[付録] ニュースと感想 (134)

[ 2009.01.01 〜 2009.02.16 ]   

  《 ※ これ以前の分は、


    2001 年
       8月20日 〜 9月21日
       9月22日 〜 10月11日
      10月12日 〜 11月03日
      11月04日 〜 11月27日
      11月28日 〜 12月10日
      12月11日 〜 12月27日
      12月28日 〜 1月08日
    2002 年
       1月09日 〜 1月22日
       1月23日 〜 2月03日
       2月04日 〜 2月21日
       2月22日 〜 3月05日
       3月06日 〜 3月16日
       3月17日 〜 3月31日
       4月01日 〜 4月16日
       4月17日 〜 4月28日
       4月29日 〜 5月10日
       5月11日 〜 5月21日
       5月22日 〜 6月04日
       6月05日 〜 6月19日
       6月20日 〜 6月30日
       7月01日 〜 7月10日
       7月11日 〜 7月19日
       7月20日 〜 8月01日
       8月02日 〜 8月12日
       8月13日 〜 8月23日
       8月24日 〜 9月02日
       9月03日 〜 9月20日
       9月21日 〜 10月04日
       10月05日 〜 10月13日
       10月14日 〜 10月21日
       10月22日 〜 11月05日
       11月06日 〜 11月19日
       11月20日 〜 12月02日
       12月03日 〜 12月12日
       12月13日 〜 12月24日
       12月25日 〜 1月01日
    2003 年
       1月02日 〜 1月13日
       1月14日 〜 1月24日
       1月25日 〜 1月31日
       2月02日 〜 2月11日
       2月12日 〜 2月22日
       2月23日 〜 3月07日
       3月08日 〜 3月16日
       3月17日 〜 3月25日
       3月26日 〜 4月06日
       4月07日 〜 4月14日
       4月15日 〜 4月24日
       4月25日 〜 5月10日
       5月11日 〜 8月11日
       8月19日 〜 10月23日
       10月24日 〜 11月28日
       11月29日 〜 12月12日
       12月13日 〜 12月17日
       12月18日 〜 12月26日
       12月27日 〜 1月02日
    2004 年
       1月03日 〜 1月16日
       1月17日 〜 1月22日
       1月23日 〜 2月01日
       2月02日 〜 2月08日
       2月09日 〜 2月14日
       2月15日 〜 2月24日
       2月25日 〜 3月09日
       3月10日 〜 3月19日
       3月20日 〜 4月12日
       4月13日 〜 4月23日
       4月24日 〜 4月25日
       4月26日 〜 5月11日
       4月26日 〜 5月11日
       5月20日 〜 5月29日
       5月30日 〜 6月14日
       6月16日 〜 7月01日
       7月03日 〜 7月27日
       7月28日 〜 8月21日
       8月22日 〜 9月27日
       9月28日 〜 10月22日
       10月23日 〜 11月08日
       11月09日 〜 11月16日
       11月17日 〜 12月12日
       12月13日 〜 1月07日
    2005 年
       1月08日 〜 1月16日
       1月17日 〜 1月29日
       1月30日 〜 2月14日
       2月15日 〜 3月02日
       3月03日 〜 3月17日
       3月18日 〜 4月02日
       4月03日 〜 5月11日
       5月12日 〜 5月29日
       5月30日 〜 6月07日
       6月08日 〜 6月23日
       6月24日 〜 7月06日
       7月07日 〜 7月25日
       7月26日 〜 8月14日
       8月15日 〜 9月06日
       9月07日 〜 9月26日
       9月27日 〜 10月21日
       10月22日 〜 11月14日
       11月15日 〜 12月09日
       12月10日 〜 12月21日
       12月22日 〜 1月14日
    2006 年
       1月15日 〜 1月26日
       1月27日 〜 2月12日
       2月12日b〜 2月26日
       2月27日 〜 3月08日
       3月09日 〜 3月13日
       3月14日 〜 3月24日
       3月25日 〜 4月14日
       4月15日 〜 6月03日
       6月04日 〜 6月26日
       6月27日 〜 7月09日
       7月10日 〜 8月10日
       8月10日 〜 9月04日
       9月05日 〜 9月15日
       9月16日 〜 9月27日
       9月28日 〜 11月06日
       11月07日 〜 12月16日
    2007 年
       1月01日 〜 2月23日
       2月24日 〜 3月18日
       3月19日 〜 3月31日
       4月01日 〜 5月21日
       5月22日 〜 7月25日
       7月26日 〜 9月15日
       9月16日 〜 10月19日
       10月20日 〜 11月19日
       11月20日 〜 12月23日
       12月25日 〜 1月11日
    2008 年
       1月12日 〜 2月02日
       2月03日 〜 3月20日
       3月21日 〜 4月23日
       4月24日 〜 6月14日
       6月15日 〜 7月31日
       8月01日 〜 10月11日
       10月12日 〜 11月08日
       11月09日 〜 12月31日
    2009 年
         01月01日 〜 02月16日

   のページで 》





● ニュースと感想  (1月01日)

 新年のごあいさつふうに、「Google からの お年玉」というページを公開します。
 → 「Google からの お年玉 」


● ニュースと感想  (1月01日b)

 前日のボランティアの話に、重要な話を加筆しました。
  → nando ブログ 「罰としてのボランティア」 の ※1

 これの ※1 から ※2 までが加筆分です。
 とても重要なことが書いてあるので、お読み下さい。
 (前日分には、一番肝心なことが書いてなかったので。)

 なお、最後に、[ 付記3 ] として、「クリスマスキャロル」の話も加えてあります。


● ニュースと感想  (1月02日)

 生体認証としての指紋認証が破られた。指に特殊なテープを貼りつけて、入国審査をくぐり抜けた。
  → Open ブログ 「生体認証 (4)[指紋]」


● ニュースと感想  (1月02日b)

 「初夢・初笑い」について。
 昨年の初笑い。朝日の紙面と、それへのコメント。
   → 私の夢は「一日独裁者」になって苦しむ人を救うことです

 【 参考 】
 アフリカでも同じような例があった。「国難を救うために、短期的に独裁者になる」とクーデターを起こして大統領になり、その後、ずっと独裁者として居座る。
 ジンバブエがその例。ムガベという独裁者が居座る。
 その結果、年率 100億パーセントのインフレ。同じ商品についている価格が、朝は1億で、夕べに2億。( → 記事Wikipedia
 昔の「パピエルマルク」(レンテンマルク以前)と同じことが起こっている。
 「一日独裁者」みたいなのが登場したせいでしょう。……それって、朝日の初夢?    (^^);


● ニュースと感想  (1月02日c)

 前日のボランティアの話の最後に、軽い皮肉を加筆しました。
  → nando ブログ 「罰としてのボランティア」 の [ 付記4 ]

 一部抜粋。
 こういうバカ連中に、ボランティアを強制的にやらせるといい。
 ただし、目的は違う。彼らにやらせるとしたら、その目的は、「ボランティアの有意義さを教えるため」 ではなくて、 「強制されたボランティアの虚しさを教えるため」 である。



● ニュースと感想  (1月03日)

 「地図Z」というネット・サービスがある。Google マップを利用して、地図の経路上に自分で線を引くことができる。目的地までの道案内。
  → 「地図 Z (道筋を描く)」


● ニュースと感想  (1月03日b)

 「オールド・ディール」について。
 政府が新たな景気対策を決める。日本版のニュー・ディールだそうだ。しかしこれは、ただの古臭い古典派的な景気対策にすぎない。つまり、オールド・ディールだ。羊頭狗肉。新年早々、詐欺政策ですね。

 まず、速報は昨年のうちにあった。
1930年代の世界大恐慌で米国が打ち出したニューディール政策にならい、「麻生版ニューディール構想」と位置付ける。環境、医療・介護、消費など成長が期待できる7分野を対象に2009年度以降2〜3年間で数兆円を投入したい意向だ。
( → 読売新聞 2008-12-25
 詳細は、年明けに報道された。具体的内容は、下記の通り。(いちいち読まなくてもいい。)
《 「雇用ニューディール計画」の骨子 》
〈1〉医療、介護、農業など職種別に雇用創出計画を策定
〈2〉リストラに伴う失業者の再就職を助ける「雇用再生集中支援事業」を再開
〈3〉林業就業を促す「緑の雇用」事業を再開・拡充し、国や自治体、関係機関も臨時雇用の場を提供
〈4〉非正規雇用者の権利保護法制を検討
〈5〉育児休業者への所得補償を段階的に引き上げ、世界最高水準の育児休業制度を目指す
〈6〉起業後の法人税軽減や家庭菜園への農地貸与で高齢者を支援
( → 読売新聞 2009-01-02
 こんなのは、安倍・福田政権時代の二番煎じ。いや、もっと昔からある、とも言える。聞き飽きた。古すぎる。
 これらはちっとも「ニュー・ディール」ではない。なぜか? 「ニュー・ディール」政策の骨子である「総需要拡大」を意味せず、ただの「供給拡大」(サプライサイド)にすぎないからだ。「成長する産業のみを重点的に増やす」という政策。……要するに、小泉時代の「構造改革」とまったく同じである。名前を変えただけだ。呆れるね。
 小泉時代の「構造改革」が何をもたらしたか(= nothing )は、すでに歴史的に判明している。それと同じ「供給改善策」なんて、いくらやっても無駄。特定産業をいくら援助しても、他の産業が減るだけだ。「総需要拡大」をもたらさずに、「部分的な産業支援」をしても、まったく無効なのだ。

 こういう「オールド・ディール」を「ニュー・ディール」と呼ぶのだから、麻生のバカさ加減も、ここに極まれり。歴史認識の欠落が明白に出ている。「ニュー・ディールとは何か」さえも理解していないことになる。
 ま、考えれば、麻生だけじゃない。マスコミも同罪だ。これを「ニュー・ディール」と称する政府見解を、そのまま報道する読売(この会社だけらしい = 特ダネ)のバカさ加減も、どうしようもないね。
 首相もマスコミも、ちゃんと歴史のお勉強をしてもらいたいものだ。従来通りの経済政策を、名前だけ付け替えて「ニュー・ディール」と称しても、それはただの「羊頭狗肉」「詐欺的な嘘」にすぎないのだ。ちゃんと指摘するべきだろう。

 [ 付記 ]
 「部分支援でも、その分だけ、総需要の拡大になるのでは?」
 と思う人もいるだろう。しかし、残念ながら、そうではない。その件は、後日また述べる。
 簡単に言えば、「総所得の拡大」がない限り、駄目なのだ。また、公共事業をやるにしても、政府の総支出を増やさないで(= 財政健全化路線を保ったままで)、「一つの分野を減らして、他の分野を増やす」なんてことをしても、まったく無意味なのだ。……こんなこと、マクロ経済学のイロハなんですけどね。このイロハも理解できない古典派経済学者が多すぎる。
( → 野口悠紀雄 …… “ これまで、私は、「マクロ経済学はくだらない」と考えていた。……こんな理論を教室でまじめに教えていたというのが、信じられないことだ。” だって。経済学部の落第生であったことを 自ら告白する経済学者。  (^^); )


● ニュースと感想  (1月04日)

 クルーグマンの景気対策  世界的な景気悪化の現状において、クルーグマンが景気対策を教示した。(読売新聞 2009-01-03 )  これを紹介する。
  →  nando ブログ 「クルーグマンの景気対策」


● ニュースと感想  (1月05日)

 (1)
 Google は個人情報をないがしろにしている。この問題に対して、われわれはどうするべきか?
   → 「 Google 問題への対処」

 (2)
 量子論には、根源的な問題がある。それは、「質点の量子論」と「場の量子論」の対立だ。  現代の量子論では、思想的には「質点の量子論」なのだが、理論的には「場の量子論」なのだ。思想と理論が乖離している。
  → Open ブログ 「量子論の根源問題」


● ニュースと感想  (1月06日)

 クルーグマンの方法(景気対策)には、若干の難点もある。それは「公共事業」という純然たるケインズ政策を取ることだ。
  →  nando ブログ「クルーグマンの方法の難点」


● ニュースと感想  (1月07日)

 (1)
 ケータイで高額の料金を請求される事件が、いまだに相次いでいる。前にも述べたが、あらためて喚起しておこう。(これはケータイ電話会社による詐欺である。知らずにいると、大損害。)
  → Open ブログ 「ケータイ料金の詐欺2」

 (2)
 生物学の話題。(細胞進化の話。)  ミトコンドリアや葉緑体などが、それを含む細胞本体のDNA複製を制御している、ということが判明した。その意味を考える。
  → Open ブログ 「パラサイトシグナル」


● ニュースと感想  (1月08日)

 「派遣の規制」について。
 製造業への派遣の規制が論議されている。サービス業だけでなく製造業の工員にまで派遣を認めることの是非だ。
 企業の側は、「企業にメリットがあるから規制するべきでない」と主張し、労働者の側は、「労働者にデメリットがあるから規制するべきだ」と主張する。具体的に細かな話は、ネットでニュース検索してみてほしい。
 なかなか話が噛み合わないようだが、この問題は簡単に解決できる。基本は、こうだ。
 「物事の本質を考えて、原則通りにする」
 要するに、細かな話をああだこうだと交わす必要はない。こういうふうに立場の異なる意見がぶつかるときには、双方の原理が対立しているのであるから、細かな点で論争しても無意味である。企業がいくらメリットを述べようが、労働者がいくらデメリットを述べようが、全然、話が噛み合わないのだから、話をするだけ無駄。……つまり、これを「経済論議」と見なして論議すること自体が、根本的に間違っている。
 では、どうすればいいか? 原理原則の対立とは、哲学論争なのだから、哲学の原理に戻って考えればいい。日本人は、こういう哲学論争がまったく苦手だ。現実的なことばかりを考えているから、物事の本質を見失う。そのせいで、無駄論議ばかりをする。

 では、哲学論争とは、何か? 今回の例で言えば、こうなる。
 「自由には責任がともなう」
 経済の細目については、「自由」という原理が成立する。やたらと規制すればいいものではない。派遣労働の問題もまた同じ。「派遣で問題が起こるから派遣を規制して廃止せよ」という主張は成立しない。派遣であれ何であれ、経済の原則は「自由」であるべきなのだ。この点では、企業側の主張が正しく、労働者側の主張が間違っている。この問題を「規制」で解決しようとするのは、ただの社会主義経済でしかない。
 では、企業側の言うとおりにすればいいのか? 派遣を野放しにすればいいのか? ひどい雇用形態を野放図にしておけばいいのか? もちろん、否。自由という耐性において、単に放置すれば、「弱肉強食」となる。それは文明社会のあり方ではない。「ライオンがウサギを食う」という動物社会だ。そんなことは人間の社会とは違う。
 「自由」は大切だが、「自由」には「責任」がともなう── これが哲学的な真実だ。こういう哲学的な真実を誰もが忘れている。(普段から哲学的に「自由とは何か」ということを考えていないからだ。)
 今回の例で言えば、こうなる。
 「派遣という労働形態は、規制するべきではない。しかし、派遣という労働形態を利用する企業の側は、そのメリットを享受する分だけ、そのメリットにともなう責任を引き受けなくてはならない」
 具体的に言えば、こうだ。
 「雇用するときは自由で、解雇するときには無責任、というのをやめる」
 つまり、雇用するならば雇用するで、それにともなう責任を引き受けなくてはならない。派遣には「解雇しやすい」というメリットがあるのだから、そのメリットを享受するのであれば、そのメリットにともなう責任を引き受けなくてはならない。

 具体的には? 次の二通りだ。 (*
 「解雇するときには、解雇に際して一時金を支払う」(米国のレイオフに似ている。)
 「雇用している間は、失業保険の保険料を高額で支払う」

 このうち、特に後者が絶対的に必要だ。要するに、企業は派遣労働者を安価に雇用することができるが、そのかわり、失業保険の保険料を高額で支払うべきだ。たとえば、給与の 50%ぐらいに相当する保険料を支払う。
 これなら問題あるまい。派遣労働者は、解雇されたあと、失業保険を受け取ればいい。しかも、正社員の場合と違って、受給制限のようなものはない。「1カ月勤務して、5カ月ほど失業保険をもらい、また1カ月勤務して、また5カ月ほど失業保険をもらう。年間の実働時間は2カ月だけ。」というのも許容される。なぜなら、その分、高額の失業保険が支払われているからだ。(企業の費用で。)
 現実には、そうなっていない。失業保険は、派遣も正規社員も一律だ。そのせいで、「正規社員の支払った失業保険の金で、派遣労働者が失業保険を受け取る」というふうになっている。その意味は、こうだ。
 「派遣労働者を利用している企業は、失業保険の支払いを免れることで、国家(国民全体)から富を盗んでいる」
 要するに、国からの泥棒だ。これが「派遣を利用する企業」の実態だ。だから、経営者側の論理は、泥棒の論理にすぎない。

 そして、この問題を解決する方法は、簡単だ。基本原則に戻ればいい。「自由には責任がともなう」という基本原則に。……そうすれば、結論は自動的にわかる。すなわち、上記の二点(*)だ。


● ニュースと感想  (1月08日b)

 「定額給付金の名前」について。
 nando ブログのコメント欄に、次のことを記しておいた。Q&Aの形で、転載しておこう。
 Q 「定額給付金」は「減税」と同じくマクロ経済学の視点から見れば「総需要」が増える政策ということですね。
 A  そうです。
 ただし、「定額給付金」は名前が駄目です。「給付」という文字が入るので、「国が給付してあげる」というふうになります。「それなら、いらねえや。おれはこじきじゃないぞ。恵んでもらうものか」と思うのが江戸っ子でしょう。
 定額給付金を払うのは、政府や麻生首相ではなくて、国民自身です。自分の金を自分に払うだけです。(理由は別所で。簡単に言えば物価上昇という形。)
 最初から「定額減税」という名前で呼んで、「消費税の分を一律減税します」と言えば良かったのにね。人の金を自分の金のように呼ぶ「定額給付金」は、少なくとも名目上は、政府による泥棒と同じです。
 国民一人一人の金を2万円奪って、その2万円を返してあげるだけなのに、「恵んでやるからありがたく思え。その分、自民党と公明党に票を寄越せ」という政策。
 泥棒政策。

  【 追記 】
 新たに、次のニュースがあった。
   → 「定額給付金は生活給付と消費刺激」
 首相は「生活給付金という意味合い、消費刺激という意味合いと両方あるわけです」と述べているが、これについて私からコメントしておこう。それは、
 「大きなお世話」
 である。国民がその金をどう使うか( or 使わないで貯蓄するか)は、国民一人一人の勝手である。なぜなら、その金は、もともと国民自身の金であるからだ。自分の金をどう使うかは、自分の勝手。政府や首相が勝手に「こうしろ」と口を出すべきではない。大きなお世話だ。
 たぶん首相は「その金は政府が国民に恵んでやる金だ」と思っているのだろう。馬鹿にするにもほどがある。どうせ将来的に「消費税増税」または「物価上昇」で国民は金を奪われる。つまり、借金と同じだ。「今は2万円を得て、後で2万円を払う」となる。もしくは、消費税増税で 20万円を払う。(年利 200%ぐらいのウルトラ・サラ金?)
 とにかく、国民は、その金を得るとしても、しょせんは自分の金である。国がくれるわけじゃない。そこを勘違いして、「金はこう使え」と命じるなんて、おこがましいにもほどがある。
 「馬鹿にするな」と言いたいですね。

( ※ なお、消費刺激と減税と物価上昇の関係については → 「需要統御理論」簡単解説


● ニュースと感想  (1月08日c)

 前項(定額給付金の名前)の後半に、あとで【 追記 】を加筆しました。
   → 該当箇所


● ニュースと感想  (1月09日)

 「英国とアイルランドのユーロ志向」について。
 英国とアイルランドの通貨が暴落している。例の通貨危機のさなかで、この両国の通貨は暴落している。特にアイルランドはひどく、もともと国家全体で「金融バブル」を産業にしていた面があるので、その被害も大きく、通貨は大幅に暴落している。英国も、それほどではないにせよ、欧州各国(ユーロ圏)よりも暴落の幅が大きい。「ユーロ圏に入っていればこんなことはなかったのに」という声が国民の間に渦巻いており、「自国通貨を廃止して、ユーロに加盟しよう」という声が高まっているという。
 これは朝日の報道だが、例によって朝日の「記事だか解説だかわからない」という主観的な口調が混じって、「ナショナリズムよりも国際協調がすばらしい」という記者の感情がたっぷりと交じっている。つまり、「自国通貨を廃止して、ユーロに加盟しよう」というのは、国際協調路線なので、すばらしいな、と一方的に片方を持ち上げる。
( → 朝日新聞 2009-01-08 )

 さて。ユーロについては、私は前に何度か、次のことを指摘した。
 「欧州の通貨を統一すれば、各国の個別の調整の自由が失われる。通貨レートを適切に上げたり下げたりすることができなくなる。そのせいで、(物価上昇を抑制するあまり)失業の発生が起こりやすい」
 このことは、今回にも当てはまる。以下、説明しよう。

 英国やアイルランドでは、「通貨が暴落したから、生活が大変だ」という声が渦巻いているという。「だから通貨の暴落を避けられるユーロがいい」という理屈だ。
 朝日はこういう声をいっぱい掲載しているが、経済音痴も極まれり。優香が暴落しているとしたら、経済体質が弱まっているからだ。ならば、通貨の暴落により、経済体質を強化するのが先決である。そのためには、通貨の暴落は、有害ではなく、有益なのである。
 比喩的に言えば、「風邪を引いたら熱が上がる」ということだ。ここで、「熱が上がると仕事ができなくなるから困る」と思って解熱剤を飲むと、なるほどそのときは仕事がはかどるが、肝心の風邪がどんどん悪化してしまう。そのせいで、病状はひどく悪化して、以後しばらく寝込むことになる。
 通貨暴落も同じ。通貨暴落によって、輸出産業が伸びて、外国からの輸入が減り、国内産業が伸びる。このことで経済体質は改善する。そのことは絶対に必要なのだ。なのに、通貨レートを固定したままならば、時刻で莫大な倒産と失業が発生する。(病気がひどく悪化する。)
 今、米国であれ日本であれ、「通貨レートが高いから下げたい」(ドルや円のレートを下げたい)という声が自動車産業で渦巻いている。トヨタやホンダは「円高のせいで利益のほとんどが吹っ飛んでしまうから、赤字になる!」と大騒ぎしている。どっちにしろ通貨レートを下げたいのだ。なのに英国やアイルランドは、「通貨レートを上げたい」と叫んでいる。「そうすれば外国製品を安価で輸入できるから」ということだが、馬鹿げている。消費者がそういう「身の程知らずの贅沢」をしようとすれば、自国内では生産量が減って失業が増える。……そういう経済原理をまるきりわかっていないのだ。
 簡単に言えば、彼らの言い分は「専業主婦の論理」である。「通貨が下がると物価が上がって困るわ」というので、「通貨を上げる」という方針を取る。しかし、そのせいで、亭主は会社を首になる。一家の収入はなくなるのだが、それでも専業主婦は「お金の使い出が増したので嬉しい」と喜んでいる。肝心のそのお金が入らなくなる、ということに気づかないまま。

 朝日の記事のどこがおかしいか、これでわかっただろう。経済というものは「生産と消費」という二面性がある。ところが朝日は、「消費」の側だけを見て、「物価上昇」を避けるのがすべてだと思い込んでいる。そのせいで「生産」を無視して、「倒産・失業が増える」という面を無視する。
 経済学音痴。ただの「国際協調」を理想とする文学部馬鹿。……頭の悪い記者が記事を書くと、こういうふうに、物事を勘定だけで決めるようになる。「美しいことをしよう」とだけ考えて、食べるものをなくして餓死する。文学部馬鹿というのは、そういうものだが。
( ※ 彼らは失業して小説でも書いている方がよかった。なのに、新聞社に入ったせいで、その間違った思想を読者に振りまく。国民を破滅に導くような、有害な害虫。社会に悪い思想を伝染させる病原菌。)


● ニュースと感想  (1月09日b)

 (1)
 サントリーが屋上緑化の事業に乗り出したという。木質ウレタン系の新素材「パフカル」というのを採用して、土よりも軽量で高性能。植物がどんどん生長するという。
 Open ブログ「サントリーの屋上緑化」
 (2)
 新常用漢字の正字体の漢字について、2点しんにょうにするか、1点しんにょうにするか、という議論がなされている。
 → Open ブログ 「新常用漢字と2点しんにょう」


● ニュースと感想  (1月10日)

 パスワードは、あっさり見破られることもある。どういうパスワードが駄目か? また、対策はどうするべきか?
  → Open ブログ 「パスワード作成 2」


● ニュースと感想  (1月10日b)

 「改札口の電子機器の問題」について。
 電車の改札口には、切符が使えるタイプもあるが、切符が使えないICカード専用機がある。そこで、(事情により)切符を使う視覚障害者は、区別がつかなくなって困るという。
 電子機器化がとんだ迷惑を招いているわけだ。
 視覚障害者は……ICカードと切符の両方が使える従来型「併用機」と、ICカード「専用機」との区別がつかず、専用機の前で立ち往生してしまう。
 当初は、ICカードと切符などが両方使える併用機だけだったが、ICカードが普及したため、JR東日本の場合、2005年2月に新宿駅で初めて専用機を正式導入。昨年3月末時点で、専用機は同社の駅の自動改札機の1割強にあたる494か所を占める。首都圏の私鉄9社でも導入が進み、最も多い東急電鉄の場合、4割近い274か所が専用機となっているという。
 専用機は、切符などを内部に取り込んで読み取る併用機より故障が少なく、鉄道会社にとっても維持費削減のメリットがある。
( → 読売・夕刊 2009-01-09 )
 この問題をどう解決すればいいか? 
 記事では、常識的な対策が述べられている。次のように。
 「専用機の配置場所は駅ごとに異なっており、……配置する際のルールを考えるべきだ」
 「各社や駅ごとに専用機の配置がバラバラで、『併用機は必ず端に残す』などのルールもない。障害者団体の意見を聞くなどして統一すべきだった。各社には、専用機近くでアナウンスを流したりする工夫が求められる」

 しかし、これはいかにも視覚障害者対策である。実際には、切符を使う人全員が不便をこうむっている。たとえば、私もしばしばJRで切符を購入するが、改札口までたどり着いて、「切符は使えません」となって、よその改札口に向かう必要があることが多い。とんだ迷惑である。
 だから、「視覚障害者向けの対策をすればいい」というものではない。

 ここで、読者が期待するのは、次のことだろう。
 「何かうまい電子的な方法(IT技術の方法)で解決する」
 まあ、それも一案である。しかしながら、この問題は、「人間の行動を操作する」という問題だ。つまり、「人間の進路をいうふうに歩かせるか」という問題だ。人間の意思の問題であるから、電子機器にはなじまない。電子機器が人間の医師を捜査するのは困る。
 やるとしたら、せいぜい、「案内図を電子的に示す」ということだが、そういうことは、やるとしても、「感覚器官の障害者に不便」ということだけでなく、普通の健常者にも一定の負担をもたらす。ベストの方法など、本質的にありえないのだ。

 実は、この問題は、電子的に解決するのではなく、経済学的に解決する。「費用対効果」の問題で、あっさり解決がつく。
 まず、会社が専用機を導入する理由は、なぜか? 記事によると、こうだ。
 「専用機は、切符などを内部に取り込んで読み取る併用機より故障が少なく、鉄道会社にとっても維持費削減のメリットがある。」
 しかし、これは胡散臭い。
 (1) 専用機を増やそうが減らそうが、切符の利用者の総数は変わらない。とすれば、専用機を増やすと、故障する機器の数は減るが、1台あたりで故障頻度が増える。故障する機器が、1台に集中するか、多数に分散されるか、という問題にすぎない。故障の総数はほとんど同じ。とすれば、維持費削減のメリットはほとんどない。
 (2) 維持費にせよ、初期投資にせよ、(延べ)利用者一人あたりのコストは1円にもならない。一人あたりなら、1円を大幅に下回り、ゼロ同然とも言える価格だろう。つまり、コスト削減のメリットなど、ほとんどない。

 以上から、正解はわかる。
 「専用機を廃止する」(すべてを切符利用可能にする)
 ということだ。これなら、誰も迷惑をこうむらない。簡単に解決がつく。

 正解は簡単にわかる。たぶん、小学生にもわかるだろう。小学校で「どうすればいいでしょう?」と質問を出せば、多くの子供が正解にたどりつけるはずだ。
 しかし、大人は、この正解にたどりつきにくい。なぜか? 

 ここまで考えて、ようやく、物事の本質にたどりつく。それは、「大人は(古典派)経済学という妄想を信じているから」だ。
 大人はこう考える。
 「自由主義経済と市場原理に任せるのが最善だ。
 すると、会社は、コスト削減のために、最大限の努力をする。維持費を1円でも節約するために、専用機を増やす。そして、それが、最善の状況なのだ。
 それが最善の状況なのだから、人々は不便であっても我慢するべきだ」

 しかし、子供がこれを聞けば、「本末転倒でしょ」と言うだろう。「王様は裸だ」と言うように。

 では、大人の発想は、どこに問題があるか? こうだ。
 「自由放任にすれば、会社は利益の最大化をめざすが、それは会社の利益の最大化だ。その一方で、利用者の利益はまったく無視される。利用者の利益は、ゼロになるどころか、マイナスになる。(余計な負担を強いられるので。)……つまり、会社は、利用者の利益を大幅に減らすことで、自分の利益をごくわずかに増やす」
 これはすなわち、「泥棒」と同じことだ。利用者に百円分の損をさせて、会社は 0.01円分の利益を得る。利用者はどんどん大幅に損をするが、会社ばかりはほんのちょっとばかりの利益を得ることができる。
 そして、エゴイズムの原理(= 泥棒の原理)のもとでは、泥棒ばかりが金を貯めることができる。

 こういうことは、必ず起こるわけではないが、次のもとでは必ず起こる。
 「競争原理が働かないで、独占原理が働く」
 電車の場合は、まさしくそうだ。地域独占の形態がある。そこでは「不便な改札口の路線をやめて、別の路線に乗り換える」ということができない。だから会社側は、「利用者に百円分の損をさせて、会社は 0.01円分の利益を得る」ということが可能になる。

 では、どうすればいいか? 「それは駄目だ」と規制強化をすればいいか? 
 一応は、そう言える。だが、やみくもに「規制強化をすればいい」というものではない。何が正しく、何が間違っているかを、ちゃんとわきまえる必要がある。正しい規制ならば好ましいが、悪い規制は迷惑だ。では、正しい規制と悪い規制を区別するものは、何か? 

 ここまで来て、物事の核心にたどり着く。
 われわれにとってなすべきことは、「正しい認識を得ること」だ。何かを行動する前に、頭で正しく考えることだ。……そして、それは、ここでは次のことに当たる。
 「会社の利益ばかりにとらわれず、全体の利益を考える」
 ここでは「全体の利益」が大切だ。つまり、マクロ的な認識が大切だ。
 古典派経済学者は、「経済」というものを、「金儲け」とだけ考える。だから、「会社の損得」ばかりを考える。読売の記者もそうで、「会社の維持費」のことばかりを考えている。
 しかし、マクロ的に考えるなら、「全体の利益」を考えることができる。会社の利益だけでなく、利用者の利益(便益)を考える。すると、次のことがわかる。
 「会社が 0.01円分の利益を得ている間に、利用者は百円分の損をこうむっている」
 これが事実だ。なのに、たいていの大人は、その事実を見失っている。会社の利益を考えることだけが経済的な認識だと思い込んで、利用者の大損という半面を見失っている。……このような半面的な認識が、物事の核心だ。

 たいていの大人は、こういう認識ができない。「会社が金儲けをするにはどうすればいいか」ということばかりを考えているから、「社会全体の損得」という認識ができない。そのせいで、社会には、泥棒をする会社ばかりが増えている。……その典型が、「労働者から泥棒をする会社」というやつだ。
 そして、その結果は、「金を盗まれた労働者が、商品を買えなくなるから、会社にとっても客そのものがなくなる」という結果になる。……これが今の日本経済の状況だ。
 
 たかが改札口の問題にも、国家経済全体の問題と同じものがひそんでいる、とわかる。
 「視覚障害者が改札口で困っている」という話を聞いても、「ふん、そんなのおれの知ったこっちゃないや」と思っている人が多い。そういう人が多いから、日本全体が不況に苦しむことになるのだ。人の苦しみに思いを馳せることができない人々が多いから、自分自身もまた苦しむハメになるのだ。
 情けは人のためならず。同様に、情けのない人は、自分自身が苦しみから脱せない。……それが今の日本だ。

 [ 付記1 ]
 こういうお馬鹿の代表は、例によって、池田信夫だろう。
 (1)
 日比谷公園の派遣村で苦しんでいる人がいる、というのを、馬鹿にして、鼻であしらっている。
  → 池田信夫 blog 1
 (2)
 「需要と供給」というのを、高校生レベルでのみ語っている。高校生並みの初級知識しかない。
  → 池田信夫 blog 2
 失業の発生を、小学校の算数レベルでのみ語っている。小学生並みのの初級知識しかない。
  → 池田信夫 blog 3
 上の二点(2,3)が成立しないということは、現実を見れば、簡単にわかる。中学生並みの知識があれば、簡単にわかる。
 実を言うと、彼が 2 で「高校生」と語っているのは、間違い。受給曲線の知識は、高校ではなく、中学で学ぶ。( → 出典 ) だから、彼は「高校生並みの知識しかない」のではなく、「中学生並みの知識しかない」のである。
 また、彼が 3 で語っているのは、「奴隷を禁止すると、奴隷が失業してしまう。ゆえに奴隷解放反対」というような論理。馬鹿げている。というか、馬鹿そのものかも。
  ──
 では、正しくは? 
 (1)’ 「受給曲線」は、均衡期にのみ成立し、不均衡のとき(不況期)には成立しない。理由は「トリオモデル」の「下限曲線」だ。
   →  nando ブログ「ワーキングプア & 古典派の倒錯
 (2)’ 失業の増減は、マクロ経済学で理解される。この点は、ケインズの本に書いてある通り。(とはいえ、ちょっと難解なので、池田信夫には、とても理解できないだろうが。彼にわかるのは受給曲線だけ。これなら中学生でもわかる。   (^^); )

 ついでだが、私は「トンデモ批判」をするのが生きがいである連中とは違うので、池田信夫を批判するつもりはない。彼と同じことを主張する古典派経済学者は、山のようにいる。というか、ほとんどがそうだ。例外は、クルーグマンとスティグリッツぐらいか。(あとは私ぐらいか。)
 池田信夫の名前は、「右代表」の形で、取り上げることにした。彼の言っていることは、別に、彼独自の意見ではない。あらかたの古典派経済学者に共通することだ。彼だけを批判しても始まらないのだ。

 [ 付記2 ]
 オバマは超巨額の財政支出で不況対策をする見込みらしい。減税と公共事業。どうやらクルーグマンの方針そのものらしい。1兆ドル規模。(各紙報道。2009-01-09 )
 オバマはどうやら正しい方針を取るようだ。ノーベル経済学賞の効果は確かにあった、ということでしょうか。


● ニュースと感想  (1月11日)

 「全体の利益」について。
 前項では、改札口をめぐって、利用者の利益(≒ 全体の利益)について語った。このような全体的な認識は、多くの場面について当てはまる。

 (1) 防火サッシ
 防火サッシメーカー5社が、戸建て住宅やマンションの窓に使う樹脂サッシの防耐火性に関して、偽装していたという。さらにその後、政府の問い合わせに「問題なし」と虚偽報告していたという。
( → 朝日新聞 2009-01-09 )  これはまあ、「レクサスISを売ります」と称して、安物のアリオンを売りつけた、というようなものだ。サッシだと、見かけは似ているから、区別がつきにくいのを利用したわけ。典型的な詐欺。
 ここでは、会社側が少額の利益を得ようとして、客の全体に莫大な損失を発生させたわけだ。
 記事によると、「各社は無償改修する」というから、具体的な損害は発生していないようにも見える。しかし、それは、火事が起こっていたか否かによる。その間に火事が起こっていなければいいが、その間に火事が起こっていれば、人命が失われたかもしれないのだ。それは、あなただったかもしれない。(例。訪れた知人の家で火事に巻き込まれて死亡。)
 つまり、「あとで直せばいい」というものではないのだ。仮に、そんなことを言い出したら、自動車のエアバッグだって、欠陥品でいいことになる。
 「ただの紙風船でもいいでしょ。その方がコストが安くて儲かるから。もしバレたら、あとで直しますよ。その間に客が死んだら? 死んだ人は文句を言わないから、別にいいでしょう」
 こう言う屁理屈によって、詐欺がまかり通ることになる。

 (2) IBMの顧客情報流出
 神奈川県で県立高校に在籍した全生徒約11万人分の個人情報が流出した。保護者からの苦情が殺到した。「公共料金やクレジットカードの引き落としなどに使っており、口座番号を変更するのは大変だ」などという苦情が多かったという。
( → 朝日新聞 2009-01-10 )
 IBMは「下請けの悪徳社員のせいだ」などと責任回避しているが、「犯罪」の理由はそうだとしても、「業務を果たせなかったこと」の責任はIBMにある。(「責任」という言葉の意味を考えれば当然。)
 ここでは次の原理がある。
 「IBMがコストを少しばかり抑えようとしたせいで、11万人に口座変更の手間という莫大な損失が発生した」
 ここでは、一社が少額の利益を得ようとして、全体に莫大な損失を発生させたわけだ。

 結論。
 「会社側の損得」だけを考えいると、詐欺やインチキがまかり通る。その本質は、「客に損をさせて、自分だけが儲ける」という泥棒の論理だ。そこには「自分だけ良ければいい」というエゴイズムがある。
 エゴイズムを礼賛するのは、古典派経済学の発想だ。そこには「全体の利益」という概念がない。
 前項や本項の例では、「一方が少額の利益を得て、他方が莫大な損失をこうむる」という原理がある。ここでは、得する側と損する側の全体を見れば、大幅な損だ。だから、そういうことは、なすべきではない。なのに、現実には、そういうことが起こる。会社側が「自分だけ良ければいい」という発想のもとで、「他人に迷惑をかけてもいい」という発想をするからだ。
 そして、そういう本質を、多くの人々は理解しない。なせなら人々は、「エゴイズムの原理」「古典派経済学の原理」を取るからだ。そこには「全体の利益」という認識がないからだ。
 その意味で、会社側と、古典派経済学者は、同じ穴のムジナである。
 そしてまた、そのことに気づかない大多数の人々は、「だまされていることに気づかない阿呆」なのである。いくら金を奪われても、奪われていることに気づかない。そのせいで、銀行口座の変更という手間をかけられても、防火サッシで命を奪われる危険性をこうむっても、黙って、唯々諾々と受容する。ぶんなぐられても黙っているのと同じ。だから、いつまでたっても、ぶんなぐられ続ける。
 この問題を回避するには、「全体の利益」という認識をするしかない。そして、そういう認識をすれば、正しい処置もわかる。こうだ。
 「会社側は、自分の得た利益の分だけを賠償すればいいのではなく、顧客にかけた損の分を賠償する。」
 具体的には、次の通り。
 (1) 防火サッシメーカーは、命を危険にさらした迷惑料を多額に払う。
 (2) IBMは、顧客の口座変更の手間の迷惑料を払う。その迷惑料は、犯罪を犯した下請けに再請求すればいい。下請けは、悪質社員に再請求すればいい。(これらの再請求で相手から受け取れるかと言えば、まず無理だろう。それでもとにかく、IBMは、顧客に払う責任がある。)
 (3) 鉄道会社は、障害者や一般の切符購入者に対して、「切符購入客に限った迷惑料」を払う。つまり、切符購入者に対して、「改札口を利用できなくなった迷惑料」を払う。切符購入客に対してのみ、切符料金を50円ぐらい値下げする。迷惑料として当然だ。(ただし、ICカード専用機を採用しない鉄道会社は、この迷惑料を払う必要がない。)

 以上、きわめて当然のことだ。「全体の利益」というものを考えれば、そうなる。現実には、「会社側の利益」ばかりが実施されるから、社会はどんどん悪くなる。

 ついでに言えば、今の「不況」というのも、根源的には同じ。会社側の利益ばかりを考えるから、賃下げが起こり、不況が悪化して、会社側はますます損をするようになる。……デフレスパイラル。(その本質を理解できない人々が多いから、社会はますます悪化する。原理は同じですね。)


● ニュースと感想  (1月11日b)

 Google のファビコンが変更された。えげつない、どぎつい色彩になった。
  → Open ブログ 「Google のファビコン」


● ニュースと感想  (1月12日)

 「パレスチナ問題への新聞社説」について。
 国連安保理が停戦決議をしたのに、イスラエルは「決議を無視する」と主張して、ガザへの攻撃を実行中。ひどい攻撃が続く。
  → イスラエルが空爆続行、停戦決議を無視(写真つき)
  → 別の写真1写真2写真3写真4
  → イスラエル軍は避難させた建物を砲撃

 これについて新聞社説を見たら、案の定、通りいっぺんだ。
  → 朝日社説
  → 読売社説
 朝日の方は、「ガザ停戦 ― 国連決議を受け入れよ」というふうに、ただ喚いているだけ。いくら喚いても、イスラエルは「やだよ」と言っているのだが、それを理解できない。「口だけ言っている」という方針。負け犬ふう。
 読売の方は、もうちょっと賢明で、「ガザ停戦決議 実効性をどう担保するか」というタイトルだ。ただし、タイトルだけがマシで、中身は朝日と同じ。「実効性をどう担保するか」という話は皆無。(タイトルがあるだけ。)

 そこで私は、実効性のある方法を教えよう。こうだ。
 「イスラエルに対して、武力行使する」
 これは、国連決議を無視したフセイン・イラクに対するのと、同様のことだ。フセイン・イラクの軍は、その時点では破壊行為をしておらず、単にクウェートに駐留しているだけだった。それにもかかわらず、米国は武力行使をした。
 それに比べると、現在、子供を虐殺しているイスラエルは、同じように「国連決議無視」でも、はるかに悪質だ。イラクは「撤退せよ」という決議を無視しただけだったが、イスラエルは「虐殺をやめよ」という決議を無視している。悪質さは、雲泥の差だ。普通の犯罪で言うと、「住居侵入罪・不退去罪」と「殺人罪」ぐらいの差がある。雲泥の差だろう。
 当然、イスラエルに武力行使するべきだ。まったく、当然。それ以外に、実効性を担保する方針はない。ナチスドイツを止めるためには、口先だけでは駄目で、武力が必要だった。それと同様に、イスラエルを止めるためには、口先だけでは駄目で、武力が必要だ。
 そして、そのことを主張できない連中は、すべて、偽善者だ。特に、「フセインイラクを攻撃せよ」と唱えていたくせに、今は口を閉ざしている連中は、最悪の偽善者だろう。
( ※ 純然たる武力放棄論ならば、それはそれで一つの見識だが、「あっちは良くて、こっちは駄目」というのは、ご都合主義も甚だしい。米国にシッポを振るだけの犬にすぎない。)
( ※ それよりか、赤ん坊の上に爆弾が落ちている現状を無視して、平気でいる連中の頭も、どうかしていますね。「おれの派遣問題が大事だ」と思っているのは仕方ないとしても、「だから赤ん坊が死んでも知らないよ」というのでは、それもまたエゴイズム。自分はエゴイズムを通すくせに、他人のエゴイズムを否定するのは、道理が通らない。……その意味で、日本の労働運動もまた、同じ穴のムジナっぽい。経営者ほどはひどくないとしても、目くそ鼻くそ。いずれにしても、エゴイストであって、善人じゃない。自分が被害者になったときに「助けてくれ」と喚いているだけ。同情はするが、同情したくはないですね。そういう身勝手な連中には。……むしろ、「苦しいときにこそ、もっと苦しい人のことを考える」という人々の方を、尊敬する。)

 【 注記 】
 本項を読んで、「こいつは戦争マニアだな」と思う人もいるかもしれない。  (^^);
 実は、私は、現実の戦争は想定していない。日本や欧州やロシアや中国が合同してが軍隊を送れば、イスラエルはあっさり撤退するはずだ。なぜなら、イスラエルは、日本や欧州やロシアや中国と、現実に戦争をするわけには行かないからだ。(そんなことをすれば、輸出入ができなくなり、国が亡びる。)
 私が「武力行使をせよ」というのは、「武力行使をするという態度を見せよ」ということだ。現実には、銃弾は一発も撃たれずに、停戦となるはずだ。
 とはいえ、イスラエルみたいな馬鹿を正すには、「本気だぞ」と見せかける必要がある。さもないと、蛙の顔にションベンだ。徹底的に無視される。今回の国連決議みたいに。

 [ 余談 ]
 読売の夕刊記事( 2009-01-11 )では、かなり詳細な現地レポートがある。( → ネット
 それに比べると、朝日の朝刊・夕刊は、情報量が非常に少ない。(報道が遅れたのかと思ったが、翌日分まで待っても、情報はなかった。)関連する世論調査の情報などはあるが、事実についての情報量が全然足りない。迫真性がない。(ただしネット上では、ロイターの写真のみを転載している。写真についての説明記事はないが。)
 ガザの戦争状態のひどさについては、上記の読売記事のほか、毎日も報道している。なのに朝日は、戦争状態の惨状を示さずに、「日本でイスラエルへの抗議運動が始まった」というような関連する話題ぐらいしか報道しない。これじゃ、人々がなぜそんなに激しく抗議運動をしているかさえ、わからない。読者は「別に大したことは何も起こっていないのに、どうして抗議運動をするの?」と思いそうだ。
 朝日のやっていることは、イラク戦争が起こったときに、その事実を報道しないようなものだ。まったく、新聞としての意義がない。連中のやっていることは、事実報道ではなくて、国内の反応とか、イスラエルの世論調査とか、そういう思想的なことばかりだ。
 ま、朝日は自社体制が貧弱なので、読売のように現地に記者を送れないのだろう。貧すれば鈍す。しかし、自前の記事がないのであれば、欧米の記事でも翻訳して転載すればいいのに。
 まったく、こんなに情報不足だったら、
 「(朝日)新聞なんかいらない。ネットがあれば十分」
 という声が増えるだろう。実際、ネットにはある情報が、紙の新聞にはない。情けないと言ったら、ありゃしない。
( ※ 朝日は「文字を拡大しても情報料は減らしません」と述べたが、そこで減らなかった情報は、自分の意見を言うための社説の情報だけだった。そのスペースはたっぷりと確保して、無駄な言葉ばかりを並べる。それでいて、肝心の事実情報は非常に稀薄。朝日やもはや、新聞でも古聞でもなく、ただの「社員が自分の意見を言うための場」になってしまったようだ。だったら、「朝日新聞」という名をやめて、「朝日ブログ」にすればいいのにね。…… イヤミです。  (^^); )


● ニュースと感想  (1月12日b)

 「英語教育」について。
 「英語で英語を教える」という件については、前に述べた。これに関連する話題として、英語教育についても、何か書こうかと思っていた。だが、この件については、下記の英語専門家の意見の方がずっとすばらしいので、それを紹介しておくにとどめる。
  → 日本の高校で英語の授業を英語で行うことの愚かさ

 私としても、「英語で英語を教える」について皮肉を少し書こうかと思ったが、皮肉も他の人が書いている。
  → 「英語を英語で学ぶ」必要はあるのか

 どうやら、私が書くべきことはないようだ。  (^^);

( ※ 「英語学習のコツ」という話題なら、そのうち書く予定。)


● ニュースと感想  (1月12日c)

 量子力学における「コペンハーゲン解釈」とは、何か? その基本概念を説明する。
  → Open ブログ「コペンハーゲン解釈とは」

● ニュースと感想  (1月13日)

 (1)
  定額減税( or 定額給付金)の意味を解説する。世間の人々はその意味を勘違いしているからだ。
  → nandoブログ:「定額減税の意味」

 (2)
 量子力学における「観測」とは何か? その本質を論じる。
  → Open ブログ 「観測とは」

 (3)
 トヨタのレクサス・ハイブリッドの写真。
   → 英語サイト
 レクサスIS によく似ている。つまり、平凡なデザイン。ちょっとはマシだが。
 売れるか? 売れないでしょう。GSハイブリッドの二番煎じ。  (^^);


● ニュースと感想  (1月14日)

 (1)
 量子論の「コペンハーゲン解釈」について、ひどい間違いをしているサイトがあるので、紹介しよう。一つは、初心者が書いたサイト。もう一つは、Wikipedia だ。
  → Open ブログ 「量子論のトンデモ」

  ※ 初心者向けではありません。

 (2)
 「シュレーディンガーの猫」の毒殺装置で、猫でなく人間を殺したら、どうなるか?  「観測が状態を決定する」という説に従って、観測者(= 殺人の発見者)が殺害したことになるのか?
  → Open ブログ 「物理学者による完全犯罪」

  ※ 初心者でも楽しめるジョーク。物理ジョーク。

 (3)
 Winny の問題が起こっている。これについて私の見解を示す。それは、
 「Winny のダウンロードを可能させている人(など)を罰するべきだ」
 ということだ。
  → 「Winny の問題」


● ニュースと感想  (1月14日b)

 「ロンドンの改札口」について。
 ロンドンの鉄道の改札口の写真。
  → ウォータールー(ワーテルロー)駅
 いろいろと参考になることがありますね。
  ・ 改札口がすごくたくさんある。
  ・ 改札口ごとに、縦の看板みたいなのや、頭上の横の看板みたいなのがある。
  ・ 付近には段差がない。(記事参照。)
 これと日本の改札口を比べると……あまりにもの差に、愕然とする。片や、人間への思いやり。片や、1円にも満たない微額をケチる、とてつもない卑しさ。( → 1月10日b
 頭がクラクラする。


● ニュースと感想  (1月15日)

 国全体の生産量を調整するには、どうすればいいか? その本質は「マクロ的な均衡点の移動」である。
  → nando ブログ「生産量の調整」


● ニュースと感想  (1月16日)

 エヴェレット解釈(多世界解釈・並行宇宙解釈)とは、どんなものか? その本質は? わかりやすく説明しよう。批判的に。
  → Open ブログ 「エヴェレット解釈の問題」


● ニュースと感想  (1月16日b)

 「築地市場の移転費用」について。
 東京都が築地市場の移転のために、土壌汚染除去費用として、500億円以上の巨費を投入するという。
 東京都は15日、築地市場を移転して開設する新市場について、2014年度の開業を目指す方針を固めた。移転予定地の土壌や地下水から大量の有害物質が検出され、汚染除去に1千億円かかるとみられていたが、工法を公募して586億円に圧縮し、除去に道筋をつけた。10年度に着工する予定だ。
( → 朝日新聞 夕刊 2009-01-15 )
 この記事の趣旨は、「1千億円を586億円に圧縮した」というもの。しかも、「環境事業だからすばらしい」というニュアンス。

 冗談じゃない。これはまるまる「586億円の無駄遣い」である。環境事業もへったくれもない。ただの無駄遣いだ。
 なぜか? こんな金はかける必要は全然ないからだ。というのは、場所を別の場所にすればいいからだ。
 
  → 築地市場と、移転予定地と、周辺の空地

 この地図で、モードを「地図」から「航空写真」に変えるといい。写真を見ればわかるように、他にも空地はある。(または建物の少ない「ほぼ空地」がある。)
 だから、そっちの方を使えばいい。わざわざ、土壌汚染地を選ぶ必要はない。

 結局、こう言える。
 東京都がやろうとしていることは、無駄に土壌を掘って、埋め替えることだけだ。
 これはつまり、「穴を掘って埋める」という究極の無駄である。ケインズ政策そのものだ。  (^^);
 経済学者の冗談(?)が、現実になるとはね。ケインズもびっくり。
( ※ いや、もっとひどい。小さな穴を掘るのではなく、あたり全体をすべて掘り尽くし、そのうえで、すべてを埋め直すのだから。究極的ですね。究極の料理ならぬ、究極の無駄。)

 [ 付記 ]
 あとで思い直したが、同じ場所でやるにしても、単に建築物を構築するだけでいいはずだ。つまり、広大な二階建てのコンクリート建築にして、1階部分はコンクリートを敷き詰めて、駐車場にでもしてしまえばいい。市場の取引は2階でやる。
 そして、3階は、屋上にして、屋上緑地にする。
 こうすれば、何も問題はないと思うんですけどね? ね?
( ※ ただし、「建築基準法が」というような下らない問題も生じそうだ。そのせいで、巨額の税金の無駄遣い。馬鹿げた話。)


● ニュースと感想  (1月16日c)

 「セーフティ・ネット」について。
 経営者側と労働者側が共闘して、政府に「セーフティ・ネット」を求めたという。
 両者は、「労使は社会安定の基盤である雇用安定に向け最大限の努力を行う」とする共同宣言を採択。そのうえで政府に対し、短期的に、雇用保険の適用拡大や失業者の住宅確保対策などセーフティーネット(安全網)の早急な整備を要求。
( → 朝日新聞 2009-01-15 )
 「労使が一致して……」というのはいいが、それで「労使そろって自分たちで何かをする」というのではなくて、「労使で国に『金寄越せ』と要求する」というわけ。比喩的に言うと、いつも喧嘩していた夫婦が仲良く団結するというので、ほほえましい区思っていたら、実は夫婦そろって他人の金を盗むことに協力した、というわけ。……情けないですね。金を盗むためでなければ協力できないとは。  (^^);

 本質的に言えば、こうだ。
 すでに「定額減税の意味」の項目で述べたように、「金は天から降ってこない」のである。労使は政府に「セーフティ・ネットの充実を」と述べているが、その意味は、政府に「金寄越せ」と言うことだ。しかるに、金は天から降ってこない。とすると、どうなるか? 彼らが金を得た分、他人の金が奪われることになる。
 具体的に言えば、経団連関連の労使が得をするかわりに、それ以外の人々が損をする。たとえば、農業や商業関係の人々。また、自営業の人など。また、普通の正社員など。
 
 はっきり言っておこう。「貧しいときには貧しさを分かちあおう」というのは、美談かもしれないが、経済政策ではない。経済政策というものは、「貧しいときには貧しさをなくす(豊かにする)」というものだ。そこを勘違いしてはいけない。
 何度も述べたが、失業者に与えるべきものは、金ではなくて、労働機会なのだ。月に2万円だか5万円だかの金を与えればいいのではなく、月に20万円を稼げるだけの労働機会を与えればいいのだ。「2万円を上げたから、これで与えるものは十分」と思うようでは、根本的に対処が間違っている。

 要するに、彼らは、「金は天から降ってくる」と思い込んだすえに、政府に「金寄越せ」という要求をしている。頭が卑しいだけ。そして経済のことを何もわかっていない。……こういう馬鹿連中がいるから、世の中はいつまでたっても、よくならない。
 彼らが真に賢明であれば、「自分に2万円を寄越せ」と述べるかわりに、「国全体に総需要をもたらせ」と述べるはずなのだ。そこがわからない愚かさ。……愚か者には、福は来ない。


● ニュースと感想  (1月17日)

 「春闘への対応」について。
 春闘で労働側が「賃上げを」と要求したことに対して、マスコミが迷っている。「賃上げをすれば景気回復効果はあるが、賃上げをする余力は企業側にはない」という状況のもとで、「どうしたらいいのか?」と。
 朝日は、「正しい解を探ろう」というシリーズを始めるそうだ。
 読売は、「労使で(喧嘩せずに)解決に当たれ」という社説。
 (いずれも 2009-01-16 朝刊。 → あらたにす

 そこで、私が真実を教えよう。こうだ。
 「解はない、というのが正解である」
 数学における「解が存在しないことの証明」みたいなものだ。とにかく、「こうすればOK」という解決案はない。それが正解。
 なぜなら、正しい解決案は、「労使の間」にはなく、「労使の外」にあるからだ。つまり、マクロ政策にあるからだ。

 労使がいくら頑張っても、正解はない。どちらかが富を得れば、どちらかが富を失う。トレードオフの関係にある。配分をいくら最適化しても、しょせんは配分の問題であって、総量の問題ではない。総量の問題を解決するのは、政府のマクロ政策であって、労使の配分ではない。

 なぜか? 現状では、総和が「マイナス」だからだ。企業は今、赤字決算である。ここで、労働者の所得を増やせば、企業が倒産しかねない。それではかえって悪化する。かといって、賃下げをすれば、それはそれで、総需要が減って、状況は悪化する。……だから、正解はない。
 正解があるとしたら、総和が「プラス」であるときだ。具体的には、数年前だ。そのときに、トヨタなどが輸出でボロ儲けした(円安差益を得た)分を、労働者に還元すれば良かった。そうすれば、経済は拡大のスパイラルに乗っただろう。(当時、私はそうせよと主張した。)
 しかしながら、現実には、トヨタなどは賃上げを断固拒否した。その分を、内部留保に回した。金は死蔵されて、総需要拡大に向かわなかった。……だから、その後、円安が終わったときには、為替差損をこうむるばかりになった。
 状況の良いときには金を自分で独り占めしていた企業。そういう強欲さが、今になって、自分に跳ね返ってくるわけだ。自業自得。……自動車産業が大赤字になるとしたら、それは、自動車産業が以前、あまりにも強欲であったからだ。労働者に回すべき金を、すべて自分で独り占めしようとした。そのせいで、労働者に金が回らなくなり、客として買ってくれる金がなくなった。
 この点は、昔のT型フォードとは正反対だ。( → 2008年3月15日

 ゲーテは言った。「チャンスは前髪をつかめ。(後ろは禿げている)」と。
 数年前に、チャンスはあった。正解をつかむチャンスが。……しかし、今になって、「労使で正解を求めよう」としたって、もはや正解はないのだ。チャンスは逃げたのだ。(禿げたのだ。)手遅れというものだ。

 昔々、強欲地主がいました。たっぷり儲けているときには、金をすべて独り占めして、小作人には与えませんでした。その後、日照りになって、作物が実らなくなりました。「溜池があればなあ」と思って、「溜池をつくろう」と唱えましたが、小作人は誰も働きません。彼らは働くための体力がないからです。もともと小作人にも作物を与えていれば、小作人はそのころ溜池を作っていたでしょうし、今になって日照りで困ることもなかったでしょう。しかし、今になって大騒ぎしても、手遅れです。というのは、強欲地主は、溜め込んだ金を「米ノ国」に投資して、その投資で失敗して、スッテンテンになってしまったからです。
 「あのとき、ヒゲもじゃの変人の言うことを聞いておけばよかったなあ」
 と強欲地主は思いました。しかし、ヒゲもじゃの変人は、「自業自得だよ。勝手にすれば」と答えるばかりでした。
(その趣旨は? 意地悪しているわけじゃありません。「どうせあんたは、こっちの言うことを聞く意味をもたないんだろ」という趣旨。「本当は別のところに正解はあるんだけど、あんたたちは正解を聞く気がないんだよ」という趣旨。  (^^); )

 [ 付記 ]
 やたらと賃上げするのが正解ではない、ということは、次のことからもわかる。
  → 日産、主力車「マーチ」生産をタイに全面移管
 日産自動車は業績の悪化を受け、収益改善に向けたリストラに乗り出す。主力小型車「マーチ」の生産をタイに全面移管して原価を3割削減、円高を活用して日本に輸入する。
 やたらと賃上げすれば、国内の雇用はどんどん減ってしまう。「賃上げすればいい」というものではないのだ。
(かといって、「賃上げは駄目」というものでもない。経済というものは単純なものではないのだ。……そこを経営者も労働者もわかっていない。単に自分の損得だけで考える。どっちもエゴイスト。エゴイストには真実はいつまでもわからない。)
(本当の正解は、「労使が政府にマクロ政策を推進させる」ということなのだが、エゴイストには思いも寄るまい。)


● ニュースと感想  (1月17日b)

 (1)
 カシオが新型のデジカメを発売した。「ダイナミックフォト」というもの。デジカメの新しい楽しみ方。
  → Open ブログ 「カシオの「ダイナミックフォト」」

 (2)
 アメリカで旅客機が鳥と衝突して墜落した。この手の事故はとても多い。どうすれば防げるか?
  → Open ブログ 「鳥と飛行機の衝突」


● ニュースと感想  (1月18日)

 (1)
 美人に撮れるカメラ、というものがあるといいだろう。それを提案する。
  → Open ブログ 「美人に撮れるカメラ」

 (2)
 新常用漢字の最終案が公開された。
  → Open ブログ 「新常用漢字・最終案」

 (3)
 ジョンレノンの「イマジン」の替え歌。(英語。和訳つき)
 中東紛争の平和を願って。
  → nando ブログ 「IMAGINE for the Middle East」


● ニュースと感想  (1月19日)

 (1)
 画像加工ソフトの紹介。「美人に加工する」などの用途。  (^^);
  → Open ブログ 「画像加工ソフト」

 (2)
 「しぃペインター」という画像ソフトがある。お絵かきソフトの一種。  しかし、そのレベルは、驚愕のレベル。まるで写真だ。
  → Open ブログ 「しぃペインター」


● ニュースと感想  (1月19日b)

 「簡保の宿の一括売却」について。
 政府が簡保の宿をオリックスに一括売却するという。(各紙報道。)

 鳩山邦夫総務相が異を立てたというので新聞ダネになったが、それまで走らなかった。いつのまにかこそこそとやっていたらしい。
 まったく、オリックスの宮内というのは、とんでもない人物である。彼の考えていることは、「自社を効率化して利益を増やす」ということではなくて、「他人や社会の富を、できるだけ食い物にしてやろう」という泥棒的な発想だ。
 政府の財産である「簡保」の資産を、破格の安値で一括売却を受けるというのは、莫大な額になる国民資産を、捨て値でちょうだいしよう、という魂胆だ。こいつはウルトラ級の泥棒だ。(同じことは、ロシアの大富豪がやった。国民の財産である石油などを、破格の安値で譲り受けて、あっという間に超巨額の試算を私物化した。……宮内はそれを狙っている。)
 宮内の方法は? 次の3点だ。
  1. 自分自身が「そうしろ」と政府内部で主張する。「簡保の財産を一括売却して政府の赤字を減らせ」と立案する。(自作自演のため)
  2. 「自分が立案したんだから、他人は手を出すなよ」と経団連でにらみを利かせる。(マフィアの方法。対抗する入札者にドスを利かせて引き下がらせる。)
  3. わざわざ経済が不況のときに実行して、ライバルに手を出させないようにする。
 このうち、最後の点が重要だ。政府自身が倒産しかかっているのではないのだから、政府はいくらでも待てる。とすれば、経済が好況になってから簡保を売却するのが自然だろう。しかし、好況になってからでは、旅行関連の他者がライバルとなって、入札して、入札価格が上がる。それでは儲からない。そこで、不況のさなかで、金余りで投資先がないときに、金融産業であるオリックスが投資のつもりで買収するわけだ。その意味は? 簡保の業績を改善することではない。数年後に一括して売り飛ばすためだ。そうすれば、自分では何もしないで、巨額の利益を懐に入れることができる。
 要するに、「民営化で効率改善」というのは、ただのお題目で、嘘八百。オリックスには簡保を効率化するノウハウなどはない。単に転売して差益を得ることだけが目的だ。そのために、数年間だけ保持できるような、金融資産さえあればいい。つまり、金融資産の運用先として、簡保の宿を使うだけだ。

 こういう輩が、「民営化で効率改善」と唱えて、「構造改革」を推進して、政府を好き勝手に弄んだ。(宮内は構造改革のときの議長だった。)
 オリックスの宮内というのがどういう人物であるかは、はっきりと理解しておいた方がいい。そして、こういう輩に好き勝手されてるのが、日本という国だ。

 [ 付記 ]
 「赤字だから他に引き受け手がない」という理屈を言う連中がいるが、全然、理屈になっていない。それを言い出したら、トヨタの全株式をタダでもらってもいいことになるだろう。馬鹿げた論理。
 仮に政府がトヨタの大株主になっていたとしたら、宮内が言い出すはずだ。「赤字のトヨタの株を全部おれに寄越せ。どうせ赤字会社の引き受け手なんかいないから、俺様が引き取ってやる。株を全部まとめて、百円で買ってやる。赤字会社を引き取ってやるんだから、ありがたく思え」と。


● ニュースと感想  (1月19日c)

 「労働者と株主」について。
 労働者と株主のどちらを優先するべきか? ── こういう質問がなされることがある。
 特に、企業経営者向けに、「どちらを優先?」という質問がなされることがある。
 「雇用に手を付けるのは、経営者が責任を取ってやめたあとだ」(今井敬・元 新日鉄社長。)
 「グローバリズムのなかで株主重視のこそが経営者の責任だ」(宮内義彦・オリックス社長)
 この二人は、対立する意見を出したということで、今井・宮内論争というのが起こったという。また、二人とも、実際に有言実行した。前者は徹底的に雇用を守り、後者はあっさりと「新規採用・解雇」を繰り返した。前者は会社利益を二の次にして、後者は会社利益を最優先にした。日本の経済界では、後者の支持者が多かったという。(以上、朝日新聞・夕刊・コラム「窓」2009-01-18 )

 また、一般人(株主)へのアンケートがなされることもある。
  → 投資先の企業は株主の利益と労働者の利益のどちらを優先して欲しいですか?
 これは、株主限定だが、世間の一部の考え方を知るには役立つ。

 さて。私なりコメントを加えておこう。

 (1) マクロ経済分析
 第1に、現状を分析すると、後者の支持者の方が多いようだ。特に、決定権を握る経営者は、後者が多い。
 で、その結果、どうなったか? 企業利益の優先が進んだせいで、社会全体では不況が深刻化した。その理由は、マクロ的に明らかで、「総需要の低下」が起こったからだ。企業は利益を蓄積して、それが銀行預金の形で退蔵されたから、総需要はどんどん低下していった。そのせいで、企業は全体として、「自分で自分の首を絞める」という結果になった。自分の利益を増やそうとすればするほど、日本全体の利益を減らして、その結果、自分もまた利益を減らすことになった。……エゴイストの顛末。
 こういう愚かさが、現状だ。

 (2) 論理分析
 第2に、もっと本質を考えよう。すると、ここでは「そもそも問題が間違っていた」ということがわかる。(これは結論。以下では理由を述べる。)
 実は、そもそも「労働者か/企業か」という二者対立が間違っている。それはいわば、「男と女のどちらが大切か」というような問題だ。正解は「どちらも大切であり、一方だけが大切だということはない」である。経済もまた同じ。労働者と企業はともに必要であり、助け合う関係だ。そのどちらもが必要だ。なのに、「どちらか?」という質問を立てるとしたら、その質問自体が間違っている。ここで馬鹿げた答えを出す連中に、「男と女のどちらが大切か」という質問を出してみるといい。  (^^);
 では、正しい質問は? こうだ。
 「存在と利益のどちらが大切か?」
 これに対する正解は、
 「利益よりも存在が大切だ。利益の減少は我慢できるが、存在そのものを消すことはできない」
 ということだ。したがって、正しい解答は、次のようになる。
  1. 会社としては、企業の存在基盤が最優先となる。労働者の利益のために賃上げをしたり、不可能なほど雇用を維持したりして、会社そのものを崩壊させてしまっては、最悪だ。部分解雇ならば他の人々は雇用されるのに、倒産してしまっては全員が解雇される。それでは元も子もない。
  2. 企業の存在基盤が保たれたならば、労働者の生活基盤の維持が大切だ。つまり、雇用維持が大切だ。企業が黒字(または短期的な赤字)を出すだけならば、労働者の雇用を維持するべきだ。会社というのは、人間のためにあるのであって、会社(の利益)のために人間があるのではない。「人を傷つけても人を死なせても自分の富を1円でも増やしたい」と思うエゴイストでなければ、そのことは誰にでもわかるはずだ。
  3. 企業の存在基盤も、労働者の生活基盤も、ともに保たれたならば、企業の利益の最大化が大切だ。(ただし、そこでは、「労働者のスト権」が認められていることが前提となる。企業が勝手なことをすれば労働者がストをして企業の利益を減らす、という権利。……これがなければ、ただの奴隷制にすぎない。奴隷制の下で「利益の最大化」を唱えるのは、馬鹿げている。)
 以上のように考えれば、次のように言える。
 「好況下でスト権が保たれている限りは、宮内ふうの見解は正当である」
 「企業経営が危機に瀕した場合には、できる限り、今井ふうの見解を取るべきだ。ただし、できる限り、であるが」

 好況下であれば、「企業の利益」を優先するのはいい。しかし、不況下で従業員の生活が脅かされているときに、赤字でもないのに「黒字を少しでも増やすため」という理由で、従業員の生活基盤を脅かすのは、もはや守銭奴にすぎない。ただの悪魔的なエゴイストだ。「自分の金儲けのためには、他人をいくら死なせても構わない」という悪魔的思考。
 そして、その悪魔的思考を正当化するために、「だって好況期には利益の最大化が正当だっただろ」というふうに考える。一種の屁理屈。論理ペテン。詐欺師の論理。
 以上のように考えることでば、最初の質問には答えられたことになる。

 [ 付記 ]
 基本原理を考えれば、
 「利益の最大化が、経済の最適化をもたらす」
 という古典派の発想(「神の見えざる手」)が、根本的に狂っているのだ。むしろ、次のように考えるべきだ。
 「利益よりも、存在が大切だ」
 このことを忘れると、
 「利益だけがあって、存在がなくなる」
 というハメになる。まるで「笑いだけがあって猫が消えた」という、不思議の国のアリスみたいに。
 その結果は? たぶん、こうだ。
 「企業は利益の最大化をめざして、賃金の徹底的な切り下げをした。そのせいで、社会には企業の製品を買ってくれる客が一人もいなくなり、企業はすべて倒産した」
 冗談みたいだが、冗談ではない。生物の世界では、こういうことはときどきある。
 「肉食獣が獲物を食い尽くして、当の肉食獣が絶滅する」
 「病原菌が宿主を殺ししすぎて、病原菌そのものが絶滅する」
 こういうことは、ときどき起こったようだ。実際、歴史上では、非常に多くの種が絶滅している。
 現代の企業も、そういう絶滅種の一種なのかも。「労働者を食いつぶして、企業そのものが絶滅する」……お馬鹿な国である日本で起こった歴史的事実、というふうに歴史の教科書に書かれる日が来るかも。   (^^);


● ニュースと感想  (1月20日)

 「中福祉・中負担」について。
 麻生首相が「11年に中福祉・中負担にする」という方針を示し、消費増税の決意を強調した。
首相は、税制の中期プログラムに盛り込んだ消費税率引き上げについて「景気を立て直し、財政の無駄、行政改革とかいろいろやったうえで、2011年に中福祉・中負担をやらせていただく」と述べ、11年度からの消費増税を目指す考えを改めて強調した。
( → 朝日新聞 2009-01-19 )

 中福祉・中負担については、私は前に言及したことがある。(1年以上前になるが。)
 ちょっと読み直したところ、記述が舌足らずなので、わかりやすく書き直した。ともあれ、こちらを参照。
  → nando ブログ 「中福祉・中負担」

( ※ 最後の 【 追記 】 の部分は、新たに書き足した。)


● ニュースと感想  (1月20日b)

 コペンハーゲン解釈とエヴェレット解釈について評価しよう。この両者はともに「粒子説」である。そして、それゆえ、理屈の破綻が起こったのだ。 (かわりに「場の量子論」を取るべきだったのだが。)
  → Open ブログ 「粒子説の破綻」


● ニュースと感想  (1月21日)

 二重スリット実験の核心は何か? 量子が粒子だと仮定すると、矛盾が起こる、ということだ。ここから、背理法による結論が得られる。
  → Open ブログ 「二重スリット実験とは」


● ニュースと感想  (1月21日b)

 「英語辞典(オーレックス)」について。
 旺文社から「オーレックス英和/和英」という時点が発売された。(昨年10月。)
 とても評判がいいようだ。ジーニアスやウィズダムと並び、それを上回るほどらしい。
  → 高校の教師(?)の評価

 アマゾンのサイト(リンクせず)にも、読者評があるが、きわめて評価が高い。ただ、私が見た感じでは、レベルが高すぎて、高校生には理解しがたいかも。ある程度以上の英語力がないと、使いこなせないかも。基本よりも上のレベルになっている。並みの大学生を上回る英語力のある人向け、と言えそうだ。(初級者が下手に使うと逆効果。)

 アマゾンの読者評でも、
   put〜on the map
   draw a map
 の用例があるが、どうしてその訳語になるのか、並みの高校生にはピンと来ないと思う。単純に英語と日本語を結びつけて、機械的に「イディオム」として覚えそうだ。そんなことじゃいけないんですけどね。
 ともあれ、すでに英語力のある人には、結構役立ちそうだ。とりあえず、紹介しておきます。

 なお、旺文社のサイトに、見本がある。
  → 旺文社のサイト
 英和辞典の見本画像は、ひどいものだ。エッチ語が目立つところにある。なに考えているんだか。……執筆者はまともで、宣伝担当者は頭がイカレているようだ。こういう馬鹿は、「おんどり を意味する cock という単語でも掲げておくか……」と思いそうだ。度しがたいね。

 [ 付記 ]
 中高生向けには、私はグローバルをお勧めします。ただ、ジーニアスとは比較したことがあるが、ウィズダムとは比較したことがない。
 ついでだが、英語学習のために一番効果があるのは、英英辞典です。ロングマンが絶対にお勧め。(けど、使いこなせることが前提。ロングマンを読んでもちんぷんかんぷんというレベルの人には向いていない。)


● ニュースと感想  (1月22日)

 「オバマ演説」について。
 オバマ大統領が就任した。マスコミは大騒ぎ。
 「そんなに浮かれていると、あとで反動が来ますよ。別にこの世が天国になるわけじゃない。現状の厳しさを直視しなさい。足元を見なさい」
 と皮肉ってやろうかと思っていたのだが……あにはからんや。  (^^);

 オバマ演説を読んだが、感心した。政治家の演説というのは、ちょっと冴えているようでも、下らない美辞麗句ぐらいしかないものだが、オバマ演説にはちゃんと中身があった。
 今までの米国の発想は、こうだった。
 「自由はすばらしい」
 「利益の最大化で社会は改善される」
 「アメリカンドリーム」
 「金を得たものが優秀なのだ」
 「濡れ手で粟で、大儲けしたい」
 「それにはマネーゲームと金融工学が手っ取り早い」
 というものだった。で、その結果は、ご存じの通り。   (^^);

 オバマ演説では、次の点が指摘されている。
 「汗水垂らして生産活動をすることが大切だ」
 ここでは、「利益」や「金」よりも、「生産活動」が重視されている。これは、今までの米国の経済観とは、まったく異なる。経済学者の経済観とも異なる。強いて言えば、クルーグマンや私のような「異端の経済学者の異端の主張」である。それをオバマは取った。立派なものだ。褒めておこう。

 ただし……
 これは、オバマが天才であったということを意味するわけじゃない。彼はまともであった、というだけだ。ひるがえって、現代の大多数の人々が、狂っているのである。上記のアメリカ的な経済観を是認しているからだ。

 さて。「オバマ」ならぬ「お馬鹿」な連中はいざ知らず、まともな知識人であれば、歴史というものを知っている。そして、米国の建国時代の精神もまた知っているはずだ。それは、マックスウェーバーの
 「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」
 だ。こういうのは、今の若者には化石的な文書だと思えるかもしれないが、どっこき、昔のこういう精神こそ、まっとうなのである。
 それは現代の「ITで金儲け」というような安直な発想(小泉だけじゃなくて朝日・読売も)とは、まったく異なる。それは、「ITさえ使えば天から金が降ってくる」という発想ではなく、「きちんと働こう」という発想だ。
 そして、こういう発想があってこそ、状況は改善される。とすれば、オバマのめざしている方向は、全体的には正しいことだ、と言えるだろう。

( ※ 生産量が重要だ、ということは、最近の nando ブログで述べておいた。そちらを参照。)
( ※ オバマ演説の全文は、読売のサイトにある。だが、ネットの横書き文章は、読みにくくて仕方ない。朝日の紙の新聞では、ちゃんと縦書きで全文があるから、そっちを読む方が読みやすい。保存しておくのも手ですね。)  
 [ 付記 ]
 ところで、麻生首相の「定額減税」というのは、どうか? (比べるのが間違っている? こっちは内容以前で漢字テスト?)
 「定額減税」というのは、間違っているとは言えないが、額があまりにも小規模過ぎて、意味がない。無意味。
 だいたい、2万円というのは、何ですか? 子供のためのお年玉? 大人ならば「馬鹿にするな、ガキじゃないぜ」と怒るべき。当然ですね。
 しかも、お年玉みたいな金をくれて、その代償として、消費税を年額 20万円ずつ奪うという。5年で百万円。……「2万円上げるから、百万円いただきます」というわけ。
 新手の詐欺か?


● ニュースと感想  (1月22日b)

 (1)
 「 Winny は包丁のようなものだ」という主張は、銃器規制の反対論者の主張と同じである。
 → Open ブログ 「Winny は 包丁か?」

 (2)
 超球理論の基本原理を説明しよう。  その核心は、「粒子と波の相互転換」である。
  → Open ブログ 「超球理論の基本原理」


● ニュースと感想  (1月23日)

 (1)
 トヨタのレクサスRXには、自動車用のマウスがついている。これは、センターコンソールにあるので、左手で操作するものだ。
  → Open ブログ 「レクサスの左手用マウス」

 (2)
 粒子が出現することは、次の二通りで解釈される。
  ・ 波束の収束  …… コペンハーゲン解釈で
  ・ 波から粒子へ …… 超球理論   → Open ブログ 「粒子の出現」


● ニュースと感想  (1月24日)

 (1)
 どうして物理学者は、妙ちくりんな発想をするのか? その理由は、彼らが「確率とは何か」を、根本的に誤解しているからだ。
 → Open ブログ 「物理と確率」

 (2)
 著作物の価格は、どのくらいが適正か? 無料でないとすれば、どのくらいが適正か?
  → 「著作物の価格」


● ニュースと感想  (1月25日)

 (1)
 地下鉄への浸水が懸念されている。台風のときに氾濫した洪水が、地下鉄に流れ込みそうだからだ。
  → Open ブログ 「地下鉄の水害」

 (2)
 量子論には、二つの立場がある。
  ・ 古典論の拡張
  ・ 場の理論
  → Open ブログ 「量子論の二つの立場」


● ニュースと感想  (1月26日)

 (1)
 ロボットの実用化に最もふさわしいのは、ロボット警察官だろう。
  → Open ブログ 「ロボット警察官」

 (2)
 CG は、リアルさを追究することが多い。だが、リアルさを追究すると、かえって逆効果になることもある。留意が必要だ。
(特に、ファイナルファンタジー 13 は失敗している。)
  → Open ブログ 「CG とリアルさ」

 (3)
 高次元宇宙を考える発想もある。「ブレーンワールド」という言葉で概括されるのが普通だ。これと超球理論とは、どう違うか?
  → Open ブログ 「高次元宇宙(ブレーンワールド)」


● ニュースと感想  (1月27日)

 (1)
 ファミリーマートのエクレアは、おいしいか?
  → Open ブログ 「ファミマのエクレア」

 (2)
 ペレットストーブというものがある。木材を小さなペレット状に加工したものを燃やすストーブ。 これは、エコだと言われている。本当にそうか?
  → Open ブログ 「ペレット・ストーブ」


● ニュースと感想  (1月28日)

 (1)
 シュークリームを食べたいのなら、Google のシュークリームがお勧めだ。  (^^);
  → Open ブログ 「Google のシュークリーム」

 (2)
  検索エンジンの技術は、進化したように見えるが、まだ難点があるようだ。
  → Open ブログ 「検索エンジンの技術」

 (3)
 ネット上の無料ウィルス・スキャンを紹介する。 (@nifty)
  → Open ブログ 「無料のウィルス・スキャン」


● ニュースと感想  (1月29日)

 (1)
 歌舞伎座が、改築され、高層ビル化されようとしている。しかし、このデザインはひどい。文化的に、滅茶苦茶だ。
  → Open ブログ 「歌舞伎座の改築」

 (2)
 高層ビルがどんどん推進されている。(歌舞伎座もそうだ。)  しかし高層ビルは、ヒートアイランド現象に悪影響を与える。「風の道」を妨げるからだ。
  → Open ブログ 「高層ビルと温暖化」


● ニュースと感想  (1月29日b)

 「中谷巌のザンゲ」について。
 中谷巌が「週刊朝日」で、小泉の構造改革について懺悔している。「構造改革が日本を不幸にした」という趣旨。以下、孫引き。
 「週刊朝日」に構造改革の旗振りだった中谷巌氏の「改革が日本を不幸にした」というインタビュー記事が載っている。
  ・ 経済学で記述できることは、社会全体の2−3割に過ぎないとわかってきたのです。
  ・ 今は「アメリカ流の構造改革は日本人を幸せにしない」という、確信に近いものを持っています。
  ・ 「新自由主義」を信じて、構造改革の片棒を担いできました。
  ・ かっての私は「改革」の片面しか見ていなかったのです。
( → 引用元
 なお、他にも引用は見られる。( → Google 検索

 彼もやっと事実に気づいた、ということか。遅ればせながら、気づいただけでもまともか。ただ、私は小泉改革の真っ最中に(一番最初のころから)指摘していた。だから、あのころ、「小泉の波立ち」を読んでおけば、同じことに気づいたはずだ。そうすれば、当時、構造改革の旗振りをするかわりに、その是正策をしたはずだ。(たとえば、こんなふうに。 → 画像
 なのに実際は、
 「患者が死んだあとで、処方ミスに気づいた」
 ということですかね。ちゃんと正解に耳を傾ければよかったのにね。私のサイトを読むだけで済んだのだから。

 ただし、彼は、自分の誤りに少しは気づいたようだが、まだまだ真実には目を開かれていないようだ。そもそも、
 「経済学で記述できることは、社会全体の2−3割に過ぎない
 という自信過剰の自惚れは、何ですか? 「2−3割に過ぎない」というふうに表現するからには、経済学で記述できることはもともと5割ぐらいあると思っていたんですか? 経済学者の超自惚れ。
 はっきり言って、実際にはその比率は、1割にも満たない、というところだろう。

 ついでに言えば、情報関係の技術者は、「世の中の大半は情報技術で決まる」と自惚れているはずですよ。
 物理学者は「宇宙はすべて物理法則で決まっている」と信じているらしいですよ。
 生物学者は「すべては遺伝子で決まる」と信じているらしいですよ。
 銀行家は、「すべてはマネーだ」と思っているようだし、企業経営者は「会社の利益がすべてだ」と思っているようだ。

 私は? 「愛がすべて」と答えたいです。  (^^)v

( ※ ついでだが、オバマさんを褒める人々は、オバマさんに「ガザを何とかしてくれ」と頼むべきですね。人々に、愛があるなら。……現実には、人々は欲があるだけだから、オバマさんには、「おれの金を増やしてくれ」と頼むばかり。……愛がないんですね。  (^^); )


● ニュースと感想  (1月30日)

 (1)
 インフルエンザ対策について、情報2件。
  ・ タミフルへの耐性ウイルスが流行。
  ・ ウィルスの変異に堪える万能ワクチン。
   → Open ブログ 「タミフル / ワクチン (インフルエンザ)」

 (2)
 米国では太陽光発電がかなり進んでいるという。というのも、コストダウンなどの理由があるからだ。
  → Open ブログ 「米国の太陽光発電」


● ニュースと感想  (1月31日)

 (1)
 新型インフルエンザ(パンデミック)への対策としては、英国製のワクチンが効く、という話を書いたことがある。半年ほど前。  しかし、その後、ワクチン実用化に向かって進展がないようだ。
  → Open ブログ 「パンデミック・ワクチン」

 (2)
 タミフルと異常行動は関係があるらしい。(前にも述べた。)  では、タミフルによる異常行動とは? それは「夢遊病」であろう。  タミフルは夢遊病を引き起こす。── そう考えると、うまく説明できる。
  → Open ブログ 「タミフルと夢遊病」


● ニュースと感想  (2月01日)

 (1)
 風邪やインフルエンザを予防するには、マスクを上手に使うといい。
  → Open ブログ 「マスクで予防」

 (2)
 「考える力」を養成するために、どうすればいいか? 「入試をマークシート式から、思考力を問う形式に変えよ」と朝日・社説が述べたが。
  → nando ブログ 「考える力」


● ニュースと感想  (2月01日b)

 「かんぽの宿と背任罪」について。
 「かんぽの宿」の問題は、オリックスへの売却を停止する方向でまとまりそうだ。
 ところが、奇怪なことに、日本郵政の社長が「早く売却したい」という唱えているという。
 日本郵政の西川善文社長は9日午前の衆院予算委員会で、同社がオリックスへの一括譲渡を決めた宿泊・保養施設「かんぽの宿」について「不採算事業で持てば持つほど負担になる。早く売却できるなら譲渡したい」と述べた。
 一方、オリックスへの一括譲渡を問題視する鳩山邦夫総務相は「何の相談もなかった」と述べた。
( → 日経 2009-01-31
 これはかなり奇怪なことだ。日本郵政はこのことで 2000億円以上の損失が確定する。また、相場よりも大幅に低い価格で売却しようとしていることから、明らかに不正な行為だ。業務上背任にも当たるだろう。
 では、なぜ、日本郵政はこのようなことをしているのか? 

 実は、これにそっくりなことは、前にもあった。次のことだ。
 「近鉄が自社の球団を、大幅に低い価格で、オリックスに売却した」
 近鉄球団は、それを誰かに売却すれば、多額の利益を得ることができた。たとえば、楽天やライブドアに売れば、10億〜20億の金を得ることができた。なのに、近鉄はそれをオリックスに無償で譲渡した。その後、新たに参入した楽天は、相当する額を、近鉄に払うかわりに、プロ野球機構に支払った。
 ここでは、近鉄は、10億〜20億の金を損している。にもかかわらず、近鉄は「どうしても自社の資産をオリックスに無償で譲渡する」と言い張った。

 これは、日本郵政の場合とあまりにも似ている。そして、近鉄の場合には、私は前に次のように推定した。「近鉄の経営者はオリックスに買収されている」と。
 そして、同じことは、たぶん、日本郵政にも当てはまるはずだ。日本郵政の社長は、オリックスから、さんざん接待を受けているはずだ。そしてまた、退職後の処遇で、大幅な利益供与を受けているはずだ。
 したがって、日本郵政の社長がこれまでオリックスからどれだけ設定を受けたかを、調査するべきだ。また、ついでに、近鉄の経営者の所得状況も調査するといいだろう。たぶんオリックスから袖の下をもらっているはずだ。近鉄の経営者は、会社に巨額の損を与えたことで、自分だけは1億元ぐらいもらっているはずだ。(背任。)
 
 ついでだが、マスコミも、「オリックス以外には誰も買わない」という嘘を垂れ流すのを、やめてもらいたい。金さえあれば、私が買いますよ。100億円で買って、すぐに 1000億円で転売する。こんなにおいしい商売はない。
 実際、これをやらかした輩もいる。
 旧日本郵政公社が 2007年3月、競争入札で不動産会社7社に 115億円で一括売却した 178か所の土地・建物のうち、評価額1万円とされた鳥取県岩美町の「かんぽの宿・鳥取岩井」が、半年後に社会福祉法人に 6000万円で転売されていたことがわかった。
( → 読売新聞 2009-01-31
 なお、「赤字事業の継続が条件だから、安値にするのは仕方ない」という見解もあるが、これは嘘である。
 オリックスへの売却条件は、「事業継続」ではない。「1年間の雇用継続と、2年間の事業継続」だけだ。たったの1〜2年だけ、維持していればいい。そのあとはすべて事業をつぶして、従業員を解雇していいのだ。そして、リゾート・マンションか老人ホームかなんかに仕立て直して、あっさり転売する。こうすれば、たったの2年間で、巨額の利益が手に入る。かんぽの宿はすべて消滅して、従業員も解雇され、オリックスだけが濡れ手で粟でボロ儲け。これが予定計画だ。
 「オリックスは赤字事業をずっと継続してくれます」
 という趣旨で報道するマスコミは、オリックスへの売却条件をちゃんと読むべきだ。それも知らずに嘘を報道をするのは、やめてもらいたいものだ。マスコミもオリックスとグルになっている。共犯関係。


● ニュースと感想  (2月02日)

 (1)
 タミフルよりもマスクが有効だ、というネット情報がある。 マスクなら、副作用はゼロ。異常行動はありません。
  → Open ブログ 「マスクで予防 2」

 (2)
 「考える力」を養成することは大切だ。そこで、「考える力」の欠如した例を見るといいだろう。(トンデモマニアの話)
  → Open ブログ 「誤読・誤解の見本」

 (3)
 頭の上から落下物が……
  → Open ブログ 「鳥の糞害」


● ニュースと感想  (2月03日)

 (1)
 Google ドキュメント( Google Docs & spreadsheets )でも問題が起こることがあるという。
   → Google ドキュメントの問題
 ( ※ セキュリティの話。特に読まなくてもよい。)

 (2)
 ゲームをしていると、脳に悪影響が及ぶ。── こういう説がある。  まさしくその通りだ、と私は思う。
  → Open ブログ 「ゲーム脳の問題」


● ニュースと感想  (2月04日)

 (1)
 ゲーム脳(前出)よりは、ケータイ脳の方が、問題だろう。
  → Open ブログ 「ケータイ脳」

 (2)
 脳とシナプスについて、最新の脳研究の情報を紹介する。(特に面白い話ではない。ちょっとしたミニ情報)
  → Open ブログ 「脳とシナプス」

 (3)
 パケ死をなくすための(広範な)定額制サービスが始まったという。
  → Open ブログ 「パケ死と定額制」


● ニュースと感想  (2月05日)

 (1)
 「ケータイでメールばかり使っていると、頭が痴呆老人と同じようになる」という珍説がある。
  → Open ブログ 「メール脳」

 (2)
 Google のストリートビューについて、東京都で審議会があったという。その傍聴記録があるが、どうやら、とんだ茶番であるようだ。
  → Open ブログ 「Google と審議会」


● ニュースと感想  (2月06日)

 (1)
 ブログ炎上で、執拗な書き込みをした 18人が、摘発された。(書類送検)
  → Open ブログ 「ブログ炎上で摘発」

 (2)
  セキュリティ(情報保護)の問題を一括して取り締まる法律を、立法するための原理を示す。
  → 「情報保護法の必要性」


● ニュースと感想  (2月06日b)

 「政府資金の投入」について。
 不振企業に政府資金を投入する法案が立法化されそうだ。そこで、不振企業であるエルピーダや日航などが、「自社に適用してほしい」と名乗り上げているらしい。( 2009-02-05 までの報道。)
 ま、その良し悪しはともかく、その方法について論じる。
 「ただの融資は駄目。石原銀行みたいなことは駄目」
 である。融資する側の審査が滅茶苦茶だったから、大幅に焦げ付いて、税金が無駄になった。政府の場合も、中小企業が相手なら、審査が滅茶苦茶で大赤字を出す恐れがある。
 相手がエルピーダや日航など大企業ならば、その心配はないが、「ハイリスク・ローリターン」という問題がある。この場合への対策としては、次の案がある。
 「ワラント付きの社債。または、転換社債」(ほぼ同じこと?)
 要するに、企業業績が回復したときには、業績向上のリターンを得る、というわけ。そして、その権利を得る分、払う金を多くする。
 通常は、この方式の良し悪しは五分五分だが、景気が悪い場合には、この方式が好ましい。なぜなら、政府には、マクロ政策の裁量の余地があるからだ。政府が景気をよくすれば、企業業績は回復し、それと同時に、株価も上がる。そこで、株価上昇のメリットを得る。
 ま、株式購入でもいいのだが、それだとリスクが高すぎる。そこで、両者の折衷ふうである、上記の案が好ましい。

 [ 付記 ]
 ただ、本当を言えば、根源的に政府融資というのがおかしいんですよね。普通の市場原理に任せていいはずだが。企業は自社で市場から資金を得ればいい。
 そして、政府は、個別の企業に金を出したりせず、国中の企業を一括して救うために、マクロ政策をすればいい。
 政府が個別の企業に金を出すのは、市場原理の否定であり、好ましいことではない。古典派経済学者は、こう言うところでこそ口を出すべきなんだが、それができないようだ。情けない。(トンデモマニアと同じで、都合が悪くなると口を閉じる。)


● ニュースと感想  (2月07日)

 「勉強ができるせいで蔑まれた」という秀才の声が、ネットで話題になった。
  → Open ブログ 「頭がいいと蔑まれる?」


● ニュースと感想  (2月07日b)

 「かんぽの宿と構造改革」について。
 かんぽの宿をめぐるデタラメさは、ニュースで報道されている。
  → 1000円で落札→4800万円で転売
  → 1万円の「かんぽの宿」土地5%転売で1500万円
 国民は呆れはてるばかりだろう。「社長を背任罪で逮捕せよ」という声が上がっても当然だ。(後述)
 しかしながら、これを擁護する人がいる。竹中平蔵だ。
 かんぽの宿は、郵政にとっていわば「不良債権」であり、この処理が遅れればそれだけ国民負担が増大することになる。 かんぽの宿は、今でも年間約50億円の赤字を計上している。民営化に当たって、これを廃止・売却するのは当然のことである。
( → 産経
 これはまあ、狂気の沙汰というか、冗談というか。
 「 2400億円のものを 100億円で売れば、2300億円の損。一挙に 2300億円の損をすれば、それ以後、年間約 50億円の赤字がなくなります。ゆえに、大儲け」
 という理屈。算数ができないのか、気が狂っているのか。……
 「ねえ。竹中くん。きみのもっている 2300万円、僕にくれない? もしそうしてくれたら、このあと毎年、きみに 50万円上げるよ」
 「わーい。嬉しいな。毎年 50万円もらえるんだ。ばんざーい。じゃ、僕の 2300万円、きみに上げるよ。えへへ。これで大儲けだ。何しろ永遠に 50万円もらえるんだからな。大儲けだよ。うひひ」
 「 2300万円の利息の一部だけで、50万円をくれてやろう。あとは全部、こっちのものさ。これで馬鹿から 2300万円を、濡れ手で粟でもらえるわい。うひひ」
 こうして竹中くんは、おりっくす くんに 2300万円を上げることにしました。どうして? 彼が与えたのは、自分の金じゃなくて、他人の金だから。自分の腹はちっとも痛まないんですよ。自分が払ったのは、口先の言葉だけ。
 
 ともあれ、これで、物事の本質がわかっただろう。肝心のことは、こうだ。
 「かつて国全体で推進された不良債権処理というのは、口先三寸で国民の金を盗んだだけだ」

 竹中も小泉も、朝日も読売も、「不良債権処理」を推進した。それはまさしく実現していった。……だが、それは実は、かんぽの宿と同じことをしたのだ。郵政省の資産をオリックスに売却するかわりに、国民の税金を銀行に垂れ流した。銀行には莫大な利益が入り、国民には莫大な損失がかかった。
 こうして国民は大損した。この数年間、企業や銀行には多額の金が入り、国民は派遣・失業・賃下げその他で、大損した。その背後には「不良債権処理」があった。そして、それは、竹中・小泉・朝日・読売などが、そろって推進した政策なのだ。「不良債権処理をすれば景気がよくなる」と言い張って。
 そして、今また、竹中は同じことを繰り返す。規模を変えて。「不良債権処理をすれば会社業績がよくなる」と。
 彼は同じ言葉を繰り返しているだけだ。そして、人々は、彼が言っている言葉が嘘だと今回は気づいているのだが、この6年間になされた「不良債権処理で景気回復」という経済政策が真赤な嘘だったことには、いまだに気づいていない。

 [ 付記 ]
 かんぽの宿について言えば、日本郵政の社長は「背任罪」に相当するだろう。また、こいつがやっているのは、「売国」に等しい。(国民の財産を勝手に捨てることで、国民に莫大な損失をもたらしている。)
 こんなやつを任命した方もどうかと思うが、こんなやつを留任させている麻生もいかれているね。小泉から始まって、誰もが「売国奴」になってしまっている。
 褒めていいのは、鳩山邦夫・大臣だけか。
 (彼の奥さん、美人だったなあ。……何であんな美人がこんなのと。  (^^); )
 ( → 昔の画像 )(今の画像は見ない方がいいです。まるで別人です。  (^^); )
 (しかし、鳩山は男を上げたね。この分だと、「次期首相に」という声が上がるかも。……だから美人を得た?   (^^); )


● ニュースと感想  (2月08日)

 「かんぽの宿・続報」について。
 週刊新潮の最新号で報道されているので、ちょっと覗いてみた。
 他に 400億円で応札した会社があったのに、ずっと安値の 100億円のオリックスに売却すると決まったそうだ。
 日本郵政は一括売却の幹事会社に、ある外資系の会社を指定したのだが、それが全然やる気なし。400億円で応札した会社との問い合わせは、たったの5分間だけ! 300億円も多くもらえるという話を、たったの5分間で捨ててしまうと決断!
 このとき、「怪しいぞ。こいつは出来レースか」と思ったら、案の定、出来レースだったようだ……という話。(400億円を呈示して断られた会社の人の話。)

 ここまで来れば、事情は明らかですね。
 日本郵政は、オリックスに 100億円で渡すことをもともと決めていた。出来レース。そして、その理由は……差額の 300億円を、山分けだ。
  ・ オリックス
  ・ 外資系の会社
  ・ 自民党
 それぞれ 100億円ずつもらう。ボロ儲け。……あ、間違えた。儲けの額は 100億円じゃない。2000億円超だ。そいつをごっそりちょうだいする。
 同じ記事によると、「毎年 50億円」という赤字も、嘘八百らしい。採算の悪い施設はとっくに売却済みだし、残っているのは、稼働率は民間のホテルよりもずっと高いので、そんなに赤字が出るはずがない。「毎年 50億円」という赤字は、ライバルを消すために意図的に流した、虚偽の巨額の数字らしい。……ブラフですね。ポーカーゲームで、「おまえ、降りろよ」と嘘をついたわけ。

 以上の話は、荒唐無稽に思えるかもしれないが、全然、荒唐無稽じゃない。類例はある。
  ・ 日本では田中角栄。
  ・ ロシアでは、さまざまな大富豪。同じようにして石油資源を得て、ボロ儲け。
  ・ ウクライナの超美人・首相。( → 画像 )。その財産形成 → 疑惑1疑惑2Wikipedia

 この世で一番、儲かる方法は? 国を売って、その金を得ることだ。自分のものは何一つ売らずに、巨額の金を得ることができる。


● ニュースと感想  (2月08日b)

 「築地市場移転の移転費用」について。
 築地市場移転のために、石原都知事は、4000億円以上もの金を浪費するつもりらしい。
  → 築地市場移転、総事業費4316億円
 たかが民間の事業のために、これほどの金を税金でまかなう必要があるのか? 移転後の築地を売却すれば、都心の一等地なのだから、莫大な金が入る。とすれば、すべてを税金ゼロでまかなうこともできるはずだ。
 例。中央市場を、川崎と幕張の二箇所に分割する。両者をネットで結ぶ。品物はトラックで運ぶ。(二つとも高速道路沿いにする。)
 これならば、移転先の土地はずっと安いから、コストはかからない。たぶん、コストは、マイナスで済むだろう。(つまり、築地市場を売った金が巨額なので、赤字どころか黒字になる、ということ。)

 [ 付記 ]
 関連項目。浄化費用の削減。
  → 7月29日1月16日b


● ニュースと感想  (2月08日c)

 (1)
 ♪ 勉強なさい〜 勉強なさい〜
 という昔の歌。ひょっこりひょうたん島から。
  → Open ブログ 「勉強なさい 〜 偉くなるために」

 (2)
 地球温暖化の有無について、否定的な記事を日経が掲載している。  「当面は寒冷化が進んでいる」という趣旨。
  → Open ブログ 「地球温暖化の有無 2」

 (3)
 ガザの被害に対して、ユニセフ経由で募金する方法を示します。
  → Open ブログ 「ガザ募金のご案内」
( ※ 「定額給付金なんかいらない」と思う人は、定額給付金の全額または一部を、ガザのために振り込むといいでしょう。……たとえば、小沢さんとか、朝日さんとか。もしそうしたら、拍手喝采します。……なんて皮肉を言っている場合じゃないんだよね。まったく。)


● ニュースと感想  (2月09日)

 (1)
 ガザでは悲惨な状況が進んでいる。日本のマスコミは、ほとんどが知らぬ顔の半兵衛なので、かわりに私が情報伝達する。YouTube の動画で。
  → Open ブログ 「ガザの悲惨さ」

 (2)
 若い母親たちを見ていると、「わがままだなあ」と思うことがしばしばある。私の気のせいだろうか?
  → Open ブログ 「ヤンママのワガママ」


● ニュースと感想  (2月09日b)

 「高速道路値下げに 5000億円」について。
 「高速道路の値下げ」(1000円で乗り放題)という方針が出された。これについて私は「ガソリン浪費」という点で何度か指摘した。また、「自動車利用者のみが利益を得て、自動車利用者以外は利益を得ない。これはつまり、自動車利用者以外から、自動車利用者への、利益移転であるにすぎない」というふうにも書いたことがあるような気がする。(書いてないしれない。そのうち書くつもりで放置?)

 この件については、ネット上で別の人が指摘していた。それを読んで気づいたが、政府は高速道路の会社に、値下げ分として 5000億円を投入するという。
 「自動車利用者以外から、自動車利用者への、利益移転」
 ということが、明白に数値で示されたことになる。(金は天から降ってこないから、その 5000億円は国民全体で払うことになる。利益を受ける人と受けない人がいるから、利益を受けない人は、支払いだけが残る。)

 この件については、次のサイトを紹介しておく。私としてはいちいち書かない。
  → http://d.hatena.ne.jp/wakwak_koba/20090117
  → http://rada.blog.so-net.ne.jp/2009-01-17
  → http://rada.blog.so-net.ne.jp/2009-01-29-4

 [ 付記1 ]
 なお、私の提案は、次のことだ。
 「何を無料化するかは、国民一人一人が決める。各人同額で、勝手に無料化できる、スーパー無料化クーポン券」
 これを使えば、高速道路でも、食品でも、医療費でも、どのような分野でも指定して、好きなものを無料化できる。高速道路の無料化がほしければそうすればいい。医療費を無料化したければそうすればいい。……各人が自分の好きなものを指定すればいいのだ。
 そんなスーパー無料化クーポン券は、あるか? ある。現金だ。現金を給付すれば、その分、何でもお好きなものに使える。  (^^);
 しかし、そのことがわからない馬鹿連中が、「定額給付金なんかいやだけど、高速道路無料化ならばいい」と言い出して、「現金」を「高速道路線用の商品券」に取り替えてしまう。……どうせなら、図書券に出もすれば、まだ教育効果があるのだが、現実には、排ガスを撒き散らして、エネルギーを浪費するという、最悪の使途のための商品券にしてしまう。
 言い出しっぺは民主党だが、それに乗る自民党も馬鹿ですね。そしてそれを大喜びする国民がいちばん馬鹿ですね。……猿ばっかり。いや、猿以下。

 「朝に三つ、夕に四つ」と告げたら、猿も人も怒った。
 「朝に四つ、夕に三つ」と告げたら、猿は喜んだ。
 「朝も夕も食事抜き」(ただし車に乗せてやる)と告げたら、人は喜んだ。……その後、食事抜きのせいで、倒れてしまった。

 [ 付記2 ]
 正真正銘の「無料クーポン」として「政府紙幣」というものが話題になっている。
 これは、効果の上では、「無料クーポン」つまり「現金」と同じである。その意味では、やることは正しい。「無料ガソリン券」なんかを配るのや、「グリーン公共事業」なんかで無駄遣いするよりも、圧倒的に正しい。
 ただし、方法がちょっとだけ稚拙だ。政府紙幣の発行コストがかかる。たいしたコストではないが、無駄。その分、頭が悪い。どうせなら、「現金給付」つまり「小切手」の方が、よほどマシだ。
 とはいえ、これは、経済学の問題ではなくて、行政の問題だ。行政コストをいかに下げるか、という問題。経済学的には、どれだって同じである。

 [ 付記3 ]
 なお、私の提案は、以上のいずれでもない。「行政コストを最小にする方法」を考えた。それは? 「電子的な無料クーポン券」だ。これについては、前に述べた。
  → ID口座
( ※ 国民の口座に電子的に減税の額を振り込む。コストはほぼゼロ。なお、口座の使途は、政府への納付に限る。納税や健康保険料や年金料など。)

 なお、政府は「数字ではなく現金を給付すれば景気浮揚効果が上がる」という認識をしているらしい。だが、これほど国民を馬鹿にした話はあるまい。国民を猿だと見なしているらしい。……しかし、仮にそうだとしたら、給料を銀行口座に振り込んでもらっている国民は、給料をもらっている実感がない、ということになる。そうか? 国民をバカにするのもいい加減にしろ、と言いたいですね。(経済学者でさえ、上記のような珍説を平気で言う人がいる。あきれるしかない。こういう連中は、よほど自分を利口だと思っているんだろう。)


● ニュースと感想  (2月10日b)

 (1)
 タミフル耐性ウィルスが出回っているので、リレンザを処方されることがあるという。飲むべきか?
  → Open ブログ 「リレンザを飲むべきか?」

 (2)
 「頭がいいと蔑まれる?」
 の後半に、ピンクの枠を書き足しました。かなり長い説明。内容はダブっている。
  → Open ブログ 「頭がいいと蔑まれる?」
 ( ※ 「勉強よりも愛が大切だな」と思った人は、誤解していないので、特に読まなくていい。しかしまあ、面白い話もある。最後に。)

 (3)
 オタクブログと言えるブログがあるようだ。これについて、ちょっとした思いつきを、メモしておこう。
( ※ オタク批判になるので、オタクは読まない方がいいでしょう。怒るだけです。)
  → Open ブログ 「オタクブログ(はてな)」


● ニュースと感想  (2月11日)

 (1)
 エイズのウイルスに有効な画期的な新薬が開発中だという。これは、すばらしい新薬だと思われているが、実は、狂気の新薬だ。人類を滅亡させる。
  → Open ブログ 「狂気の新薬」

 (2)
 世界は、オタク化しつつある。社会の一部だけでなく、世界全体がオタク化しつつある。私はそう思う。
( ※ 冗談が混じっています。)
  → Open ブログ 「オタク化する世界」

 (3)
 「考える力」を身につけるには、どうすればいいか? 
 そのための具体策を記した。
   → 「考える力」 の [ 付記3 ]


● ニュースと感想  (2月12日)

 (1)
 人を人を否定することはあってはならないか? ── これに答える。社会経験の少ない人のために。
  → Open ブログ 「人を否定することの是非」

 (2)
 わが師と呼べる人のことを記す。
  → Open ブログ 「わが師の思い出」

 (3)
 リレンザについて。
 以前の項目に、後半を加筆しました。大幅に追加。
  → Open ブログ 「リレンザを飲むべきか?(改)」


● ニュースと感想  (2月13日)

 (1)
 ネーシーダーという医薬品(?)がある。これで禁煙できます、というが、ほとんど詐欺であろう。
   → Open ブログ 「禁煙詐欺」

 (2)
 遺伝子操作による医療というのが話題になっている。しかし人類は今や、生命の操作をすることで、異常な怪物を作り出しつつある。
  → Open ブログ 「狂気の生命科学」


● ニュースと感想  (2月14日)

 (1)
 「ビーフジャーキーしか食べないので、病気になって死んでしまった」、という例がある。犬の例。
  → Open ブログ 「ビーフジャーキーだけ食べて死んだ犬」

 (2)
 オタクについて論じるにも、「オタク」という概念が拡散しているせいで、議論が噛み合わないことが多い。そこで、概念を明確にするために、オタクと非オタクの違いを示す。
  → Open ブログ 「オタクと非オタク」


● ニュースと感想  (2月15日)

 招致中の東京五輪は、エコを重視した五輪になるという。本当にそうか? 「エコだからすばらしい」と言えるのか?
  → Open ブログ 「東京五輪はエコか?」


● ニュースと感想  (2月16日)

 (1)
 先の「頭がいいと蔑まれる?」
 「頭のいい女性は、自分にプライドをもって活躍してほしい」というふうに、新たな結論を出す。
  → Open ブログ 「続・頭がいいと蔑まれる?」

 (2)
 「白熱電球を、電球形蛍光灯に替えるべし」
 というキャンペーンがある。前にも書いたが、その事後談。
  → Open ブログ 「電球形蛍光灯の嘘 2」







   《 翌日のページへ 》





「泉の波立ち」
   表紙ページへ戻る    

(C) Hisashi Nando. All rights reserved.
inserted by FC2 system