[付録] ニュースと感想 (104)

[ 2006.03.09 〜 2006.03.13 ]   

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● ニュースと感想  (3月09日)

 「雑談4件」について。
 雑談を4件。

 (1) Open ブログ
 たまには、下記サイトもご覧ください。
   → Open ブログ
 「計算機数学」や「教育ゲーム」などの話があります。
 前者は、簡単にノーベル賞をもらう方法。
 後者は、無料の高機能ゲームの入手法。

 (2) 引用・転載について
 本サイトの文章を、引用・転載する場合には、必ず、URL を記述してください。
    http://www005.upp.so-net.ne.jp/greentree/koizumi/
( ※ なお、 URL の記述がないと、著作権法に反するので、ご注意下さい。)

 (3) シャンプーでハゲる
 頭を洗うのにシャンプーを使うと、ハゲる。
   → http://asyura2.com/kaminoke.htm
 ホントか? ホントでしょうねえ。私はそれを実感したので、十代のころからずっと、シャンプーをやめています。ここに書いてある話は、ずっと昔から体験していて、対策を実施済み。
 あ。私の場合は、ハゲたわけじゃなくて、髪の毛がいたんだだけですけどね。シャンプーをやめたおかげで、ハゲていません。  (^^);

 (4) 春のテンプレート
 春ですね。気分を一新して、何か始めたいと思うなら、ブログを始めるか、ブログの装いを変えるか、してみたらいかがでしょう? 春のテンプレートがあります。
   → 桜 テンプレート
 ざっと調べたところ、このテンプレートは、たぶん、日本で一番きれいな「桜」テンプレートです。
 FC2 というブログは、「テンプレートが千個以上もある」ということで有名ですが、玉石混淆どころか、大部分がカスです。2割ぐらいはかろうじて使い物になるが、7割ぐらいがカス。1割ぐらいは、「まあ、お好みでどうぞ」で、いくらか使える。「いいな」と思えるのは5%ぐらいしかないはず。千個見ても、候補になるのは50個ぐらいでしかない。見る時間が無駄になるだけ。
 一方、上記のテンプレートでは、写真が圧倒的に優れている。なぜ? 私が撮影したものではなくて、セミプロ(またはプロ)が撮影したものだから。アマチュアの撮影した写真とは、全然違います。
 写真を見ているだけでも、春の気分を味わえます。


● ニュースと感想  (3月09日b)

 「ライブドアと裁判」について。
 ライブドアの株主による裁判、という話を前日にも述べたが、その続き。
 よく調べると、この裁判には、原告が3通りある。

 そのうちの一つは、経営者だけを訴える。しかし、その場合、総額でもたいした金額にはならない。仮に言い分のすべてが通ったとしても、経営者の持ち分は総額で 200億円ぐらいだろうから、6000億円という損害のうち、3%しか戻ってこない。100万円の損害でも、3万円しか戻ってこない。一方、弁護士には、10万円ぐらいを払う必要があるかもね。差し引き、7万円の損。(弁護士は 40人か50人ぐらいいるから、下手をすると、もっと高額を取られる。)

 残りの二つは、会社を訴える。しかし、会社には、6000億円なんていう金はない。仮に、あったとしても、その分、会社の価値が減る。株価が暴落する。ようするに、
   現在の株主  →  過去の株主
 というふうに、株主間で富の再配分がなされるだけである。被害者同士で、金の奪い合いをするだけ。無意味。

 結局、三つの弁護のいずれも、駄目。被害者同士で訴え合っても、何の意味もない、ということ。この件は、先に述べたとおり。で、次のように結論した。
 「物事の本質を見るべきだ。今回の事件の主犯は、東証・検察・マスコミである。彼らのせいで、本来は 300円ぐらいの価値のある株が、ボロボロに暴落してしまったのだ。」( → 前日分 )

 そこで、次の結論が出る。
 「どうせなら、主犯・真犯人を訴えよ」
 ただし、検察やマスコミを訴えるというのは、法的にはちょっと困難だ。検察の行為は不当だとはいえ、法的にはあくまで正常な業務の一環だ。マスコミのやったことも、悪意があるとはいえ、日本中のマスコミを訴えるというのも、やはり困難だ。彼らのやったことは「悪」ではあるが、錯覚ゆえによる「悪」なので、法的責任を問いにくいのだ。
 一方、「東証」は違う。なぜなら、「上場廃止」という処分を勝手に決めてしまったことには、法的な妥当性がない。ライブドアは、検察に捜査されただけで、いまだに裁判で有罪にはなっていないから、「推定無罪」の原則により、現段階では無罪である。無罪である相手を「上場廃止」にして、株価を暴落させたのは、ひとえに東証の責任だ。
 検察が勝手に捜索しても、マスコミが虚偽を報道しても、東証だけは「法を守る」という立場で、「推定無罪」の原則を取っていれば、ライブドアの株価はかくも暴落しなかったはずだ。なのに、法に違反して、「推定無罪」の原則をはずれて、勝手に「上場廃止」を決めてしまったところに、東証の暴走がある。
 百歩譲って、「上場廃止」が妥当だとしても、その場合には、公正な審議が必要だ。ライブドアの経営者の言い分を聞いたり、第三者の意見を聞いたり、公正な審議をしたり、他の不正経理との比較をしたりして、明確な客観的な基準を示す必要がある。なのに、そうしないで、噂だけを信じて、何の証拠も審議も評価もないまま、「上場廃止」を勝手に決めてしまった。「風評ゆえによる行動」であり、法的には何の根拠もない(なかば)違法行為である。

 結語。
 どうせ訴えるなら、訴えるべき相手は、東証である。東証を相手に、6000億円ぐらいの損害賠償を求めるといい。「勝手な上場廃止をしたことによる損害」である。
 ま、そのうち 1000億円ぐらいは、「ライブドア経営者の責任」と見なされるだろうが、残りの 5000億円ぐらいは、東証の責任である。東証がそうしたのは、検察とマスコミが理由だとはいえ、最終的な責任は、東証にある。東証を相手に、5000億円ぐらいの損害賠償を求めるべきだ。(すると、びびって、上場廃止をやめるかも。)
 なお、東証の経営者に対しても、個人的な賠償を求めるといいだろう。「違法行為による損害」である。経営者一人あたり 10億円ぐらいの損害賠償を求めてもいい。

 [ 付記1 ]
 なお、東証は、「不正経理が上場廃止基準に抵触した」というだろうが、たまたま検察が摘発したものだけに適用する、というのでは、道理が通らない。(検察の飼い犬じゃないんだから。)
 仮に、そんなことを言うのであれば、他の企業のすべてに対しても、厳密な「経理チェック」をするべきだ。そして、「不正経理がちょっとでも見つかったなら、即時、上場廃止」という処分をするべきだ。特に、「脱税」は悪質なので、脱税ないし重加算税の処置を受けた企業は、すべて上場廃止にする。たとえば、トヨタをね。
 ま、これで、上場された企業の大半は、上場廃止になるだろう。かくて東証そのものが、存在意義を失う。東証の言うとおりにしたら、東証そのものが脱殻になるのだ。自己否定。自己矛盾。

 [ 付記2 ]
 東証を訴えるということと、裁判に勝つということは、別問題である。日本中が狂気に染まっているときには、東証だけを訴えても、裁判官も狂っているから、たぶん裁判には負けるだろう。(狂気だらけのなかで裁判官だけが正気だ、ということはありえない。)
 裁判に勝つためには、まずは日本中を正気に戻すしかない。そのためには、世論を喚起することが必要である。で、東証を訴えるというのは、そういうふうに世論を喚起する効果もある。
( この件は、次項でも述べる。)


● ニュースと感想  (3月09日c)

 「ライブドア問題の主犯」について。
 いろいろと考え直してみると、真犯人である「検察・マスコミ・東証」のうち、主犯と呼べるのは、「マスコミ・東証」であると思える。検察は、従犯に近い。

 検察は、ただの従犯であるにすぎない。この従犯が、ホリエモンなどの経営者を拘留している。とはいえ、検察は、自分が何をやっているか、より理解できないまま、勝手に「善」と信じて、暴走しているだけだ。経営者に手を下しているのは検察だが、根っこは、自分のやっている無謀なことを素朴に「善」と信じる「愚かさ」である。また、やったことは、せいぜい人質を監禁したぐらいのことだ。

 それに比べると、マスコミと東証は、主犯と言える。
 東証は、前項の通りで、マスコミに踊らされて、やるべきことをやらずに、やってはならないことをやった。検察は経営者を逮捕しただけで、直接的には損害をもたらしていないが、東証は「上場廃止」という決定的な行為に走った。これは、「人質の殺害」に近い。こいつが最大の実行犯だ。
 マスコミは、検察のやったことを大々的に是認し、また、検察に対する批判を封じることで、東証を「上場廃止」に走らせた。なすべきことをなさずに、なしてはならないことをなした。その悪は、「犯罪のそそのかし」にあたる。国民を洗脳し、東証を洗脳し、巨大なる粉飾をなすことで、東証に「殺害」ふうのことをやらせた。そそのかしたわけで、首謀者に当たる。こいつが最悪の主犯だ。
 ただし、この主犯は、特定の一人ではない。日本全体を覆うものだ。その意味で、「国家レベルの錯覚」が、問題の根源だとは言える。とはいえ、そこには、マスコミに最大限の責任がある。比喩的に言えば、「ヒトラーは善だ」と煽動することでドイツ国民全体を戦争に走らせるようなものだ。その役割は「悪魔」の役割と同じである。自分自身は手を下さないが、人々をたぶらかして、錯覚させて、悪の泥沼におとしいれる。

 というわけで、「実行犯」たる東証と、「悪魔」たるマスコミが、最大の主犯と言えるだろう。それに比べれば、検察の罪は、「きっかけ」になったとはいえ、ただの「監禁」もしくは「間違い」のようなものだ。これを「国策捜査」と批判しても、たいして意味はない。検察なんて、もともと、功名心に走る官僚なんだから、たいして期待するべきではないのだ。検察の暴走があっても、その暴走を国民全体でチェックできれば、何も問題はない。
 問題は、その暴走をチェックできないことだ。それというのも、「悪魔」が人々をたぶらかしているからだ。そしてまた、この現実がわかれば、「悪魔が悪い」と叫ぶだけでは何も解決しない、とわかる。大切なのは、「人々の目を覚まさせること」である。悪魔にたぶらかされた人々の意識を、夢から現実に引き戻すこと。それが、今なすべきことだ。(本サイトの目的もまた、そうである。)

 [ 付記1 ]
 検察とマスコミの関係は、永田議員と前原代表の関係に似ている。
 民主党では、永田議員が暴走したあと、前原代表がそれをチェックしないで、逆に、暴走を拡大した。かくて個人の錯覚が、党全体の錯覚に拡大した。
 同様に、検察が暴走したあと、マスコミがそれをチェックしないで、逆に、検察の尻馬に乗って、暴走を拡大した。かくて、検察の錯覚が、国民全体の錯覚に拡大した。
 前原にせよ、マスコミにせよ、「一部の暴走をチェックして抑制する」という自己の役割を放棄して、逆に、「暴走を拡大する」という逆のことをやってしまった。そこに根源的な問題がある。

 [ 付記2 ]
 日本中の目を覚まさせるには、どうすればいいか? 一つは、まあ、小泉の波立ちを宣伝することかな?  (^^);
 あとは、ライブドアという会社に、何らかの行動を取らせるべきだろう。肝心の本体が動かないと、どうにもならない。たとえば、株主が集まって、ライブドアの前で「ライブドアはまともに行動せよ」とデモでもやって、テレビの被写体になるとか。あるいは、裁判で訴えるという弁護団の前に出てきて、「こいつら弁護士は、ホントは詐欺師だから、詐欺の弁護士にひっかからないようにしよう、と訴える株主団体」というプラカードでデモをするとか。
 ま、世の中は、テレビの時代だから、テレビに映るように、あちこちで騒ぐのが、一番手っ取り早い。ホリエモンのぬいぐるみでも着るか、仮面でもかぶるとか、テレビ映えのすることをやると、テレビも取り上げてくれる。
 でもまあ、一番の王道は、ライブドアという会社が、株主たちの意見をまとめて、さらには識者の意見をまとめて、マスコミに反論することなんですけどね。自己弁護もしないで、黙っているようじゃ、どうしようもないですね。株主がいくらか騒いでも、肝心のライブドアという会社(百億円分ぐらいの広告効果をもつ強大な宣伝サイトをもっている会社)が、沈黙しているんじゃね。宝の持ち腐れ。
 ライブドアを崩壊させる主犯の一つは、ライブドアという会社である。いわば、出血状態なのに、血を止めずに、放置して、死に至らせる。自殺行為。

( ※ ついでだが、仮に、私がライブドアの社長だったら、反攻に出ます。手持ちの現金は数百億円もあるのだから、そこから宣伝費を百億円ぐらいかけて、世論と真っ向から戦う。虚偽を打破し、真実を訴える。かくて、株価を 300円〜 400円ぐらいまで引き上げる。もし私が社長だったら、300円以上にすることを公約します。もしできなかったら、無給で辞任します。だいたい、それだけの気概がなかったら、社長なんか引き受けませんけどね。責任感からして、当然でしょ。株主に数千億円もの損害をかけておいて、自分は数千万円の給料がほしくて、ぬくぬくと社長の座にしがみついているような、どこかの老害社長とは違います。……ま、要するに、勇気の問題ですね。ついでに言えば、ライブドアの現社長は、民主党の前原と同じです。単に自分がボスの座にしがみついているだけで、会社や党を崩壊させる。)


● ニュースと感想  (3月10日)

 「産婦人科医の逮捕」について。
 産婦人科医が医療過誤で警察に逮捕された、という記事がある。
   → 毎日新聞
 より詳しい話は、朝日新聞にある。(朝日・朝刊・特集 2006-03-08 )

 要するに、医療過誤で警察に逮捕されてしまった、というわけだ。もちろん、医療過誤は悪いことは悪いが、単に「技術未熟」による「業務上の過失」であるにすぎない。しかるに、「仕事が下手で失敗したから逮捕」ということになったら、日本中のほとんど全員が逮捕されてしまうだろう。
 例。
 「営業目標が達成されなかったから逮捕」
 「技術開発が間に合わなかったから逮捕」
 さらには、次のようなことも。
 「テストで満点を取らなかったから逮捕」
 「入学試験で落第したから逮捕」
 「妻の料理が下手だから逮捕」
 「夫の夜の技術が下手だから逮捕」

 ま、こういうことは、みんな民事の問題(当事者間の問題)だから、いくら他人に損害が出たとしても、いちいち警察が介入するべきことではないのだ。
 特に、今回の件で言えば、次の二点の問題がある。

 第一に、そもそも医療過誤というのは、莫大に存在するのだ。人を殺したことのない(経験豊富な)外科医など、ほとんどいない、とすら言える。医者というのは毎日死にかけた患者を大量に処理しているのだから、ミスをして患者を死なせることがあるのは、どうしても不可避なのだ。(エリック・シーガルの「ドクターズ」という文庫本に書いてあるとおり。)……そして、そういうふうにミスの頻発するのがイヤなら、医者が何もしないで放置して、ケガ人や病人を全員死なせるしかない。

 第二に、「かわりにこちらの方法を取るべきだった」という警察の医学的な主張は、必ずしも正しい医学的な処置ではない。その方法は、「子宮の摘出」であるが、「子宮の摘出」なんかやったら、次の子供を産めなくなる。絶対的に正しいとは言えない。特に、「胎盤の切り離し」さえまともにできない下手な医師が、「子宮の摘出」なんかやったら、もっとひどいことになる危険が高いのだ。医療の方法を警察が指南するなんて、医者が逮捕の方法を警察に指南するのと同様で、馬鹿げている。
 例。
 「警棒で逮捕しようとしたから、泥棒を逃がすという大失敗を犯したのだ。この警官は、銃を発射するべきだった。」
 しかし、警棒さえもろくに扱えない警官が、銃を発射したら、どうなることやら。流れ弾で、民間人に死者が出るかも。……そういうこともわきまえないで、素人が警官の方法に口を挟んで、「この警官を逮捕せよ」なんて決めつけたら、警官のなり手がいなくなる。犯罪者天国になってしまう。
 つまりは、素人が勝手に口を挟むべきではない、ということ。仮に、まずいとしても、警察の内部で処置すればよく、ミスった当人をいちいち裁判に訴えて監獄にぶち込もう、なんてのは、イカレている。狂気的。

 今回の問題の根源は、「産婦人科医が非常に少ない」という実状がある。産婦人科医というのは、女医にとってはどうということもないが、男性にとっては最もやりたくない商売である。毎日毎日、あんなのを見せられたら、自宅に戻っても、妻と一緒にステキなことをする気分がなくなってしまう。産婦人科医になるというのは、まあ、インポになるというのと、ほとんど同義である。そんなもの、誰がなりたがるものですか。(医者になっていない若いガキは「羨ましい」と思うだろうが。)
 というわけで、「産婦人科医が非常に少ない」という実状がある。で、今回の医者も、たいして技術がないくせに、大量の患者をかかえて、毎日大忙し。こうなれば、疲れから、医療ミスが起こるのは、避けられない。
 なるほど、たしかに、下手な医者は多いが、だからといって、こういう下手な医者をいちいち「逮捕」していったら、産婦人科はほとんどいなくなってしまうから、現状を改善するどころか、かえって悪化させてしまう。

 今回の問題は、警察の言うように、「技術が未熟ならば他の医者に転送するべきだった」ということよりも、「患者が自ら、セカンドオピニオンを聞いたりして、高度な経験ある医師のもとに行くべきだった」となる。「技術が未熟ならば他の医者に転送するべきだった」というのは、たしかにその通りなのだが、医者というものは誰もかもが、「自分のところに来た患者はなるべく自分で扱う」という習性ができている。それは、良くないことではあるが、違法ではない。
 ともあれ、仕事にミスがあったということぐらいで、いちいち逮捕していたら、日本中の医者の大半が逮捕されてしまって、日本から医療が消失してしまう。医者不足がミスの根源なのに、ミスの根源を放置したまま個人を過剰に処罰することで、かえって医者を減らそうとしている。

 今回の警察の介入は、ライブドア事件に対する検察の介入に、非常によく似ている。勝手に「正義」を振り回して、たまたま目立った小さな悪だけをことさら過大に騒ぎ立てて、犯罪性のないものを巨悪のようにねじまげて解釈する。そのせいで、社会を改善するどころか、かえって社会に巨大な損害をもたらす。
 一人よがりな「正義」の主張は、テロと同様なのだ。「正義」を名分に、社会を破壊する。

 [ 付記 ]
 じゃ、どうすればいいか? 
 「この病院がいい」
 という趣旨のムックが出版されている。(朝日・読売・日経。 → amazon
 内容は、「この病院にはこれこれの実施数がある」という一覧など。これを見て、手術例の多い病院を選べば、まず失敗はないはずだ。
 また、どちらかと言えば、大きな手術では、なるべく、紹介してもらって、大きな病院に行けばよい。今回の場合も、まずは「紹介状を書いてください」と言うべきであった。問題は最初からわかっていたのだから、まったく経験のない医者に手術されることになりそうだとなったら、さっさと転院して、大きな病院に行くのが常識である。
 今回の事件では、被害者が馬鹿だった、としか言いようがない。自分の身は自分で守るべきだ。

( ※ ま、無策の馬鹿者もいますが。たとえば、ライブドアという会社だ。いくら世論に理不尽な攻撃をされても、反論の一つもしないで、出血多量を放置して、血止めをしないで、死にかけている。被害者が馬鹿だ、としか言いようがない。)
( ※ かといって、一般国民もまた、馬鹿ではなくとも、悪または臆病である。「義」を勘違いすれば、テロリスト。「義」を正しく理解すれば、「義を見てせざるは 勇なきなり」)

  【 追記 】 (2006-03-11 )
 この産婦人科医の事件については、異論が上がっているようだ。私は「下手ゆえのミス」という報道を引用したが、むしろ、事件そのものを全否定する見解がある。
 「この医師は、別に下手ではなくて、経験豊かだった。この事件は、ミスゆえの医療過誤ではなくて、ただの確率的な事故にすぎない」
 という見解。下記を参照。
   → nando ブログ ( 2006-03-09 )
   → http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/
 これは専門家による見解。かなり信用が置ける。で、その通りだとすれば、事件は医療過誤ではなくてただの事故だから、これを犯罪として立件するのは、警察の暴走による冤罪だ、ということになる。……検察の暴走ならぬ、警察の暴走。ライブドアよりもひどい冤罪かも。
 ここでもやはり、「あいつは悪だ」という思い込みが、事件を勝手に作り上げていたことになるのだろう。(感想。)
 なお、本当に上手なのは下手なのかは、私には判断がつかない。そこで、「仮に下手だとすれば」(警察の言い分の通りだとすれば)という仮定のもとで、留保つきで、本文の記述を残しておこう。

 で、警察の言い分が間違っていて、すぐ上の専門家たちの意見が正しいのか? ま、たぶん、専門家の言う通りなんでしょうね。たぶん。
 ……と思ったのだが、あとで、よーく考えてみたら、専門家の言うことは、必ずしも正しくない、と思う。(素人考えですけど。)
 なぜか? たしかに、事故そのものは、確率的な事故だろう。しかし、この事故は、まったく予見不能な事故ではなくて、少しは予見可能だった事故なのだ。「こうなるかもしれない」という程度には。(朝日の朝刊によると、「完全に予見されていた」という警察の言い分が掲載されている。だが、これは、間違いであるようだ。現在の医療水準では、予見は不可能だという。)
 ともあれ、「可能性がある」という程度のことは、予見されていたらしい。とすれば、この手術の経験やら、設備や準備の不足やら、諸般の事情を考慮すると、「紹介状で転院」というのが、最善の策であった、と思える。その意味では、警察や被害家族の言うことも正しいと言えるだろう。
 ただし、「最善の策を取らなかった」ということは、犯罪要件をなさない。また、誰もかもが最善の医療を求めたら、医療体制は破綻してしまう。というわけで、「紹介状で転院」という「最善」を選ばなかったことは、悪だとは言えない。(ま、私だったら、自発的に転院したと思いますけどね。それはまた、別の話。)
 こういう観点からすると、妥当な処分の目安も付く。警察は警察で自説にこだわって「有罪」を唱えるし、医者は医者で自説にこだわって「無罪」を唱える。だが、私としては、その中間で、「若干の責任はあるが、刑事罰を加えるほどじゃない」という立場を取りたい。つまりは、行政処分で「注意・戒告」ぐらいが妥当だと思える。(遺族の心情をおもんぱかったとしても、せいぜい、業務停止三日間程度だろう。)
 というわけで、
 「この程度のことは仕方ない。犯罪にはならない。警察の出る幕じゃない」
 という結論が出る。これは、「警察の出る幕じゃない」という本文の趣旨と同様だ。となると、この追記の分は、いちいち書かなくてもよかったかもしれない。

 最後に、おまけふうに、私の駄弁を加えるなら、こうなる。
 「人の命を奪うのは断じていけないことだ、という風潮が強いが、こと医者に関する限り、その例外に当たる。医者が何もしなければ、かえって死者は大幅に増えるからだ。」
 「出産というのは、古来、非常に致死率が高い。別に、医者が下手だから母親が死んだというわけではなくて、出産というのはもともと非常に危険なことなのだ。交通事故よりずっと危険だ、と言える。」
 男ってのは馬鹿だから、そういうことになかなか気づかないが、女性というのはそういう危険なことをやってくれる、勇気ある存在なのだ。自分の命を捨てても子の命を守ろう、とすることが多い。
 エッチなことばかり考えている男という馬鹿どもとは違って、女性というのは、とても崇高なことをしてくれるのだ。そして、そういう女性の行為ゆえに、あなたもまた生まれたのだ。たいていの男の進化論学者は、
 「生物は自分の遺伝子を増やすために繁殖活動をする。ゆえに浮気は生物にとって必然的だ」
 なんていう馬鹿げたことを言っているが、世の中の学者なんていうのは、お気楽な阿呆ばかりだ、とも言えるだろう。自分の都合ばかりを考えているから、真実を見抜けない。
 で、こういうふうに「致死率が高い」という基本をわきまえていないから、「死者が出たなら、誰かが殺したからだ」というふうに思い込むことになるわけだ。
 たぶん、警察には、「毎月一件は、殺人犯を検挙すること」というような、変な目標があるのではないかな。で、鵜の目鷹の目で、何とかして殺人犯をでっち上げようとするわけ。
 なぜ? たぶん、「成果主義」なんでしょう。「いっぱい殺人犯を検挙した人が、成果主義で、昇進する」というわけ。で、何とかして、殺人犯を大量生産しようとするわけだ。
 検察官も同様だ。特に欲の皮の張った検察官だと、「ことさら目立つライブドアをつかまえてやれ。そうすれば世論が大騒ぎして、おれも有名になれるぞ」なんて損得ずくで考えるわけだ。
 「ライブドアを逮捕して、私は昇進」
 というわけ。これぞ成果主義。


● ニュースと感想  (3月10日b)

 「少子化問題」について。
 少子化問題についての最新記事。(朝日・朝刊 2006-03-09 ,朝日のサイト
妻の職場に育休制度がある夫婦では14.3%が過去1年間に子どもが生まれていたが、制度がない夫婦では5.2%だった。制度があっても、「利用しやすい雰囲気」だと18.3%だったが、「利用しにくい雰囲気」だと9.8%だった。
 つまり、「少子化対策には、育児が可能となるように、雇用環境をしっかり整えればいい」ということだ。
 これは、私がかねがね主張してきたとおりだ。世間が「少子化が進むのは大変だ」と騒ぐのはいいとしても、「少子化対策の方法は、なかなか見つからないので、困った」などと首をひねる必要はないのだ。
 しっかりと雇用環境を整えれば、出生率は(対策なしに比べて)4倍ぐらいにアップする。現状の出生率は 1.2 ぐらいだが、2.0 か 2.5 ぐらいにまで上げることは、十分に可能である。そのことが統計的にも証明されたわけだ。

 さて。今回の調査は、厚労省によるものだが、しかし、これはただの統計調査だから、本来ならば、マスコミや労働組合がやるべきことだ。ぐずな政府なんかに任せているから、何年間も実状が報道されず、悪しき状況が放置された。
 マスコミというのは、本来は、必要な情報を報道することが、使命であるはずだ。なのに、「少子化対策の方法は、なかなか見つからない」などと、嘘八百のことばかりを報道している。
 現実には、今回調査のように、ちゃんと対策はあるのだし、そのことは調べれば簡単にわかることなのに、調べようともしない。
 せいぜい、調べるとしても、事実ではなくて、意見の世論調査だけだ。たとえば、下記。
  → 読売の世論調査(少子化)
 しかし、意見の世論調査なんて、いちいち調べるまでもない。世論が割れているならともかく、「少子化は良くない」ということは、世論の一致があるからだ。この世論調査は、まったく何のためにやったのか、わけがわかりませんね。「少子化対策などしなくてもいい」という意見がどれだけあるか、ということを調べようとしたのだろうか? で、「そういう意見はほとんどありません、と判明した」ということだろうか? ほとんど無意味。馬鹿マスコミの典型。自分が何をやっているか、さっぱりわからずに、単に調査だけをして、数字だけを並べる。無意味な数字だけを。

 本来なら、無意味な世論調査よりも、事実を調べることこそ大切だ。それこそ、マスコミが「事実調査」として調べるべきことだ。なのに、やるべきことをやらない。かわりに、今回のように、「政府のくれた情報」を報道する(というか転載する)だけだ。犬がご主人様に肉をもらうようなものだ。飼い犬根性。餌をもらうことしか考えていない。

 マスコミのこのだらしないていたらくは、どこから来るのか? 根源的には、頭がないからだ。つまりは、が物事の本質を見ようとせず、物事の表面ばかりを見ているからだ。
 今回も、「少子化が進む」というデータを政府が提供したあとでと、「大変だ、大変だ」と騒ぐ。それだけだ。「どうすれば対策ができるか」ということを、まともに考えない。
 これまでも、「少子化対策には、育児が可能となるように、雇用環境をしっかり整えればいい」と私や識者が主張しても、それをちっとも信じなかったから、その主張を検証しようともしなかった。
 要するに、政府の言うことばかりを信じて、民間人の言うことを信じない。政府の言うことばかりを報道して、民間人の言うことを報道しない。……つまりは、御用マスコミ。
 今回の厚労省の調査で重要な事実がわかった、ということは、単にその事実がわかった、というだけのことことではない。もっと大きなことがわかったのだ。それは、マスコミが大騒ぎして嘘ばかりを付いて、肝心の真実を少しも報道しない、ということだ。

 [ 付記1 ]
 以上を読んで、「へえ、なるほど、マスコミ論か」と思うだけでは、まだ足りない。もう一つ追加しておけば、「企業論がある。つまり、こうだ。
 「このような状況が進む根源は、企業の社会的な無責任に原因がある。企業が目先の金儲けばかりを考えて、女性の雇用を『儲からないから』という理由で阻害する。かくも、社会責任を放棄して、社会に害悪をもたらす。これは、男女の雇用率の格差を見ても明らかなように、世界のなかでも日本企業だけに見られる不正行為(違法行為)である。」
 これもまた、私がかねがね主張してきたことだ。人間が誕生するには必ず女性が必要であり、女性なしには人間は誕生しない。ところが、「男の方が偉い」なんて思っている馬鹿男がいる。その自分もまた女から生まれたのだ、ということに気づかない。で、女性を蔑視する。あげく、女性を差別して、雇用環境を整えない。かくて、社会では、どんどん出生率が低下して、日本全体が絶滅に近づいていく。……最大の馬鹿は、男であろう。
 そして、こういう馬鹿男が牛耳っているところが、日本企業だ。その頂点が、経団連だ。この頭の古い馬鹿男たちが、やたらと目先の利益ばかりをめざすから、日本全体の出生率を下げて、日本を滅ぼしつつある。

   国滅びて 企業在り
   景気春にして 失業者多し
   風を受けては 花粉と財布にも涙を流し
   ホリエを恨んでは 経理簿にも心を驚かす

 [ 付記2 ]
 だから、帳簿をちょろまかしたライブドアなんかよりも、私利のために国を滅ぼす経団連のような、巨大な社会的不正の行為こそ、巨悪と呼べるのだ。マスコミの報道に目をくらまされずに、何が真の巨悪であるかを、はっきりとわきまえよう。
 さもないと、どこかの企業の 50億円ぐらいの帳簿ミスに血道を上げて騒いでいるばかりで、国を滅ぼす巨悪を放置することになる。現状がそうだ。
 真実を見よう。経団連というのは、弱い女性の利益を吸い上げて、自分ばかりが甘い蜜を吸おうとして、違法行為(雇用差別)をやらかしている、巨大な悪のマフィア集団である。ただし、どんなに巨悪をやらかしても、自民党に巨額の献金をしているから、決して逮捕されない。一方、ライブドアは、ちっとも献金しないから、さっさと逮捕される。
 こういう巨悪ののさばる現実をこそ、社会は摘発するべきだろう。ところが、野党もマスコミも駄目だ。
 野党は、巨大な悪のマフィア集団である経団連を攻撃するどころか、逆に、ありもしない「献金」という虚偽情報にかぶりついた。ダボハゼみたいに、偽の餌に食らいついた。かくて、骨抜きにされて、巨悪に立ち向かう気概さえもなくした。
 マスコミの方は、相も変わらず、どうでもいい情報にかぶりついてばかりだ。あまりいも小さなライブドアという餌を、「巨大な餌だ」と信じて、食いついて、なかなか離れない。

 ともあれ、少子化というのは、日本全体の未来を大きく左右する、巨大な問題である。それは国の人口を大幅に減少させるから、日本人を 五千万人ぐらい減らす、巨大な影響がある。 50億円ぐらいの帳簿ミスに血道を上げて騒いでいると、こういう巨大な問題を見失う。


● ニュースと感想  (3月11日+)

 前日分への追記 (医療過誤の件)
  → 該当箇所


● ニュースと感想  (3月11日)

 「フジテレビの訴訟」について。
 フジテレビが「ライブドアに損害賠償を求める訴訟をする方針」という見解を表明した。これはまあ、「ライブドアいじめの宣伝」と見るのが妥当だろう。仮に、本当にそうするつもりであれば、そんなことは宣伝しない方が、自社のためだからだ。株価が下がって、フジテレビの得になることは、何一つない。かえって損するだけだ。「語れば語るほど、手元に入る金が減る」という図式。
 というわけで、こんな見解は、いちいち相手にする必要はない。ただのいやがらせに過ぎまい。本音は、こうだ。
 「ひひひ。こう発言すれば、またライブドアの株価が下がるぞ。弱り目に祟り目だろう。ざまあみやがれ。おれ様をいじめたやつが、ひどい目に遭うのは、とっても気持ちいいね。スカッとする。さてと。また、あいつをいじめてやるか。ああ、いじめるって、なんて快感なんだろう。カーイカン」
 という調子。

 さて。いじめに快感を感じる変態野郎の調子に合わせるのはやめて、まともに理性的に考えると、どうか? この件は、先に「損害賠償の弁護団」について述べたことと、だいたい同じになる。 つまり、以下の通り。
 第一に、「株価下落」のうち、不正経理の分はごくわずかであり、株価下落のほとんどはマスコミによる風評のせいであるのだから、たとえ全面勝訴したとしても、入ってくる金はたかが知れている。( → 3月08日
 第二に、粉飾による影響は 2004年9月期の分だけであり、その後については 2005年9月期の決算が適用される。この分は、粉飾があったという証拠はまったくないから、「粉飾による損害」を申し出ることはできない。
 第三に、 2005年9月期の決算が出た段階では、ライブドアの株は、けっこう上がっていた。 ( → 株価グラフ ) これから算定すると、フジテレビがライブドアの株式で得た利益は、2割か3割ぐらいだ。一方、粉飾による損失は、50億円の粉飾による過去の損失だから、多めに見ても、1割だろう。差し引きして、フジテレビは、1〜2割の株価上昇利益を得ている。「損害を補償するべきだ」と思うのであれば、「赤字が出たことの保証をするべきだ」ととはならず、「黒字が1〜2割になったことの損害を補償するべきだ」ということになる。だから、どうせなら、フジテレビがライブドアに数十億円を払えばいいのだ。それが正当であろう。
 第四に、フジテレビが混同しているのは、「株価下落がライブドアのせいだ」と思っていることだ。本当は、東証とマスコミと検察がグルになって、ライブドアを上場廃止に追い込んだのが原因なのだから、「損害をもたらした相手に補償を求める」のであれば、東証とマスコミと検察に損害賠償を求めるべきだろう。

 [ 付記 ]
 第五のこともある。「ライブドア上場廃止への回避策をとらなかったこと」を理由に、損害賠償を求めるのであれば、それはそれなりに、いくらか正しい。ただし、その損害賠償では、金の請求先は、ホリエモンでもライブドアでもなく、現在のライブドアの老人経営者だけである。彼らだけは、無能ゆえに、株価下落を放置した責任がある。(次項で述べるとおり。)
 というわけで、これらの老人経営者を相手に、せいぜい1億円ぐらいの損害賠償を求めるといいですね。仮にそれ以上を求めても、払えっこないんだから。
 で、どうなる? たぶん、訴訟費用が5千万円で、賠償額が2千万円で、差し引きして、弁護士ばかりがボロ儲け、というふうになりそうだ。


● ニュースと感想  (3月11日b)

 「上場廃止対策」について。
 東証がライブドア株の上場廃止の方針を打ち出した。週明けに、証券監視委の告発を受けて、上場廃止を決める予定だという。あちこちで報道されているとおり。
 で、これを受けて、“東証は、自らライブドアに「死刑宣告」を下すことになる。”なんていう報道もある。( → 読売のサイト
 ま、こういう報道や曲解が出回っているのだから、ライブドアという会社は、そろそろ、上場廃止に対する対策を取るべきだろう。
 「狼なんか、怖くない。上場廃止なんか、怖くない」
 というふうに、はっきりと示すべきだ。誤解をのさばらせておくべきではあるまい。

 具体的には? 東証に言われるまでもなく、さっさとライブドアという会社を自分で上場廃止にしてしまえばいいのだ。そして、そのためには、上場済みの他社と合併する。あるいは、その方針を、あらかじめ示しておく。
 たとえば、ライブドア系列にも、次のような上場会社がある。(数字はマザーズ等の株式番号)
  ・ メディアエクスチェンジ  <3746>
  ・ ターボリナックス  <3777>
  ・ ライブドアオート  <7602>(東証二部)
  ・ セシール      <9937>(東証一部)
 これらと合併すればよい。
 また、これらの会社が小さすぎて目立たないというのなら、一部か二部に上場している会社を買収して、その会社と合併すればよい。青息吐息で赤字の会社なんか、たくさんあるのだから、上場代金のつもりで、さっさと買収して、合併すればいいのだ。それだけのことで、株価は急騰するはずだ。

 先に、私は、こう述べた。
 「もし私が社長だったら、300円以上にすることを公約します。もしできなかったら、無給で辞任します。だいたい、それだけの気概がなかったら、社長なんか引き受けませんけどね。責任感からして、当然でしょ。」
 これは決して、荒唐無稽のホラではない。今のライブドアの株価は、業績悪化によって下落したのではなくて、単に、「上場廃止で株券が紙屑になる」という妄想(マスコミによるデタラメの風評)によって下落しただけだ。業績悪化によって下落したのならば、さすがにどうしようもないが、「業績はいいのに、上場廃止の懸念だけで暴落した」というのであれば、妄想によって下落しただけなのだから、妄想を打破することで、簡単に株価は上昇する。
 ま、上記の方法を取るだけで、株価は急騰するだろう。私だったら、そうするし、そのことで、「300円以上にすることを公約します」ということを、まさしく実現する。私は嘘を付きません。(冗談は言いますが。)

 ま、ライブドアがそうすれば、どうせ世間は、
 「そんなことをするのはけしからん」
 と大騒ぎするに決まっているが、その場合には、
 「合法的なことなんだから、文句を言われる筋合いはないね。」
 なんていうふうにホリエモンふうに居直るべきではあるまい。そんなことを言えば、世間の反発を食って、株価が下落する。(そこがホリエモンの馬鹿なところ。)
 じゃ、どうすればいいか? 正面から、相手の間違いを正せばよい。
 「当社にはもはやホリエモンはいないのだから、合併というのはただの正常な経済活動にすぎない。他社だって、あちこちで、合併することはしょっちゅうある。銀行だって、いろいろと合併したはずだ。合併というのは、善でも悪でもなく、ただの経済活動である。ただの正常な経済活動について、勝手に善悪を決めつけないでくれ。もしこれが悪だというのであれば、これまで合併した多くの企業を、みんな解体して上場廃止にしてしまえ。それこそ経済音痴の主張だ」
 こうやって、世論を堂々と論破すればよい。

 なお、
 「そんな合併は、擬装だ、粉飾だ」
 と文句を言う人がいたら、
 「堂々とすべてを白日の下にさらして公開しているのに、何をどう偽っているというんですか? 正直にすべてを示すことを、擬装だ、粉飾だ、というのですか? だったら、あなたの日本語力が狂っているだけだ。問題は、株の問題ではなく、ただの国語の問題にすぎない。あなたが国語辞典を引き直せば、解決が付く問題にすぎない」
 と教えてやればよい。

 ま、上場廃止なんて、たいした問題ではないのだ。たとえば、とりあえずは、上場しているセシールあたりと合併して、セシールを存続企業にすればいい。その場合、「ライブドア」という社名は消えて、「セシール」という社名になるが、それだけの話だ。どうってことはない。そもそも、「ライブドア」という社名からして、もともとはホリエモンの会社が買収した先の会社の名前であって、本来の名前ではないのだ。そんな名前は、捨ててしまっても、一向に差し支えない。
 そもそも、ライブドアっていう名前は、あんまりいい名前じゃないですよね。「セシール」の方がいい名前だから、これを機会に、名前も変えてしまえばよい。

 ま、私が社長だったら、こういうふうにして、さっさと株価を 200円以上に引き上げる。その方法は、ごく簡単。「合併して社名を変更します」と、記者会見で発表するだけでいい。何の手間も金もいらない。1時間で実施できる。
 しかしまあ、それは、私が社長だったら、という仮定の話。現在の社長は、どうしようもない老人だから、そういうことをするとは、思えませんけどね。
 なぜか? 勇気がないから、世論に反対することが、何もできないわけ。ただ頭を下げて、頭を低くして、ペコペコすることしか、能がない。「無難に任期を勤めあげること」しか考えていない人が、会社存亡の危機に、何か行動を取れるはずがない。そういう人物だから、ライブドアに買収されたちゃったんですからね。
 で、こういう人間が社長をやっているところが、ライブドアの駄目なところ。ついでに言えば、何一つ声を上げない社員がそろっているのも、ライブドアの駄目なところ。トップダウン式の経営の弊害が、今になって現れた、というところでしょうか。
 ライブドアが莫大に攻撃されたことには、ライブドアの責任はほとんどないが、莫大に攻撃を受けても、なすがままになっていることについては、ライブドアの社員と社長の責任だろう。……その意味では、この会社は、駄目な会社ですね。「自立」ということができない会社。「言いなり」になるだけの会社。かつては経営者の言いなりになって、今は世論の言いなりになる。企業体質が虚弱すぎる。簡単に言えば、「気概」というものがない。比喩的に言えば、男の○○○○がついていない。たんたんタヌキ以下。

 [ 付記 ]
 上記ではさんざんライブドアという会社(または社員)の悪口を言っているが、これは別に、私だけの特別な意見ではない。ちなみに、次の各サイトを見るといい。
  → goo ブログ検索
 多くの人が、ライブドアの馬鹿さ加減に、呆れ返っている。「強制捜査 Tシャツ」というのを発売しライブドアをコケにしている。この宣伝Tシャツは、「ばかどもめ、ざまあみやがれ」というライブドア非難の趣旨。これを作成したのが、フジテレビなら、まだわかる。他人の不幸を利用して金儲けしてやろう、なんてのは、フジテレビぐらいだろうから。……ところが、フジテレビの上を行くのが、ライブドアだ。
 たとえて言うと、自分が刃物で刺されて死にかけているときに、自分を死ぬ状況をTシャツにして金儲けしよう、というわけ。自分の命を救うどころか、自分が死ぬのを利用して、「金儲けができる」と喜んでいるわけ。これほどの馬鹿には、お目にかかったことがないね。で、人々にさんざん馬鹿にされるが、それでもなお自覚できない、ライブドア。
 どうしてでしょうねえ。もともと大阪系のボケが多いのかも。
     ライブドア  → アド live
 吉本系なのかもね。
 でなければ、「ドブあらい」かな。あるいは、「アラブ井戸」すなわち、空っぽ。


● ニュースと感想  (3月12日)

 「不法行為の合法化」について。
 ライブドア事件では、「ライブドアは違法行為をしたから悪だ」という意見がある。ま、それは、建前としては問題ない。検察や警察が行動するなら、その原則に則って行動すればいいだろう。彼らは法以外の原則をもたない。彼らは法の下僕としての立場にあるからだ。
 しかし、一般国民は、違う。国民は法の下僕ではなく、法が国民の下僕である。国民については、「法で定まっているのだから、有無を言わずに黙って法に従え」ということは成立せず、「その法は妥当であるかどうか」を検証する必要がある。
 さもなくば、思考停止状態になる。検察や弁護士や裁判官みたいな法律馬鹿になってしまう。そして、こういう思考停止状態になったとしたら、その被害を受けるのは、国民自身だ。

 以上の一般論を踏まえて、具体論に移る。扱う問題は、
 「賃金不払いの合法化
 である。賃金不払いは、通常、「賃金不払い」という用語で呼ばれず、「サービス残業」という粉飾まがいの言葉で語られている。だが、こんな粉飾用語を使うべきではあるまい。こんな用語を使うのであれば、ライブドアの帳簿の不正は、「帳簿の記入ミス」または「うっかり」と呼んでもいいはずだ。
 ま、そういうふうにゴマ化すことをお勧めするわけではなく、そういう言葉の粉飾をしてはいけない、ということだ。というわけで、「サービス残業」というマスコミ用語は粉飾なので使うべきでない。正しくは、企業の行動は「賃金不払い」であり、労働者の行動は「無給労働」である。
 で、労働者に「無給労働」を強いる「賃金不払い」の企業行動は、もちろん、違法である。莫大な量がなされている。で、この違法状態を、解消するべきだ。さもなくば、企業経営者を逮捕するべきだ。

 ところが、経団連の方は、驚くべき行動に出た。「違法行為をやめる」のではなく、「違法行為を合法化する」という挙である。法律に合わせて違法な現状を是正するのではなくて、違法な現状に合わせて法律を改悪する、という挙である。すなわち、こうだ。
 「裁量労働制の推進。一日にどんなに残業しても、賃金不払いをしない、という企業行動を是認する、という法制度の推進」
 これは違法行為を合法化する、ということだ。たとえれば、こうだ。
 「不倫の合法化。合法なので、不倫をしてもよい」
 「不正経理の合法化。合法なので、不正経理をしてもよい」
 「泥棒の合法化。合法なので、泥棒をしてもよい」
 このうち、最後のものが、経団連の方針だ。賃金不払いは、労働者に対する企業の泥棒であるからだ。で、これは、
 「殺人の合法化。合法なので、殺人をしてもよい」
 というのと、ほとんど大差はない。そう言うと、「南堂の誇張だな」と思うかもしれないが、実は、誇張ではない。なぜなら実際に、
 「裁量労働制の推進で、過労死が続出している」
 という事実があるからだ。

 この件については、参考資料となるデータがある。厚労省のデータでは、「04年の年間労働時間は 1800時間だから、日本の労働時間は諸外国並み」だそうだ。しかるに、ある大学教授の見解では、「そのほかに年間 300時間のサービス残業がある」とのことだ。(朝日朝刊・特集・2006-03-02 )
 
 要するに、「法の遵守」なんてことばかりを重視して、「ライブドアは違法なことをやっているから処罰せよ」なんて大騒ぎしていると、足元では、「不法行為の合法化」ということが推進されて、人々は金を奪われたり命を奪われたりするハメになるのだ。( → 3月05日b 「法の遵守」 )
 他人の帳簿の不正ばかりに目を奪われているから、経団連という巨大な力が国を操作して、あなたの財布と命を奪おうとしているのだが、そういう状況になっても、「ライブドアの帳簿がどうのこうの」なんてことを騒いで、ライブドアを破壊することを正当化しているから、その間に、自分の人生が破壊されてしまうのだ。
 ライブドアの不正経理など、日本中にわんさとある不正経理のなかで目立つだけであって、いちいち大騒ぎするほどのものでもない。ライブドア事件では、一般国民は誰も金を奪われていないのだ。株主は金を奪われたが、奪ったのはライブドアではなくて東証とマスコミだ。そして、こういう馬鹿騒ぎによる破壊行為を是認してばかりいるから、肝心の巨悪を見失ってしまう。ちっぽけな悪ばかりを見て「巨悪」と勘違いするから、本物の巨悪を見失う。
 本物の巨悪とは、国民全体の金と命を奪う奴だ。それは、経団連と政府である。多々書くべき相手は、ライブドアでもホリエモンでもなく、経団連と政府だ。そんなこともわからない連中が、「法の遵守」を唱えて、巨悪による「悪の正当化」に加担するのだ。

( ※ こういう悪は、ほとんど、子供向けのファンタジー世界の悪に近い。悪の集団スペクターによる世界征服、というやつ。通常、荒唐無稽と思われているが、経団連はそういう悪の集団なのである。彼らは「国際競争力の維持」なんて言っているが、その意味はつまりは「国民の生命を奪って自己の利益を増したい」というだけであり、「おのれの利益のために世界の利益を減らす」という悪の集団スペクターそのものである。)

 [ 付記 ]
 実は、こういう悪の集団の嘘を暴露するのが、経済学だ。経団連の言う「国際競争力の維持」なんてのは、完全な嘘八百である。
 経済学の原理によれば、国際競争力が減れば、円安になるので、かならず、バランスは取れる。つまり、賃上げがあれば、国際競争力が減って、それだけ円安になる。結局、ドル表示の賃金は変わらないから、何も問題はないのだ。
 正確に言えば、特定企業だけが賃上げすれば、その特定企業だけは国際競争力が減る。ただし、全企業が賃上げをすれば、単に円安になるだけで、国全体の国際競争力は変わらない。つまり、一部の行為と、全員そろっての行為は、事情が異なる。
 で、このことを理解できない経済音痴が、経団連だ。彼らは、企業を向上させようとすることで、かえって国全体を破壊している。経済音痴は、国を滅ぼす。自動車運転の能力のない人が、自動車を運転するのと同様だ。メチャクチャ。


● ニュースと感想  (3月12日b)

 「騒ぎと春闘」について。
 ライブドアで大騒ぎしている間に、人々は自分の金を失うだろう……という趣旨のことを、前に述べたことがあった。( → 1月23日 )……で、それがどうやら、現実化しそうだ。
 企業業績の回復を背景に、今年の春闘ではいくらか賃上げがありそうだと見込まれていた。しかし経団連は、必死に賃上げを抑止しようとしている。おまけにマスコミも、経団連の宣伝ばかりやっているようだ。
 朝日の報道(20日・朝刊・経済面)によると、「日本の製造業の給与は、世界でもトップレベルだ」という経団連の主張があり、その根拠として、「日本を 100とすると、ドイツは 89」という経団連の推計を掲載している。
 実を言うと、この推計自体が、かなり眉唾である。他の統計と比べると、日本が高くなるように数字を操作しているようだ。この件は、前にも述べたことがある。(どこだったかは忘れたが。ま、厳密な話ではないので、どうでもいい。)
 問題は、たとえ経団連のデータが正しいとしても、経団連の主張はまったく成立しない、ということだ。なぜか? 次の肝心の話が抜けているからだ。
 「日本の製造業の労働時間は、かなり長い」
 つまり、労働時間が長ければ、給与が高いのは、当り前だ。さもなくば、賃金不払いの労働していることになる。 (^^);
 詳しいデータを言うと、次の通り。
 「日本の年間労働時間は、年間 2000時間ほど。ドイツは 1500時間ほど」( → 出典
 これじゃ、「日本の方が賃金が高い」というのは、嘘ですね。また、米国と比べると、
 「労働時間は同程度で、賃金は米国の方が少し低い」
 というデータがあるが、ここでは肝心の次のことが抜けている。
 「米国では、労働者の給与が削り取られて、経営者に多額の金が渡されている」
 つまり、米国では、労働者と経営者の奪い合いで労働者が負けているから、労働者の給与が低いだけだ。労働者と経営者の取り分の総額(人件費総額)が少ないのではない。配分の仕方が異なるだけだ。つまり、「貧富の差が大きい」という形だ。一部の大金持ちはやたらと金を集めて、一方で低所得者がわんさといて、貧富の差が拡大し、犯罪や社会不安が増えて、国家の秩序が崩壊しつつある、という状況である。
 で、こんな米国の姿と比較して、「日本の労働者の方が賃金が高い」と述べても、何の意味もない。しいて言えば、「日本も米国のように、労働者の賃金を削って、貧富の差を拡大しよう」ということか。ところが、経営者は、そうするつもりでもなく、単に「人件費を削って、会社の利益を増やそう」としているだけだ。

 実は、こういう発想が正しいこともある。それは、途上国だ。途上国では、ものすごい失業者がいて、ろくに職場がない。こういう状況では、企業は賃金の上昇をめざすよりは、業績の拡大をめざして、失業者を吸収することをめざすべきだ。その意味で、経団連の方針は、途上国の企業としては、まったく正しい。
 とはいえ、この方針は、先進国の企業の方針としては、まったく正しくない。総所得を減らすことで、総生産が減り、マクロ的に不況をもたらすからだ。

( ※ 経済学的に言うと、こうだ。途上国でも日本でも、失業は多い。ただし、途上国では、設備が少なく、日本では設備が余っている。途上国では、設備がないから、とりあえず雇用して、生産を増やせばよい。一方、日本では、設備は過剰であるのだから、需要を拡大することで、設備の稼働率を上げればよい。前者では供給が制約条件であり、後者では需要が制約条件である。事情はまったく異なるから、同一の処方は適用されない。)
 
 まとめ。
 経団連の論理には、次の穴がある。
 「労働時間の違いを無視する」
 「貧富の差の拡大を無視する」
 「国レベルの違い(途上国/先進国)を無視する」
 「マクロ経済学(先進国の原理)を無視する」
 要するに、最初から最後まで、無視のしまくりで、嘘の塗りたくりである。こうやって、人々をだましたすえ、「国際競争力が心配だ」とうそぶきながら、トヨタもホンダもキヤノンも、どんどんシェアを伸ばして、米国の企業のシェアを奪っていく。シェアを奪っている企業が、「シェアが減るのが心配だから賃金を増やさない」と言い張る。呆れて、ものも言えない。詭弁の典型。

 で、こういう詭弁だらけの経団連の主張を、マスコミがそっくりそのまま掲載して、嘘の宣伝によって、国民の所得を奪う。不況のときには、
 「今は企業の倒産を防ぐために、賃下げに協力してください。業績が改善したら、賃金を元に戻しますから」
 と言っていたくせに、賃下げのおかげで業績が回復すると、前言をけろりとひるがえして、
 「賃上げなんかしないよ。莫大な金を溜め込んでも、全部、会社のものにするんだ。労働者になんか渡さないよ」
 と独り占めしようとする。二枚舌によって、労働者の金を奪い取る。……こういう嘘にたぶらかされて、国民は金を奪われるのだ。というより、国民は金を奪われても、ちっとも気づかないのだ。ライブドアの騒ぎに目を奪われているせいで。

 [ 付記1 ]
 上記の労働時間のデータは、前項 のデータとは、食い違いがある。だが、あまり本質的な違いではないから、この食い違いを論じるのはやめておこう。細かな数字を気にする人だけが考えればいい。

 [ 付記2 ]
 父親の帰宅時間の遅さでは、先進国中では日本が一番だ、ということだ。10時過ぎに帰宅するのが 40%もいる。「あ、おれのことだ」と思う人も多いでしょう。
 で、これというのも、残業手当がまともに払われないからだ。残業手当はボーナス加算に反映されないから、昼間分よりも残業分の方が、低賃金である。ゆえに、企業としては、なるべく残業を多くするのが、業績向上のコツだ。というわけで、
 「不況期にはやたらと失業者が増えて、同時に残業も増える」
 という形で、「失業」と「過労死」とが同時に増える。愚の骨頂。政府も悪だが、企業も悪。悪人同士の連帯で、国民の健康がむしばまれる。
( ※ 調査の結果は、朝日・朝刊・生活面 2006-03-08 。ネットでは、ベネッセ。pdf の巨大ファイル。)


● ニュースと感想  (3月13日)

 「騒ぎと公共事業」について。
 ライブドアで世間が大騒ぎにしている間に、政府は巨額の無駄遣いをしようとしている。例の日本橋の高速道路の再開発だ。( → 1月23日
 つまり、数千億円もの金を、ただの美観のために浪費しようとしている。国民が生きるための生活費にすら困っている状況で、政府の感覚的な美的感情のために、巨額の国費を浪費しようとする。いわば、金持ちの床の間に飾る彫刻を買うために、国民を餓死させる、というようなものだ。

 この件では、新たに読売の社説が論じている。( → 読売の社説 19日
 その趣旨は、「当時は都市景観を守るなどという発想に乏しかった」というもので、さも今の自分が賢明だと言わんばかりである。「昔は知恵が足りなかったから、今は知恵が足りている。時代の進化にともなって、状況を改善するために金を使うのは、当然だ」という立場である。
 ここには、大いなる勘違いがある。当時の人間は、愚かだったわけではないし、今の人間が賢くなったわけでもない。自惚れるのもたいがいにした方がいい。人間の賢さは、昔も今も同様である。
 では、何が違うのか? それを理解するには、当時の判断を思い出せばいい。当時は、都市景観を守るという発想がなかったわけではない。逆だ。都市景観を改善するために、あえて高速道路を建設したのだ。「ノンストップの高速道路が空中をつらぬくなんて、未来的でカッコいい」と。
 そして、それが実は錯覚だった、と今になって判明したわけだ。つまり、当時の人間は、馬鹿だったのではなくて、錯覚していたのだ。

 こういうふうに過去の錯覚が、あとになって判明することは、しばしばある。その典型は、第二次大戦だ。さらに、80年代のバブルもある。いずれも、当初は「万歳」と浮かれていたが、あとになってその毒に気づくようになった。
 ここまで言えば、私の言いたいこともわかるだろう。「今のわれわれは賢明だから、賢明なことをやろう」と思って巨額の金を勝手に使い放題にするべきではない。逆に、「今のわれわれは以前と同じように錯覚している」と反省するべきなのだ。その反省こそが必要なのだ。もちろん、ライブドア問題についても。
 「自分は利口だ、自分は間違っていない」と信じる限り、何度でも馬鹿げた失敗を重ねる。つまりは、次のことが成立する。

 「自分は利口だ」と思う人は馬鹿であり、「自分は間違っている」と思う人が利口である。

 この逆説を理解した上で、おのれを反省することが先決だ。無駄遣いをすることばかり考えているような政府やマスコミは、ただのごくつぶしにすぎない。人々がライブドアで大騒ぎしている間に、人々は自分の金を失うだろうハメになるのだ。

 [ 付記 ]
 それにしても、こんなことを書くなんて、私は利口だなあ。私は利口だ。  (^^);


● ニュースと感想  (3月13日b)

 「世界一の塔」について。
  → Open ブログ
 ※ 趣旨は次の通り。
  「第二東京タワーというのを、巨額の金をかけて作るという構想があるが、金の無駄遣いだ。むしろ、安価なワイヤ式の鉄塔で、十分だ。」

( ※ なお、「巨額の金をかけても、採算が取れる」と思うかもしれない。だが、そっちに金が行った分、東京タワーに入る金が減る。かくて、国全体で見れば、メリットの一方でデメリットが生じる。誰かが金を得て、誰かが金を失う。たいして意味のないことだ。無駄が多い。どうせなら、普通の会社の設備投資の方が、ずっとマシである。)
( ※ 第二東京タワー建設というのは、国や自治体による無駄遣いという意味で、国民の金を浪費する公共事業の一環ですね。ライブドアなんかで騒ぐより、こういうことで騒いでほしいですね。)


● ニュースと感想  (3月13日c)

 「上場廃止と松井証券」について。
 ライブドアの上場廃止問題については、松井証券が「自社で証券取引所を開設する」との意向を示した。( → 情報ブログ1情報ブログ2 。他にもあり。)

 これを見ると、上場廃止の問題は一応、片付いたようにも見える。「東証が駄目でも、松井証券の取引所があるさ。そこで売買できる」と。……だが、それはちょっと、早計だ。
 というのは、政府が介入して、松井証券の方針を強引に押しつぶす可能性があるからだ。
 ホリエモンが戦っている相手は、国家権力である。相手をなめてかかるべきではあるまい。たとえば、松井証券が「気に食わん」と見なされて、「不正疑惑」で検察に介入されることは、十分に考えられる。
 最もありえそうなシナリオは、「金融庁の圧力を水面下で受けて、松井証券が自発的に構想を取り下げ」である。もし開設されるとしても、政府の圧力で「ライブドア抜き」になりそうだ。
 これは、あくまで可能性ではあるが、十分に考えられることだ。その理由は、次項(翌日分)で示す。

 とにかくまあ、一国全体が狂っているときに、正気の人間の行為が見逃されるとは、考えにくい。悪の行為を国中が「正義」と見なし、正義の行為を国中が「悪」と見なしているときには、正義の行為は許されるはずがないのだ。やれば、ひどい非難を浴びそうだ。

 [ 付記 ]
 「これで解決」とライブドアが思うとしたら、あまりにも甘すぎる。松井証券頼みという、「あなた任せ」で自社の運命を委ねるなんて、最低だ。自分の運命ぐらい、自分で決めなくっちゃ。ガキじゃないんだから。
 要するに、ライブドアの運命については、ライブドア自身が抜本対策をしないと駄目だ、ということ。(3月11日b に述べた、合併など。)






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「小泉の波立ち」
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