[付録] ニュースと感想 (142)

[ 2009.12.10 〜 2009.12.31 ]   

  《 ※ これ以前の分は、下記のページで 》


    2001 年
       8月20日 〜 9月21日
       9月22日 〜 10月11日
      10月12日 〜 11月03日
      11月04日 〜 11月27日
      11月28日 〜 12月10日
      12月11日 〜 12月27日
      12月28日 〜 1月08日
    2002 年
       1月09日 〜 1月22日
       1月23日 〜 2月03日
       2月04日 〜 2月21日
       2月22日 〜 3月05日
       3月06日 〜 3月16日
       3月17日 〜 3月31日
       4月01日 〜 4月16日
       4月17日 〜 4月28日
       4月29日 〜 5月10日
       5月11日 〜 5月21日
       5月22日 〜 6月04日
       6月05日 〜 6月19日
       6月20日 〜 6月30日
       7月01日 〜 7月10日
       7月11日 〜 7月19日
       7月20日 〜 8月01日
       8月02日 〜 8月12日
       8月13日 〜 8月23日
       8月24日 〜 9月02日
       9月03日 〜 9月20日
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       10月05日 〜 10月13日
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       11月20日 〜 12月02日
       12月03日 〜 12月12日
       12月13日 〜 12月24日
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    2003 年
       1月02日 〜 1月13日
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    2004 年
       1月03日 〜 1月16日
       1月17日 〜 1月22日
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       4月13日 〜 4月23日
       4月24日 〜 4月25日
       4月26日 〜 5月11日
       4月26日 〜 5月11日
       5月20日 〜 5月29日
       5月30日 〜 6月14日
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       7月28日 〜 8月21日
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       11月17日 〜 12月12日
       12月13日 〜 1月07日
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       4月03日 〜 5月11日
       5月12日 〜 5月29日
       5月30日 〜 6月07日
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       7月07日 〜 7月25日
       7月26日 〜 8月14日
       8月15日 〜 9月06日
       9月07日 〜 9月26日
       9月27日 〜 10月21日
       10月22日 〜 11月14日
       11月15日 〜 12月09日
       12月10日 〜 12月21日
       12月22日 〜 1月14日
    2006 年
       1月15日 〜 1月26日
       1月27日 〜 2月12日
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       2月27日 〜 3月08日
       3月09日 〜 3月13日
       3月14日 〜 3月24日
       3月25日 〜 4月14日
       4月15日 〜 6月03日
       6月04日 〜 6月26日
       6月27日 〜 7月09日
       7月10日 〜 8月10日
       8月10日 〜 9月04日
       9月05日 〜 9月15日
       9月16日 〜 9月27日
       9月28日 〜 11月06日
       11月07日 〜 12月16日
    2007 年
       1月01日 〜 2月23日
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       5月22日 〜 7月25日
       7月26日 〜 9月15日
       9月16日 〜 10月19日
       10月20日 〜 11月19日
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       1月12日 〜 2月02日
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    2009 年
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       2月17日 〜 4月18日
       4月19日 〜 6月01日
       6月02日 〜 7月19日
       7月20日 〜 8月14日
       8月15日 〜 9月18日
       9月19日 〜 10月27日
       10月28日 〜 12月09日
         12月10日 〜 12月31日







● ニュースと感想  (12月10日)

 (1)
 炭酸ガスで、生態系が破壊されたり、気候変動が起こったりする……という警告がなされるが、嘘八百。生態系を破壊するものは、炭酸ガスではなく、人の手だ。
  → Open ブログ 「炭酸ガスと気候変動」

 (2)
 常用漢字表で「葛」という字は正字である。これだけが正字であるのはどうしてか、と読売が疑問を掲げている。それに答えよう。
  → Open ブログ 「「葛」の正字・略字」


● ニュースと感想  (12月11日b)

 (1)
 普天間基地の辺野古移転という問題がある。これを含めて、沖縄の基地の問題について、抜本的な解決案を示す。(あっと驚く方法。発想の転換。)
  → nando ブログ 「沖縄の米軍基地・問題」

 (2)
 スパコン予算は復活した。これについて池田信夫はだんまりを決め込んでいるようだが、ちゃんと見解を出してもらいたいものだ。
  → Open ブログ 「スパコン復活で池田信夫は?」


● ニュースと感想  (12月12日)

 (1)
 池田信夫が新たに見解を出したが、話はますます混迷を深めている。ほとんど滅茶苦茶。
  → 池田信夫の新見解

 (2)
 スパコンだけでなく、戦闘機もまた、技術継承の対象となる。ところがこのことを重視している人は多くない。
  → 戦闘機の技術継承

 (3)
 タミフルは重症の患者には有効だが、軽症の患者には不要だ、という研究が出た。(症状の改善ではなく、死亡率の低下で。)
  → 軽症ならタミフル不要


● ニュースと感想  (12月13日)

 (1)
 前日分 の続き。池田信夫は新見解を出した。そこでは立場を従来から変えている。新たな見解は、「並列型のコンピュータを促進せよ」というふうにも見える。だが、実は、「天から金が降ってくる」という発想になっている。破綻。
  → Open ブログ 「池田信夫の破綻」

 (2)
 ドングリには、タンニンが含まれている。その濃度はさまざまだ。ここでは、「特定の形質だけが有利である」ということはなく、さまざまな形質があることがかえって有利になっている。
 つまり、「最も有利な遺伝子だけが増える」という遺伝子淘汰説は、ここでは成立しない。大切なのは多様性なのだ。
  → Open ブログ 「多様性と優勝劣敗」


● ニュースと感想  (12月13日b)

 「鳩山の偽装献金」について。
 鳩山の偽装献金について、「贈与税を払う」ということで決着させたいつもりであるようだ。しかし、これは妥当ではない。
 第1に、贈与と見なすのであれば、贈与を申告しないで偽装献金にしたことは、脱税に当たる。本来ならば巨額の贈与税を払うべきなのに、偽装したことで、贈与税の支払いを免れようとしたことになる。この場合、悪質な脱税となる。普通、このようなことをしたら、裁判所で有罪判決が下る。判例では、3億円が境界で、それ以上は実刑、それ以下では猶予刑。いずれにせよ、巨額の脱税(今回は9億円)はきわめて悪質だ。当然、首相を辞任するべし。できれば、刑務所に入ってほしい。
 第2に、借金と見なすのであれば、話は同様となる。通常の借金ならば、ただの借金だが、親からの借金ならば、親の死後には相続と同じになる。その場合には、巨額の相続税がかかるはずだ。ところが、偽装献金にしたことで、巨額の相続税を脱税したことになる。
 
 結局、いずれの場合にも偽装献金をしたことで、巨額の脱税をしたことになる。バレなければ、まんまと脱税に成功したわけだ。9億円以上も。(時効にかからない分が9億円。時効にかかる分を含むと、それ以上。)
 執行猶予がつくかどうかはともかく、懲役2年程度の有罪になるのは当然だ。これほどの悪党ならば、首相をやっている資格はない。
 とりあえず、贈与だと認めた時点で、首相を辞任するべし。罪名は「脱税」だ。なお、「会計を秘書に任せていた」とか「会計士に任せていた」とかいう弁明は通用しない。金の処理は自分だって知っていたはずだからだ。仮に、知らなかったなら、数億円の金がどこから来たのかも知らなかったことになり、無能の極み。自分の財布の金さえ扱えない人間は、国家の金を扱う資格はない。無能 or 阿呆を理由として、ただちに辞任するべし。
( ※ 無能ぶりなら、基地問題をめぐる迷走を見るだけでもわかるが。  (^^);  この人が特異なのは、「友愛」を唱えたり、「炭酸ガス 25%削減」を唱えたりすることだけのようだ。夢見るおぼっちゃん。 or 少女っぽい。)

 [ 付記 ]
 これを「鳩山への贈与」と見なさず、「政治資金」と見なす発想もある。その場合、罪に問うことは難しくなるらしい。
 政治献金とされた場合、一般個人から資金管理団体への献金上限は年間150万円と政治資金規正法で定められているため、同法の量的制限違反となりうる。だが、実母や首相に、資金管理団体への入金などの処理についてまったく認識がないとされるため、量的制限違反を問うのは極めて困難とみられている。
( → 朝日・朝刊・社会面 2009-12-12
 その通り。脱税ではないので、重い有罪になることはないだろう。その意味で、鳩山個人は、懲役刑のような重罰を免れる。
 しかし、である。その場合には、「巨額の政治資金の偽装」という、政治家として流行ってはならないことをやったことになる。とすれば、それを認めた時点で、政治家としては失格となる。裁判を待つまでもない。自認した時点で、「政治家失格」「首相失格」となる。最低限、首相の即時辞任は必要だろう。
 この件は、次の動画がネットで話題になっている。
  → 鳩山 対 鳩山

 [ 余談 ]
 オマケで言うと、弟の方は、兄を守るどころか、兄の足を引っ張ることに熱中してばかり。兄弟喧嘩? (二人揃って刑務所に入りたがっているように見える。)
  → 鳩山邦夫氏、党の役職辞任
 二人揃って、アホ兄弟。漫才でもやれば? ボケとツッコミになる。


● ニュースと感想  (12月13日c)

 「天皇の政治利用」について。
 天皇が中国首脳に面会することを鳩山が強要したということで、「天皇の政治利用だ」と批判されている。しかしこれは、問題の認識が間違っている。
 「天皇を政治利用していいか?」と聞かれれば、悪いに決まっている。しかし、悪いことだからこそ、かえって、やる意義があるのだ。
 今回の騒動の本質は、次のことだ。
 「小沢には天皇を動かす力があるのか?」
 小沢は鳩山に影響力があることはわかる。それがどのくらいかははっきりしない。そこで、鳩山を通じて天皇さえも動かす力があるのかどうか? それを中国は見極めたかった。そこで、「中国副主席を緊急派遣するから、天皇と面会させろ」という無理難題を吹っかけた。これは、そのこと自体が重要なのではなく、小沢の影響力がどのくらいあるかを調べるためだ。
 そして、小沢としては、そのことがわかっているから、自分の影響力を誇示するために、何が何でも面会を実現させようとした。鳩山はそのことをよくわかっていないだろうが、小沢にものすごく強く言われたので、言うことを聞かざるを得なかった。菅直人が首相ならば突っぱねただろうが、鳩山はポッポ・ポッポと鳩首(?)を振って頷くしかなかった。
 ともあれ、こうして、小沢の影響力は証明された。そこで、これ以後、中国は小沢を「田中角栄の継承者」と見なして、非常に重視することを決めたのである。

 [ 付記 ]
 それに先んじて、中国主席は民主党の議員 140人と一人ずつツーショットを取った。ものすごい大サービスだ。
 小沢は「おれの面目が保たれた」と大喜びだったのだろうが、実は、中国は、それを「貸し」にしたのだ。その上で「借りを返せ」とばかり、天皇との面会を要求した。
 「国会議員 140人との面会およびツーショット。その代わりに、天皇一人との面会を」
 と要求した。中国が一枚上手ですね。交渉術はお手の物か。頭いい。
( ※ 小沢は「利用された」とまだ気づいていないかも。頭悪い。)


● ニュースと感想  (12月14日)

 (1)
 池田信夫が富士通のスパコンを「筋が悪い」と批判している。  このことから、技術開発や独創性について、彼が何も理解していないことがわかる。独創性とは何かというテーマで語ろう。
  → Open ブログ「技術開発と独創性」

 (2)
 ポアンカレ問題を解決した数学者 ペレルマンの評伝が出た。この本もまた素晴らしい出来映えらしい。
  → 書評ブログ 「ペレルマンの評伝」
   ( ※ 天才と独創性に関する大切な話。)

 (3)
 高齢者への介護では、多大な力が要されて、大変である。しかし、古武術を利用することで、体重移動がスムーズに行き、介護が楽にできるという。
  → 書評ブログ 「古武術で介護」
   ( ※ ただのメモ。重要ではない。)


● ニュースと感想  (12月15日)

 そろそろ寒さも募ってきた。そこで、加湿器をお勧めする。インフルエンザの予防になるだけでなく、省エネにもなる。
  → Open ブログ 「加湿器で省エネ」


● ニュースと感想  (12月15日b)

 「最高学府という言葉」について。
 「最高学府」という言葉が意味するのは、東大か? 辞書を見ると、「大学のことだ」と記されている。
 しかし、「学府」という言葉は、今日では大学を意味するから、「最高学府とは大学だ」というふうになるなら、「最高学府は全大学だ」となり、「すべてのものは最高だ」となってしまい、論理矛盾に至る。
 実は、最高学府という言葉が真に意味を持っていたのは、明治の初期ごろ(?)に、東大が設立されたころだけだ。そのころは、大学は東京帝大しか存在しなかった。従って、次の式が成立した。
  最高学府 = 大学 = 東京大学
 ここでは、「最高学府とは大学のことだ」と言えるが、「大学とは東京大学のことだ」と言えるから、「最高学府 = 東京大学」というのはまったく正しいことになる。

 では、今日では? 「最高学府 = 大学 = 東京大学」という等式は成立しない。したがって、ここではもはや「最高学府」という言葉自体が(本来の)意味を失っている、と言える。その言葉ができた時点では、「最高学府 = 大学 = 東京大学」という等式が成立したが、もはやその等式は成立しないから、この言葉もまた本来の意味では成立しなくなっているわけだ。

 ここでは「最高学府 = 大学」は、もちろん成立しない。成立するとすれば、「最高 = 全部」というふうになってしまうからだ。
 ただし、本来の意味とはかけ離れた形で、拡張 or 比喩 or 誤用ふうに、「最高学府 = 東京大学」というふうに理解することは、可能である。
 ただ、「東京大学は最高学府だ」というふうに東大を称賛する形で使うのは、まずいだろう。「東京大学は最高学府の名を負うくせに……」というふうに東大を軽蔑する形で使うのが、妥当だろう。それなら、問題はないと思う。
( ※ ただしまあ、これは私なりの見解だ。あとはご自分で判断してください。……ただし、いちいち他人の用法を「誤用だ」と目くじらを立てるのは、ちょっと、何ですね。)


● ニュースと感想  (12月15日c)

 「サミュエルソン」について。
 サミュエルソンが死去した。この人は経済学の世界では、最大級の人物と見なされる。この人の本で経済学を学んだ人も多いはずだ。
 ただし、この人の考えを理解できない人も多い。典型が、池田信夫だ。
   → 池田信夫ブログ
 彼は、失業という現象を、自然失業率という概念で説明している。(フリードマン流。)しかし、自分で何を説明しているのか、わかっていないようだ。
 ケインズの言う失業は、景気変動による失業。フリードマンの言う失業は、長期的な失業。両者は全然異なる。
 異なるのだから、異なるものとして理解すればいいのに、
 「フリードマンの自然失業は正しい。ケインズの失業は、自然失業では説明できない。ゆえにケインズやサミュエルソンは間違い」
 という論法を取る。非論理の極み。

 よく考えると、池田信夫は、「不均衡」という概念をまったく理解していない。だからすべてを均衡理論で説明しようとする。典型的な古典派経済学者。
 池田信夫みたいな人に、一言、勧告しておこう。
 「サミュエルソンを読み直せ」
 ちゃんと読めば、マクロ経済学の基本がわかる。池田信夫はサミュエルソンの話をまったく理解できていない。何が書いてあるのかさえわかっていないのだろう。だから、「不均衡」という概念を、いつまでたっても理解できない。

 彼のために、簡単に説明しよう。
 失業が生じるのは、労働市場で労働価格が高すぎるからではない。労働力は消費財ではないからだ。消費財ならば、価格を下げれば売れるようになるし、価格を上げれば売れなくなる。
 しかし、生産財は、まったく別の原理に従う。生産財は、生産活動をするときに、需要が増える。(需要曲線がシフトする。……これ、重要。)たとえば、国全体が好況になれば、生産財の需要は増える。国全体が不況になれば、生産財の需要は減る。労働力もまた同じ。ここでは、生産量の増減が、労働需要の増減をもたらす。
 生産量が縮小すれば、労働需要も縮小する。だから企業は、首切りというリストラをする。つまり、失業が増える。……こういうふうに「生産量」を中心として失業を考えるのが、マクロ経済学だ。
 労働力を「消費財」とだけ見なして、「賃金を下げれば労働需要が増える」というふうに馬鹿のひとつ覚えをするしかない人は、マクロ経済学をまったく理解していない。
 池田信夫みたいな人は、サミュエルソンを読み直せ。(……というか、もともと全然読んでいないのだろうから、ちゃんと読むべし。特に、読みもしないで、批判するべからず。)


● ニュースと感想  (12月16日)

 「サミュエルソンの功績」について。
 サミュエルソンの業績は何か? ……と言うと、「ケインズ経済学と古典派経済学を融合して、新古典派総合を確立した」というふうに言われることが多い。Wikipedia もそうだ。
 だが、私は、次の見解を支持したい。
 「難解すぎでよくわからなかったケインズ経済学を、誰にもわかりやすい形で教科書の形で紹介した」
 非常に頭のいい人ならばしばしばやることだが、物事の本質をつかんで、その本質を的確に示す。それを、難解極まるケインズ経済学についてなしたことで、非常に重要なケインズ経済学をひろく世界で共有できるようにした。……これがサミュエルソンの最大の功績だったと思う。(彼自身の学説よりも。)
 ケインズ以前の経済学は、ミクロ経済学だった。ケインズはマクロ経済学を確立した。しかしそれは難解極まるため、なかなか理解されなかった。サミュエルソンがそれを解説したことで、ケインズ経済学は(マクロ経済学は)理解されるようになった。実際、ケインズ経済学といわれているものは、実際にはサミュエルソンの語った経済学なのである。サミュエルソンを通してのみ、われわれはケインズ経済学を理解している。(そのあとで、サミュエルソンの経済学の焼き直しを、あちこちの経済学者が書いた。)
 ただし、サミュエルソンの経済学を、最初から最後まで理解できなかった人もいる。その実例が、池田信夫だ。彼はあくまでフリードマン流の市場原理(つまりミクロ経済学に立脚したもの)だけを理解し、サミュエルソンの経済学を理解できなかった。理解できないまま、「間違いだ」と非難するだけだった。(スパコンと同様。自分が理解できないものを「不要だ」と非難する。毎度のことながら。)

 サミュエルソンの教えた方法と正反対のことをなしたのが、小泉・竹中流の市場原理主義だった。それによって日本経済は大幅に縮小した。
 一方、サミュエルソンの教えをいくらか学んでいるオバマは、70兆円規模の景気拡大策を取るとも言われている。
 サミュエルソンに学ぶべきことは、まだまだある。特に、失業について「市場原理で片付けよ」なんていう倒錯をしている池田信夫みたいなのがいる日本は、まったくひどいものだ。(前項でも述べた。)
 民主党は? 何をやったらいいのかもわからないまま、高速道路の無料化やら、子供手当やら、普天間やら、事業仕分けやら、そういった小さな規模の人気取りばかりに溺れている。肝心の景気対策は、さっぱりだ。そこにはマクロ経済学の視点はすっぽり欠けている。(この件、前にも述べたとおり。)

 サミュエルソンに学ぶことは、まだまだある。……ただし、彼の「経済学の教科書」は、現在、絶版である。せっかくの名著なのに。悲しいことだ。……日本人の活字離れは、こんなところにも影響しているのだろうか。情けない。

 一応、Amazon へのリンクを示しておく。
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● ニュースと感想  (12月17日)

 「伊藤元重の経済論」について。
 伊藤元重(政府にも影響力のある最有力の経済学者)が、経済政策を論じている。「デフレはユニクロのせいじゃない」という下賤な話題から始めて、「デフレは需給ギャップが生じたからだ」と原理を説明している。ここまではいい。
 問題は、需給ギャップを解消する方法だ。どうすればいいか? 彼はずっと「お札をたくさんすればいい」というマネタリズムの理屈を主張してきた。ところが今回は、
 「あまり乱暴な金融政策をとれば、需給ギャップを解消するというよりは、金融的な混乱を起こし、悪性のインフレになるリスクさえある。」
 と述べて、否定的だ。これは私の「バーナンキの背理法」の話を読んだせいかもしれない。
 では、金融政策で駄目なら、どうすればいいか? 彼はこう述べる。
 結局のところ、より構造的な問題に踏み込んだ抜本的な経済政策をとらないかぎり、日本のデフレは解消しない。需給ギャップが大きいということは、建設・小売り・卸し・諸々の製造分野における下請けメーカーなど、多くの分野で過剰企業、過剰施設、過剰生産体質が残っていることが大きい。
 こうした分野で大胆なリストラ、合併、廃業・倒産などを通じた供給力の大幅な削減が求められている。
( → あらたにす
 供給力の大幅な削減? 馬鹿丸出し。それはつまり、縮小均衡をめざすという意味だ。その本質は、こうだ。
 「じわじわと進むデフレを、一挙に奈落のドン底に突き落とす。そうすれば、もはやそれ以上は悪化しない」
 病気の治療で言えば、こうなる。
 「体温が下がり続ける患者の体温を安定させるには、患者を殺せばいい。そうすれば、もはやそれ以上、体温は下がらない」
 要するに、「デフレの悪化を止めてくれ」という要求に対して、「一挙にデフレのどん底に突き落とせ」という政策だ。最悪。……ただしこれは、小泉・竹中の路線と同じである。彼は小泉・竹中の路線に大きく影響力をふるったのだが、その路線を今も保っているようだ。いや、さらに純粋化し、悪化させているようだ。
 なお、この路線は、池田信夫の路線と基本的には同じだ。
   → 池田信夫ブログ別サイト
 とはいえ、池田信夫のユニクロ論の方が、伊藤元重よりはずっとまともだ。これは意外だった。伊藤元重は池田信夫よりもはるかに馬鹿だということか。(そういう人物が日本政府に影響力を持つから、ろくなことはない。)
  
 伊藤元重も池田信夫も、正解がわかっていない。だから正解を示そう。こうだ。
 「需給ギャップを解消するには、供給を減らすのではなく、需要を増やす」
 つまりは、マクロ的な「総需要拡大」政策である。サミュエルソンが教えるとおり。これ以外にはデフレを解決する方法はない。
 伊藤元重の言うように、総供給を解消するとは、どういうことか? 次のことだ。
 「企業レベルでは、余剰な設備を廃棄し、余剰な人員を解雇する」(リストラ)
 しかし、これをやればやるほど、かえって失業者は増えてしまう。企業業績は改善するが、国民所得は減ってしまう。雇用された人々の生産性は向上するが、雇用されていない人々を含めた国全体の生産性は大幅に低下する。
 これを解決する方法は、ただ一つ。こうだ。
 「国家レベルでも、余剰な人員を削減する。つまり、失業者を殺す」
 伊藤元重の言っているのは、要するに、「失業者は死ね」ということだ。彼は自分が何を言っているのかわかっていないようだが、はっきりと私が教えておこう。彼は国に向かって「国民を殺せ」と唱えているのである。「そうすれば労働市場の需給は均衡するから」という理屈だ。
 つまり、「人々を幸福にするために経済学があるのではなく、経済学の原理を守るために国民を虐殺せよ」と述べているわけだ。ポルポトみたいなものである。
 彼が自分の主張を守るならば、「失業手当も生活保護もすべて打ち切れ。そうすれば、貧しい人々は仕方なく安い給料でも働くようになるから、失業は解消する」というふうになる。だから、そう主張すればいい。
 そして、その結果は? 人々は月給1万円ぐらいで雇用されるようになる。(刑務所や授産所と同じ。)……しかし、それでは、生活が成り立たない。その結果は? 大量の餓死である。
 彼の政策は、「国民は餓死せよ。そうすれば縮小均衡が成立する」というものだ。狂気の経済学。ヒトラーのお仲間。こういう人間が、(以前の自民党政府や)マスコミを引っ張っているのだ。


● ニュースと感想  (12月17日b)

 「菅直人と竹中」について。
 菅直人と竹中が対談をした。竹中が供給重視を唱え、菅直人が需要重視を唱える。なかなか面白いので、引用する。
竹中「(自画自賛)略」
菅直人「供給を超える需要はないということを今言われました。しかしアダム・スミスの時代は供給が需要を決めたんだと思うんですが、少なくとも1929年以降は需要がなくて供給過剰になるという中での不況が多く起きたわけで、今まさにデフレという状況が生まれておりますが、私たちが考えている実は経済政策、あるいは成長戦略もそうですが、先ほど抑圧された需要という、表現は別として、そこはやや共通なんですけども、まず需要をつくることが重要ではないかと。」
竹中「不況対策として需要をつけるということは重要ですけれども、その後どれだけ伸び率を高めるかということに関しては、実は供給側が伴っていないとだめなわけです。……90年代の失われた10年というのは、これはやっぱり公共事業をやって需要をつけると。それが当時必要ではあったけれども、それで終わってしまうわけですよね。……需要をつけるということは重要なんですけれども、その需要が将来の供給の、つまり成長の傾きを高くするように回さなければいけません。私が申し上げているのはそういうことです」
菅直人「80年代後半以降の公共事業は、投資効果はなかったとみています。……そういう第一の道は破綻(はたん)したと。
 次に率直に申し上げて小泉・竹中路線といわれているのは、今言われたように、例えばカルロス・ゴーンが来て、日産、正確な数字は別として1万人の労働者をですね、半分ほどリストラすると。確かに5000人の日産は高い生産性になったかもしれないけど、リストラされた5000人が新たな、完全雇用で新たなところで同じような効率高いところで仕事ができればいいんですが、結果として失業状態になり、低賃金であえぐようなことになれば、マクロとしては成長はしていないわけです。ですから私は一企業の日産はリストラできても、国は国民をリストラできないんだから、必ずしも個別の企業が競争力を高めることが、それを全部やったら、イコール、マクロ的な成長になるとはかぎらない。
 どうも竹中さんが言われるですね、供給サイドを強めればそれでマクロ的にもよくなるという考えは第二の道として失敗したというのが私の見方ですが、いかがですか」
( → 【菅vs竹中論争】(2)(3)
 
 最後に菅直人は「過去の失敗を検証する」という方針を示した。まだ自分の方針は決まっていないので、過去の失敗を見ることにする。そこで、失敗の代表として、竹中を招いたらしい。
( → 【菅vs竹中論争】(4)
 菅直人はよくわかっている。完璧ではないにせよ、そこいらの経済学者よりもはるかによくわかっている。池田信夫も伊藤元重も形なしだ。竹中平蔵なんか論外だ。


● ニュースと感想  (12月17日c)

  【 加湿器の紹介 】

 「加湿器がよい」と先に示したので、ついでに、どの加湿器を買えばいいか、紹介しよう。安くてお得な加湿器の紹介。
 2000円程度(送料込み)で加湿器を買える。 Amazon ならば送料無料だ。下記で示す。(私が精選したので、いちいち探さなくても、一発で優良品が見つかる。)
   → 加湿器の紹介


● ニュースと感想  (12月18日)

 (1)
 風車の低周波音が人間に被害を及ぼしているという。さらには他の問題もある。
  → Open ブログ 「風車の公害と問題」

 (2)
 虎が絶滅の危機に瀕している。炭酸ガスなんかで騒いでいる間に、地球環境の悪化はどんどん見逃される。
  → Open ブログ 「虎が絶滅危機」

 (3)
 年賀状用の虎の画像を紹介する。
  → Open ブログ 「トラの画像」


● ニュースと感想  (12月18日b)

 「子供手当」について。
 民主党がまたドタバタしている。子供手当に所得制限を設ける、という話。これはまったく整合性がない。
 「高所得者にまで子供手当てを支給するのは馬鹿げている」
 というのが亀井の主張だが、例によって経済音痴をさらしている。こういう馬鹿はさっさと排除した方がいいのだが。政権を混迷させるだけだ。
 子供手当に所得制限を設けても、たったの 2000億円しか浮かない。その意味で効果は限定的だ。ただし、それよりも、道理がまったく通らない。
 亀井みたいな馬鹿は「子供手当は単なる支給金だ」と思っているのだろうが、まったく違う。
 第1に、児童手当が廃止される。純然たる増額の分は、額面通りではない。
 第2に、(これが大事だが)所得控除が廃止される。その額は、所得税63万円、住民税45万円。
   → 出典
 所得税の税率は、こちら。
   → 税率表
 また、広く知られているとおり、住民税は 10%の固定。
 全部ひっくるめると? こうなる。
  ・ 年収 1800万円以上 …… 子供手当と控除の減免額がほぼ同じ。
  ・ 年収 1800万円以下 …… 子供手当が控除の減免額よりもいくらか多い。
 というわけで、少なくとも年収 1800万円以上ならば、子供手当を支給しても、まったく差し支えない。子供手当をもらう分、納税額が増えるからだ。ほぼトントンである。
 つまり、子供手当を支給しても、子供手当てを支給しないで控除をやめても、どっちでも効果は同じである。だったら、「一律支給」にした方が、あれこれと無駄手間をかけないで済む分だけ、事務が大幅に少なくて済む。そうするのが利口というものだ。
 なお、金持ちに対して、「子供手当てを支給せず、控除額を廃止する」というのは、最悪だ。この場合、「金持ちは子供がいる家庭に限り増税」ということになる。子供増税。金持ち家庭における少子化の推進。気違いじみている。
 
 私の推奨するベストの策は、こうだ。
  ・ 民主党の原案通り、子供手当てを支給する。控除は廃止する。
  ・ 子供手当の支給額は、原案よりも減額する。
   (原案は、毎月2万6000円。年額31万2000円)
  ・ 金持ちを対象に、所得税を上げる。
   (現在は年収 1800万円以上が最高税率。これに対して、年収 3000万円以上
    の金持ちには、新たに 45%の最高税率を設定する。金持ち増税。)

 現状では、「最高の金持ち」は 年収 1800万円以上の層である。これは区分が低すぎる。年収数億円の大金持ちもいるのだから、そういう大金持ちにちゃんと相応の税金を払ってもらえばいい。そして、そのかわりに、金持ちの子供にも子供手当てを支給する。年額 30万円ぐらいを支給して、年額百万円以上の増税とする。(大金持ちに。)……これが利口というものだ。逆に、年額 30万円ぐらいを支給するのを惜しんで、年額百万円以上の金持ち増税を失うのは、馬鹿げている。
 亀井みたい経済音痴は、さっさと消えてほしい。彼は経済学を知らないで、単に直感で物事で言っているだけだ。理屈がなくて、感情で動くだけ。爬虫類のカメみたいなものだ。


● ニュースと感想  (12月19日)

 「民主党の迷走」について。
 事業仕分けでミソをつけた民主党が、ふたたび迷走している。今度は小沢の介入。天皇陛下に介入したあとは、政府に介入している。(以下の情報の出典は:朝日・朝刊 2009-12-18 )
 今度は、国民の陳情を受けて、民主党のマニュフェストを正す、という触れ込み。マニュフェストと書いてあり、マフェストと正しく書いてない。 このことからして、民主党以外の人間、または、よほどの馬鹿が書いたものだと推定されている。    (^^);  
   また、子供手当の所得制限や暫定税率廃止は、「陳情を受けて」という理由にもかかわらず、そんな陳情はなかったという。小沢の独断。
 高速道路を道路公団で勝手に作り放題にするという暴挙も含まれている。
 要するに、「陰の総理」の出現か。それというのも、鳩山という操り人形が、まともに動けないからか。

 また、子供手当の所得制限は、年収 2000万円以上。これでは何の意味もない。それどころか、逆効果だ。(前項で述べたとおり。控除額と差し引きして、控除額廃止による増収の方が、子供手当の出費よりも多くなる。子供手当を払う方が、国はかえって得をするのだ。)
 おまけに、2000万円で線引きすると、対象の子供は全体の1%程度にすぎないという。ほとんど効果なし。それでいて、手間は結構かかる。こんなことでは、事務費に大部分が食われてしまう。ひどい無駄。

 鳩山政権はさっさとつぶれた方がマシですね。そもそも、贈与税または相続税の脱税という形で、9億円もの所得を隠しているのだから、有罪で懲役3年ぐらいが妥当だろう。鳩山のいるべきところは、総理の座ではなく、ムショだ。

 [ 付記 ]
 ついでに言えば、亀井もムショに入ってほしい。今度は「沖縄にカジノを」と言い出した。
 バクチというものが許容されるのであれば、暴力団がバクチをするのも許容するべきだろう。現実には、そうではない。バクチは人々の心を荒廃させるからだ。薬物を使わない麻薬のようなものである。現実の結果は、麻薬と大差ない。習慣性・依存性も似たようなものだ。(健康に影響があるかどうかという点だけが違う。)
 こういうふうに「国民の精神を荒廃させて、自分が儲けよう」という発想は、ヤクザそのものだ。「暴力団がやれば犯罪だが、国がやれば犯罪ではない」という発想。暴力団みたいな顔をした亀井の発想は、徹底的に、「自分が得をしたい」という虫の視点にある。「国全体を広く見渡す」という鳥の視点がない。虫瞰と鳥瞰の違い。……こういう人間が国の政治に介入すると、国家が破綻する。
 亀井は1議員としてはまともかもしれないが、こういう人間が、(鳩のように右往左往する)総理よりももっと偉ぶって、国の政治に介入すると、国家そのものが迷走する。
 今の連立政権はもはや、「船頭多くして陸に上がる」の図となっている。


● ニュースと感想  (12月19日b)

 エコ運転の方法と、渋滞解消の方法は、同じである。「車間距離を取ること」だ。
  → Open ブログ 「エコ運転と渋滞解消」


● ニュースと感想  (12月20日)

 (1)
 環境汚染を放置していると、危険な鳥インフルエンザが起こりやすくなる、ということがある。それは、散弾銃の鉛汚染だ。
  → Open ブログ 「環境汚染とインフルエンザ」

 (2)
 次の一文を、後述のサイトのコメント欄に記載した。転載しておく。
  GMが公的融資の全額返済を開始した。まずは1回目で、半年後までに全額を返済する予定。
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2009121900192

 記事には「政府が税金を使ってGMを救済したことに疑問を抱く米国民は依然多い」ということだが、やはり素人にはなかなか理解できないようだ。池田信夫もそうだが。

 政府が救済した場合、融資をしただけで、国家は全然損をしていない。
 政府が救済しない場合、政府は失業手当を多額に払ったり、また、GMの不動産税や従業員の所得税など、多額の収入を失ったりする。莫大な損失をかかえる。

 素人には、そういう違いがわからない。池田信夫もまた同じ。理念ばかりを唱えていて、現実の経済観念(損得勘定)が欠落しているのである。非科学的で感情主義と言ってもいい。
 頭を働かせれば、損得は簡単にわかるのだが、「市場原理」という念仏を唱えたとたんに、頭が思考停止になるのである。
( → Open ブログ 「均衡点の存在?」 の最後(コメント欄) )


● ニュースと感想  (12月20日b)

 「勝間和代の信者」について。
 二カ月以上前の話題だが、次の話題があったそうだ。
  → 勝間和代の教えに従って身も心もボロボロになる人が急増中
 日刊ゲンダイの記事だという。孫引きになるので、ここでは引用しない。勝手に検索してみてください。


● ニュースと感想  (12月20日c)

 「池田信夫の傲慢さ」について。
 池田信夫がまた傲慢さをさらしている。天皇の公務の「1カ月」というルール(慣例)について、こう述べている。
1ヶ月ルールを「宮内庁が勝手に決めた」というのは言い過ぎだったけど、これは法律でも政令でも閣議決定でもない「慣例」で、内閣を拘束するものではない。天皇に関連するものは、ただの慣例でも憲法より重いという感覚が恐いといってるの。
 この人にはやはり、「人間的な思いやり」というのが根本的に欠けているようだ。
 「1カ月ルール」というのは、昔、細川政権(か羽田政権)のころに、鳩山が幹事長をしていて、そのころ、病気だった天皇の健康を守るために作ったルールだ。(今になって自分で作ったルールを破っている。自民党は守ってきたのに。……そう批判されている。)
 池田信夫は「何でも自由がいい」と思っているようだが、とんでもない。天皇の年齢を知っているのか? 75歳である。とても公務などできない年齢であるはずだ。にもかかわらず、あえて公務をしていただいている。とすれば、その健康や都合を、最大点に尊重するのは、人間として当然の思いやりだ。
 池田信夫はたぶん、天皇のことを「高給で雇われた公務員」と思っているのだろう。だから「公務員としてきちんと振る舞え」と考えているわけだ。しかし公務員の定年は 60歳だ。いや、実質、もっと前かな。
 まったく、老人への思いやりとか優しさが、まったく欠落している。「天皇に関連するものは、ただの慣例でも憲法より重い」だって? 何言っているんだか。老人をどれほどこき使えば気が済むんだか。
 自由と市場経済を信奉する信者というのは、これほどにも人間性が欠けているのだ。


● ニュースと感想  (12月21日)

 「天皇の政治利用?」について。
 天皇の公務の「1カ月」というルール(慣例)について、朝日が解説記事を書いている。3人の識者のご意見を窺うインタビュー記事。(朝日・朝刊・3面・特集 2009-12-20 )
 その趣旨は、「天皇の政治利用は是か非か」というもの。しかし、全然ピンボケだ。
 「天皇の政治利用は是か非か」という質問ならば、「天皇が政治家の都合で動かされるのは是か非か」となれば、非に決まっている。
 一方、単に「天皇が公務をすることは是か非か」になるから、是と答えるしかない。天皇は神聖不可侵でもないから、公務をしてもらっても差し支えない。(この点では、小沢や池田信夫のような身勝手な言い分が正しい。)

 問題は、そのどちらでもない。では何かと言えば、先に述べたとおり。つまり、
 「天皇を小沢個人の権力欲を満たすために、小沢個人の犬となることを許すべきか? それは是か非か」
 ということだ。
   → 12月13日
 つまり、「政治利用」というのは言葉として間違いではないにせよ、「国のための政治利用」ではなく、「小沢個人のための政治利用」なのである。
 この本質を見失っては、何の意味もない。「小沢個人のための政治利用」なのに、「国のための政治利用」の是非を論じては、まったくのピンボケだ。
 朝日の議論は、マトはずれ。こんなことをいくら論じても、紙面と時間の無駄になるだけ。大量のゴミを生み出すだけ。
 物事の本質を理解しないと、こういうふうに多大な無駄を生み出す。


● ニュースと感想  (12月21日b)

 2008年に死去した マイクル・クライトン の遺作が出版された。「パイレーツ」という作品で、海賊物。
  → 書評ブログ 「クライトンの新刊(パイレーツ)」


● ニュースと感想  (12月21日c)

 森林の破壊に大きな影響を及ぼすのは、薪である。炊事の燃料として、薪を取るせいで、次々と森林が破壊されていく。  この問題をどうするべきか? 
  → Open ブログ 「薪と森林破壊」


● ニュースと感想  (12月22日)

 「ドバイ危機」について。
 ドバイ危機について、読売・朝刊 2009-12-21 に特集記事があった。簡単に言えば、こうだ。
 短期資金の借り換えで投資資金をまかなっていたのだが、リーマンショックで投資資金が集まらなくなった。それで、短期融資された金の返済(つまりは借り換え)ができなくなって、資金のショートを起こした。融資したのは欧州の銀行が多いので、欧州の銀行は危機になった。それで、比較的安全な円が買われて、円レートが上がった。最近になって、隣のアブダビが豊富な資金を貸してくれたので、一時的に一息ついている。しかし、投資は不足して、工事もストップして、ドバイは一転して停滞状況だ。ただし、それ以上の内実は、王制の独裁国家であるせいで、よくわからない。

 これだけでは話が不足するから、私がポイントを指摘しておく。
 第1に、ドバイは、石油資源が豊富な国ではない。ろくにない、と言っていい。(金額的にはごくわずか。) かわりに、アラブの金融市場として生き残ろうとしていた。香港みたいなものだ。
 第2に、ドバイの投資は、ものすごく巨額だった。世界最大のビルを建てたり、巨額の港湾リゾート施設を建設したり。……ま、建設するのはいいが、それでテナントが集まるのか? ある程度は集まるが、単に「アラブの香港」ということぐらいで、それほどにも大規模に繁栄できるのか? ……これが疑問となる。

 第2の点(疑問)は、私が長年いだいていたものだ。香港ならば、背後に中国が控えていたから、中国との貿易の中継点として、繁栄できる。
 しかしドバイは、「アラブの金融センター」となる程度だ。それはそれで、いくらか繁栄できるだろうが、アラブの生産活動は、石油以外にはほとんどない。人々が何らかの労働をして物を生産しているのではなく、単に油田から石油を取ってタンカーに運んでいるだけだ。その程度のことのために、巨大なビルがいくつも必要ないはずだ。
  → ドバイのビル(写真など)
 上の記事ではビルがいっぱいできているが、それがちゃんと有効利用されているわけではない。人口の大部分は、そこで働く人ではなく、それを建設する外国人労働者だ。また、読売の記事によると、日本のモノレールができたということだが、モノレールはできても、肝心の駅ができていないので、モノレールは駅に停車しても、ドアが開かない。……いわば「死んだ町」になっている。おまけに、金融危機のせいで、工事はすべてストップだ。
 
 「砂上の楼閣」という言葉がこれほどぴったりなものはない。(原義からはハズレるが、ちょっと似ている。)
 記事にもあるように、経理どころか、あらゆる情報がベールにつつまれている(公開されていない)ため、どれほどの惨状であるかはまったく判明していない。
 ともあれ、これが将来どうなるか、大いに興味をそそられる。砂漠のなかに摩天楼を築くなんて、「とてつもないホラ」としか思えなかったのだが、それをまさしく実現してしまった。ただし、その金は、自分たちの金ではなく、欧州の銀行からまかなった金だ。
 欧州の銀行はどうなるのか? 日本の不良債権処理の二の舞か? それとも、ドバイは不死鳥のごとく甦り、アラブにおける唯一の解放社会として、香港のように繁栄するのか? (アラブの他の社会はイスラムの戒律に縛られているが、ドバイだけは近代化された生活を楽しめる。香港に似ている。)
 香港と違うのは、後背地だ。アラブは中国と違って、莫大な金があるが、人も生産活動もない。何も生産しないで、金融センターとして金を転がすだけで、巨大なビルを維持するほどの富を算出できるのか? ウォール街やロンドンのシティのように繁栄できるのか? 換言すれば、ドバイは(アラブだけでなく)世界の金融の中心(農地の一つ)になれるのか?
 これはかなり難しい問題だ。アラブには巨額の金があるから、ドバイが繁栄することは不可能とは言い切れない。欧米の金融機関が(アラブの金目当てで)どんどんドバイに来ているから、ドバイはそれなりに繁栄できるかもしれない。……ただし、ロンドンやウォール街と違って、ドバイの背後には何もないのだ。

 私の推測を言えば、こうなる。
「マネーだけの上に成り立つ国家は、一時的には繁栄できるが、きわめて脆弱である。ときどき金融ショックが起こるたびに、崩壊の危機にさらされる。今回の危機は、たまたま完成前に起こったから、目立つだけだ。仮に、完成後だったとしても、やはり同じような危機にぶつかって、崩壊の瀬戸際に立たされただろう。アイルランドもそうだが、金融立国というのは、きわめて脆弱である。日本のバブル期の銀行・証券会社と同様である。マネーだけの上に成り立つ国家は、きわめて脆弱であり、簡単に崩壊しやすい。調子のいいときには、何年間も好調が続くが、いったん大きな経済危機にぶつかると、国家そのものが崩壊しかねない状態に陥る」

 ドバイの計画は、もくろみ通りには行かないだろう。ただし、国家の破綻という事態にはなるまい。損失の大部分は、欧米の銀行とアブダビが負担することになりそうだ。その結果、ドバイのビルの所有者もまた、欧米の銀行とアブダビになりそうだ。ドバイという国は、実質的には、外国に所有されることになる。
 その後、それなりに繁栄することはできそうだが、当初の構想とは懸け離れた形になるだろう。香港の繁栄が、英国植民地としての繁栄であったのと、同様のことになりそうだ。


● ニュースと感想  (12月22日b)

 日本には多大な杉林がある。これは主に木造建築のために植林したものだ。  ところがこのたび、「木造建築を実質禁止してしまえ」(新築禁止)という方針がなされた。狂気の国家方針。
  → Open ブログ 「木造建築の撲滅」


● ニュースと感想  (12月22日c)

 「鳩山の新方針」について。
 本日中に新方針を決めると言うから、ずっと待っていたら、22時までずれ込んだ。まったく、こんな遅くに決めるなんて。人騒がせな人だ。翌日に回す方がまだマシだ。
 ともあれ、新方針は、こうだ。( → 読売新聞
 子供手当と暫定税率は、思ったよりもまともだった。民主党(小沢)の要望は「所得制限あり」だったから、それよりまともだったことになる。これは偉い。
 ただし、自動車重量税については、(小沢の言うとおりにしたが)駄目ですね。
  ・ もともとエコカー減税があり、新車購入ではすでに半額ぐらいになっている。
  ・ 現状から半額にすると、エコカー促進の効果が半減する。
   (例。4万円が2万円に減税されるはずが、2万円が1万円に減税となる。)
 要するに、今回のは、「非エコ減税」となる。「前はエコであるものに減税」と言っていたのが、今回は「エコでないものに減税」となる。愚劣。
 
 ついでだが、JR などでは高速道路(一律千円)に長距離旅客を食われて、1割ぐらいの減収になっているらしい。となると、倒産しないためには、JR の長距離旅客運賃を1割ぐらい値上げする必要が出てくるかも。
 自民党と民主党が高速道路に血税を投入するから、鉄道利用者は逆に金を奪われる。往復ビンタだ。……エコである鉄道をこれほど虐待する政権も珍しい。


● ニュースと感想  (12月23日)

 「訪問販売の規制」について。
 「訪問販売お断り」というシールが有効かどうかで、いくらか議論が起こっている。「シールだけじゃ無効だ」という見解を消費者庁が出したが、そのあと、大阪府知事と論争した。特定商取引法をめぐる話題。
  → 読売新聞 2009-12-22
 法理論で言えば、「法改正が必要」という消費者庁の見解は もっともである。「お年寄りを守れ」という大阪府知事の見解は、政治としてはいいが、法律としては未整備だ。
 ただし、である。ここで、うまい方法がある。「住居侵入罪」を適用する、という方法だ。
 マンションでビラ配りをしたら、住居侵入罪で有罪になる、という判決を最高裁が下した。「ビラ配りお断り」という刑事がマンションの入り口に書いてあるのに、それを無視して入ったら、住居侵入罪に当たる、ということ。
  → 検索「住居侵入罪 ビラ配り」
 これは検察の起訴を受けて「有罪」と断じたものだ。とすれば、同じことを訪問販売にも適用するといい。しかも、住居侵入罪ならば、刑事罰がかかる。(ただの罰金ではなく拘留される。)効果はいっそう大きい。
 相手は(セールスで)名刺を寄越すはずだから、その名刺をいただいてから、110番で電話して、逮捕してもらえばいい。
 当然だが、警察に持ち込まれる件数は、非常に多くなるだろう。警察の仕事のほとんどは、これにかかりきりになってしまいそうだ。だとしても、自業自得。たかがビラ配りみたいな軽罪をいちいち最高裁まで争うほどの大問題として扱っていたからには、それなりに警察や検察が忙しくなるのは、当然だ。自分で招いたことだ。
 私がこの件で「信号無視ぐらいで逮捕するな」と言ったら、「信号無視だって犯罪だから逮捕されても当然だ」と言った人がいた。それならそれで、信号無視する人を、莫大に逮捕すればいい。警察はたちまちパンクしてしまう。愚劣。……それと同じことが、「ビラ配り」にも当てはまる。ビラ配りぐらいでいちいち逮捕するのであれば、訪問販売もすべて逮捕する必要があるのだ。
  ・ マンションの入り口に「訪問販売お断り」と掲示する。
  ・ 一戸建ての敷地の入口に「訪問販売お断り」と掲示する。
 これを無視して入ってきたセールスマンがいたら、警察に連絡して、「住居侵入罪」で逮捕してもらえばいい。警察は拒否できない。それが警察や検察の方針だからだ。最高裁のお墨付き。

 結論。
 訪問販売について論議するなら、特定商取引法ではなく、住居侵入罪で論じるべきだ。
( ※ ビラ配りと訪問販売の比率で言えば、訪問販売の方がはるかに悪質だ。ビラ配りは相手に物を与えるだけだが、訪問販売の方は相手から金を奪う。悪質性では明らか。)

 ただし……
 門の外からインターフォンで呼び出しただけなら……それなら住居侵入罪にはならないな。ま、その場合は、「お断り」と告げるだけになる。敷地内に入れちゃ駄目ですよ。(なお、アパートやマンションなら、相手が建物内に入った時点で、即、違法な住居侵入となる。)

 [ 付記 ]
 背景の説明。
 大阪府消費者保護条例では、訪問販売業者から見える場所に「訪問販売お断り」と明示したステッカーなどを貼ってある場合は、「拒絶の意思を表明している」ものと認め、消費者に対し勧誘する行為を禁止している(条例第16条、規則第5条)。
 これに対して、消費者庁は、「そんなステッカーは法的に無効だ。条例も無意味」と裁定した。これが争いの発端。


● ニュースと感想  (12月23日b)

 (1)
 毒牙のある恐竜が見つかった。毒蛇みたいな能力をもつ恐竜。
  → Open ブログ 「毒牙のある恐竜」

 (2)
 鳥は肺をもつだけなく、気嚢を備えている。一方、初期の恐竜も、原始的な気嚢を備えていたらしい。恐竜は初期のころから、鳥への進化を準備していたことになる。……という学説があるが、これは論理のミスだ。
  → Open ブログ 「鳥と恐竜(気嚢)」

 (3)
 鳥は恐竜から進化した、という説がある。これは、おおざっぱに言えば正しいが、正確には正しくない。(恐竜の)前肢がいきなり翼に変化するはずがないからだ。
  → Open ブログ 「鳥と恐竜(進化)」


● ニュースと感想  (12月24日)

 (1)
 阿久根市の竹原信一市長が障碍者差別の発言をしたことで、各界の批判を浴びている。「トンデモ」と呼ぶ人もいるが、彼を「トンデモ」と呼ぶのは正しくない。  彼と同じ思想は、現代人の根っこにはびこっている。それは「自然淘汰」という発想だ。(優生思想とも言える。)
  → 阿久根市長と優生思想

 (2)
 進化をもたらすのは、自然淘汰か? いや、もっと大切なものがある。それは多様性だ。
  → 自然淘汰と多様性

● ニュースと感想  (12月25日)

 (1)
 自然淘汰という概念は、絶対的ではない。修正される必要がある。そのためには、「ほぼ中立説」および「ノイズ効果」という概念を理解するといい。
( ※ 「優者/劣者」という二項対立は、あまりにも粗雑すぎる。もっと精密に理解するために、この二つの概念を用いる。)
  → Open ブログ 「ほぼ中立説/ノイズ効果」

 (2)
 自然エネルギー由来の発電(太陽光発電・風力発電)には、電力の変動がある。これを解消するために、スマートグリッドという概念が提唱されている。  しかし、単なる電力融通では、効果がない。効果を出すには、電気自動車の電池に充電・放電することが必要だ。
  → Open ブログ 「超スマートグリッド」


● ニュースと感想  (12月25日b)

 「鳩山の問題・1」について。
 鳩山が「やましくない」と弁明したあとで、「やめてもいい」と述べた。
「今回の件に関しては、私腹を肥やしたという思いは一切ない。不正な利得を得たという思いも一切ない」
「『鳩山やめろ』という声が圧倒的になった場合には、国民の皆様の声をお受けしなければいけない」
( → J-CAST
 やめるかどうかはどうでもいいが、「私腹を肥やしたかどうか」と論じるのは、ピンボケだ。政治資金を透明化することの問題は、私腹を肥やしたかどうかという問題とは別のポイントがある。

 第1に、脱税だ。前にも述べたとおり。贈与ならば、贈与税を数億円も脱税している。貸与ならば、(親の遺産が減るので)将来の相続税を払うことを免れる。これも数億円。いずれにせよ、数億円の脱税だ。判例から言えば、実刑は免れない。鳩山のいるバキ場所は、首相官邸ではなく、ムショである。

 第2に、これが大事だが、「この金で首相の座を買った」というのが問題だ。2009-12-24 の読売新聞にもあるが、鳩山は数億円もの多額の金をどう使ったかと言えば、党内の議員にばらまくことに使った。つまり、自分の権力を党内に浸透させるために使った。(議員の買収に相当する。)
 そして、これが特にひどいのが、小沢である。小沢はどうしてあんなに党内権力があるのか? 声がデカいからか? 気が強いからか? 違う。莫大な金を党内にばらまいているからだ。(自分一人で莫大な金を使うはずがない。)
 そして、ここが問題なのだが、その金は不透明である。小沢が党内の各議員にばらまいた金は、明瞭になっていないはずだ。だから、小沢がどういうふうに買収しているかも、明らかになっていない。政治資金規正法を逸脱していると思う。……そして、そういうふうに政治資金を隠蔽している例が、鳩山の今回の事例だ。
 同じような隠蔽は、小沢もやっているだろうし、他の国会議員もやっているはずだ。たとえば、小沢が「千万円やるよ。だけど表に出すなよ。もし表に出したら、この次は上げないからな」というふうに。
 こうして、鳩山や小沢は、党内に権力基盤を築き上げた。……ここが一番の問題なのだ。

 というわけで、鳩山も小沢も、ムショに入るのが当然だ。政治資金規正法に違反しているのだから。……そして、その悪は、「私腹を肥やしたか否か」という点にあるのではない。「その金で党内の権力を買った」という点にある。
 簡単に言えば、小沢や鳩山は、日本政府を買収したのである。買収したからには、金を払う側であり、金をもらう側ではない。とすれば、「私腹を肥やしていません」と弁明するのは、てんで見当違いに当たる。自分の罪を自覚していないようだ。


● ニュースと感想  (12月26日)

 「鳩山の問題・2」について。
 鳩山は「金は政治資金だ。贈与でもないし、貸与でもない」という主張で切り抜ける方針らしい。なるほど。それならば、犯罪にはならない。
 ただしその場合、政治家として政治資金の管理ができなかったことになる。それは、一議員としては仕方ないかもしれないが、首相としては致命的だ。自分の金を秘書任せにして数億円もの金を管理できない。管理能力がゼロだ。自分の金さえも管理できない人間が、国家の金を管理できるはずがない。
 つまり、鳩山は「私は罪はありません」と主張した時点で、「首相としての能力はゼロです」と告白したことになる。この場合、罪には問われないが、能力欠落を自認したことになる。ムショに入る必要ももないし、議員を辞職する必要もないが、首相という職だけはただちに辞職する必要がある。完璧なる無能さゆえに。
 これは善悪の問題ではない。議員として白か黒かという問題ではない。首相として無能だという問題だ。自分で無能さを告白したのだから、さっさと辞職するべし。

 ただし、問題は、次のジョークにある。
 ある高齢社長が、若い友人に言った。
 「私はボケてまで社長を務めるつもりはない。私がボケたら、教えてくれたまえ。ただちに社長を辞めるつもりだ」
 若い友人は答えた。
 「ボケたあとで、あなたはボケていますと教えても、わかるんですか?」

 鳩山もこれと同じだな。

 [ 付記 ]
 鳩山は食器洗いが大好きらしい。夫人が語る。
 ゴム手袋をして食器を洗う首相の写真を紹介し、「毎朝、毎晩、自分からやってくれる。私がやらせている、と思われたら困る」と笑いを取った。
( → zakzak
 サラリーマンならば立派な亭主だが、一国の首相のやることじゃないね。国民について考えるより、皿洗いの方が好きらしい。
 いや、皿洗いなんかやっているから、いつまでたっても決断ができずに、優柔不断になる。最低の首相。
 首相を辞めて、皿洗い亭主に専念するべし。それがお似合いだ。

 記事によると、鳩山は「カートを押して、いろんなものを値段チェックしながら買う」とのことだが、買物の値段チェックはできても、自分の政治献金のチェックはできなかったわけ。やはり首相失格。


● ニュースと感想  (12月26日b)

 「朝日と読売の逆転」について。
 朝日と読売の立場が逆転している。
 これまでの自民党政権時代には、朝日が権力批判をして、読売が権力べったりだった。今の民主党政権では、読売が権力批判をして、朝日の筆は鈍っている。記事でもそうだが、社説を比較するとよくわかる。
  → 朝日、読売、日経の社説
 日経も読売と同じですね。ここのところの鳩山の献金問題や、事業仕分けの問題では、読売の筆はめっぽう鋭い。2009-12-25 の読売・朝刊でも、「事業仕分けと言いながら、在日米軍への思いやり予算は仕分けできなかったぞ」と批判している。
 この点は、私も前から思っていたが、まさか、読売がそれを言うとはね。口あんぐりである。民主党政権を斬るためであれば、自分を斬ってもいいらしい。というか、自分を斬ってまで、民主党政権を斬る。ギター侍もびっくりだ。  (^^);
 
 それにしても、政権交替が起こったあとでは、読売は水を得た魚のごとく、権力批判の報道が冴えている。その一方、朝日はだらしないこと、この上ない。上記の社説まとめサイトでは、朝日の社説の要旨は、こうだ。
 「続投を表明した首相は、全力で政治の変革を願う国民の期待に応えなければならない。」
 あーあ。そんなに鳩山ファンなんですか。ここまでファンになれるとはねえ。国民から見放された権力者をそれほどまでにも支えるとは。昔の朝日を知る人から見れば、まったく裏切られた思いだろう。
 一方、読売の方は、「6億円もの脱税をして上申書で済ませるなんて、一般人ではありえない」と批判している。ごもっとも。……いやね。これを、自民党政権のときに言っていればたいしたものだが、民主党政権になったとたん、これですからねえ。(日経も同様だが。)

 ま、とにかく、政権交替によって、下剋上みたいな大転換がマスコミ社会でも起こっている。人はこれほどにも、立場をコロリとか得るものなのである。  (^^);
( ※ おのれの主義主張に合致していれば、節をあっさり曲げる、というわけ。……もし民主党政権がつぶれて、自民党政権に戻ったら、また大転換が起こる。呆れる話だが。……事実は冗談よりも珍なり。)


● ニュースと感想  (12月26日c)

 目下の者が目上の者に「ねぎらい」の言葉をかけるべきではない、という話。
  → Open ブログ「ご苦労様とお疲れ様」 [ 補説 ]


● ニュースと感想  (12月27日)

 (1)
 「進化論を学校で教えるな」という見解がある。(私の見解ではない。)
 宗教的な信念で、「神が世界を創造したからだ」と考えて、そう主張する人々もいる。しかし、驚くなかれ、日本では「進化論を学校で教えない」という方針がすでに取られている!
  → Open ブログ 「"進化論を学校で教えるな"」

 (2)
 1) タミフルと風邪薬をあわせて飲むと、異常行動が起こるという。
 2) タミフルと漢方薬(麻黄湯)では、効果に大差がないという。
  → Open ブログ 「タミフルと風邪薬」


● ニュースと感想  (12月28日)

 (1)
 風力発電を増やせば増やすほど、かえって炭酸ガスが増加するそうだ。つまり、逆効果。そのわけは……
  → Open ブログ 「風力発電で炭酸ガス増加」

 (2)
 豚インフルエンザについて総括しよう。次のことはすべて間違いだと判明したと言える。
  ・ 危険である
  ・ 騒ぐべきだ
  ・ 死者は少なかったのは騒いだからだ
 → Open ブログ 「豚インフル論議の総括」


● ニュースと感想  (12月28日b)

 「亀井が天皇に妄言」について。
 亀井大臣が天皇に妄言を語った。
 亀井氏は「恐れ多くも陛下に申し上げたのは『権力の象徴だった江戸城にお住まいになられるのではなく、京都か広島に住まわれてはいかがでしょうか。お城にお住まいになるのは、立場上ふさわしくないのではありませんか』と。私から一方的に申し上げた」と述べた。
( → 読売新聞 2009-12-27
 この人の暴言にはあまり驚かなくなったが、天皇に忠告できるほど偉くなったとは驚いた。亀井は(本人の発想では)天皇よりも偉いのか。ふーん。  (^^);

 なお、天皇が京都に住んだら、天皇の国事行為のたびに、閣僚は遠路はるばる京都まで行かなくてはならない。新幹線を使っても、(駅から先もあるから)3時間では済まない。往復6時間以上で、仕事が1時間なら、7時間。一日がつぶれてしまう。国政の大いなる停滞。馬鹿馬鹿しい。

 それにしても「広島」を持ち出すとは、我田引水も極まれり。
 「おい。天皇。おれの地元に住め」
 と呼びつけるとはね。
 おまけに「立場上、ふさわしくない」というふうに咎めるとは。これは上司が部下を咎めるときの言葉だ。天皇は亀井の部下なんですかね。

 [ 付記 ]
 その一方で、社民党の福島は「米軍をグアムに追い出すために最大限の努力」というふうなことを語っている。亀井に負けず劣らず。
 鳩山と小沢も、金で検察に問われているようだし。もう、民主党政権は、滅茶苦茶だ。……民主党を事業仕分けしなくっちゃ。  (^^);


● ニュースと感想  (12月29日)

 (1)
 部屋全体を温めるかわりに、足だけを温める暖房機がある。足温器というもの。これは、省エネになるだけでなく、頭寒足熱ゆえに仕事がはかどる。
  → Open ブログ 「足温器のお勧め」

 (2)
 事業仕分けが最も必要な官庁がある。それは林野庁だ。  林野庁の仕事は、天然林の破壊である。存在そのものが悪である。さっさと廃止するべし。
  → Open ブログ 「事業仕分けと林野庁」


● ニュースと感想  (12月29日b)

 「格差2倍に違憲判決」について。
 衆院選に格差2倍超は違憲だという判決が下った。大阪高裁の判決だから、最高裁までは行っていないので、まだ余裕はある。だが、最高裁で判決が下ったら、今の衆院選は違憲であることになるから、もはや正当性がなくなる。それは数カ月後だろう。
 そのとき、どうなるか? 「違憲状態を続ける」というのが、最もありそうだが、違憲状態をなくすとすれば、選択肢は二つだ。
 一つは、新たな選挙制度を立法化したあとで、ただちに解散することだ。しかし、現実には、無理だろう。下手をすると民主党は過半数を割る。やりそうもないですね。
 もう一つは、私が前に提案した「端数議席」(端数票)だ。転載しよう。
 議席数を1とか2とかにしないで、端数も認める。たとえば、1議席の基準人口を百万人としたら、その選挙区の人口が百二十万人であるとき、1.2議席を割り振る。実際に当選する人数は、一人でもいい。この一人が、1.2票を持つ。一方、選挙区の人口が八十万人であるときは、一人が 0.8票を持つ。実際の議会での議決権では、電子投票を用いて、1.2票や0.8票を計算する。最終的には、たとえば、「121.2票 対 116.4票で可決」というふうになる。賛否同数で議長が決める、という余地はほとんどなくなる。
 このやり方だと、1票の格差は、非常に小さくなるはずだ。また、島根や鳥取のような小さな選挙区でも、1人の議員を出すことが可能だ。ただし、0.3票ぐらいにしかならないだろう。ま、それはそれでいい。
( → 2004年7月14日b
 これは、小数点以下の端数を認めるわけだ。ただし、簡単にするため、半分(0.5)単位にする、という方法もある。
 票数の集計はどうするんだ、という質問もあるだろうが、昔はともかく今では電子投票がなされるので、特に問題はない。(無記名はしにくくなるが。)
 なお、無記名性を保つには、票の単位を 0.5票ごとにしてもいい。( 0 / 0.5 / 1.0 / 1.5 / 2.0 / …… ) これなら、「半票」の札を使うのと同じだから、誰がどう投票したのかは匿名性が保たれる。
( → 2009年8月12日b
 ともあれ、こうすれば、一票の格差の問題は解決する。「一人一票」なんていう固定観念をはずせば、問題はあっさり解決するのだ。
( ※ 一人一票というのは、投票札を使っていた時代の悪しき方式。ま、仮に投票札を使うにしても、「半票」の札を使えば問題はあっさり解決するのだが。)


● ニュースと感想  (12月30日)

 頭寒足熱には、「頭が冴えて仕事がはかどる」という効果のほかに、健康改善 ・病気予防の効果があるという。
  → Open ブログ 「頭寒足熱の効果」


● ニュースと感想  (12月30日b)

 「大学別・生涯給料ランキング」について。
 大学別・生涯給料ランキングについての くだらない記事。(ネタ)
 《 大学別・生涯給料ランキング――1位神戸女学院、2位聖心女子、3位一橋…卒業後の収入で就職力を見る 》
 週刊東洋経済では卒業後の生涯年収を比較した「生涯給料ランキング」を独自に作成している。その大学を卒業すると生涯にいくら稼げるかを見ることで、“実質的な”就職力が浮き彫りになる。  ランキングは、今年3月卒業生の主な就職先企業の生涯給料を、企業の平均年収や厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査(2008年)などを使って推計。それを就職人数で掛け合わせ、加重平均して大学別の生涯給料を算出した。
 1位となったのは神戸女学院大学。兵庫県西宮市にあるミッション系の伝統校だ。昨年も4位にランクインしていたが、今年は在京の共学校を抜き去りトップに立った。生涯給料が比較的高い金融系企業に4分の3が就職したのがランキングを押し上げる結果につながった。
 2位は昨年と同様、聖心女子大学。こちらも金融系企業への就職が対象者の3分の2に及ぶ。3位は昨年1位の一橋大学。ベスト10までに8校が入るという、女子大が大健闘した結果となった。共学校は慶應義塾大学が8位(昨年4位)、東京大学が12位(同3位)などにとどまった。
( → Yahoo ニュース
 個人レベルでは区別しないで、「高給の会社に入った」ということだけで、その平均的な高給をもらえる、と仮定している。神戸女学院大学卒で秘書として入社した人と、東大卒で幹部候補生として入社した人がいても、どちらも「平均的な給料をもらえる」と仮定した上での話。
 ま、ネタですね。

 それはさておき。……
 東大卒で理系の場合、8割は大学院に進学する。(東大大学院とは限らないが。)
 つまり、理系だと、「高給をもらえる会社」というのは、選択肢に入っていない。また、文系の場合には、今はともかくひところは、「国家公務員」(財務省など)が目的となった。この場合も、給料は低い。ただ、「国家を動かす」という巨大な権力を持てるのが魅力で、国家公務員になった人が多い。たとえ薄給でも。(でも最近はさすがに、そういう人は少なくなった。国全体が貧困化しているので。)

 ま、「高い給料をもらえるのが偉い」という発想をして、こういうネタ記事を書く人がいる、ということはわかった。
 さもしい? いや、別に、そうは思わない。ただ、東大生というのは、そういう発想をする人は少ない、というのを、理解しておくといいだろう。東大卒で、「すごく金儲けをしているんだ」と自慢する人は、めったにいない。たいてい、軽蔑される。
( ※ 東大卒で一番羨ましがられるのは、ノーベル賞クラスの業績を上げた人だ。そのほとんどは、すごく貧乏である。)


● ニュースと感想  (12月31日)

 (1)
 豚インフルエンザの患者でタミフルを飲んでも、死ぬ人が出ている。特に、インフルエンザ脳症で。ここでは、タミフルを飲むかどうかよりも、解熱剤を飲むかどうかの方が、重要だ。
  → Open ブログ 「豚インフルと死者(解熱剤)」

 (2)
 健康な大人が豚インフルエンザで死ぬ危険性を考えると、本人の免疫力が非常に重要だ、と言える。特に、疲れや睡眠不足で免疫力が低下するのが、大きな問題だろう。
  → Open ブログ 「豚インフルと死者(免疫力)」


● ニュースと感想  (12月31日b)

 「今年の言葉」について。
 2009年の言葉を私なりに選定したい。それは、
 「トラスト・ミー」
 である。その意味は、
 「私を信用して、と語るやつは、信用できない」
 という事実を、天下に知らしめた点である。  (^^);

 私が常に言っている「詐欺師を信用するな」というのに、ぴったりだ。



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「泉の波立ち」
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