である。ホリエモンが得た不当利益は、実は、660億円ではない。なぜなら、手持ちの株は、もはや紙屑のようになってしまったからだ。弁護団の理屈によれば、株主がホリエモンのせいで 6000億円以上を損したのだから、ホリエモンが 6000億円以上の不当利益を得ているはずだ。しかし、そんな金は、ホリエモンはもっていない。それどころか、本来なら 300円の株価で 660億円の財産をもてたはずなのに、今は、80円の株価で、150億円分しかもっていない。つまり、ホリエモンは、不正利益を 6000億円も取得していたかわりに、逆に、500億円ぐらい損しているのだ。 6000億円の黒字でなく、500億円の赤字なのだ。(誰のせいかは、いわずもがな。)
 というわけで、「損害賠償を求める」というのであれば、ホリエモンもまた、損害賠償を受ける資格があるのだ。どちらかと言えば、「投資家が狼狽売りをしたせいで、株価が下落した。だから、狼狽売りをした投資家に、ホリエモンが損害賠償を求める」というふうに、ホリエモンが株主を訴える方が、まだしも道理が通っている。

 ま、それは冗談だが、核心は、次のことだ。
 「株主もホリエモンも、どちらも被害者である。ゆえに、株主がホリエモンを訴えても意味がないし、ホリエモンが株主を訴えても意味がない。被害者同士で訴え合っても、弁護士が自分の懐を肥やすだけだ」

 物事の本質を見るべきだ。今回の事件の主犯は、東証・検察・マスコミである。彼らのせいで、本来は 300円ぐらいの価値のある株が、ボロボロに暴落してしまったのだ。核心をそらして、被害者同士で訴えさせて、訴訟費用をかすめ取ろう、というのが、弁護団の行為だ。しかしこれは、それ自体が、粉飾による不正なのである。
 だまされて訴訟費用をもぎとられる被害者が、哀れだ。ホリエモンに右頬をぶん殴られ、東証・検察・マスコミに刺し殺されかけて、瀕死の状態のときに、最後に弁護士に左頬をぶん殴られる。ライブドアの株を安値で売って得た金が、手元に少しだけある。なけなしの金が。で、弁護士は、その金を奪おうとして、虎視眈々としているのだ。(死にかけた獣を狙う、ハイエナのような連中。40人も集まったそうだ。いやしいね。)

( ※ ついでに言えば、マスコミは、民主党の不正(ホリエモンへの不正)も報道しないし、弁護団による詐欺行為も報道しない。逆に、民主党や弁護団を、正義のように扱う。マスコミもまた、詐欺師集団の一員だ。詐欺師集団がこぞって、ホリエモンを詐欺師呼ばわりする。悪人が悪人を「あいつは悪人だ」と非難する。……片腹痛い。)

 [ 付記 ]
 実を言うと、この弁護団は、ひどい詐欺を企てている可能性がある。次のことだ。
 「弁護が成功して、賠償金を取ることができると、裁判を訴えた人だけが利益を得て、裁判を訴えなかった人は利益を失う。そう思い込んだ株主が、こぞって訴訟に参加する。何十万人も。その何十万人もの株主の、ふところにある金を狙って、40人もの弁護士がわんさと集まった。蜜に引かれる蟻のように」
 ここでは、「裁判に訴えると得をする」という虚偽をふりまいて、株主を錯覚させているわけだ。なるほど、単に「裁判で勝つか負けるか」ではなくて、「参加すれば得、参加しないと損」という形にすると、焦って、だまされる人も増えそうだ。
 詐欺師の手口。株主は、注意しないと、やばいかも。二重にだまされる。


● ニュースと感想  (3月08日b)

 「ライブドアの自己中傷」について。
 2月17日b では、「ライブドアの経営陣というのもひどいね」と書いたが、実際は、こう書いた以上にひどいと判明した。ライブドアという会社は、自分で自分を攻撃している。自殺行為。具体的には、次のサイトを参照。
   → ライブドアにもの申す
 これは、ライブドアのページである。「各界の識者の意見を掲載する」という趣旨。ま、その趣旨は、悪くはない。一見、批判を受ける形で、ライブドアとしては「謙虚に批判を受け入れる」というふうに見える。
 しかし、である。そこにある主張は、デタラメばかりだ。ライブドアへの批判が、マトを射たものであれば、ライブドアは批判を聞くという形で、謙虚に反省していることになる。しかるに、ライブドアへの批判が、マトを射るどころかマトはずれであり、ただの錯覚ゆえのものであるなら、それらは誹謗中傷でしかない。そんなものをいちいち大々的に掲載するのは、自殺行為でしかない。

 一般に、不当な攻撃を受けたなら、身をかわすのが正当防衛である。相手が正義の警官であれば、その相手から「逮捕する」と言われて拘束されたとしても、抵抗するべきではない。しかし、相手が街のチンピラであれば、「はい、いくらでもぶん殴ってください」と無抵抗でいるのは、ちっとも正当ではない。反撃する必要はないが、少なくともさっさと逃げ出す権利はある。あえてサンドバッグになって一方的に殴られよう、なんていうのは、正義の行為なんかではなく、ただの狂気の沙汰だ。
 つまりライブドアは、「自己弁護しない」という意味の「無為無策」であるどころか、「自分で自分を中傷している」というふうにしている。  別の形でたとえると、「他人から殺されそうだ」という状況のときに、身を守ろうとする努力を一切放棄し、むしろ逆に、自分で自分を殺そうとしている。自殺行為。。
 
 もう少し詳しく言おう。上記の誹謗中傷は、どういう形の誹謗中傷か? そのほとんどは「経済を理解できない誤解」という、経済音痴の形の誹謗中傷だ。たとえば、
 「ライブドアは虚業だ」
 「ライブドアは株主をだまして、株主の金を莫大に奪った」
 という意見。これは、経済学的には、まったくの嘘八百である。単に経済的な無知ゆえに誤解しているだけだ。

 まず、「ライブドアは虚業だ」という件について言えば、実際には、金融業やソフトウェア業などで、まともに経済活動をやっている。ただし、何らかの形ある商品を生産してはいない。そのせいで、「虚業だ」と思う。しかしこれは、「経済活動(GDP)の7割はサービス業だ」という実態を無視した、経済音痴の見解だ。たとえば、銀行であれ、商業であれ、理容業であれ、物を生産しているのではなく、サービスを生産している。サービスは形ある物としては残らない。目に見えない。そのせいで、何も生産していないように見えることもある。しかし、銀行であれ、商業であれ、理容業であれ、まともな経済活動なのだ。ライブドアの収益の7割ぐらいは金融業であり、それは別に、虚業でも何でもない。これを虚業と見なすのは、ただの経済音痴であることを暴露しているだけだ。
 
 また、「ライブドアは株主をだまして、株主の金を莫大に奪った」というのも、とんでもない勘違いだ。金は、「株主同士の間で再配分されただけだ」というのは、これまで何度も述べたとおり。「金を奪った」というのは、とんでもない錯覚なのだ。
 検察であれ、東証であれ、マスコミであれ、以上のような倒錯を述べて、ライブドアに対して、ありもしない罪をでっち上げている。ま、それはそれで、彼らが馬鹿だから、ということで、片付くかもしれない。
 しかし、当のライブドア自身が、自己弁護もしないで、そういうでっち上げの論理を大々的に掲載して、どうするんですか。ネットのあちこちには、東証・検察・マスコミを非難する声があるのだから、そちらの声を集めることの方が、先決でしょうが。まったく、何をやっているんだか。自殺のための努力ばかりして、自分を救おうとする努力をしない。「世間は誤解してライブドアを非難している」というのであれば、その誤解をほどくべきであるのに、逆に、その誤解・中傷を、拡大再生産している。「識者の意見」という形で、「愚者の意見」ばかりを、せっせと掲載しているのだ。まったく、呆れてしまう。

 ただし、ライブドアのこの自殺ページにも、最近になって、いくらかはまともな意見も掲載されるようになった。とはいえ、すぐにはたどりつけず、リンクを何度かクリックしたあとで、ようやくたどりつける形で、奥の方にある。自己弁護の文章は、なるべく人目に付かない形で、こっそりと隠す感じ。(馬鹿丸出し、というべきか。)
 ま、とりあえずここに紹介しておくと、次のページだ。
  → 岩槻礼次郎の見解
 「東京地検特捜部の大鶴基成部長はわずか1カ月の間に、1兆円の富を無にした。その反面、報道ベースでいうと、ライブドアの粉飾は数億円から数十億円。法令違反をした事案と、それに対する制裁の落差があまりに甚だしく、めまいがする」
 という意見。まるで「小泉の波立ち」の丸写しみたいな意見だ。

 ま、こういう意見がたくさん掲載されるならまだわかるが、2月22日の分が一つあるだけ。そのあと続きが出ることもない。単発で一つ出しただけだ。その一方で、ライブドア批判や誤解にみちた意見なら、続々と掲載してる。ライブドアという会社をつぶそうとしているのは、東証・検察・マスコミだけじゃない。ライブドア自身が、自分で自分をつぶそうとしているのだ。
 今や、検察やマスコミは、あらぬ罪を着せようとしている。「おまえはこんな極悪人だ」とか、「おまえは数千億円の金を盗んだ泥棒だ」とか、濡れ衣を着せようとしている。そういうときには、「私はそんなことをやっていません」と、明確に否定するべきなのだ。なのに、その濡れ衣をはっきりと否定しないでいる。どうしようもないほど、馬鹿丸出しだ。
 ネット上には、本サイトであれ何であれ、濡れ衣を晴らそうとしている意見がいろいろとある。あちこちの掲示板にも、ライブドア擁護や検察批判の意見がいっぱいある。なのに、ネット上の意見をまるきり無視して、紙やテレビの媒体にある古臭い勘違いした経済音痴の誹謗中傷ばかりを、拡大再生産する形で、自分のサイトに掲載するライブドア。……どうしようもない会社ですね。ITもネットも使えないIT会社。
 ま、ホリエモンがいないと、こういう駄目会社になる、ということなのかも。頭が逮捕されると、すべてが脳死状態になるのかも。としたら、その点では、検察の思惑通りになったことになる。
 しかしねえ。もうちょっと、なんとかならないんでしょうかねえ。会社の社員は、負け犬根性にひたっているようだ。しかし、せめて株主ぐらいは、ライブドアに活を入れればいいのに。株主は、自らの権限として、ライブドアの社員を鼓舞するべきなのだ。「いい子ぶるな。平伏して、罪を反省する形で、会社をつぶすな。むしろ、立ち上がり、非難の矢面に立って、虚偽の誹謗中傷と全力で戦え。世論におもねらず、世論とぶつかれ。真実を示して、会社を救え」と。

 必要なのは、勇気と知恵だ。その有無が、結果を左右する。






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「小泉の波立ち」
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