[付録] ニュースと感想 (105)

[ 2006.03.14 〜 2006.03.24 ]   

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● ニュースと感想  (3月14日)

 「談合隠しと官邸」について。
 今回は、非常に重要な話をする。 (今日中に全部読む必要はない。話は長いので。なお、明日も続編がある。)

 まず、次の疑問を掲げよう。
 「過去の巨大な粉飾事件とは違って、ライブドアの問題は、ごくささいな帳簿ミス程度にすぎない。また、日本テレビなどの粉飾では、ほとんど処分はなされなかった。なのに、どうして、今回に限り、このような不公平な処置が取られたのか?」
 これは、である。たいていの人は、「おかしい、おかしい」と述べる。
 私は前に、「人々が巨大な錯覚にとらわれているからだ」と述べた。ただし、この主張は、「異常な事態が是正されないこと」ということを示すだけである。これは、異常な現象の核心を示してはいるが、最初の原因を示してはいない。
 しかし、本項では、この原因を扱おう。そして、「これが原因だ」というものを、一応ながら、示すことにする。
( ※ 最初の原因というのは、私はあまり核心的ではないと思ったので、重視しなかった。いわば、「病気が治らない」ということを問題としてきたので、「どうして病気になったのか」を問題にしてこなかった。一方、本項は、そのことを問題とする。)

 まずは、話は変わって、新たなことを話題にする。それは、「談合」のことだ。(前日と前々日の分と似た話題。)
 世間はライブドア問題で大騒ぎにしているが、実は、その半月後に、「談合の摘発」という事件があった。
 談合というのは、もちろん、大きな問題である。ただしこれまでは、あまり摘発されなかった。というのは、法律が不備であったからだ。公正取引委員会は、手も足も縛られた状態で、談合に立ち向かうしかなかった。
 ところが、談合を厳しく摘発する法律が、ようやくこの1月から適用されるようになった。というわけで、さっそく、検察は談合摘発で、大忙しとなった。1月30日に逮捕者が出て、2月には世間も大騒ぎするようになった。( → Yahoo ニュース

 さて。この談合事件というのは、非常に大きな問題である。どうしてか? 談合というのは、たぶん歴史上の総額で、百兆円ぐらいの無駄遣いであろう。桁違いに大きな巨悪である。田中角栄の事件など、その氷山の一角くにすぎない。史上最大の巨悪であり、自民党政治が続いている間ずっと続いてきた巨悪である。
 その巨悪が、このたび、公取委の権限拡大によって、摘発されるようになった。で、摘発されるのは? 防衛施設庁だけか? いや、この事件は、氷山の一角にすぎない。まだまだ山のような過去の談合事件がある。(朝日・朝刊・1面 2006-02-21 )
 とすれば、検察は本来なら、ライブドアの帳簿のミスのような、ごく些末な事件を摘発するよりは、巨悪たる談合を摘発するべきだろう。(株主以外の)一般国民がたったの一円の被害も受けていない事件よりも、一般国民が百兆円ぐらいの莫大な被害を受けた事件を摘発するべきだろう。ついでに、薄汚い官僚だけでなく、薄汚い政治家も一網打尽するべきだろう。

 ただし、である。ここで「こうするべきだ」という提言をするだけでは、前日分の提言と同じで、詰まらない。そんな提言は、誰でもできる。私はここで、別のことを指摘しよう。
 検察は、ライブドアの帳簿のミスのような、ごく些末な事件を摘発するよりは、巨悪たる談合を摘発するべきだ。なのに、なぜ、そうするのか? 検察が馬鹿であるからか? いや、むしろ、最初からそれが狙いだった、と考える方が、合理的である。
 つまり、こうだ。
 「ライブドアの摘発は、検察による談合の摘発を妨害するために、大急ぎで突っ込まれた急造の事件である」

 これは、世間のところどころにある「国策捜査だ」という説と、よく似ている。しかし、肝心の所が一つ、大きく異なる。
 世間にある説は、こうだ。
 「ライブドアの摘発は、国策捜査である。その目的は、直前に話題になった、建築耐震設計疑惑を、隠蔽するためである」
 一方、私の説は、こうだ。
 「ライブドアの摘発は、国策捜査である。その目的は、直後に話題になった、談合疑惑を、遅延させるためである」

 この二つの説では、直前直後という差がある。
 たいていの人は、「直前」に着目する。そして、「直前にあったものを隠蔽するために、政府があわててライブドアの事件を挿入した」と思い込む。しかし、その説は、はなはだ根拠が弱い。なぜなら、建築耐震設計疑惑というのは、あまりにも小規模だからだ。これは政権を揺るがすような大事件ではない。どちらかと言えば、民間企業の問題であり、それに対する監督が不十分だった、というだけのことにすぎない。政府の責任は、ごく軽微である。また、国会の3分の2を占めていることからして、いくらか追求されても、痛くも痒くもあるまい。
 一方、私は、「直後」に着目する。なぜか? 民間人には、その時間的順序が重要だろう。しかし、政府にとっては、どちらの情報も、ずっと前から判明していたのだ。特に、防衛施設庁の談合の疑惑は、昨年11月からすでに判明していて、摘発は時間の問題であったという。つまり、見かけでは「1月16日にライブドアを捜索して、その後に1月30日に防衛施設庁問題で逮捕した」という順になっているが、実際の検察の内偵は、順序は正反対だったのだ。
 ただし、実際に摘発したのが「ライブドア → 防衛施設庁」であったから、世間の人々は、「後にあるものを隠すため」というふうには、思わなかったのだ。まんまと、だまされたわけである。

 というわけで、本当は、次の順序だったことになる。
 「防衛施設庁 → ライブドア」
 しかし、この場合には、ライブドアに対する内偵がまったくなされていないことになる。当然、捜査が不十分なので、ろくに証拠もないまま逮捕して、あとは「自白しろ」というふうに無理に追い込んだすえ、デタラメな罪状をでっち上げるしかなくなる。……そして、現状は、まさしくそのように進んでいる。

 まとめて言おう。実際には、次のようなことがあった、と推定される。(事実ではなくて、私の説としての推定。)
 「11月から、検察は防衛施設庁の談合を摘発していた。それが国会開幕の直前である1月末に逮捕者を出す予定となった。(国会開幕中に開始するのはまずいので。)そのことをあらかじめ、官邸に伝えておいた。さらにまた、防衛施設庁だけでなく、多くの省庁に波及する、という見通しも伝えておいた。
 しかし、それを聞いた官邸は、あわてふためいた。そもそも談合というのは、歴代の前自民党の政権のなしてきたことである。なのに、小泉政権だけが、その咎を受けるのは、割に合わない。どうせあと半年ほどで、退任する予定だ。立つ鳥跡を濁さずで、きれいに退任したい。そこで、談合の摘発で泥まみれになるのは、次の政権にたらい回しすることにしたい。そのためには、談合の摘発を、半年ほど遅らせればよい。
 そこで、官邸は思う。こうするのは、隠蔽ではなくて、ただの遅延だ。このくらいなら、そんなに悪いことではないだろう。で、談合摘発を遅らせるには、どうすればいいか? 東京地検特捜部は、たったの30人しかいないんだから、その力を二つに割くのは簡単だ。彼らにもう一つ、巨大な課題を与えてやればよい。『摘発をやめよ』と政治介入することはできないが、『摘発をやれ』と政治介入することはできる。で、その余計な仕事をさせるためには、どこかから、いけにえ(スケープゴート)を連れてくればいい。こうすれば、二つの事件だけにかかりきりで、財務省などの本丸は安泰だ。自民党も安泰だ。」
 
 以上のように、官邸が方針を立てたのだろう。そして、そのとき、こう思ったはずだ。
 「どこかに、いけにえは、いないかな? おやおや、ちょうど目立つ、好都合の人物がいる。これをいけにえとしよう。こいつを摘発すれば、世間は大騒ぎして、こいつばかりに目を奪われるだろう。実際、貴・若騒動を見れば、それがよくわかる。タレントふうの話題を投じれば、世間はそれで大騒ぎになるのだ。談合のことなんか、あっという間に吹っ飛んでしまうはずだ。ま、彼は、自民党に協力してくれたので、ちょっとは恩があるが、そういう恩を受けた人物こそ、いけにえにするには好都合だ。なぜなら、民主党の馬鹿党首は、こういう餌にまんまと引っかかるはずだからだ。……よし。こいつを、いけにえにしよう。……さて。検察庁の長官を呼べ」
 かくて、防衛施設庁以外の、第二・第三の談合の摘発を阻害するために、新たな課題を与えた。ろくに内偵もしていないのに、大急ぎで、いきなり「逮捕せよ」という命令が急に下った。かくて、検察の人員は、そちらに割かれた。もちろん、他の談合に差し向ける余裕なんか、まったくない。
 こうやって、(ほとんど)でっち上げの事件を、急造で作り上げた。(まるきりのでっち上げではなくて、真実も少し入れておいたのが、ミソ。これだと、馬鹿をだましやすい。)
 ここで、マスコミが他国のマスコミなら、政府の言うことなんか信じないで、自分で検証する。しかし、日本のマスコミは、お上のくれる情報をばらまくことしか、やったことがない。というわけで、マスコミは政府の尻馬に乗って、事件を報道する。テレビはワイドショーで、「落ちた英雄」「時代の寵児の暗転」という番組を作って、視聴率を稼ぐのに、おおわらわ。かくて、世間への目くらましは、見事に成功する。
 つまりは、政府と検察が音頭を鳴らすと、マスコミという猿が、その音頭に乗って、踊り狂う。国民のほとんども、その音頭に乗って、いっしょに踊り狂う。
 かくて、ライブドア音頭で、世間は大騒ぎ。……一方、その裏では、こっそり「しめしめ」と喜んでいる連中がいる。

 さて。以上のことから、結論として、次のように犯人を指摘することができる。
 「犯人は、官邸である」
 ここで、官邸というのは、比喩(換喩)である。東大を「赤門」と呼ぶようなレトリック。で、その言葉で、誰を指しているかというと……小泉のように思えるが、そうとは断言できない。彼の黒子である例の秘書官の発案かもしれない。小泉がそういう発案をするとは考えにくいからだ。彼の頭は、もっと別のことでいっぱいになっているはずだからだ。(小泉が得意なのは、口先の宣伝行為。)
 ま、発案は小泉以外であろう。側近とか何とか。ただ、発案者が誰であれ、最終的に「ゴー」の指示を下したのは、やはり、小泉だろう。その意味で、責任は、小泉にある。
 また、何だかんだ言っても、検察の行動はすべて小泉の管理下にあるのだし、検察はライブドア事件の直前に必ず、小泉の許可を得ていたはずだ。(無許可で暴走することはありえない。)……その意味で、「許可を下した」という小泉の責任は、絶対確実にある。
 問題は、「最初に検察に指示して、無理やり摘発に走らせたか」であるが、私としては、「たぶん、そうだろう」と肯定的に判断したい。

    *    *    *    *    *    *    *    *    *    *

 以上は、私の推定である。絶対に正しいという根拠はない。ただし、このシナリオは、現実にすこぶる合致する。それは「根拠不十分の状態で、内偵もなしに、いきなり逮捕に至った」という異常な状況だ。この異常な状況を説明するシナリオとしては、上記の推定以外には、考えにくい。
 ま、これはあくまで推定だ。だが、この推定の通りでないとしても、まさしく確実に成立していることがある。それは、次のことだ。
 「政府・検察の音頭に乗って、マスコミと国民が錯覚しながら、踊り狂う」
 これだけは、間違いのない事実である。

 なお、仮にこのシナリオが成立しなかったとしたら、(小泉がそう命令したのでなかったとしたら、)検察はどうしようもない馬鹿ぞろいだ、ということになる。しかし、そういうことは、ちょっとありえそうにない。
 最近では、結構多くの人が、検察を馬鹿にしている。検察としても、今ごろになって、「こんなはずじゃなかった」と思っているかもしれない。たしかに、そうだ。検察は、馬鹿ではなくて、政府の思惑に乗せられてしまっただけだ、と判断する方が、合理的である。
 検察は、小泉に利用されただけか? それとも、勝手にフライングするような、法律運用の素人集団の集まりなのか。これまではまともだった検察が、急にそれほどの馬鹿ぞろいになってしまったのか。……どうも、そういうのは、ありえそうにないですね。(全員がそろって狂牛病にかかった、というのでなければ。)

 結論。
 以上をまとめて、整理すると、次の通り。
 「談合疑惑の発覚があった。それを隠蔽・遅延するために、適当に別の事件をでっち上げて、検察の人員を、その事件に向けさせることにした。そのスケープゴートになったのが、タレント性の高い社長のいる、ライブドアだ。驚くべき衝撃的な事件が突発的に起こったのではなくて、あえて驚くべき衝撃的な事件を起こそうと狙って、タレント性の高い社長を狙い撃ちにしたのだ。すると、マスコミが喜んで、この餌に飛びついた。真実かどうかではなく、大衆に受けるかどうかだけで、報道を決める。その一方で、もともと無理な調査だったから、検察では調査にほころびが出て仕方がない。……こういう状況を見て、人々は、『何だか変だな』と疑いを持ち始めている。しかしまだ、『自分たちは政府にだまされたのだ』とは気づかない。『自分たちは利口だから真実を突き止めた』と勝手に思い込んでいる。その真実とやらが、実は官邸のふりまいた、ただの餌だとは、思いも寄らない。『自力で獲物を見つけたつもりでいるが、本当は政府の振りまいた餌を食っているだけだ。まんまといっぱい食わされたのだ』とは気づかない。」
 こういうふうに、現状の裏側を推定できる。(断定ではない。)

 [ 付記1 ]
 蛇足のオマケ。これまで、私は、容疑者として、次の各人を挙げた。
 うーむ。その可能性は、否定しきれないが、あらためて考えると、「検察を動かせるほどの巨大な権力」の持主としては、官邸が最有力である。
 ま、容疑者はいろいろといるわけだが、最有力の容疑者としては、やはり、官邸を指名したい。力量から言って、最有力だ。なぜなら、検察に無謀なことをやらせるのは、検察よりも偉い人だけだ、と推定されるからだ。

 [ 付記2 ]
 検察の行為は、「フライング」と見なせる。「通常の事例と違って、長い内偵もせずに、いきなりライブドア経営者を逮捕した」ということだ。
 つまり、官邸に指示されてろくに内偵しないまま、証拠もないまま、暴走気味に、勝手にフライングでスタートしてしまったのだ。こう考えると、今回の状況にも、納得が行く。
 そもそも、通常の捜索ならば、まずは犯罪事実を見極めてから、逮捕する。「犯罪の証拠を固めてから、容疑者に突きつける」というふうに。ところが、今回に限っては、まず経営者を逮捕して、それから犯罪事実をしきりに探そうとする。「犯罪の証拠がないまま、容疑者を逮捕して、しきりに自白を強いる」という形である。
 具体的に例を示すと、こうだ。
 「おまえは帳簿の粉飾をしろと命じたはずだ。自白しろ」
 「海外に送金したのは、不正な資金洗浄か利益隠しのためだろうから、それを自白させる」
 しかし、こういうことは、おかしい。
 本当はたぶん、「資本金」に入れるべき金を、「営業利益」(特別利益)に見せかけたことだ。しかし、これは、ただの「帳簿の問題」にすぎない。帳簿の是正勧告をすれば済むだけの話だ。
 しかるに、そういうささいな問題だったという事実が判明してしまうと、検察の行動が暴挙だったとバレてしまう。そこで、本当の事実のかわりに、無理やり、「マネーロンダリング」なんていう容疑を、勝手にこねあげて、追加しようとしているわけだ。……一言で言えば、「容疑の粉飾」である。
 そして、こういうことになった理由は、「容疑が固まりもしないまま、フライング気味にいきなり逮捕まで突き進んでしまったこと」である。
 そして、そのまた理由は、たぶん、官邸の指示であろう。これが最初の根源だったことになる。(証拠はないので、「たぶん」であるが。)
 なお、最終責任者は小泉だとしても、本当の主犯は、もっとずる賢い、別の誰かだろう。なかなかの策士だから、小泉みたいな知恵なしの人物ではあるまい。国民全体をだますなんて、なかなかの策士だ。相当、頭がよい。私もこれまで見抜けなかった。

( ※ 本項については、明日分にも、続編がある。そちらも読むこと。本当の巨悪は、小泉首相ではない。本項だけを読んで、「小泉首相は巨悪だ」なんて思わないように。それは永田議員並みの暴走である。敵を攻撃することばかり考えていると、自らを見失う。)

( ※ 「小泉の波立ち」は、無断転載禁止です。引用する場合は必ず、
     http://www005.upp.so-net.ne.jp/greentree/koizumi/
 という URL を記述してください。)


● ニュースと感想  (3月15日)

 「真の巨悪」について。
 前日分の続きで、「真の巨悪は何か?」という問題を考えよう。
 前日分では、「原因は官邸にある」と述べた。そして、その最終責任者としての「小泉首相」の名を掲げた。ただし、小泉首相が主導したわけではあるまい。単に、誰かの発案を受けて、「オーケー」という言葉でゴー・サインを与えただけだろう。小泉首相がそんなチマチマとした小賢しい作戦を提案する(あるいはひねり出す)とは思えないからだ。
 ともあれ、誰かが主導して提案し、小泉首相がそれを許可した。では、この全体は、「巨悪」と呼べるか?
 一見、「巨悪」と見える。だが、必ずしも「巨悪」とは言えない。(法律的でなく)倫理的になら「巨悪」である。だが、法律的には、「国民をだましたこと」は、ライブドアのホリエモンと同様で、ただの嘘つき罪であるにすぎない。ま、ホリエモンが豚箱入りなら、小泉首相も豚箱入りが当然だとは言えるが、私としては、「どっちも嘘つきにすぎないから、どっちも微罪・無罪」という見解を取りたい。
 一般に、嘘つきまたは詐欺というのは、悪質ではあるが、犯罪の要件をなさないことが多い。たとえば、先の総選挙では、小泉は詐欺的に嘘のつき放題をして、議席の3分の2を取った。一方、民主党の岡田は、「正直に語る」と愚直に進んで、玄人筋の支持を受けたが、結果は惨敗だった。これは、「民主党の方が正しい」と評価するべきではなく、「民主党の方が馬鹿(愚直)だった」と評価するべきだろう。政治家には、「正直の美徳」なんか、ないのだ。国民をだまして票を取った方が勝ちである。勝てば官軍だ。(選挙のあとでは、マスコミが掌を返したように、自民党賛美と民主党批判をしていた。勝てば官軍。犬は勝者にシッポを振る。)

 前項の話に戻ろう。ここでも、同様だ。検察に介入して、談合隠蔽のためにライブドアをいけにえにするということ。これは推定だが、まさしくこの推定の通りに、現実がそうであったとしよう。だとしても、倫理的に薄汚いが、法的には違法性はない。その行為は、ただの権力の乱用ふうのことであるにすぎず、あくまで裁量権の範囲内に収まる。非合法の行為ではない。つまり、合法的だ。
 何だか「ずるい」と感じるだろうが、仕方ない。権力者というものには、そういう裁量権が与えられている。というわけで、法律的には、小泉は検察に介入して、誰を逮捕させようと、合法的である。微罪だろうが何だろうが、ちょっとでも小さな罪を見つけたら、逮捕のやりたい放題なのだ。
 「法の恣意的な運用」というのは、好ましくないことではあるが、好ましくないとしても、合法的である限り、権力者はやりたい放題なのだ。もちろん、無罪の人を有罪にするわけには行かないが、人は誰だって、叩けば少しはほこりが出る。赤信号を無視したことのない人はいないだろうし、嘘を付いたことのない人もいないだろうし、道に落ちていた小銭を猫ババしたことのない人もいないだろう。人は誰だって、叩けば少しはほこりが出る。会社はどれだって、叩けば少しはほこりが出る。だから権力者は、どんな相手でも、好き勝手に逮捕する権限があるのだ。

 では、それを放置していいのか? 「法の恣意的な運用」を、是認していいのか? また、「あいつは途方もない悪人だ」というふうに国民をだますことを、是認していいのか? いや、違う。是認すべきではない。では、是認すべきではないとしたら、どうすればいいのか? 
 政府が国民をだましたなら、その虚偽を白日の下にさらせばいいのだ。つまり、真実を語ればいいのだ。なすべきことは、それだけだ。
 ここを誤解しないようにしよう。検察のように、「嘘つきをなくすには、嘘つきの犯罪者を厳罰で処すればいい。嘘つきには死刑を」というふうに厳罰で処するのは、一見、正義の行為のように見えるが、まともな人間の対処ではない。「正義のために相手を殺せ」というのは、テロリストの論理である。
 政府に対してであれ、ライブドアに対しであれ、同様だ。嘘つきに対しては、真実を暴露すればいいのであって、相手を殺せばいいのではない。

 特に、相手が権力者である場合には、政府の嘘を暴露すればいい。小泉首相がどんな身勝手なデタラメなことをしようと、そういう権力の乱用を、赤裸々に暴露すればいい。実際、そうすれば、問題はないはずだ。
 たとえば、似た例で、永田議員の例がある。彼が勝手に暴走をしたなら、その暴走をマスコミが咎めてやれば、何も問題は起こらない。放置すれば、自分が自爆するだけだ。それがつまり「真実の暴露」である。
 ライブドア事件でも、同様である。小泉首相がどんな身勝手なデタラメなことをしようと、その勝手な行為を暴露して批判すれば、逆に、小泉が面目を失することになる。そうなれば、それはそれで、問題はないのだ。永田議員が自爆したように、小泉首相が自爆するだけのことだ。
 しかるに、現実は、どうか? マスコミは政府の嘘を暴露しているか? いや、その逆だ。つまり、真実を隠蔽し、虚偽だけを語る。それがマスコミだ。このマスコミこそが、最大の悪なのだ。

 結語。
 政府がだまし、だまされた人々がいる。では、何が巨悪か? だました方が巨悪か? いや、だました方は、悪であるが、巨悪ではない。だまされた方は、愚かではあるが、悪でも巨悪でもない。
 真の巨悪は、何か? それは、「だまされた」と指摘されても、その言葉をあえて無視するマスコミである。真実を示されても、耳をふさぎ、目をふさぎ、ひたすら虚偽ばかりを国民に宣伝する。すなわち、真実の隠蔽── こういうふうに真実を隠蔽する連中こそが、真の巨悪なのだ。
 過ちて改めずこれを過ちという。……そうだ。人は誰しも、過ちをなす。しかし、過ちをなしたら、それを直視して、過ちをなさないように正せばよい。しかるに、真実を隠蔽したなら、過ちを正す機会を失う。

 解説。
 比喩的に言おう。以前、三菱自動車で、欠陥ホイールの問題があった。ここでは、欠陥というミスをしたことそれ自体が、巨悪だったのではない。人は誰しも、過ちをなす。過ち自体は、巨悪ではない。しかし、その過ちを隠蔽し、欠陥製品を正常製品と詐称し、虚偽を真実だと偽ったなら、それはひどい巨悪なのだ。欠陥製品によって小さな事故が一回起こるのはただのミスだが、そのミスを放置することで、以後、何度も何度も事故を起こし、さらには事故の死者まで出るようになったなら、そういう真実の隠蔽は、故意の殺人にも匹敵する。真実の隠蔽こそ、最大の巨悪なのだ。そこには「悪魔の心」がひそんでいる。
 「他人が死んだって、知ったこっちゃないさ。どうせ他人のことだしね。それより、目先の自分の利益が大切だ」
 これが悪魔の心だ。当時、三菱の経営者は、こういう悪魔の心で、第三者を死に至らせる事故を発生させた。そしてまた、今もマスコミは、「視聴率が稼げればいいさ。儲かればいいさ」というエゴイズムとともに、たまたまスケープゴートになった人々を放置して、真実を隠蔽しているのである。悪魔の心で。
 こうして、何が巨悪かは、判明した。それは、悪魔である。この悪魔は、多くの人間が合体してできた、怪物である。その全身の2割か3割は、広告でできている。

 [ 付記1 ]
 以上のことゆえに、私としてはは、官邸をことさら非難するつもりはない。「官邸が主犯だ」という説を前項で唱えたが、ここでは、「最初の原因はどこにあるか」を示すだけである。「官邸は途方もない巨悪だ」と述べるつもりはないし、むしろ、「非倫理的ではあるが合法的であるがゆえに、巨悪ではない」と示す。
 首相ないし官邸というのは、もともと政治で黒ずんだ、倫理的に薄汚い存在だ。もともと、そういうものである。悪人は悪をするのが本性である。とすれば、(倫理的な意味で)「悪人が悪をなしたからけしからん」なんて怒るのは、馬鹿げている。
 暴力団やヤクザは悪をなすし、売春宿のオーナーも悪をなすし、スリや空き巣も悪をなす。そういうのは、当り前のことであって、いちいち怒っていたら、身が持たない。「雨が降るのはけしからん」と怒るようなものだ。
 悪人が悪をなすのは当り前だし、政治家が(倫理的な)悪をなすのも当り前だ。しかし、警察がマフィアと癒着するのは巨悪であるし、マスコミが政府と癒着するのも巨悪である。現状のマスコミは、マフィアと癒着する警察のようなものである。警察がマフィアの殺人を是認して、市民を信号無視で死刑にするように、マフィア的な政府の悪を是認して、民間企業を経理ミスふうのことで死刑にしたがる。
 というわけで、真の巨悪は、マスコミである。なすべきことはなさず、逆に、なしてははならないことをなす。自分はさんざん嘘をついておきなながら、他人のなしたささいな嘘を巨悪のようにはやしたてる。善人ぶって、他人に大損害を与えながら、自分の財布を肥やす。「ホリエモンを非難すると視聴率が稼げるから、ホリエモンを非難して金儲けしよう」というふうに、民間人を悪人のスケープゴートにしているわけだ。自分の金儲けのために。それでいて、「自分たちは公正な報道をしている」と勝手に思い込んでいる。
 こういう連中こそ、国民をだましている、最悪の悪人と言える。国民をだまして、国民に(6000億円もの)大損をさせて、その一方で、自分は小金を稼ぐ。テロ活動によって自分たちだけ小金を稼ぐ。意地汚い詐欺師。それが、御用マスコミだ。

 [ 付記2 ]
 こういうマスコミを、どう扱うべきか? ま、現実的な策としては、どうしようもないようだ。彼らは「第三権力」という強大な権力者であるから、一般市民は歯が立たない。戦車に向かって徒手空拳で向かうようなものだ。ほとんど無力である。(ま、インターネットというものはあるが、いくらインターネットで騒いでも、マスコミにはなかなか届かない。)
 で、以下では仕方なく、犬の遠吠えふうのことを述べておこう。
 仮に、私が裁判長であれば、小泉首相は(一応)無罪放免にするが、マスコミには、死刑(つまり発行停止)を宣告したい。法的な根拠は、「風説の流布」である。たいして悪でもないライブドアを巨悪であると嘘をついて、虚偽の報道をした。そのことで、東証をして上場廃止に走らせ、ライブドアの営業を阻害したわけで、「営業妨害」の罪もある。法定刑がどれだけかは知らないが、損害賠償の形で、朝日や読売には千億円ぐらいの賠償額を科してやりたい。かくて、実質的に、倒産させる。つまり、死刑。
 とにかく、今のマスコミは、犯罪者と言ってよい。存在そのものが有害であるのだ。実際、政府と検察の誤誘導に乗って、虚偽の報道をばらまいた。
 ま、虚偽を語ること自体は、ある程度、仕方ない。しかし、それだけでなく、真実を隠蔽した。ネット上にもあふれている別の意見を、ことごとく封殺して、言論統制を敷いた。これは、万死に値するほどの、途方もない罪だ。さっさと消滅してしまった方が、世のため人のためになるのだ。

 [ 付記3 ]
 なお、「マスコミは死刑」という宣告に対して、「表現の自由ゆえに、発行停止は憲法違反だ、そんなのは駄目だ」とマスコミがわめいても、私としては却下したい。なぜか? そもそも、表現の自由を履き違えている連中には、表現の自由を行使する資格がないのだ。
 比喩的に言えば、患者を殺してばかりいるヤブ医者は、医師としての権限を行使する資格がない。免許取り消し。それと同様だ。
 比喩でなく、歴史の例で言おう。ナチスのゲッベルスには、ユダヤ人虐殺を推進する「表現の自由」を許容するべきでない、ということ。……これ、今の現状そのまんまですね。
 なお、いちいち私が発行停止にしなくても、マスコミは自分自身に報道管制を敷くことで、自分自身をなかば「発行停止」のような状況にしている。自分で自分を無効にしている。皮肉。……ま、それだからこそ、無意味なものなんか、いつ消滅させても構わないんですけどね。

 [ 付記4 ]
 ついでに蛇足。特に読まなくてもよい。誤読を防ぐための注釈である。
 上記では「発行停止」という話を述べたが、これはただの誇張的表現である。誤解しないように。
 つまり、「実際にマスコミを発行禁止にせよ」と述べているわけではなく、「そうなっても仕方ないくらいにマスコミの責任は重い」という趣旨を述べている。それだけのことだ。ま、こんなのは当然である。ただ、世の中には、字面をそのまま受け取って、揚げ足取りみたいな批判をする人もいる。そこで、文章読解力のない人向けに、蛇足の文章解説をしておくわけだ。

( ※ なお、マスコミは最大の巨悪であるが、官邸や検察や東証が免罪されるわけではない。官邸や検察や東証も含めた全体像は、まとめとして、明日の分で述べる予定。)


● ニュースと感想  (3月15日b)

 「バーチャルな自己」という話題で、ネット時代を論じる哲学的な話題があります。
   →  Open ブログ
 「面白いか」といわれれば、「くそまじめなだけで、ちっとも面白くない」と答えます。ま、お暇な人のみ、ご覧ください。


● ニュースと感想  (3月16日)

 「事件の全体像」について。
 予定を変更して、本日は、事件の全体像を述べる。(明日の予定だったが、都合により。)

 前々日と前日とでは、おおむね、次のように述べた。
 「原因は、官邸である。官邸が検察に介入して、談合疑惑から、目を逸らさせようとした」
 「巨悪は、マスコミである。官邸の思惑を報道しないで、官邸の手の上で踊らされる。特に悪質なのは、官邸の主張だけを大々的に報道して、それ以外の見解を隠蔽することだ。賛否両論を掲載するのではなくて、政府賛美の主張だけを掲載して、真実を隠蔽し、虚偽ばかりを報道して、国民を洗脳することだ」

 さて。以上の話では、検察や東証の難点が出てこない。そこで、簡単にまとめると、次のように言える。
 「検察は、官邸の誤誘導に乗った」
 「東証は、マスコミの誤誘導に乗った」
 つまり、検察と東証は、自分で考えてやったのではなく、親分の命令に従ってやっただけだ。実行犯ではあるが、手下または従犯と言える。
 比喩的に言えば、ライブドアを殺した(傷つけた)実行犯は、検察と東証であるが本当に悪質なのは、そういうふうに仕向けた、官邸とマスコミである。彼らは、自分自身の手を汚すことはないが、真に悪質なのだ。(法律違反かどうかはともかく。)
 こういうことを理解するために、たとえ話で示そう。まずは、全体像として、次のことを理解してほしい。
 マスコミは、巨大な怪獣のようなものである。その巨大な肉体によって、人々を踏みつぶすが、脳味噌は梅干しぐらいの大きさしかない。脳たりんである。その脳たりんな怪獣を、うまく操るのが、ずる賢い官邸である。……これを、次のたとえ話(オセロ衛門の話)で示す。

   *   *   *   *   *   *   *   *

 昔々、その国では、怪獣マスゴミラが暴れまくっていた。怪獣マスゴミラは、自らを世界の王者だと自惚れながら、正義の味方だと思い込んで、あちこちを破壊していた。しかしながら、その頭は、脳が不足しているので、自分が何をしているのか、よくわからないのである。
 それを利用したのが、利口なイヤーゴーだ。イヤーゴーは、怪獣マスゴミラをうまく操るために、うまい方法を考えた。そこで、その方法を実行した。つまり、オセロ衛門の家の前に、「悪」というハンカチを落としたのだ。
 すると、それを見たケンサツ犬が、ワンワンと吠えて、オセロ衛門の家に襲いかかった。このケンサツ犬は、「悪」という種類の獲物が、大好きなのだ。「悪だ、悪だ」と喚いて、本当に悪であるのかは知らないまま、単に「悪」と書いたハンカチだけを信じて、獲物に噛みついた。獲物であるオセロ衛門は、わけがわからないまま、噛み傷を負った。
 すると、その血の臭いを嗅いで、怪獣マスゴミラがやってきた。怪獣マスゴミラは、自分では獲物を見つけられないが、ケンサツ犬のあとを追いかければ、自分もうまく肉にありつける、と知っている。そこで、さっそく、オセロ衛門の家に襲いかかった。こいつはすこぶる強大なので、オセロ衛門の家をすっかり破壊し尽くしてしまった。そして、「ガオー、ガオー」と叫んだ。怪獣の言葉では、「正義だ、正義だ」という意味の叫びだ。(実は、オセロ衛門は肌が黒かったので、怪獣マスゴミラは悪を懲らしめたと信じて疑わなかったのである。)
 怪獣マスゴミラの叫び声を聞いて、ハイエナ東証が身震いをした。怪獣マスゴミラのご機嫌を損ねると、自分の身がもたない。何しろつい先日は、ミスをしたせいで、さんざん怪獣マスゴミラに非難されたばかりだ。そこで、怪獣マスゴミラのご機嫌を取るために、オセロ衛門を仕留めようとした。オセロ衛門が動かなくなれば、食べやすくて便利になるはずだ、と思ったのだ。そこで、ハイエナ東証が、オセロ衛門の心臓を食いちぎった。
 かくてオセロ衛門は、ケンサツ犬に噛まれたあとで、怪獣マスゴミラに家を徹底的に破壊され、ハイエナ東証に心臓を食いちぎられた。ついでに言えば、怪獣マスゴミラは、オセロ衛門の家を踏みつぶしたときに、彼の妻のデズデモーナをも踏みつぶしたのである。デズデモーナは、まったく無関係であったのだが、怪獣マスゴミラのせいで、踏みつぶされてしまった。(デズデモーナの姓は「株主」だった。)
 そのすべてを見たあとで、イヤーゴーが「しめしめ」とニヤつきながら、ライオン・ヘアを撫でた。
 「おれはまったく、頭がいいな。ちょっとハンカチを落としただけで、これほどの効果を得たのだ。そもそも、おれがやったのは、ハンカチを落としたことだけだから、まさに合法的なことだ。せいぜい、紙のチラシを配達した程度のことにすぎない。……まったく、脳たりんを操るのは、簡単さ。こちらは高みの見物をしているだけで、あとは脳たりんが誤解して勝手に破壊しまくる。うひひひ。」

   *   *   *   *   *   *   *   *

 まとめて言おう。今回の事件には、実行犯は四人いる。官邸、マスコミ、検察、東証だ。ただし、検察と東証は、手下としての実行犯にすぎない。人々は実行犯に目を奪われやすい。だが、本当に悪いのは、直接的に手を汚す奴ではなく、実行犯を操るやつだ。つまり、ニタニタと陰で笑っている官邸と、巨大な肉体で踏みつぶすという恐怖を与えるマスコミだ。官邸とマスコミが主犯である。
 なかでも、最も悪質なのは、マスコミであろう。なぜなら、マスコミは、その力を「破壊」のためではなくて「善」のために授かったからだ。官邸というのがもともとずる賢いのはわかっていたので、神様がそのチェックのために、マスコミに巨大な力を与えた。その巨大な力は、権力(官邸・検察)の暴走を阻止するためにあるはずだった。ところが、その巨大な力を、暴走を阻止するために使うのではなく、逆に、暴走を助長するために使っている。また、それだけならまだしも、「権力の暴走を止めよ」という声を封殺するために使っている。
 怪獣マスゴミラは、本来の役割をしている限りは、善意のウルトラマンのような存在だった。ところが、狂牛病の肉でも食ったらしく、頭がイカレてしまって、脳味噌が梅干し程度となり、権力の思うがままに操作されるようになった。
 こうして、巨大な正義のウルトラマンが、悪の怪獣に変身してしまった。こいつこそが、今や、真の巨悪となっている。おのれの巨大な力を、間違った方向に向けて使っているがゆえに。

( ※ ついでに言えば、マスコミの悪は、「悪意」という意味の悪ではなくて、「愚か」という意味の悪である。力をもつならば、力にふさわしい頭を持つ必要があるのだが、その頭がないから、力を暴走させる。……こういう怪獣は、存在そのものが悪なのだ。消滅した方がいいのだ。消滅したくなければ、頭を取り戻すべきだ。そして、そのためには、自己反省が必要だ。

  【 追記 】
 「官邸主導」という説について、注記しておく。
 前々日分では、「官邸が主導した」ということは、可能性を述べられているだけであり、断言されてはいない。証拠がないからだ。
 そこで、「証拠もなしに、あやふやなことを言うな」という批判もあるだろう。だが、その批判は、当たらない。なぜか? 私が主張しているのは、次のことだからだ。
 「官邸が主導してやったのか、検察が自発的にやったのか、どちらかだ」
 これを言い換えると、こうだ。
 「官邸が悪意でやったのか、検察が狂気的に馬鹿ぞろいになったか、どちらかだ」
 これが私の主張である。そして、その根拠は、これまで長々と述べたとおりだ。つまり、ライブドアの摘発は、まったく根拠がなくて、異常な狂気的なことだからだ。
 仮に、私の説がおかしいとすれば、次のようになる。
 「官邸も正気であり、検察も正気であり、しかるに、検察は異常な狂気的なことをやらかした」
 これは、論理的に破綻している。そのことは、明らかだろう。(正気の人間が正気で破壊行為をするはずがない。)だから、そのような非論理的な主張は、しないでほしい。そういうふうに、ここで注釈しておく。
 なお、「官邸が主導したというふうに主張するのは、誹謗中傷に当たる」という意見もあるだろうが、それは誤読である。なぜなら、何度も説明したとおり、「官邸が主導したとしても、それはまったく合法的な政策判断にすぎない」からだ。根拠もなしに「あいつは犯罪をなした」と主張するのは誹謗中傷に当たるが、根拠もなしに「首相は自分の仕事をやった」と主張するのは誹謗中傷には当たらない。小泉首相が、意図的に談合隠しをやったとしても、それはまったく合法的なことであり、犯罪ではないのだ。そのことを繰り返し、指摘しておく。
 要するに、だました方は犯罪者ではなく、だまされても気づかない方が愚鈍なだけだ。悪いのは、だまされた人々に、真実を隠蔽する連中なのだ。


● ニュースと感想  (3月16日b)

 「ライブドアの犯罪性の有無」について。
 ライブドアが起訴された。そのことで、「犯罪性が明らかになった」とマスコミは大騒ぎ。朝日に至っては、「エンロンとの類似性」という記事をデカデカと書く始末。(朝日・朝刊・2面 2006-03-15 )
 しかし、今回の検察の起訴において重要なのは、そこに何があったかではなくて、そこに何がなかったか、だ。では、そこに何がなかったか? こう言える。
 「 2004年9月期には50億円程度の不正経理があったが、2005年9月期には不正経理はなかった(見出されなかった)」
 検察は、鵜の目鷹の目で、ライブドアの不正経理を探した。捜査員 100人規模とも言われる。(特捜部は30人だから、他部署から捜査員を引き抜いて、大組織を構成したことになる。まったく、異例のことである。)
 で、それほどにも大々的に精密に捜査しながら、結局は、大山鳴動ネズミ一匹。 2004年9月期に、50億円程度だけ。2005年9月期には、ゼロ。つまり、徹底捜査によって、「2005年9月期には、ゼロ」ということが判明したのだ。「 2004年9月期には50億円程度の不正経理があったのなら、2005年9月期にも多少はあったのだろう」と、これまで漠然と推測されていたのだが、「実は多少どころか、まったくなかった」と判明したことになる。(もし、あったとすれば、検察が狂気的に愚かで見過ごしたか、あっても故意に隠したことになる。……いずれも、その可能性はない。)

 「2005年9月期には、ゼロ」ということが判明した。── これは非常に重要である。このことで、今回のライブドア事件の意味は、次のように判明したことになる。
 「形式的には、50億円程度の不正経理があったが、それによって損害を受けた人は、ただの1人もいなかった」
 つまり、不正経理があったということは事実であり、その意味で形式的には犯罪と言えるのだが、「不正経理によってだまされて金を奪われた」という人は、一人もいなかったことになる。なぜか? たしかに、不正経理のあった時点では、実態以上の高値づかみをしたのだが、その後に、実態が向上したので、損失は消えた、と言えるからだ。……次の図式を見ればわかる。

   2004年9月期   ……  90円のものを 100円で売る
   2004年10月期  ……  100円で売った商品を、120円の商品に交換する

 90円のものを 100円で売れば、その時点では、10円分の詐欺(泥棒)をしたことになる。しかし、その後に、品物を 120円の商品に交換すれば、犯罪性は消失したことになる。
 もっと比喩的に言えば、こうだ。
 「太郎という客が、自動車店に行って、ベンツを購入した。いい品を購入した、と思って喜んでいた。しかし一年たって、不正が判明した。その商品は、新品ではなくて、他人が使用してから返品した、中古品だったのだ。太郎は、怒り狂って、検察に訴えた。すると、検察は、よく調べて、事実を探り当てた。たしかに、その商品は、中古であった。ただし、半年後の定期点検のときに、その時点での新車に交換していたのだ。最初の半年間は、古い偽物をつかまされていたことになるが、半年たつとバリバリの新車に交換したので、現時点ではかえって半年分の得である。太郎は結果的に、損したのではなく、得したことになる。損害額を言うなら、最初の半年間は 10万円の損だが、それ以後はずっと 10万円の得で、以後は半年ごとに 10万円の得だから、大幅な儲けである。……それを聞いて、太郎は、ほっとして安心した。証拠の自動車を返してください、と検察に訴えた。しかし検察は、形式的な犯罪性を認めたので、証拠物件として、自動車を押収した。裁判が終わるまで没収しておく、とのことだ。かくて、太郎は、検察のせいで、自動車を没収されて、大損してしまった。
 何だか、笑い話みたいですね。で、このあとに、事件の続編が続く。こうだ。
 ここで、マスコミが「検察の勘違い」と書き立てれば、何も問題はなかったはずだ。しかし逆に、「自動車店の巨悪」というふうにマスコミが大々的に騒動を起こした。そのせいで、かえって自動車の返済は遅れてしまうことになった。あげく、許可証の担当者が、「この自動車は不正があったので、不正なもののナンバープレートを取り消す」と決定処分した。そのせいで、まともな自動車が、走る権利をなくしてしまった。自動車が鉄屑になってしまったので、太郎は大損した。
 そのあと、マスコミは、「大損した太郎さん」と騒ぎ立てて、「あの自動車販売店は虚構だ。時代の徒花(あだばな)」というふうに、大々的に書き立てた。
 ここで太郎は、「騒ぐのはやめてくれ。何もしないでいいから、とにかく自動車を返してくれ。元通りにしてくれ。下らないネズミ一匹みたいな犯罪なんか、ほっといてくれ」と訴えたが、検察もマスコミも、聞く耳をもたない。「犯罪だ、犯罪だ」と大騒ぎして、せっかくの自動車をゴミにしようとする。
 つまり、ゴミみたいなマスコミが騒ぎ立てたせいで、まともな品物が無理にゴミにされてしまったわけだ。資源の無駄遣いですね。

 結語。
 要するに、ライブドア事件については、こう言える。
 「形式的には犯罪性があるが、実質的には犯罪性がなかった」
 つまり、大騒ぎするようなことなど、まったくなかったのだ。これが、今回の起訴で、はっきりと判明したことだ。100人もの捜査員を投入して、巨大な事件だと吹聴したくせに、実質的には、大山鳴動ネズミ一匹にすぎなかったのだ。
 そして、それにもかかわらず、「大山鳴動だから、山が動いた。巨大な犯罪だ」とマスコミは吹聴して、「あいつは巨悪だ」と嘘をふりまく。本当はネズミが一匹動いただけなのに、「山が動いた、大事件だ」と嘘をふりまく。
 こういう連中こそ、「巨悪」と言える。なぜか? もともと被害はなかったのに、彼らが余計な大騒ぎをしたせいで、被害のないところに被害をもたらしてしまったからだ。


● ニュースと感想  (3月17日)

 「マスコミによる情報漏洩」について。
 前日分では、「形式的な犯罪と実質的な犯罪」という話題を述べている。そこで、これに関連して、対比的な事件を取り上げよう。それは「マスコミによる情報犯罪」である。事件の概要は、こうだ。
 「読売の記者が、国税庁の職員から、外資系企業の脱税の情報を得て、報道した。この情報入手が、公務員の守秘義務に反するので、裁判所はこれを『非』(有罪)と見なした」( → 読売ニュース など。)
 これについては、次のように論評することができる。

 第一に、「形式的な犯罪と実質的な犯罪」という観点から言えば、これはれっきとした「形式的な犯罪」である。読売の社説( 2006-03-15 )では、しきりに自己弁護しているが、それは「形式的な犯罪ではない」ということではなくて、「実質的な犯罪ではない」ということだ。しかるに、ライブドアの事件では、「実質的にどうであろうと形式的に違法であるから」ということで、大々的に非難している。つまり、他人と自分とで、異なる基準で裁定している。……二重基準。ご都合主義。自己矛盾。

 第二に、「形式的な犯罪で経営者を逮捕する」というのが、ライブドア事件におけるマスコミの主張であるなら、今回の事件でも、読売の経営者を逮捕するべきだろう。読売がいくら「実質的には悪ではない」と抗弁しても、無駄である。形式的な法律違反だけが問題となっているからだ。

 結語。
 ライブドアの問題を、「形式的な違法性から悪と見なす」という立場を取るのであれば、まずは読売の社長を豚箱に入れるべきだ。検察はさっさと、ナベツネを逮捕すべし。さらにまた、ライブドア情報をリークしている検察官も、情報漏洩で検挙すべき。
 (どうせ、できっこないけどね。もともとが「法の恣意的な運用」でやっているのだから。……「無罪の人間は有罪にして、有罪の人間は無罪にする」というのが、検察の方針。)

 [ 付記1 ]
 なお、実質的に言うなら、「脱税」という事件の重みが問題となる。脱税なんていうのは、世間に山のようにある事件だ。それをいちいち「ひどい犯罪だ」と大々的に報道して、会社の名誉を損ねるほどの、価値があるのか?
 「価値がない」のであれば、報道するべきではないから、こんな情報漏洩をあえてやらかした新聞社は、罪を問われる。
 「価値がある」のあれば、「脱税 = 利益の過少申告」というのは、よほどひどい巨悪だ、ということになる。とすれば、逆に、「税の払いすぎ」というのは、ちっとも巨悪ではない、ということになる。従って、「不正経理 = 利益の過剰申告 = 税の払いすぎ」をやったライブドアは、ちっとも巨悪ではない、ということになる。むしろ、善行ですらある。国民にとっては。(株主にとってはそうではないが。)

 [ 付記2 ]
 私の見解を言えば、「たかが脱税なんて、いちいち大騒ぎするほどのことはない」と思う。「あらゆる脱税をすべて報道する」というのなら、まだわかるが、特定の会社についてだけ、脱税を報道するのでは、やられた会社ばかりが大損をする。
 マスコミは検察じゃないんだから、いちいち社会的制裁なんかをやらかす必要はないのだ。その意味で、「国税庁職員の守秘事務」は、「犯罪の隠蔽」のためと言うよりは、「公平性」の観点から、当然である、と言える。
 たとえば、誰かが道に落ちていた百円玉を拾って猫ババしたとき、その一人だけをたまたま取り上げて、「極悪非道の犯罪者」と報道するのは、「マスコミによる、報道の横暴」に当たる。全員を非難するのならともかく、一人だけを取り上げて攻撃するのは、あまりにも横暴だ。(しかも、自社の社員が千円を猫ババした場合には、逆に「自己の正当性」を主張する。)
 というわけで、ライブドアの報道は、正当な報道であるように見えながら、結局は 「マスコミによる、報道の横暴」だと言えよう。


● ニュースと感想  (3月17日b)

 「ライブドアの犯罪性の強弱」について。
 前日分では、「形式的な犯罪と実質的な犯罪」という話題を述べている。ここでは特に、2004年9月分の不正経理について論じよう。(起訴の内容に基づく。)
 2004年9月分の不正経理は、犯罪性がある。それは否めない。では、その悪は、どの程度の悪であったか? そう考えると、次のように結論できるだろう。
 「悪質ではあったが、大騒ぎするほどの犯罪ではなかった」
 帳簿をちょろまかして、決算を実態以上に良く見せかける、というのは、たしかに悪質である。ただし、これを「巨悪」と見なすと、論理上、次のいずれかになる。
 つまり、利益が過剰でも過少でも、経営者が逮捕されてしまうのだ。これでは、ほとんどの企業の経営者が逮捕されかねない。
 「だったら、適正な経理をしておけばいい」
 と思うかもしれないが、残念ながら、そうはならない。なぜなら、「適正」の額が、検察と国税庁では異なるからだ。
 つまり、検察は「利益過剰」を摘発するので、利益の基準額が下がる。国税庁は「利益過少」を摘発するので、利益の基準額が上がる。基準が異なるのだ。二重基準。
 たとえば、「100が適正だ」と公認会計士が言って、その通りに「100」と申告したとしよう。すると、検察は「いや、もっと少ない 90が適正だ。100にしたのは、10多いと粉飾している。不正経理なので、摘発する」と言いたがる。国税庁は「いや、もっと多い 110が適正だ。100にしたのは、10少なくした利益隠しだ。脱税なので、摘発する」と言いたがる。
 というわけで、二重基準のせいで、どっちみち、摘発されてしまう。目を付けられたなら、誰もが必ず摘発されてしまう。……というわけで、今回のライブドアも、どっちみち、摘発されてしまうのだ。仮に、検察が「粉飾だ」と乗り出さなかったとしたら、国税庁が「脱税だ」と乗り出していただろう。
 つまりは、権力に目を付けられた、という点で、アウトなのである。

 これはつまりは、「権力による弾圧」である。同様のことは、ロシアでもなされている。似たようなものだ。(ちょっと事情は異なるが。)
 で、こういうことが起こったときには、マスコミがしっかりと報道すればいいのだが、現実には、マスコミは、粉飾操作を是正するどころか、粉飾操作の尻馬に乗っている。「たいした悪ではなかった。ただの経理の問題にすぎなかった」と判明したにもかかわらず、「だまそうという意図があったから巨悪だ」と騒ぎ立てる。
 でや、だまされたはずの株主は、だまされたことによって、どれだけ損をしたか? 実は株主は、ライブドアの不正経理によっては、ちっとも損をしていないのである。( 2005年9月決算のことからわかる。詳しくは翌日分で示す。)
 というわけで、検察の起訴によって、今回の摘発がメチャクチャである、ということが判明したわけだ。

 [ 付記1 ]
 検察は「ホリエモンが粉飾を主導した」と述べているが、これも虚報である。ホリエモンが主導したのは、「経理操作」であるにすぎない。「経理操作」なんてものは、合法的である限り、どの企業だってやっている。ホリエモンもまた、「合法的な(グレーな)経理操作」を命じただけなのだろう。だから頑として、検察の言い分を否定しているわけだ。実際、「違法行為をやれ」なんて主張した経営者がいるとは、信じがたい。
 要するに、ホリエモンがやったことは、「グレーな行為の主導」である。それは、「株主をだまそう」という意図があったので、「悪質だ」とは言えるが、「悪だ」とか「犯罪だ」とかは、言えないのだ。
 ここを勘違いして、「株主をだまそうとしたから巨悪だ」と報じるマスコミは、事実を粉飾している。彼らは、「グレー」と「黒」の区別がつかないのだ。
 また、「株式分割をした手口が悪質だ」という論調もあるが、これも同様だ。「株式分割をした手口が悪質だ」としたら、それは、「グレーではあるが黒ではない」ということだ。
 要するに、ライブドアの行為は、「グレーではあるが黒ではない」ということだ。だとしたら、ライブドアを非難するべきではなくて、法やルールを改定するべきなのだ。このようなことは、
 「罪刑法定主義」( → Wikipedia
 と言われている。グレーな手口をやらかして、被害者が出たのであれば、法やルールを改定すればよい。それが本来の姿だ。なのに、法に違反していない相手を逮捕して、厳罰に処すればいい、というのは、「罪刑法定主義」に反している。そういうのは、民主主義の理念も何も理解しない、非近代的な発想なのである。

 [ 付記2 ]
 違法性の有無ばかりを問い、違法性の強弱を問わないと、「法の恣意的な運用」となる。その悪例を、一つ示す。
 「賽銭箱から2円を盗んだコソ泥が、懲役1年10カ月の実刑」( → Yahoo ニュース
 ま、たしかに裁判官の言うとおり、2円だって泥棒は泥棒だ。そこまではいい。だからといって、これほど極端な厳罰に処する必要があるのか? たとえば、たいていの脱税犯や談合犯は、国の金を2億円ぐらい盗んでも、執行猶予である。独禁法違反や賃金不払い罪業をやらかした経営者も、執行猶予だ。(経団連の多くの企業。)……これでは著しく不公平だろう。
 なお、2円を盗んだコソ泥を刑務所に入れると、生活費や管理費などで、数百万円の金がかかる。これは、国の金を数百万円も浪費しながら、逮捕されない。また、コソ泥をどんどん逮捕すると、刑務所がなくなるので、刑務所を建設しなくてはならないが、その建設費に莫大な金をかけても、逮捕されない。……つまりは、国民の金を 1000万円も奪うのは罪ではなく、2円を奪うのは罪なのだ。
 ま、それでも、「社会正義のため」という説もある。しかし、今回の件では、事情が異なる。このコソ泥が、一般市民の家に空き巣に入ったのであれば、「一般市民の生活を脅かす悪人」と見なされて、「今回はたまたま2円だっただけだ」と判断されても、仕方ない。しかし、である。この事件では、盗んだ金は、一般市民の金ではなく、賽銭箱の金である。賽銭箱の金とは、こういう金だ。
 「ここにお金を入れるということは、神様にお金を差し上げるということです。お金を出せば、きっと御利益があるでしょう」
 ま、御利益があるかどうかは、非科学的だから論じなくていい。問題は、「神様にあげる」というふうに称しておきながら、寺の住職が金を頂戴してしまう、ということだ。これは、一種の詐欺であろう。(本来ならば金は神様のものだからだ。) で、詐欺師が一般市民から奪った金を、コソ泥が横取りしたわけだ。で、それは、本当に犯罪になるのか? 
 私が裁判官ならば、こう判決する。
 「神様がこのコソ泥を訴えて被害届を出したのであれば、このコソ泥を法定刑で処する。しかし、神様が被害届を出さないのであれば、神様がこのコソ泥にお金を上げたかもしれないので、犯罪性は強いとは言えない。今回の事情は、グレーではあるが、ブラックだとは言えないので、説諭のすえ、無罪放免する。ただし、ボランティア活動をするのを、条件とする。(保護観察処分のようなもの。)」

( ※ 寺なので、神様ではなくて仏様かもしれないが、いずれにせよ、仏の慈悲心で処する。……何しろ、真犯人は、このコソ泥じゃなくて、失業者を大勢出している小泉なんだから。神様がいたら、「小泉を監獄にぶち込め」と言うはずだ。)


● ニュースと感想  (3月18日)

 「株主の損失額」について。(細かな数字の話。読まなくてもよい。)
 ちょっと細かな数字の話。株主の損失額は、どのくらいか? この額を、算定しよう。
( ※ これは、先日に述べた話の焼き直しである。なお、ここに改めて記すのは、次のこととの関連による。「ライブドアの犯罪性を示すには、株主の損害額はどのくらいか」「ライブドアの株主が被害の損害賠償を求めるとしたら、どのくらいの損害賠償を求めることができるか」。……こういう問題に答えるために、実損額を算定する。)

 では、実損額を算定しよう。
 2004年9月以前に購入した株主であれば、株の購入代金は300円程度であろう。一方、今年一月の株価は700円程度で、不正経理の1割程度を差し引いて、損害は「300マイナス600」つまり、「マイナス300円」である。株主は一株あたり、「マイナス300円」の損失を受けている。つまり「300円の得」である。だから、株主が損害賠償を訴えるならば、勝訴した場合、570円をもらえるのではなくて、自分が300円をライブドアに払う必要がる。その一方で、検察や東証から、600円をもらえばよい。検察や東証を訴えないで、ライブドアだけを訴えた場合には、自分が300円を払うだけだ。
 2004年9月以降に購入した株主ならば、もっと高い値段で買った。たとえば、600円ぐらいで買った。その場合には、どうか? 最高でも、70円ぐらいしか、もらう資格がない。では、70円程度を、実際にもらえるか? いや、もらえない。 なぜなら、下落した時点(2006年1月)には、2005年9月期の決算が適用されるからだ。2004年9月にどんな粉飾があったとしても、また、ライブドアがまだまだ小さなヒヨッコ企業の時にどんな失敗をしたかがバレたとしても、それは、現在の業績とは、何の関係もない。株主が損害賠償できるとしたら、直近の決算(2005年9月期の決算)が虚偽であった、と判明した場合だけだ。大昔の決算の不正などは何の影響ももたらさないし、1年半前の決算もまた同様だ。つまり、70円程度をもらう資格は、まったくない。

 [ 付記 ]
 新聞記事では、「不正が判明した直前と直後の差額」という解説もあるが、こんなのはメチャクチャである。その算定基準は、あくまで、通常の場合の算定基準だ。今回のように、検察と東証が介入して、勝手に暴落させた場合には、そんなことの責任を、ライブドアが負う必要はない。当り前でしょうが。なのに、形式面ばかりにとらわれて、
 「殴った方よりも、殴られた方が悪い」
 なんて主張するのは、著しく社会的正義に反する。ほとんど犯罪的である。しかも、この見解を、記者の主張ではなくて客観的な事実であるかのごとく書く朝日というのは、ほんとに煽動的な虚報新聞ですね。
 「個人的な意見は個人的な意見だと書け。客観的な事実のように書くな」
 私はこのことを、これまでも口がすっぱくなるほど、朝日に言い続けてきた。だが、ちっとも改まらない。なぜ?
 朝日の連中は、「おれたちは日本一頭がいいから、おれたちの書くことが客観的事実だ」と思い込んでいるのだ。つまり、「世界はおれを中心に回っている」と思い込んでいる。
 ふうん。そう思いたければ、北極点か南極点に立ちなさい。そのまま、日本に帰ってこなくていい。


● ニュースと感想  (3月18日b)

 「ホリエモンの損失額」について。(細かな数字の話。読まなくてもよい。)
 「ホリエモンもまた株価下落の損を負った被害者だった」と前に述べて、その額を推定した。 ( → 3月08日
 ただ、そこでは入手したデータが不十分で、かなり曖昧なところがあった。より正確なデータを入手したので、修正しておく。(大勢には影響しない。細かな数字を正確にするだけ。)
 まず、ライブドアの総株数は、1,049,108千株である。(公表データ。)
 一方、次の記事がある。( → Yahoo ニュース
 宇野社長はライブドアの発行済み株式の12%超を握り、17%超を保有する堀江貴文容疑者に次ぐ第2位の大株主となる。フジからの取得価格は今後詰めるが、ライブドアの15日終値(85円)で試算すると110億円強になる。
 これで概算すると、ホリエモンの資産は、85円のときで、150億円。(現在値)
 その十倍で、850円なら、1500億円。(ただの机上の計算)
 700円なら、1200億円。(現実の最高値は 730円だから。)
 以上からして、1200億円と150億円の差額で、損失額は 1000億円強。ま、ざっと概算して、1000億円程度、と見ていいだろう。これがホリエモンの損害額だ。
 「一番金を盗んだ男」と言われた人物が、一番損害を負ったわけ。

 で、何を言いたいかというと、ホリエモンを擁護したいわけじゃない。私は誰の味方でもありません。ホリエモンのことは、好きでも嫌いでもない。ただし、「弱者の味方」が私のポリシーだから、彼が威張っているときには「ホリエモンは大嫌い」であり、彼が監獄のなかにいるときには「ホリエモンは可哀想」となる。ま、私は誰の味方かといえば、正義の味方だ。……じゃなくて、弱者の味方だ。   (^^);

 で、上記のホリエモンの損害額については、こう裁定したい。
 「ずいぶん損しましたね。でもまあ、自業自得の面も、いくらかはありますね。何より、一般株主が可哀想です。というわけで、刑務所には入らなくていいから、かわりに、全財産の半額の 500億円を、会社に払いなさい。ただし、その 500億円は、現金で払うのではなくて、株券で払いなさい。そのためには、株が 500億円分になるように、株価を元の水準まで上げなさい。あなたの最大の使命は、手持ちの株のすべてを(安値のまま)提供することではなくて、ライブドアの株価を元の水準にまで上げることです」
 というふうに、私は裁定したい。ここでホリエモンが、
 「でも、どうやって、株価を元の水準にまで引き上げるんですか? そんなことが可能なんですか?」
 という質問をしたなら、
 「小泉の波立ちの、明日の分を読みなさい」
 と答えます。そこに書いてあるとおりにすればいいんですよ。


● ニュースと感想  (3月18日c)

 「ライブドアへの損害賠償」について。
 ライブドアへの損害賠償の例を取り上げて、解説する。(細かな話題。読まなくてもよい。)

 (1) 弁護団による訴訟
 損害賠償を訴えようとする弁護士がいかにうさんくさい連中であるかということは、多くの株主が気づいている。そのことは、当の弁護士の開設したブログを読むといい。
  → 被害者の会 Blog・コメント
 このコメント欄には、弁護士の方針に反対する株主たちから、多数の書き込みがある。
「悪いのは会社ではなくて、検察とマスコミだ。」
「会社を訴えても、会社が損をして株主が損をするだけだ。むしろ、会社の株を上げるように、努力するべきだ。そうしてこそ損害を回復できる」
 というふうに。なるほど。株主は、馬鹿じゃない。ちゃんと真実を見抜いている株主がたくさんいる。
 だから、マスコミは、こういうことこそ、ニュースネタにすればいいのだ。すなわち、真実を報道することだ。
 なのにマスコミは、そうしない。「弁護士が損害賠償を訴えようとする」という片面の報道ばかりを続けて、「当の株主からは総スカンを食っている」ということを報道しない。弁護士のカモになった1%足らずの株主のことばかりを報道して、22万人とも言われた大多数の株主のことを無視する。
 特に、朝日の記事は悪質で、「ライブドアを上場させた東証と政府の責任を問う」なんていう株主の意見まで掲載している。いくら損をしたからといって、「上場」自体は罪でも何でもないのだから、そんなことを批判しても仕方ないだろう。
 真実は何か? 「小さな帳簿の不正があった」ということだけだ。その小さな悪を、付随する大混乱と大暴落と、無理に因果関係で結びつけると、とんでもない報道粉飾が起こる。それこそが巨悪なのだ。

 (2) フジテレビによる訴訟
 この件は、翌日分で。ま、だいたい同趣旨。
 なお、フジテレビが 71円という低額で処分したことについては、いろいろと憶測が飛び回っているが、私は社長の心理を、こう推定したい。
 「株価は低ければ低いほど、好都合だ。その差額を、ホリエモンに請求してやる。フジテレビが損をしようが得をしようが、知ったこっちゃない。ホリエモンを苦しめることさえできれば、それでいいんだ」
 私情による会社経営。これじゃ、株主賠償訴訟で訴えられても、仕方ないね。なお、
 「賠償を請求しないと、株主賠償訴訟で訴えられるから」
 という憶測もあるが、そんな馬鹿なことはないだろう。売却していない限り、実損は出ていないのだから、そんなことで訴えられるわけがない。本当は、
 「たとえ実損を出して、フジテレビに莫大な損害をもたらしても、とにかく、憎っくきホリエモンをくたばらせてやる」
 ということだ。その証拠は? フジテレビの社長の顔を見ればわかるでしょ。訴えてやる、というときの、あの嬉しそうな顔。他人の不幸が嬉しくて仕方ない。


● ニュースと感想  (3月18日d)

 「USENによる買収」について。
 USENがライブドアの買収(TOB・子会社化)に乗り出した。(注。書いたあとで、USENの社長個人が買う、という報道に変わり、さらに、すでに契約済み、というふうに報道が変わった。ま、大勢には影響しないので、以下はちょっと古いままの文章にしておく。)

 USENによる買収は、なかなかお利口なことである。莫大な価値のある会社を、ごく安値で買えるとなれば、ボロ儲けだ。ただ、良し悪しで言うなら、私としては、こう判断する。
 「誰が買おうと、買った人が利口なだけで、世間にとっての良し悪しはない」
 「ただし、外国企業が買収するのに比べれば、国内企業が買収する方が、好ましい」
 国内の人間の誰が得をしようと、それは国内における富の再配分にすぎない。だか、国外の人間が得をすると、日本全体の富が失われ、外国に流出することになる。これは、日本全体が、植民地ふうに富を奪われることを意味するので、好ましくない。それに比べれば、USENであれ誰であれ、国内の誰かが買った方が好ましい。
 なお、国内の誰が買うかは、私の知ったことじゃない。太郎が儲けようが次郎が儲けようが、私には関係ない。勝手にどうぞ、と思うだけだ。

 さて。USENが得をした場合、その分、誰が損するのか? 富の流れは、次のようになる。
   狼狽売りをした投資家  →  底値買いをした投資家(USENなど)
 売ったり買ったりした人だけが、損または得をする。

 というわけで、売りも買いもしない株主(保有者)としては、損も得もしない。たとえば、300円で株を買った投資家は、そのままずっともっている限り、損も得もしない。二年ぐらいたてば、事件の影響は何もあるまい。事件以外のことが影響するだろう。結局、一言で言えば、
 「あわてる乞食はもらいが少ない」
 というだけのことだ。(たとえば、フジテレビ。)

 ま、それはそれとして、USENが正直であるなら、次の方針を示すべきだ。
 「ライブドアの株は、株式交換により、USENの株と交換します。すべては帳簿で処理します。ゆえに、株式発行の手数料などで、莫大な金を徴収することは、ありません。1株100円程度の株を得るために、株式発行の手数料として莫大な金を徴収することは、ありません。何も損害をおかけしません」
 一方、USENが悪質であれば、次のようにする。
 「ライブドアの株は、上場廃止になっちゃうんだよ。で、株券を個人名義で発行するために、莫大な手数料を取られるよ。株価の価値より、手数料の方が高くなるんだよ。それがイヤなら、今のうちに、1株 100円でおれに売れ。TOBをかけるから、100円で売れ」
 こうなると、300円の価値のあるものを、否応なしに 100円で手放さなくてはならない。

 では、後者のような悪質なことを、やるか? さあ。どうでしょうねえ。
 USENというのは、あまり立派な企業ではない。先代社長のころは、不法行為で悪名高かった。現社長になってからも、独禁法違反で問題視された。で、「違法で逮捕」というのが検察の方針であれば、現社長だって豚箱入りしてもおかしくない。
 となると、検察がまともであれば、上記の想定のような悪質なことを見たら、社長をただちに豚箱に入れるだろう。

 しかしねえ。今の検察の方針は、
 「善人を逮捕し、悪人を放置する」
 ということだ。どうなることやら。


● ニュースと感想  (3月19日)

 「株価上昇の方法・その1」について。
 私は前に、「私が社長ならば、株価を急上昇させることができる」と述べた。その根拠として、「セシールと合併して、上場を維持する」という案を示した。
 さて。ここでさらに、もっとすばらしい案を示そう。株価を2倍どころか、10倍にすることが可能である。つまり、株価を現在の 90円程度から、900円程度まで上昇させることが可能である。私が社長ならば、そうすることを公約する。

 では、どうやって? その方法は、こうだ。
 「誰もライブドアの株を買わないのであれば、ライブドアが自社株買いをする」
 ライブドアには少なくとも 1株 180円の資産価値がある。ところが、現在の株価は、90円程度だ。差し引きして、90円。その儲けは、株主が「含み益」として所有していることになる。そして、その「含み益」を欲しがる人がいないのであれば、ライブドアが「自社株買い」をして、ライブドア本体がその「含み益」をいただいてしまえばいいのだ。
 すると、どうなる? 自社株買いをするということは、残りの株主全員で、含み益を分かちあうというになる。たとえば、現時点で 100の資産があり、それを 100の株主で分かちあっていたとする。その後、自社株買いをして、株式数が 10分の1になれば、残りの 10という株主だけで、ライブドアの全財産を分けあうことになる。ただし、その際、ライブドアは自社株買いによって、何らかの支出をなしている。それは「1株あたり90円」という株価代金だ。その分の金は消えてしまうので、まるまる 100という資産が残るわけではなく、30ぐらいの資産しか残らないだろう。……全部まとめると、現時点で 100の資産があり、それを 100の株主で分かちあっているが、新たに、30の資産が残り、それを 10の株主で分けあうことになる。こうして、株主は、株価が3倍に上昇することになる。
 この3倍というのは、現在価格に対する3倍ではなくて、「本来の価値」に対する3倍だ。本来の価値が 300円であれば、その3倍の 900円になることになる。
( ※ ただしこれは机上の計算であって、現実にはこうは行かない。というのは、安定株主だけで、結構多数がいるからだ。というわけで、自社株買いだけでは、900円にはなりません。900円にするには、翌日分の方法も併用する必要がある。)

 ともあれ、上記の「自社株買い」は、粉飾でも何でもない。「株式分割」の反対の「株式合併」に似ているが、ただの「自社株買い」であるにすぎない。
 一般に、「自社株買い」は、不正ではないし、また、財務的にも損でも得でもない。ただし、株価が異常に急落している場合に限り、「自社株買い」は株価維持策として、非常に有効である。「自社株買い」は、株価を正常な値に戻す効果があるのだ。「標準の株価よりも高くする」という株価操作の効果はないが、「異常に下落した株価を元に戻す」という株価正常化の効果はある。
( ※ 詳しく言うと、「市場の株価を理論的な株価に近づける」という効果がある。市場の株価が正常であるときには、何の効果もないが、市場の株価が異常な価格のときには、市場の株価を正常にする効果がある。)

 で、ライブドアがこうして「自社株買いによる、株価の正常化」という方針を示せば、「損害賠償を求める」なんて言っていた連中は、みんな引っ込むだろう。「しまった。売らずにおけばよかった。そうすれば 900円になったのに」と、ほぞをかむことになる。また、訴訟を受けた裁判所だって、「 900円で売ればいいのだから、訴える資格なし」と門前払いするはずだ。「早まって狼狽売りしたのが愚かであっただけ」と見なすわけだ。(フジテレビも同様。)

 結語。
 「株価が下がって損した」なんていっている連中から、ライブドアはどんどん株を自社株買いで購入するべきだ。そのくらいの現金はあるし、足りなかったら借りてもいい。子会社企業を担保にすれば、十分に借りることはできる。

 効果。
 こういうふうにしたあとで、「セシール」と合併・改名して、上場を維持するとよい。すると、「これはボロ儲け」と思った新規の株主がわんさと押し寄せるから、その時点で、自社株買いをした分の株を、ふたたび市場で売却すればよい。
 つまり、90円で買った「ライブドア」という自社株を、900円ぐらいで「セシール」という名前で売却すればよい。こうすれば、900円と 90円の差額を入手できる。その金で、借りた金を、全部返済すればよい。
 結局、濡れ手で粟で、莫大な金を入手できる。ただし、入手するのは、社長でもホリエモンでもなく、現在の株主(狼狽売りをしないで長期保有してた株主および最近になって買った株主)だけだ。そしてまた、その分の損をしたのは、狼狽売りをした慌て者の株主だけだ。図式で示すと、
    狼狽売りをした株主 → 現在の株主
 という図式が成立する。結局、ライブドアを憎んだ株主が損をして、ライブドアを愛した株主が得をする。「愛は勝つ」という図式。

 というわけだ。で、私が社長だったら、そういうことをやります。社長の責任は、株主に利益を与えることなんだから。(私じゃなくて、私の真似をする社長でもいい。)
 で、そういううまいアイデアを出した私は、どれだけ儲かるか? 残念ながら、私だけは、ちっとも儲かりません。ライブドアの株を一株ももっていないので。(もともと株なんか、やるつもりはないが。)
 私の目的は、真実と正義のみ。私は、金のことを研究するが、金の真実を知りたいだけであって、金を得たいわけじゃない。儲けたい人は、勝手に儲けなさい。私はちっとも儲けたくない。私がほしいのは、真実だけです。

 [ 付記1 ]
 なお、本項で述べたことは、USENが出現した現在となっては、いささかアイデアの出し遅れのようにも見える。しかし、そうでもない。
 4月14日には、上場廃止になるのだから、それ以前の混乱を防ぐ意味でも、ライブドアは自社株買いをした方がいい。それによる損得は何もなく、単に混乱が減るだけだ。ただし、条件は、「自社株買いの価格を正当な価格にすること」である。その目安は、1株 350円程度だ。(USENによる支援があるので、かつての 300円よりも少し高くなる。)
 で、その価格でいいと思う小口の客は、その価格で売って、手仕舞うといい。「いや、もっと上がるぞ。400円ぐらいにはなるはずだ」と思う大口の客は、たとえ若干の手数料がかかったとしても、そのまま株式を保有していればいい。
 なお、この方法を取った場合、フジテレビは、損害賠償の資格を失う。なぜなら、自社株買いの値段が示されるのを待ちきれなかっただけの、馬鹿にすぎないからだ。市場が混乱したのが理由で狼狽売りをしたからといって、その責任を誰かが負う必要はない。
 ライブドアの株が永続的に下落しているのであれば、誰かの責任だろうが、市場の混乱があったとして、そのとき狼狽売りで損をした人がいても、それは、その人の自己責任である。フジテレビもまた同様だ。おのれの愚かさを、人のせいにしてはいけない。

 [ 付記2 ]
 自社株買いだと、350円ぐらいの値段を付けないと、ちょっと詐欺ふうになる。
 しかし、そんな高値で買うくらいなら、市場価格で買った方が、ずっと得である。というわけで、300円になるまでは、誰かが徹底的に買いまくった方が、得である。そして、300円になったところで、350円での自社株買いを発表すればよい。
 ともあれ、こういう発想を取ると、非常にボロ儲けすることができる。で、それが、USENの社長の方針なのかもしれない。(ただし、ひょっとしたら、村上ファンドが参入するかもね。)
 とにかく、300円になるまでは、買いまくった人が得です。で、ここで買いまくった人は、別に、犯罪を犯しているわけでもないし、詐欺をしているわけでもない。「狼狽売りをした馬鹿」の金を、拾っているだけだ。たとえて言うと、ゴミ捨て場に現金をどんどん捨てている人がいるから、その金を頂戴しているだけだ。
 で、拾う人が誰もいなければ、ライブドアが自力でどんどん買い占めればよい。その場合は、自社株買いをすると発表することが必要だ。すぐ上では「ちょっと詐欺的だ」と述べたが、あらかじめ「自社株買いに応じた人は損しますよ」と公言しておけば、問題はないだろう。で、そうすることで、自社株買いに応じて株を売る人がほとんどいないまま、株価は350円まで、急上昇する。最善の場合、誰も株を売らないまま、株価は一挙に350円まで上昇するだろう。その段階で、自社株買いを実施すればよい。ただし、その場合には、市場価格は 350円を少しだけ上回る価格になるはずだ。

( ※ ついでに一言。ゴミ捨て場に捨てた現金をちょうだいすると、「遺失物横領罪」に問われるか? そんな揚げ足取りは言ないでください。ただの比喩なんだから。……それでも、捨てたものを拾うのは、別に、泥棒じゃない。捨てた人が「返せ」といわない限り、半年後にはもらえる、というのが、法律です。だから、捨てたものは、合法的に頂戴できるわけ。で、今、拾いまくっているのが、USENだ。だけど、外資ファンドも、同規模を買収しているということだ。)

 [ 付記3 ]
 「合併やら、自社株買いやら、南堂くんのアイデアは、うまいアイデアだな。なるほど。じゃ、そのアイデアは、いただき。ネットで公開されているから、タダで頂戴しよう。これで、大儲け」
 と思う経営者がいるだろう。ま、それはそれで間違いではないが、それは「ケチで儲け損ねる」という見本である。なぜか? タダでもらえるものは、しょせんは、安物にすぎないからだ。
 合併やら、自社株買いやら、ちょっとした思いつき程度なら、タダでもらえる。それはそれで有益だし、ちょっと得をする。しかし、それで満足していたら、真に儲かるものはもらいそこねる。
 私が本気になったときに、ちゃんと提供できるものは、こうだ。
 「ライブドアを、Yahoo をしのぐ、日本最大のポータルサイトにする。そのことで、Yahoo の利益を頂戴し、Yahoo の株価をしのぐ。」
 これは、十分に可能なことである。Yahoo の地位を奪うだけのことだ。つまり、Yahoo よりも1ランク上のサービスを提供すればよい。そのためには、ネット環境開発の才能が十分にあれば、オーケーだ。
 そのためには? もちろん、いろいろと才覚が必要だ。爺さん連中にはとうていできないことだし、文系の人にもできないことだ。ざっと言えば、google を開発した人のセンスがあれば、できる。
 今のライブドアにも、今の Yahoo にも、その才能はない。そこに、才能のある人が参入すれば、一挙にトップの座を奪うことができて、利益を独占できる。
 現在のライブドアには、その能力はまったくない。すでに広く知られていることだが、ライブドアのいくつかポータル・サイトは、 Yahoo のサイトの完全なるコピーである。1%ぐらいが違うだけで、何から何まで、コピーしている。サイトデザインに著作権がないのを幸いに、泥棒をしていると言ってもいい。
 で、しょせんは二番煎じだから、馬鹿にされるだけだ。こういう状況を抜け出して、強力なリーダーシップのもとで、時代の最先端を行くならば、ジョブズに率いられたアップルみたいに、大幅な利益を上げることができる。……実は、それこそが、ライブドアの株価上昇の王道なのだ。
 そして、そういうことは、「他人のアイデアを頂戴しよう」という発想をする人物には、とうてい不可能なのである。アイデア泥棒なんか、大した儲けにはならない。小金が儲かるだけだ。
 では、ライブドアが大金を儲けるには、どうすればいいか? その話は、翌日分で。


● ニュースと感想  (3月20日)

 「株価上昇の方法・その2」について。
 ライブドアの株価を急成長させる方法を示そう。ただし、これは、その方法を示すこと自体が、話の目的ではない。物事の核心をとらえると、ライブドアの株価を急成長させる方法もついでにわかる、というだけだ。
 ライブドアという会社の経営について、核心的なことを言おう。実は、ホリエモンは経営者としては二流の人物である。たとえば、「筆記用具の代金をケチる」ということだ。百円ぐらいのもののコストを惜しんで、コストばかりを下げようとする。あげく、生産性全体を低下させる。……こういうことをやるのは、経営者としては「駄目」な部類に入る。
 経営者の目的は、利益を上げることだが、その方法は、次の二つがある。
  ・ コストを下げる
  ・ 生産性を上げる
 駄目な経営者は前者にとらわれ、優秀な経営者は後者をめざす。後者をめざすには、さまざまな経営テクニックを要する。
 ま、ホリエモンは、経営者よりは、「コスト削減をめざす番頭さん」がふさわしい。会社が小さいうちはそれでもいいが、会社が大きくなるとそれでは済まなくなる。
 ホリエモンの本質は、優秀な経営者というよりは、優秀な企業売買家だ。その意味で、経営よりは、資本家の部門で、優秀な部類に入る。彼のような人物は、自分では経営をやらなりで、どこかの優秀な経営者に経営を委ねるのがベストだ。そのためには、本来は、社長よりは会長の座についていた方がいい。実務は別の人物にすべてを委ねて、その人に権限も渡した方がいい。

 というわけで、ホリエモンが監獄に入っているのは、ライブドアにとってはかえって成長の理由となるのだ。
 ホリエモンがここまで理解していれば、彼はなすべきことをなすだろうし、そのことで、ライブドアはライブドア事件のおかげでかえって成長が可能となる。株価は元の値に戻るどころか、さらに何倍にも上がることが可能となる。
 一方、ホリエモンが愚かであれば、USENの社長のいいように操られて、ライブドアはUSEN傘下の二流企業に留まるだろう。ま、Yahoo や 楽天のほかに、もう一つぐらいは入る余地があるから、倒産することはないだろうが、現状の経営方針を維持する限りは、いつまでたっても Yahoo や 楽天をしのぐことはできまい。ライブドアが急成長をするために、なすべきことはいくつもあるが、ライブドアはそのうちの一つとして実行していない。駄目な時代の日産自動車と同じ。違うのは、金集めが上手なことだけ。

 ライブドアがこれまで成長していたように見えるのは、(既存の)ライブドア自身はろくに成長しないで、買収した先の企業を成長させただけだからだ。たとえば、赤字のセシールを買収して、赤字体質を黒字体質に転換し、株価を上げる。……これは基本的には、企業再生ファンドみたいなものである。そのことで、虚業ではなくて、実体のある企業ではあった。ただし、その核心は、「優秀な経営」ではなくて、「駄目な経営を普通に戻すこと」だけである。本質的には、優れた経営ではない。カルロス・ゴーンに似て、コストカットなどを通じて、駄目な企業を正常な企業に戻す程度のことはいくらかできるのだが、その先、業界トップの優秀な企業に伸ばすことはできない。テストで20点の劣等生を、テストで60点の凡才にすることはできるのだが、テストで90点の優等生にすることはできない。なぜなら、「企業体質を優良にする」ためのノウハウが、基本的に欠けているからだ。あれもない、これもない、といったありさまである。
 ま、そんな企業は、日本中にいっぱいあるから、いちいちライブドアだけについて指摘しても仕方あるまい。たとえば、日産だって、馬鹿なデザイン部長をトップにすえているせいで、何千億円という莫大な金を失っている。彼の首を、ちょっと別の人にすげ替えるだけで、何千億円もの利益を上げることができるのだが、それさえもやらない。その意味で、カルロス・ゴーンも、コストカットが上手ではあるが、大した経営者ではない。(再建屋としては優秀だが、超優良企業にするだけの能力はない。極端に悪口ふうに言えば、コストを削ることばかり考えている。ま、それほどひどくはないが、あまりセンスがない。)
 ともあれ、スティーブ・ジョブズみたいなセンスのある経営者は、そうめったにはいないのである。ジョブズに比べれば、ゴーンもホリエモンも、ただの再建屋としての範囲を超えることはできない。

 ともあれ、ホリエモンの本質は、資本家であって、経営者ではない。量を拡大することは上手だが、質を向上させることは上手でない。そのことを理解するのが最優先となる。それはまた、彼が自分自身をよく知るべきだ、ということでもある。彼が「自分は経営の天才だ」なんて思っているとしたら、未来はないね。
 ただ、ホリエモンが金儲けが上手なことは、たしかである。村上ファンドに似て、ハイエナみたいな手口で、こすからく金儲けをするのは上手である。たとえば、株価の安い日本テレビを買い占める、という手口。株価の安い阪神を買い占める、という村上ファンドと同じ手口だ。経営ではなくて手口で儲ける。……その点では、どっちも似ているが、村上ファンドよりは、ホリエモンの方が、日本にとって有益だ。村上ファンドは、市場を混乱させて儲けるので、ない方がマシであるが、ライブドアは、市場を健全化して自分も儲けるので、日本にとって有益である。フンコロガシみたいなもので、人々が手を付けないものをきれいに片付けてくれる役割がある。

 [ 付記1 ]
 で、具体的には、ホリエモンは何ができるか? 監獄のなかで、何をやれるか? 
 簡単だ。最大の株主として、経営者を指名する権限を行使すればよい。USENの社長と相談して合意すれば、最善の経営者を指名できるはずだ。
 USENの社長は、彼が自惚れ屋の阿呆ならば、自分がライブドアをすべて仕切ろうとするだろう。そのあげく、深い霧のなかで、船長もろとも、氷山にぶつかり、沈没するかもしれない。
 一方、USENの社長が、謙虚であって、自己の能力の限界を知っているなら、自己よりも優秀な経営者を選ぶだろう。
 具体的な例で言えば、現在のライブドアの老害社長は、全然駄目ですね。社を救おうとする気概すらないのだから。単に実務をやっているだけ。……これを解任するのが、最優先の課題となる。(ただし私だったら、強引に解任するのでなく、会長に祭り上げる。)
 しかしまあ、ライブドアの経営がどうなろうと、それは私の知ったこっちゃない。ライブドアがつぶれようとつぶれまいと、それは一つの民間企業の問題にすぎないから、私の関心ではない。私の関心は、日本全体の社会意識にある。すなわち、日本の狂気。

 [ 付記2 ]
 ちょっと調べたら、面白いことがわかった。ライブドアの乙部という女性が退職したことを報道する週刊誌 FRIDAY の記事に、ライブドアの現社長をめぐる社内の評価が掲載されている。それでわかるのは、この社長は、「経営の私物化をする」という最悪のタイプの経営者だ、ということ。時代錯誤的。
 ま、この人物が社長を続けている限り、ライブドアは泥沼に入る。現時点では、1株 180円程度の資産価値があるが、やがてはその資産をすべて食いつぶして、1株1円の価値もなくなるだろう。つまり、文字通り、株券が紙屑になる。
 要するに、これから一日また一日と経過するごとに、ライブドアは資産を食いつぶして、最後には空っぽになるわけだ。なぜ? 本来は「資産を運用して、会社が利益を上げる」というのが会社の目的なのに、この社長は「自分が社長になって、自分が利益を上げる」ということだけが目的だからだ。目的を完全に履き違えている。こういう企業は、早晩、倒産が必然だ。ライブドアは、「今はまだ倒産していない」というだけのことであり、現路線をたどる限り、必ず倒産するだろう。
 ま、その前に、資本家が現社長を解任すれば、倒産は免れる。しかし、そうなる見通しがないのなら、さっさとライブドアを逃げ出した方がマシであろう。やめる社員がでるのも、頷けなくもない。私だったら、こんな社長の下では、一日だって働きたくないですね。人生を無駄にすることになる。
 乙部さんが逃げ出したのも、よくわかる。あんなヒヒ○○のもとで働きたがるような、正気の人がいるわけがない。ま、次々と社員に愛想をつかされる社長のいる会社に、未来などはない。
 で、ホリエモンともう一人を「保釈しない」という地裁のメチャクチャな方針は、「ライブドアを破滅させる」という政府の陰謀に加担しているわけだ。ひどい国ですね。
( ※ 民主主義国家なら、証拠湮滅の恐れがない経済犯罪なら、起訴のあとには保釈が当然である。なのに、殺人犯のような凶悪犯と勘違いしているようですね。政府による国民洗脳キャンペーンに、裁判官まで染まってしまっている。日本は今や、狂気の渦。)

 [ 余談 ]
 オマケで言おう。「南堂はライブドアの株を持っているんじゃないか?」と疑う人がいたら、その人には、強く勧告しておこう。
 「あなたは、推理力・判断力が最低だから、株を買っては絶対にいけない」
 下手な推理力を働かせて、見当違いの推理をする人は、株なんかやったら、大損するに決まっている。だから、上記の疑いをもつ人は、株なんかやらない方がいい。やけどをするだけだ。
 なお、私が株をやっているかどうかは、頭をちょっと働かせれば、すぐにわかる。
 「南堂が株の取引なんかをしている守銭奴だったら、一文の得にもならないホームページの更新なんかを、せっせとやるだろうか?」
 つまり、次の二種類の人間がいる。
  ・ ホームページの更新をせっせとやるが、それで一文も稼がない人間
  ・ ろくに生産しないで、株の取引でボロ儲けを狙う人間
 つまり、世の中には、真実を求める人間と、金を求める人間との、二通りがいるのだ。で、両者は、同一人物であるだろうか? たとえば、ホリエモンは、金を求めたか、真実を求めたか? ホリエモンは、南堂みたいになるだろうか? 南堂は、ホリエモンみたいになるだろうか? ……ちょっと考えれば、わかるはずだが。
 ま、私にとっては、百億円もらうよりは、宇宙の真実を知ることの方が、はるかに大切だ。(なぜ? 使い切れない金をもらっても、預金口座の数字が増えるだけだから、意味がない。ホリエモンは「お金で女を買える」なんて言っているが、一番大切な女は一人しかいないんだから、百人の女を買っても意味がない。一般に、金で買えるものなんて、たいして価値がない。金は、なくても困るが、ありすぎても困る。あまり金が増えると、世間の恨みを買って、監獄に入れられてしまう。ああ、貧乏って、幸せ。)


● ニュースと感想  (3月21日)

 「自社株買い」について。
 自社株買いについて、よく理解できない人が多いようなので、解説を少し加えておく。細かな実務的な話。

 (1) 利益総額
 「自社株買いをすると、事業資金が減るので、利益総額が減る」
 という意見がある。それはその通り。しかし、自社株買いの狙いは、
 「一株あたりの利益率・資産価値を上げる」
 ということだ。
 たとえて言うと、「小さな資本でボロ儲けする Yahoo」と、「莫大な資産をもっているのに利益率の低い新日鉄」という関係である。後者よりも前者の方が株主の利益になる。
 量と質の区別をちゃんと理解しよう。

 (2) 法律
 「自社株買いや、子会社との合併には、法律上の手続きの問題がある」
 という意見もある。しかし、法律上の手続きの問題などは、たいていが容易に回避できる。その方法は、「ペーパーカンパニーなどを利用して、迂回する」という方法だ。これは、別に、非合法ではない。やっていることを公表する限り、非倫理的でもない。
 法律というのは、通常の事件についてのみ規定されたものだから、例外的な事件については硬直的になって、現実に即さなくなる。その場合には、「形式的な迂回策」というのを取ると、解決が付くことが多い。
 具体的にどうすればいいかは、細かなことなので、いちいち記述しない。ただ、「持ち株会社」や「子会社」という制度も、このような形式についての方法の一つだ、と注記しておこう。
 で、何が言いたいか? 
 「その方法は、本質的には好ましいが、法律では許されない」
   なんていう形式主義にとらわれてはいけない、ということだ。「本質的には好ましいが、形式的にはまずいから、好ましい方式をあえて捨てる」なんていうのは、秀才馬鹿のやることである。物事は、本質が肝心なのであり、形式などは二の次だ。(たとえば、形式的な違法行為でライブドアを倒産させる、なんてのは、私が最も忌み嫌うことだ。)
 物事で大切なのは、本質である。本質さえ正当であれば、あとは形式的にどんな迂回策を取ろうと、少しも問題ではない。典型的に言えば、こうだ。
 「法律を守って人を見殺しにするよりは、違法であろうとも人命を救うべきだ」
 これが私の基本的な立場である。そして、人であれ会社であれ、殺人または破壊行為を正当化させる合法的な行為よりは、非合法なことをして正義をなす方がいい。そして、あとは、知恵によって、非合法を合法的に変えればいいだけだ。

 正義の名によって世界を破壊することは、悪魔のやることなのである。

 (3) 広告効果
 実は、自社株買いは、実行しなくても、発表するだけで、かなりの広告効果がある。「お、自社株買いをするのか。じゃ、株を買った方が得だ」と思う提灯買いの人が出てくるので、それだけで、株価が上がる。

 (4) 逆襲
 「自社株買い」は、「利益」を減らして、「資本金」を増やすことに相当する。
 一方、「自社株売り」は、「利益」を増やして、「資本金」を減らすことだ。
 だから、「自社株買い」をすれば、過去または未来の「自社株売り」と、相殺する。
 ところが、検察は、「利益」を増やして、「資本金」を減らすことを、「自社株売り」とは見なさず、「犯罪だ」と見なした。ここに、検察の矛盾がある。
 だから、ライブドアとしては、次のことをやるといいのだ。
 「いったん自社株買いを百億円やる。そのあと、自社株売りを二十億円やる。その後、自社株売りをしたことを、『利益隠し』と称して、自分を検察に告発する」
 これによって検察は、ジレンマに立たされる。
 「自社株売りを犯罪と見なせば、今後、多くの企業が自社株買いも自社株売りもできなくなる。自社株売りを犯罪と見なさなければ、ライブドアの犯罪性そのものが(部分的に)消失する」
 要するに、「利益と資本金の付け替え」なんていうのは、ただの経済活動であって、犯罪性を問うような大問題ではない、というのが本質なのだから、この本質を暴露するために、自社株買いをやればいいのだ。
 「自分は正しいが、頭を低くして、嵐の過ぎるのを待とう」
 なんていう態度は、意気地なしの卑怯な態度である。自分が正しいなら自分は正しいとはっきり主張するべきなのだ。権力悪による弾圧行為には、断固、抵抗するべきなのだ。それもできずに、「世論に迎合して頭を低くしていよう」なんて考えている連中は、権力の三下であり、自分自身、権力悪の一部なのだ。つまりは、ライブドアの現経営陣や、損害賠償を請求する元株主は、おのれもまた権力悪の一部なのだ。(迎合する下っ端という役割。)

( ※ 私は、普段は権力以外の個人に対する悪口を言わないが、権力に迎合する卑怯な連中については、十把一絡げで悪口を言う。こういう連中を見ると、虫ずが走るね。悪ガキの例で言うと、いじめっ子に命令されて、いじめられっ子をぶんなぐる子、という位置づけだ。昨日までは、いじめられっ子の親友だったのに、いじめっ子に命令されて、親友をぶん殴る。最も下劣な連中だ。)

 (5) 原則
 自社株買いは、良いか悪いか? このことを理解できていない人が多いようなので、原則を教えておこう。こうだ。
 「資金があって、うまく運用できるときには、資金を業務のために使えばいいが、資金をうまく運用できないときには、自社株買いをした方がいい。その後、資金が必要になったときに、自社株売りをすることで、そこで得た資金をあらためて事業に回せばよい」
 自社株買いは、状況が一定ならば何の効果もない。だが、状況が変化するならば、状況に応じて、「資金の効率的な運用」ができるのだ。同時に、「株価の安定化」もできる。
 特に、株価が大幅に下落しているときに「自社株買い」をして、株価が上昇してから「自社株売り」をすれば、その差額として、大幅な利益を得ることができる。こうして、会社としては、利益を増やす営利活動ができるのだ。
 「自社株買いのやりっ放し」というのは、あまり好ましいことではないが、「下がったときに買い、上がったときに売る」というのは、好ましいことなのだ。

 (6) 本質
 自社株買いは、「株価安定」の効果がある。では、なぜ、これが大切か? 物事の本質を見れば、それがわかる。
 現状の株価が正常な価格であれば、自社株買いや自社株売りは必要ない。通常は、そうだ。しかし、まれに、株価が投機によって極端に変動する場合がある。その場合には、投機による思惑で株価が乱高下するのを防ぐために、自社株買いをした方がいいのだ。
 今回の株価変動では、次のことをやった人が、最も儲かる。
 「事件の発端では、徹底的に売り浴びせて、株価の暴落を誘う。それを見て提灯売りをして大損した素人投資家が続出したあとで、一転して、底値買いをする」
 たとえば、120円前後で徹底的に売り浴びせて、株価を暴落させる。素人投資家が少し遅れて、売り急ぐと、80円以下に価格が下がる。そのあとで、80円ぐらいで買い占める。差額の40円が儲け。と同時に、安値でライブドアの株をたくさん取得できるので、膨大な資産を安値で買える。
 で、これをやったと思えるのが、外資系の投資ファンドだ。いつのまにか、各社合わせて、3割程度の株を取得してしまったらしい。
 というわけで、投機による思惑で株価が乱高下するのは、好ましくない。だから、投機による株価変動を防ぐために、自社株をした方がいい場合があるのだ。「常に自社株買いをした方がいい」とは言えないが、場合によっては自社株買いをした方がいいのだ。
 ついでだが、自社株買いによる効果は、上記の通りだが、この程度は、株式取引の常識として、株主ならば理解しておくべきだ。「自社株買いとは何か」もよくわからないような人は、株取引をやめた方がよい。仕手筋による乱高下に巻き込まれて、カモになったあげく、金を失う可能性が高い。


● ニュースと感想  (3月21日b)

 「本サイトの方針」について。
 本サイトは、詐欺活動の場でもないし、営利活動の場でもありません。読むのに一円もかかりません。金儲けが目的ではないので、アフィリエイトは付けません。アフィリエイトのあるサイトは嫌いだし、自分が嫌なものを人に見せたいとも思いません。
 本サイトは政治活動の場でもありません。小泉の悪口を言うと、「おまえは民主党ファンだ」と言われ、前原の悪口を言うと、「おまえは自民党ファンだ」と言われ、仏様のことを書くと、「おまえは公明党ファンだ」と言われ、米国の悪口を書くと、「おまえは共産主義のファンだ」と言われ、ま、あらゆる人々から、「おまえは政治活動のためにサイトを運営している」と言われますが、ふうん、そうだとすると、私はむしろ、「悪口と非難を言われるためにサイトを運営している」ということになりますね。
 そうかもね。


● ニュースと感想  (3月21日c)

 「ソフトバンクの詐欺」について。
 ライブドアはひどいことをやったといわれて、さんざん非難されているが、実は、国民の金を一円も奪っていない。(むしろ脱税の反対で、国民に20億円もプレゼントしてくれた。)
 一方、その反対が、ソフトバンクだ。日本ボーダフォンの買収で、電波を頂戴したが、その一方で、新規割り当てを受けた電波を返上するとは言わない。(口を濁している。世間の動きを見ているらしい。)……つまり、
 「価格破壊で、ケータイの料金を下げるので、電波の割り当てを下さい」
 と言って国民の財産である電波を頂戴しておきながら、その電波を頂戴できると決まったあとで、「やっぱり、やめようかな。電波はもらうけど、料金は下げたくない」というふうに、方針を正反対に転換しつつある。「これを上げるから、あれを下さい」と言って、あれ(電波)をもらおうとする。しかし、いったん目的のものをもらうと、「これ(値下げ)を上げる」という約束を反故にしようとする。こうやって、国民の財産を奪い取る。
 これぞ、正真正銘の詐欺。

 [ 余談 ]
 ま、どうせ電波の割り当てを言うのなら、もっといいアイデアがある。民放とNHKに与えた電波の割り当てを、すべて解消して、外国のマスメディアに与えてしまえばいい。そうすれば、今のような虚報体制が解消し、日本国民は真実の報道を聞くことができる。
 今の放送局なんて、存在価値がないし、むしろ、有害無益とすら言えるのだ。
( ※ 冗談なので、まともに受け取らないように。……当り前なんですけど、ときどき、私の冗談を字義通り受け取って、nando ブログに文句を書き込んでくる人がいるんですよね。オタク系の人が多いようだが。どうも、文学的素養が完全欠落しているみたい。文学的香気のあふれる作品をちっとも読まないせいかも。……ま、文学的香気のあふれる作品は、現代文学にはないが、昔の古典になら、いっぱいあります。たとえば、シェークスピアのオセロとかね。漫才のオセロじゃないですよ。)


● ニュースと感想  (3月22日)

 「画像ジョーク」について。
 ライブドアについての画像ジョークがある。暇つぶしにどうぞ。
   →  Open ブログ


● ニュースと感想  (3月22日b)

 「検察と情報漏洩」について。
 ライブドア事件について、検察の情報漏洩の疑いがひろがっている。
北島孝久氏といえば一般には無名でも、1月16日のライブドアの強制捜査で、現場の陣頭指揮を執った東京地検特捜部副部長である。…(中略)…このエース検事が1月下旬以降、捜査の指揮を執っていないという。
( → ネタ元は週刊新潮。引用ブログから孫引き。)
 ネタ元は週刊新潮というのが根拠不足だが、「情報漏洩の疑いがある」とのことだ。
 また、週刊文春によれば、この人はすでに辞任したということだ。( → 引用ブログ
 
 これが事実なら、どう考えても怪しい。あまりにもメチャクチャである。
 というわけで、「この人が情報漏洩をした」ということは事実だとは断言できないものの、その可能性は大いにある。
 一方、検察の誰かが、情報を漏洩したというのは、確実である。何しろ、逮捕の少し前にNHKが報道したからだ。
 というわけで、私としては、
 「検察の誰かを、氏名不詳のまま、情報漏洩罪(守秘義務違反)で告発する」
 というのを、提案したいですね。で、告発されたら、検察としては、次のいずれかを迫られる。
 ま、検察としては、一番目も二番目もやらないだろう。そんなことをしたら、バレたとき、検察という組織が崩壊する。「検察による組織犯罪」になってしまう。となると、トカゲの尻尾切りで、真犯人の首を差し出す。その首が、ライブドア事件の(元)最高責任者であれば、事件そのものがとんだ茶番となる。

 で、私としては、何をしたいか? まじめな事件を、茶番にすることで、漫才ごっこをしたいのか? 違う。むしろ、
 「事件はもともと茶番だった、ということを暴露する」
 これが目的だ。私が茶番にするのではない。もともと茶番だったのだ。その真実を暴露したいということが、私の狙いだ。
 
 いや、実を言うと、検察は、このことをもともと予想していたはずだ。そこで、前もって、トカゲの尻尾切りのつもりで、例の責任者をあらかじめクビにしたのだろう。もしかすると、この人は告発を受けて、逮捕されるかもしれない。もはや組織からは見放されているからだ。
 ま、そうなればそうなったで、話は大展開。おもしろくなる。この人が「実はこういうわけでして……」と暴露すれば、とんだ大疑獄事件になるかも。

 [ 付記1 ]
 ここで、犯罪性は、「守秘義務違反」という軽い問題ではなくて、「インサイダー取引」という重い問題がかかわる。このことに注意しよう。
 先日の読売の記者の場合は、ただの「守秘義務違反」という軽い問題があっただけだ。しかし、ライブドアの事件では、事件が報道される少し前から、株価が急落していた。となると、インサイダー取引があった可能性が高い。
 そして、インサイダー取引というのは、不正経理なんかよりも、ずっと犯罪性が高いのだ。こういう大問題に、検察の幹部が関わっていたとなれば、大事件となる。
 こういう問題を引き起こしてみたいですね。どこかの誰かがが、検察を告発してみてください。手間暇はかかるし、検察のいやがらせも受けるので、たぶん、損すると思いますが。……ま、何だったら、マスコミが検察を告発してもいい。
 ついでに言うと、NHKには、次のことを質問するといい。
 「情報を漏らした人の氏名を答える必要はないが、その人は、どのような役職に就いていたのか。検察の内部の人間か? もしそうなら、上部の人間か、末端の人間か?」
 ま、答えても答えなくてもいいが、どっちにしろ、大きな話題になるから、それだけでも面白い。ついでだが、「氏名を答えなくていいから、検察に属する人かどうかだけでも答えよ」という求めについては、「取材源の秘匿」は適用されないと思う。なぜなら、たとえ公表しても、取材源となった人の特定氏名が決まるわけではないので、特に害はないからだ。
 実際、特定氏名が判明するのは、検察の自主的な捜査があった場合だけだろう。そして、検察の自主的な捜査を促すのが、この告発の目的だ。だいたい、インサイダー取引というのは、情報漏洩なんだから、情報漏洩を「報道」の形でやったNHKだって、犯罪者の仲間である。そんなことに「取材源の秘匿」なんて、あるんでしょうかねえ。微妙なところだ。
 たとえば、新聞記者が殺人の共犯であったときに、「主犯の名を明かせ」といわれて、「取材源の秘匿で答えられません」なんてことは、ありえない。
 インサイダー情報を漏洩してボロ儲けした人がいて、それがNHKの記者の一人かもしれないのなら、「取材源の秘匿」なんて、認めがたいですね。だいたい、「取材源」というより、「真犯人」というべきだろう。「真犯人から情報を得たので、真犯人を秘匿します」というわけだ。
 ま、こういうのは、良し悪しがはっきりしがたいが、どっちみち、話題になるだけでも、一定の効果がある。

 [ 付記2 ]
 告発した場合、トカゲの尻尾とされた人が、自殺しないかどうかが、ちょっと心配だ。そこで私としては、検察ならぬ警察が、あらかじめ逮捕しておくのがよろしいと思う。
 野口という経営者がライブドア事件で自殺したのはとんだ失態だった。ホリエモンよりはこの人を逮捕するべきだった。その上で、短期間で釈放すればいい。本人は釈放されて「ほっとした」と思うはずで、自殺はしなくなる。「逮捕されるかもしれない」と悲観するから自殺しやすくなるのだ。「逮捕されたが釈放された」となれば、楽観するので自殺はしなくなる。
 というわけで、自殺防止のために、トカゲの尻尾をあらかじめ逮捕することをお勧めします。で、そのために、誰かが告発することを、お勧めします。グズグズしていると、権力が裏から手を回して、この人も自殺するハメになるかも。……そうなったら、これぞ、巨悪の隠蔽。


● ニュースと感想  (3月22日c)

 「すき家の牛丼キャンペーン」について。
 すき家が「米国産の牛肉は安全でないから使いません」という全面広告を打った。(朝日・朝刊 2006-03-21 )
 趣旨は、「オージービーフ(オーストラリア産牛肉)だけを使って、トマト・ソースをかけたイタリアン牛丼を発売」というものだが、「米国産牛肉は安全ではないので使いません」と大々的に宣伝している。狙いは「吉野家の牛丼は、米国産だから、危険です。当社は安全です」ということだろう。だが、狙いはともかく、「米国産の牛肉は危険です」と大々的に宣伝しているのは、とても立派である。というのは、政府はそれとは反対の方針を示していて、国民の多くはそれを信じてしまっているからだ。
 ここでは、「政府の方針とは逆のことを大々的に宣伝している」というわけで、政府の宣伝キャンペーンに真っ向から反していることになる。朝日はともかく読売は、「米国産の牛肉は安全だから輸入しよう」なんて言って、国民の生命を犠牲にして米国のご機嫌を取ろうとしている。だが、こういう売国奴みたいな新聞と違って、国民の生命を守るために、政府と米国と真っ向から対立するというのは、大した気概だ。私としては珍しく、一つの企業を「立派だ」と褒めておこう。
 で、「すき家の牛丼を食べましょう」とお勧めしてもいいのだが、私なんかがお勧めしても、効果はたかが知れているから、別に、お勧めはしません。お好みでどうぞ。

 [ 付記 ]
 オーストラリア産牛肉が良いのは、配合飼料を使わずに、草だけを食べているから。これなら原理的に、狂牛病のサイクルに入らない。「ひょっとして使っているんじゃないの」と疑う人もいるかもしれないが、ま、安価な牛肉なら、必ず大丈夫だ。というのは、草以外の配合飼料を使うと、コスト高になるので、安価にならないからだ。(米などを食べさせた霜降りふうの牛肉だと、絶対安全とは言えないが、牛丼用の肉なら、そんな高価なものを使うはずがない。)
 ついでに言えば、吉野家の牛丼は、バラ肉を使うので、脂身がたっぷりある。私は、こういうのは、好きじゃありません。どうせ百グラム60円ぐらいの脂身だらけの肉だろうし、そのうちタンパク質だけを見れば、肉なんかちょっとしか入っていないことになる。成人病になりやすい脂身ばっかり。こんなのは、食べたくありませんね。いっぺん食べて、こりごりしたので、二度と食べる気はしない。だいいち、まずい。自宅で作った方が、百倍美味しい。どうせ吉野家で食べるなら、まだしも他の料理の方がマシだと思いますね。あんな脂身ばっかりなの、想像しただけで、気持ち悪くなる。
 だけど、私がこういうふうに言うと、「あの脂身がいいんだ!」と断固として主張する人もいるんですよね。ま、お好みでどうぞ。(成人病になっても知らないよ。)
 教訓。金持ちとケチは、似ている。どちらも脂肪を取りすぎて、早死にする。

  【 追記 】
 狂牛病対策の意味は、国民の生命を守ることではなくて、国民の恐怖を和らげて、牛肉の売上げ減少を防ぐことだろう。恐怖がある限り、売上げは激減だろうから。
 なお、肉に国籍はないので、米国産牛を国産牛と偽って売ることは、よくある。その意味で、米国産牛が流入したら、いっしょに国産牛も被害を受けるだろう。それが狂牛病の輸入禁止の、本当の理由かな。(国民の健康を守るためではない。業者の金を守るため。……でなければ、日本政府がこんなに熱心にやるはずがないでしょ。米国に逆らってまで。日本政府の優先順位は「 票(農民票)> 米国 > 一般国民 」である。)


● ニュースと感想  (3月23日)

 「ホリエモンの自惚れ」について。
 ホリエモンという人物の評価をしよう。
 この人物については、毀誉褒貶がある。誉めたり、けなしたり、だ。敵も多ければ味方も多い、というタイプ。一般に、古い旧勢力からはけなされ、若い新興勢力や周辺の人々からは支持される。堅苦しい学者や面白半分のマスコミからは、「興味津々」というふうに注目される。
 一方、私個人としては、全然関心がないですね。私にとって関心があるのは、男ならファインマンやアインシュタインやモーツァルトであり、女ならば○○○○さんや△△△△さんだ。(適当に想像してください。チェ・ジウならば、当たらずといえども遠からず。)ま、むさくるしいホリエモンなんか、興味の範疇に入っていませんね。好きでも嫌いでもなく、関心外。
 ホリエモンに関心があるのは、「金が欲しくてほしくて仕方がない」という人たちだ。そういう人たちにとっては、「金儲けの教祖」と見えるだろう。ま、それはそれでいい。それは人の勝手である。

 ただ、私が呆れてしまうのは、ホリエモンがあまり頭が良くない、ということだ。「想定の範囲内」なんてことを良く口にしていたが、言葉の効果が想定の範囲内ではない。
 たとえば、「愛情も金で買える」というのは、男に向かって言うのなら、「刺激的」というだけで済むかもしれないが、女性の耳に届けば、それは「女性を、金で買う奴隷扱いしている」というふうに聞こえるから、メチャクチャな反発を買う。また、「世の中の7割は馬鹿」というのは、間違いではないが、馬鹿に向かって「馬鹿」と言ったら、反発を買うに決まっている。なぜなら、馬鹿は自分を「利口」と思っており、「利口」と言われたがるからだ。私だったら、「馬鹿」と言われて怒ることはまったくないし、女性に「あなたって馬鹿ね」と言われたらかえって嬉しいぐらいだが、たいていの人は、自分を「利口」と思っていながら、利口である自信がないので、「馬鹿」と言われたら怒るに決まっている。
 つまり、馬鹿を「馬鹿」と呼ぶのは、タブーなのだ。馬鹿に対しては「利口」と呼ぶべきであり、利口に対しては「お馬鹿ちゃん」と呼ぶべきである。これが対人交渉の原理。
 というわけで、ホリエモンは、「想定の範囲」がちょっと狭すぎる。そのせいで、想定の範囲外のことが起こってしまったのだ。
 ホリエモンの失敗は、人々を「馬鹿」と呼んだとき、自分もそのうちの一人だ、と自覚しなかったことである。その点、私は、ちゃんと自覚していますけどね。  (^^);

 [ 付記 ]
 おまけで言えば、「馬鹿」であることは、とてもすばらしい。ひるがえって、自分を「利口」と自惚れている世間一般は、実際には、「馬鹿」でも「利口」でもなく、ただの「狂人」である。発狂状態だ。……ひどいですねえ。ああ、馬鹿って素敵。
 この世の幸せは、貧乏で馬鹿であることだ。そうすれば毎日、お天道様を仰げる。この世の不幸は、金持ちになって監獄に入ることか、狂人になって他人を監獄に入れることである。


● ニュースと感想  (3月23日b)

 「出版準備」について。
 日本は今や狂気の渦。というわけで、狂気から覚まさせることを目的に、ライブドア事件の原稿を書いています。出版準備中。まだ原稿は執筆の途中。出版は速くても4月の末。実際には5月かな。下手をすると6月かも。
 「何でそんなに遅くなるんだ。今までのものをさっさとまとめろ」
 という声もあるかもしれないが、まとめただけじゃ、ただのホームページと大差ないから、世論には届きません。急いで小型の爆弾を作って負けるよりは、戦いに勝てそうな大型の爆弾ではないと。というわけです。

 ついでに、他の本はどうか? 一般的に言えば、「原稿はできても、異端の説だから、出版社が引き受けたがらない」ということ。出版社がほしいのは、「主流派の説の解説。安全確実に売れる物」である。いわばノウハウ本ですね。「読んでいかに役立つか」という実用性の観点から決まる。一方、私の書いているのは、異端の説であり、「真実とは何か」ということだ。これは、読んでも、知的好奇心が満足されるだけで、一円の得にもならない。むしろ、損するかも。(世間はまだ主流派がのさばっているから。)……というわけで、市場性がないんですよね。
 進化論の原稿は、すっかり書き終えているんだが、採算性が薄くて、出版はボツ。
 経済学原稿は、二通り。専門的な教科書は、一応できているんだが、専門性が高くて、素人を狙いとしていないので、「異端の説」なんか、市場性が薄い。で、出版はボツ。
 そこで、わかりやすいのを素人向けに書こうとしたが、四苦八苦。「薄っぺらな書籍に、有益で面白い内容を詰め込もう」としたが、どうにもうまく行かない。どうも、これは根源的に不可能な作業かも。「薄っぺらな書籍に、有益で面白い内容を詰め込もう」というのはともかく、「経済学全体を詰め込もう」とするのは、もともと無理みたい。そんな感じ。
 というわけで、まずは、ライブドア原稿を書こうとしているわけだ。これが売れれば、他の本も出版できるかも。一方、これが売れなければ、他の本も出版されそうにない。

 [ 付記1 ]
 私の意見は、「世の中の主流の説に異を唱える、異端の説」であり、売れるかどうかという観点からは、売れない本である。出版社が求めるのは、「世の中の主流の説を、わかりやすく解説した、実用本」だから、私の本は一般的な売れ線の出版企画に合わない。
 読者の傾向からいうと、小泉の波立ちであれ何であれ、私の話には、共感する人はものすごく賛同してくれるが、そういう人(天の邪鬼ふうの人)は、世の中にはあまりにも少ない。世間の大半は、「長いものに巻かれろ」という立場だから、私みたいな変人の説を聞き入れない。
 ま、だとしても、売れそうにないとはわかっていても、一応、原稿を準備中。世論をひっくり返す可能性はいくらかはあるので。(革命的な、ジャンヌ・ダルクか、キリストみたい。……結果は火あぶり?)

 [ 付記2 ]
 「そんな本を書くのは、南堂のアリバイ作りだ。無為無策で無責任だという批判を逃れるためだ」と言れれば、その通り。アリバイ作りです。済みません。
 でも、アリバイを作ったせいで、政府に逮捕されるかもしれないんですよ。罪を捏造されて。私だって、脱税か不正経理か、どちらかを問われる危険性は、常にある。政府のやり口なら、必ずどちらかで逮捕できるんだから。で、「無実だ」と訴えると、「罪を認めないから保釈しない」と言われて、いつまでたっても監獄から出られなくなる。

 [ 付記3 ]
 読者がもし、本を書いてお金儲けをしたければ、世論に迎合して、「ライブドアはものすごい悪党だ」という本を書けばよい。99.9%の支持を得て、人々を気持ちよくさせて、お金儲けができる。
 一方、私みたいなのは、正反対の立場だから、世論に逆らい、0.1%だけの支持を得るだけで、ほとんど本は売れない、というふうになりがちだ。
 世論というものは、「あなたは利口だ」というふうにいってもらいたいのであり、「あなたは間違っている」と言ってもらいたくないからだ。
 これはまあ、「バカの壁」ですかね。この書名の本が売れたわけは、「あなたはバカになってはいけない」という趣旨で述べて、読者を利口扱いしたことだ。私みたいに「あなたは間違っている」「あなたはバカだ」という趣旨で書けば、たちまち世間の大反発を食う。火あぶりにされそうだ。
 ま、私が世間をひっくり返すか、私が世間の火あぶりになるか、監獄入りになるか、どれかだろう。
 もう一つ。全然売れなくて、無視されるかも。その場合、販売不振のせいで、大赤字になって、破綻するかも。
 「ライブドアが破綻するのと、南堂が破綻するのと、どっちが早いか」
 なんてね。


● ニュースと感想  (3月24日)

 「嘘つきの勧め」について。
 ライブドアは「不正経理」という「嘘つき」の罪を問われている。しかし、私としては、さらに「嘘つき」を重ねることをお勧めする。それは、こうだ。
 「本当は罪を犯していないのに、罪を犯したという嘘をつく」
 これは、ホリエモンに対するお勧めだ。こういうふうに嘘をついた上で、保釈されることをお勧めする。
 断固として罪を認めない方がいいのは、保釈の申請が拒否されるまでのことだ。保釈の申請が拒否された場合には、嘘をついて、自白する方がいい。なぜか? そのような自白は、「自発性」がないので、証拠能力がない、と思えるからだ。
 仮に、このような「虚偽の自白」が証拠能力をもつとしたら、あらゆる無実の人間は「罪を認めない」ことを理由に、長期の豚箱入りを強いられる。このようなことは、文明国では、あってはならないのだ。留置場は、あくまで、起訴まで(証拠が整うまで)であって、以後は「証拠の隠滅」の恐れがないのだから、保釈されるのが正当である。この正当性を、堂々と訴えればよい。そのためには、嘘をついて、自白する方がいい。

 このような「嘘の自白」は、日本の古臭い司法制度を改革することにつながる。したがって、いったん保釈されたあとで、このことを大々的にキャンペーンするといいだろう。そうすれば、「嘘の自白」が社会的に容認されるので、裁判所としても無視できなくなる。
 かくて私としては「嘘つきの勧め」をしておこう。それでホリエモンの罪が重くなったら? そんなことを怖がるようじゃ困りますね。堂々と戦ってください。檻のなかで戦う必要はない。檻の外で戦えばよい。

 [ 付記 ]
 ただし、ヤメ検弁護士は、解任した方がいいと思う。ヤメ検なんて、弁が立つはずがない。検事と弁護士は、やることが正反対だ。ヤメ検に弁護を頼むのは、天下りにライブドアの会社経営をやってもらうようなものだ。この点では、ホリエモンはセンスがないね。
 一般に、ヤメ検は、弁護士としては好ましくない。なぜか? そもそも、目的が異なるからだ。
 普通の弁護士の目的は、依頼人を無罪にすることだ。仮に、自分の能力が不足していれば、他の有能な弁護士を仲間に加えて、何が何でも無罪を勝ち取ろうとする。「勝たなくちゃ意味がない」という発想だ。
 一方、ヤメ検の目的は、依頼人を無罪にすることではなくて、自分を有名にすることだ。勝とうが負けようが、事件を担当するトップの弁護士として、有名になればよい。
 ビジネスの世界で言えば、弁護士は、民間企業のようなものである。会社の利益を増して、株主の利益を増やすことを最優先にする。一方、検事は、官僚のようなものである。自分が出世して、組織でトップの肩書きを得ることを最優先にする。国民の利益なんかは眼中にない。
 というわけで、依頼人としては、依頼人を無罪にしてくれる弁護士を選ぶか、弁護士本人が有名になりたがる弁護士を選ぶか、ちゃんと決めなくてはならない。前者を選べば、外部の経済知識のある識者の助力を得て、うまく勝訴できるだろう。後者を選べば、ヤメ検ばかりが目立つだけで、力不足のまま、裁判では敗訴するだろう。
 ついでだが、檻のなかにいる人への弁護士のアドバイスは、「正直に言いなさい」ということだけらしい。馬鹿だね。法的手続きのことしか考えていない。今、弁護士が最もなすべきことは、ホリエモンの巨額の資産(のごく一部)を使って、世論に対してキャンペーンを張ることだ。それが無罪に持ち込むための最有力の方法だ。……しかし、ヤメ検は、そういうことをする発想がないのである。ヤメ検を選んだことが、ホリエモンの失敗だ。
( ※ キャンペーンなんかやったら、そっちばっかりが目立って、ヤメ検が目立たなくなるので、ヤメ検はやりたがらないのである。自分が目立つことしか考えていないからだ。とにかく、自分が目立って、自分が出世しよう、ということだけが、官僚にしみついた体質だ。自分が第一、依頼者が第二。仕事を担当することだけが目的であり、仕事の成果としての勝訴・敗訴はどうでもいいわけ。)


● ニュースと感想  (3月24日b)

 「NECの子会社の架空取引」について。
 NECの子会社が、巨額の架空取引をなしていた、と判明した。
 NECの 100%連結子会社であるNECエンジニアリング(NECE)の従業員が、2002年3月から2005年12月まで架空取引を行っていた。
 今回の架空取引による影響額は、合計で売上高363億円、営業利益93億円。
( → CNET ニュース
 他の記事によれば、やったのはただの従業員ではなくて、部長クラスだとのこと。
 さて。この事件をライブドア事件と比べると、次の差がある。
 一方、共通するのは、次のこと。  ゆえに、ライブドアと同じ処置を取るのであれば、次のようにするべきだ。

 第一に、検察は、社長が実行者でなくても、社長を(無実の罪で)逮捕するべきだ。そして「自分がやりました」と自白するまで拘留するべきだ。自白しない場合は、「反省しない」という理由で、保釈してはならない。(社長は、子会社の社長。)
 第二に、東証は、子会社だけでなく、NECを上場廃止にするべきだ。なぜなら、100%出資の子会社の粉飾は、NEC本体の連結決算の粉飾を意味するからだ。投資家を欺いたことになる。当然、NEC本体の株式を上場廃止にする必要がある。(東証の理屈によれば。)
 第三に、マスコミは、「NECの不正を糾弾する」という形で、「巨悪摘発」のキャンペーンをやるべきだ。ただし、今回は、小泉首相からの指示(検察を通じた間接的な指示)がないので、自発的にキャンペーンをやるべきである。それとも、何ですか。やはり、ポチの指示がないと、自分では何もできないんでしょうか? マスコミは政府の犬ですからねえ。


● ニュースと感想  (3月24日c)

 「永田議員の情報漏洩」について。
 偽造メールの永田議員の扱いで、「情報提供者の氏名を明らかにせよ」という声が高まっている。朝日や読売の社説もそう論じている。( 2006-03-23 )
 しかし、情報提供者を呼んでも、意味はあるまい。次のように語りそうだからだ。
 「偽造メールの根拠を示せとのお言葉ですが、根拠なんかあるわけがないでしょう。これはもともと、ただのジョークです。ジョークに引っかかった方が悪い。それとも、ジョークをやってはいけないというんですか? だったら、ライブドアの画像ジョークを公開した南堂ってやつも、逮捕したらいかが? ついでに、朝日や読売の漫画の作者も、逮捕したらいかが? ところで、ジョーク禁止法っていうのは、いつできたんですか?」
 つまりは、「あれはジョークでした」で、片付く話。これをいちいち国会で論じる方が、馬鹿げている。
 要するに、根拠のないデタラメに、安易に引っかかった方が悪い、というだけのことだ。で、それもわからずに新聞社が情報提供者を責めるのは、日頃、根拠のない話(未確認の話)ばかりを掲載している、ということを、白状しているだけだ。まともな新聞社なら、「情報の提供には、いちいち裏を取っているから、嘘の情報が寄せられても、うちは引っかかりませんよ」と平然としているはずだし、「永田議員が裏を取らなかったのが問題であり、情報提供者は別に悪くはない。ただの嘘つきにすぎない」と片付けるはずだ。つまり、まともな新聞社は、「ジョーク禁止法」なんてものを是認しない、ということ。

 それより問題なのは、次のことだ。
 「ジョークだと思わずに、真実だと思っていたのだとすれば、永田議員は、個人情報の漏洩に加担していたことになる」
 問題のメールは、ホリエモンの出したメールであり、個人情報である。これを、(差出人の)ホリエモンと、(宛先の)自民党幹事長の、許可を取らないで公開したとしたら、個人情報の漏洩に当たる。自民党幹事長は公人だとしても、ホリエモンは公人ではないのだから、やはり、個人情報の漏洩に当たる。つまり、永田議員は、この情報を国会で公開したことで、
 「私は個人情報の漏洩という法律違反の犯罪をやっています」
 と告白したに等しい。というか、犯罪の実行行為をやらかしている。また、情報の入手は、不正な経路を使った、ということも明らかであろう。正当な経路では入手できないはずだからだ。
 仮に、正当な経路であったとすれば、それを証明しなくてはならない。一般的に言えば、不法な経路で入手した証拠は、証拠能力をもたない。この点でも、問題がある。
 とにかく、永田議員は、「真実の情報であると信じた」と弁明したとき、「個人情報の漏洩をやらかした」と告白していることになる。ゆえに、「個人情報漏洩」の罪で、逮捕されるべし。

 [ 付記 ]
 ついでに言えば、いまだにホリエモンに対して、謝罪していない。この罪でも、非難されるべし。
 さらに言えば、国会議員は院内の発言で法的に責任を問われることはないので、議員辞職ということは誰も必要ないが、かわり前原が責任を取るべし。役職の辞任ぐらいはやるべきだ。当り前でしょ。






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